機動戦士ガンダム~一年戦争なき世界線で~   作:ミノフスキーのしっぽ

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 今回の前書き

 今回は過去の政治的暗闘の話

 宇宙貴族主義者がいるように、地球貴族主義者も存在します。

 まずエレズムという地球を聖地化する思想を地球圏に流布。

 次に、他者を犠牲にして目的を果そうとする悪意や、過去の戦争の歴史などに疎いスペースノイド第2世代を洗脳、扇動。暴徒に仕立て上げ地球圏に騒乱を巻き起こす。

 時を見計らって、暴徒化した第2世代を排除する正義の味方として歴史の表舞台に登場。

 暴徒たちの情報は、暴徒を育て上げた自分たちが一番よく知っている。容易に鎮圧できる。自分で火をつけて消化するマッチポンプだ。 

 続いて暴徒鎮圧の功績をもって地球連邦政府と交渉。

 地球上の管理維持を一部の選ばれた人々(つまり自分たち地球貴族主義者たち)に限定するように持ち掛け、それを徹底するように迫る。

 地球環境維持は、基本、AI駆動ロボットのみに限定。地球上に住む人類を適正人口以下にまで排除。実質上の地上乗っ取り。

 このようにして、自分たち地球貴族主義者のみに都合の良い世界の形を地球圏全体に押し付ける。


 スペースノイド第2世代の子供たちを洗脳、扇動し、地球連邦に混乱を齎そうとした黒幕はこいつら。

 その正体は、旧世紀の支配者層の生き残りとその子孫たち。

 スペースノイド第2世代を中心とした革命、独立運動がピークに達した段階で、スペースノイドの暴徒たちを武力弾圧し、排除する側として登場。

 その功績を盾に、地球連邦政府と交渉をまとめ、地球上の権利を我が物にしようと画策した。

 だが、それらの陰謀は不発に終わる。

 地球貴族主義者たちの陰謀を察知した、ジオン・ズム・ダイクンをはじめとする連邦左派議員たちが対応策を導き出し、それを実行。

 地球貴族主義者側が配下を操り、治安維持の名目で武力弾圧を開始するその前に、ダイクンが革命、独立主義者たちのトップに立ち、彼等をサイド3へと導いたのだ。

 地球貴族主義者たちは、陰謀の最終段階を前にして先手を打たれた訳である。

 鎮圧すべき相手が、ダイクン等によってサイド3という僻地に集められ、そこで管理される状況となれば、各サイドでの武力鎮圧は不要となる。

 これでならば、地球貴族主義者が歴史の表舞台に登場する心配はない。

 過去、そういった政治的暗闘がこの世界線には存在した。 

 エレズム:ナンセンス。

 地球上で聖地になんてされたパレスチナの地がどうなっているかは、みなさんご承知の通り。一部の者たちしか利益を受けない。

 本作中では、出生時からの精神障害や肉体的、後天的に障害を負った人々を、宇宙コロニーに比べて比較的安全な地球で引き取り、生活させている設定です。
 各サイドで彼等の面倒をみるとなると、多大なコストと、家族、行政に携わる人々が多大な苦労を要することに。

 彼等を居住させる素晴らしい土地があるというのに、一部の人々の戯言に耳を貸して、地球を聖地化する必要があるのか?…ということ。
 
 サイド共栄圏的独立思想:ナンセンス。

 コントリズムの延長での地球を無視した政策は、各サイドを独裁的に支配した為政者周辺にしか利益を齎さず、大多数のスペースノイドは全く利益を受けない。むしろマイナス。
 その延長で宇宙戦国時代が始まって以後、スペースノイドたちは独力で各コロニーを維持できなくなる。結果、一旦は力を失いつつあった地球連邦政府が、再編され力を盛り返す皮肉なことに。

 そもそも、地球は宇宙空間にある惑星で、宇宙の一部なのだから切り離せる訳がない。所詮、各サイドも地球をモデルにした人工の大地を集めたに過ぎない。
 
 確固たる必要性があるのでなければ、無理矢理に地球聖地化やサイド独立を進めるなど害悪でしかない。
 


宇宙世紀の争いの根2

 「…」

 

 「…」

 

 「…」

 

 トクベイは我が子を過去の動乱で失った記憶と相対し、精神の安定を保てず黙り込む。先程までの飄々とした

態度は微塵もなく、無様な様子を隠す余裕もない。

 

 ユミミとマウアを前に、ただ立ち尽くすのみだった。

 

 そんなトクベイを見守るように、マイアとユミミも沈黙を守る。他人が誰かの過ぎ去った日々をどうこうすることなどできはしない。

 

 辛い過去で負った精神の傷は、本人の努力で乗り越える他にない。マウアとユミミは、トクベイが自力で立ち直ることを願い、ただただ待った。

 

 「…」

 

 (そうか…私は羨ましかったのか)

 

 だからこそ連邦上院議員の職を自ら退いた。

 

 向かい合いたくはなかった。

 

 扱いに困った愚かな我が子といえど、生きてさえいてくれたらと願わずにいられなかった。そんな自分自身。

 

 育て方を間違えたと嘆くも、我が子を失う不幸には晒されなかった幸せな親たちの姿。

 

 人は時に、自らが無意識に言い放った言葉の意味に衝撃を受け、愕然とする。

 

 そういった事例は、長い人生を過ごせばままあることだ。先程呟いた内容。それを発した瞬間こそが、トクベイのその時であったのだろう。

 

 (未練だな…まさか、その事実に気付かぬまま10年以上逃げ続けていたとは…自分がこれ程脆弱とは露ほども思わんかった………いや、その事実からも逃げ続けていたか………)

 

 「…これではサイド3に集まった連中が、開放型コロニーを密閉型に改良し、自分たちの思想の殻に閉じこもったことと、大して違わんな………」

 

 そう呟き、自分の有様を嘲笑するトクベイだった。

 

 「…いや、失敬。因る年波に負け無様な姿を晒してしまったの…話の筋を戻そうか」

 

 「ごめんなさい…辛い思い出を想起させてしまって」

 

 「いや、他者と交流することで自分の本質をより良く理解することもあるんじゃ。そうすることで前に進めることもある。儂ももうよい歳じゃが、まだまだ発展途上じゃよ」

 

 肩を落とした老人を思いやる後輩議員。彼女にトクベイはそう応じ、前に進む姿勢を示した。その様子にユミミもマウアもホッと胸を撫で下ろす。

 

 その一方、心配事をなくしたマウアはすぐさま思考をフル回転させ、トクベイの言動から奇妙な点を探り出しては、その理由を考え出す。

 

 「でも奇妙ね…いくら閉鎖空間で何度も何度も洗脳紛いの勧誘をされたとしても、それなりの年齢の者が突然、そこまで過激になるものかしら? 殺人まで………」

 

 「やはり鋭いのう………旧世紀の悪しき遺産じゃよ。主だった犯罪者共を連邦の諜報機関員が捕えたんじゃが…主だった者は口を閉じた…永遠にな」

 

 「特定の状況になると、自殺するようコードでも仕込まれていた?」

 

 「正解じゃ。胃洗浄処理で服毒死を阻止した犯罪者から、諜報部は偽の記憶を埋め込まれた形跡を発見したんじゃ。一連の騒動の元凶である地球貴族主義者共はな、記憶操作装置を使って拉致した学生の記憶を操り、未来ある若者たちを捨て駒にしたんじゃ」

 

 「トカゲの尻尾切り…そいつら気が狂ってるわね。子供は未来へ大事な資産よ。それを損なうなんて」

 

 政治に携わろうとする者として決してやって良いことではない。

 

 「そうです。地球貴族主義者たちは、他人を自分の目的を達成するための駒にしていたのです。本当に他者を同じ生命体として見做さず、使い潰す道具として」

 

 「そうじゃ、それが独裁主義に陥った連中の本性じゃよ。自分たちのみを、何をしてもよい選民と規定し、他者はその実現の道具として扱う。宇宙世紀に入って連邦政府が断ち切ったはずの過去の人類の悪癖。旧世紀から続く選民思想」

 

 トクベイもユミミも唾棄するように人類の暗部をマウアに語る。この眼前の聡い少女がそれらと向き合い、乗り越えていける器の持主と信じて。

 

 「テクノロジーを悪用した記憶操作。そういった過去に封殺したはずの邪悪な連中が、穴倉から這い出て鎌首を擡げてきた…か」

 

 マウアは、旧世紀の歴史を学び知った、ある特定の連中を思い出し吐き気を催した。

 

 自分は天津神の子孫だから、天下国家を好き勝手にしても構わない。一般の民衆の小さな幸せなんて顧みず世の中を乱した暗君たち。そう行動するように暗君を唆した奸臣たち。

 

 全知全能、唯一絶対の神という概念を生み出し、自分たちはその意を受けた司祭とした一方、民衆は盲目の羊とし、貶め、自らのみが世界を導く存在となって世界を己の意のままに操ろうとした宗教家たち。

 

 彼等によって乱された数多くの国家、塗炭の苦しみを味わった各民族。

 

 「そうじゃ、連中の最後の抵抗だったんじゃよ。旧世紀の生き残りは高齢化し、旧支配層の影響力は下がる一方。逆に支配層と被支配層の垣根を無くした地球連邦政府の影響力は、比べるまでもなく強大化しておった」

 

 「そんな状況を引っ繰り返すために、連中はなりふり構わず行動したのです。旧世紀の悪しきテクノロジーすら持ち出して」

 

 沈痛な面持ちで、そうマウアに過去を伝えるトクベイとユミミ。それらの跳梁を許してしまった当時の我々、地球連邦政府にも責任がなかったわけではない。そう言外に匂わせて。

 

 

 

 まあ、あれである。

 

 ガンダムユニコーンで、ジンネマンはじめ袖付きというテロリスト連中が受けていた記憶操作と一緒。

 

 一年戦争開戦後、地球連邦軍がサイド3を攻撃しなかった理由は、総人口の半数以上がジオン公国軍に殺害され、子供を生める一定数の女性がもう連邦側に残っていないためだった。

 

 子を産める女性がいないことは国家にとって一大事。

 

 連邦はザビ家を打倒し、子供を授かれる人的資源を独裁者共から取り返す必要があった。

 

 何でせっかく取り戻した大切な人的資源を、ジンネマンの偽の記憶にように、連邦軍側の人員が殺害しなければならない?

 

 ア・バオア・クー決戦後、ジオン公国はジオン共和国となり終戦協定を締結する。別に無条件降伏した訳ではない。

 公国軍もすぐに共和国軍に再編され、無傷の本土防衛隊も同様だ。

 

 地球侵攻作戦によって地球に降りた元公国の兵員たちも、邪魔されることなくサイド3へと帰国を果たしている。残ったのは、最後まで抵抗の意思を示した者たちのみ。

 

 サイド3のグローブとかいうコロニーで、アンジェロの家族が連邦の占領政策で酷い目にあったというが、連邦はサイド3に占領政策なんて取っていない。

 

 そもそも、ジオン共和国は終戦協定しか結んでいないし、無条件降伏文書になんぞ調印はしていない。ジオン共和国は終戦後の日本じゃない。そんな国家間で占領政策って何ぞ?

 

 何度も言うが、ジオン共和国軍は、大東亜戦争敗北後に軍を解体された日本国とは違って軍は武装解除されていません。旧公国軍の艦艇もMSも相当数が健在。

 

 自力で身が守れます。

 

 元ジオン公国軍の軍人さんは、誰も彼もが自由にサイド3間を往来でき、無法者が悪事を働けば、元公国軍の軍人さんたちにあっという間に制圧され、駆除される。

 

 そんな状況下、地球連邦軍の進駐軍とやらが、どうやったらサイド3で暴れ回れるというのか? 民間人殺害やら、ジンネマンの妻や娘をレイプし、殺人ビデオまで撮影する余地がどこにあるというのか?

 

 あまりに整合性が取れていない。

 

 その記憶、強化人間の記憶操作技術を一般兵士まで拡大して、テロ用人材を枯渇させないための処置だろう。後天的に植え込まれた記憶だ。

 

 そんなこと、簡単に解るぞ。  

 

 注意:みんな、作中の情報の精査と、嘘か真実かの確認は取ってる?

 

 まず女日照りの件は、機動戦士ガンダムの小説版を読んで。作中、ジオン公国軍は殺し過ぎた。連邦側で、女を抱きたければ戦争に勝ってジオン女を抱け。そんな記述がある。

 

 次に記憶操作のこと。シャアの反乱でシャアというカリスマを失ったジオン残党は、活動を大幅に縮小している。必要な人材も集まらない。

 

 だが、何故か袖付きとか新たなテロリスト集団がポコポコ現れてくる。それも腐敗した連邦がーと鳴き声を上げ、どこからともなく湧いて出てくる。

 

 世の中を乱してるのは、貴様等テロリスト側だろうって(笑)

 

 明らかに異常事態。

 

 つまりだ。

 

 脱走兵を捕まえ、あるいは、無理矢理拉致してきた一般人に偽の記憶を植え付ける記憶操作をやっている連中がいるってこと。

 

 よく指摘される、あいつらの取って付けたような連邦政府への反攻心とその理由。

 

 その正体は、取って付けたようなではなく、本当に取って付けられた偽物の記憶だった。

 

 袖付きは上から下まで偽物で構成されている事実。つまり、袖付き事態がジオン残党の偽物集団。

 

 シャアの偽者、男妾の偽者、プルの偽者。記憶を操作された一般兵たちの偽者たち。もしかしたらあのミネバも…ね。

 

 偽の記憶に踊らされ、テロって大量虐殺して…本当にバカジャネーノ!

 

 作中、意図的にそういう設定にされているのでしょうね。

 

 

 

 話を戻す。

 

 「この検査結果を受け、諜報機関の一部が地球貴族主義者たちの走狗に成り下がっていた事実が明らかになってのぅ、地球連邦政府内の叛逆者狩りが開始されたんじゃよ」

 

 「諜報機関の一部が、意図的に地球貴族主義者たちによる革命主義者養成の事実を上層部に隠したのよ。それで連邦政府は、革命主義者にされた者たちの動向を事前に察知できなかったの」

 

 トクベイとユミミの語る話の内容が、よりディープで凄惨なものとなっていく。だが、マウアはそれで耳を塞ぐ真似はしなかった。豪胆である。

 

 「それで? その地球貴族主義者とかいう連中の真の目的って? 名称からして地球に関係しているのでしょうけど?」

 

 「お嬢ちゃん、話の筋を先読みし過ぎじゃ。連中の真の目的は、エレズムを利用した地上の乗っ取りじゃよ。連中は当時、部下をつかってエレズムという地球聖地化思想を地球圏に振り撒いておっての。最終的に、操った革命主義者共を地上に導き、そこで暴れさせる手筈じゃった」

 

 「ええ。ですがそんな革命主義者たちの要求を、地球連邦政府が受け入れるはずもない。そこが地球貴族主義者たちの狙いでした」

 

 「そう…自分たちとその配下の者たちで、地球連邦政府に協力する形で革命主義者たちを武力排除する。マッチポンプじゃよ。そうして最終的に、自分たちが地上の護り手というポジションに付き、地上を我が物にするという」

 

 「革命運動の学生たちはそうするための道具。使い捨ての…ね」

 

 それが、宇宙世紀50年代から続いた一連の騒乱や、独立運動の根っこ部分にある真実であった。

 

 「大まかな話の筋は大体理解しました。それで、ジオン・ズム・ダイクンの出番がきたって訳ね。エレズムを主軸とした地球乗っ取りが開始される前に、作られた革命主義者たちによる独立運動を逆に乗っ取って、サイド3独立へと持っていった」

 

 「そうじゃ! ダイクンのハナ垂れ小僧もそれで覚醒したんじゃよ!」

 

 「あの人はそれまで、コントリズムを弄んでスペースノイドの独立や権利を叫ぶ一方、民衆に聞こえないところでは、宇宙移民の借金返済が終了していない状況で独立運動なんて馬鹿なの? まずは借金返済が先だ。借金大王女王に投票権がないのは当たり前だろうと、独立主義者たちを嘲笑していましたね」

 

 トクベイもユミミも、この事実には苦笑を禁じ得なかった。この時ばかりはと優し気な表情を浮かべる。

 

 つまり、当時のジオン・ズム・ダイクンという政治家は、連邦議員の権利の範囲内で、世の中に混乱を齎す行為と解っていてそれを繰り返す、割とこまったちゃんだったのだ。

 

 地球連邦左派議員の、悪い遊び以外の何物でもない。

 

 「さすがに地球貴族主義者たちの悪行には、ダイクンもドン引きじゃったよ。遊びは節度をもってするものが彼奴の心情だったからの。そんな坊主がな、はじめて世の中に危機感を抱き、自分から率先して運動乗っ取りに乗り出したんじゃ。この事態には、理由を知る連邦議員の右派左派問わず、みんな大笑いじゃったわ」

 

 「笑い事じゃなかったのですが…ね」

 

 「その一方、後にダイクンと同じ道を歩むことになるザビ家のデギンが、各サイドに浸透しておった地球貴族主義者たちの資金源の切り崩しに動いた。元々、ザビ家は地球連邦誕生のために、自ら汚い暗殺などの仕事を請け負っていた家系じゃからの。地球貴族主義者共のやり方を許せる訳もない」

 

 「ザビ家は、その暗い歴史によって、地球連邦内のフィクサーとしての立場を確立していました。ですが、そのために表の政治の世界には進出不可能だったのです………」

 

 「…サイド3が連邦から独立を勝ち取れば、大手を振って表の政治の世界で活躍できる?」

 

 「そうです。皮肉にも地球貴族主義者たちの悪行があってはじめて、ザビ家はその可能性を手にすることができました」

 

 「ふーん」

 

 「だが勘違いしてはならんぞ。ザビ家が表の世界で認められた理由は、デギンが敢然と地球貴族主義者たちの陰謀に立ち向かい、勝利した功績あってのことじゃ。デギンの器量ならば、それらの動乱がなくとも、いずれは表の世界に姿を現したじゃろう」

 

 「うん、それは何となくわかる。あの人、いずれサイド3の宰相どころか、新たな宇宙国家の王様になるかもね」

 

 「ほうほう! お嬢ちゃん、お前さんはデギンをそう見とるのか! これは覚えとかねばならんかもな!」

 

 一度は精神を沈ませたトクベイも普段の自分を取り戻していた。マウアに当時の状況を一通り話し終え、自分なりに当時の哀しみを乗り越えたのだろう。

 

 そんなトクベイの様子を眺めるユミミも晴れやかな表情をしていた。ユミミも自分なりに、辛い過去と決別できたようだった。

 

 「それでは二人とも、この話はそろそろお開きにしましょう。エル・シドさんとカガチさんたちのお話も佳境に入ったようよ。ね?」

 

 マウアの髪を梳き、頭を撫でていたユミミが、貴賓室の中央で今後の話合いを進める宇宙貴族主義者たちを見詰めて言った。

 事実、彼等の打ち合わせは佳境に入っていた。

 

 そんなユミミの提案を聞き、自然とトクベイとマウアはそちらを見詰めた。

 

 「そうじゃの、名残惜しいがよい頃合いじゃ。お嬢ちゃんにはよい暇つぶしになったかの?」

 

 「予想以上に。また機会があったら、色々と世の中の裏の裏を教えてくださる?」

 

 「無論じゃよ。機会があったらな!」

 

 「お願いします。お爺ちゃん、おばさま、本日は楽しいお話をありがとうございました」

 

 ユミミの膝の上から上半身を退けたマウアはスッと立ち上がり、元議員と現議員に頭を下げた。実際、シルキー・マウア・フェラリオ個人としては、多くを得た楽しい話だったのだから。

 

 

 次回:宇宙世紀の争いの根3に続く

 

 




 今回の後書き的なもの

 誰だって、それぞれ個人、国家、陣営に属している立場なのだから、本当に中立な立場なんて存在しない。あくまで概念上のものである。

 誰の行動にも、常にそれぞれの利益が絡む。

 環境保護なんてその最たるもので、どこの国とは明言しないが、声高に環境保護を叫び、他国に改善しろと国連と一緒になって叫ぶ一方、自国内の領土では、平気で大規模な環境破壊をしている。

 日本のように毬藻が住んでいたどこぞの地域は、汚水の流入によってほぼ毬藻が全滅している。だが、環境団体は自国の事なのに見て見ぬふり。

 日本国内でも、日本政府に対して環境保護を求める一方、山間部を大幅伐採して、太陽光パネルを大量に設置している団体に対しては、何も言わない。

 明らかに環境破壊なのに。

 一体、どこの国のどんな連中が環境保護なんて叫んでいるのやら。

 最近はそれだけでなく、難民や社会的弱者を騙り、国家に保護と賠償、特別な地位を求める弱者ビジネスも盛況だ。

 あーヤダヤダ。

 ガンダム作中のエレズムって、そういった他人から何かを奪うためのメンドクサイ手段の延長だろう。


 追記:今回語った天津神的なんちゃらと、全知全能の神の司祭なんちゃらのこと。

 アナザーガンダム的に言えば、ガンダムSEEDディスティニーのブルーコスモスの連中みたいな連中の支配手法と、DNAを絶対の神として、自分はその司祭になろうとしたデュランダル議長の支配手法的なもの。

 おお! 厄い厄い!!

 
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