機動戦士ガンダム~一年戦争なき世界線で~ 作:ミノフスキーのしっぽ
最終決戦後、メビウスの時の輪に封印されていたラスボスの残滓が、時空間を超越して本編開始前に現れるというメチャクチャな展開です。
スパロボ的な別世界線のシャア子♀…ナイチンゲール操縦…や、そのまた別世界線のアムロ♂…νガンダム操縦…もやって来ますよ。
自機性能を大幅に強化する凸凹型のオーラサイコフレーム多数…別世界線のイザナギ/イザナミ・オブジェクト…を引き連れてね。
強敵を前に、ナイチンゲールとνガンダムが引き連れてきたオーラサイコフレーム多数が、世界線を越えたドッキングを敢行。グラナダシティ上空宙域に巨大なメビウスの輪を描き出す。
世界線を越えてきた魂の力と生命力増幅装置。その融合。
さあ、円環の理たるメビウスの輪の力によって時空間を操り、悪しき力の再封印だ!
サイコフレームなどのマテリアルは人の想念を刻み込めるのだから、有史以前から知的生命体が放出し続ける悪しき想念を集めて、鎮める封印の器になりえる。
そうして集めた悪しき想念を、暖かい生命のオーラ力で浄化すると。
イザナギ/イザナミ・オブジェクトはそういった使い方もできる。
それに、こんなこともあろうかと(真田さんかよ!)、パプア級クロスストロベリー艦内に搭載したあったアレ起動。
別世界線航行理論で組み上げた次元振動調律超弦跳躍機関スターティア・システム!
ゼクノヴァ現象を引き起こして、グラナダ上空の宙域ごと別世界線送りにしちゃえ!
破滅の化身をこの世界線から排除して、滅びに瀕した月の大都市を救え!
君は、刻の涙を視る!
ああ…メビウスの輪から抜け出せなくて…うんたらかんたら。
うーん、自分が考えた設定ながら、イザナギ/イザナミ・オブジェクトってエッチなオブジェクトだなと思う。
穴に入れないと子供はできない…穴に入れてドッキングさせると、超強大な時空間すら超越するパワーを発揮するチートオブジェクト。
うん、えろグロ。
ドレミータイム。
直球表現!
死神少女は叫ぶ。
仕方ないじゃない!
創作元の作品は、初めからえろグロ要素盛りだくさん! 溢れんばかりなんだから!
なんて他責的言い訳しちゃうぞ!
俗物が!
反則的蒼穹のファフナーネタもあります。
その日、一隻の民間宇宙船が所定の航路から外れ、グラナダシティへと向かっていた。いわゆるショートカットだ。
優秀な航海士を有する船舶だからこそ可能な力技。独自の軌道計算で航路を算出してみせる玄人衆の仕事。
こうしてスペースノイドたちは、時間と燃料、航海士を除く人員の労力を減らし、捻出した資金で糊口を凌ぐ。
節約節約ぅ!
なにしろ、スペースノイドたちの多くは、常に宇宙移民による多額の借金と二人三脚。三世代100年の返済計画と共にある。
宇宙空間を生活する労働者たちは、こうして航行費用を少しでも減らし、運航費用等諸々を削減しなければ、並の暮らしは儘ならない。
そうして生み出した黒字を少しでも借金返済に充て、僅かに残った賃金で日々を生きる。
こういった侘しい財テク方法は、過酷な地球圏に生きるスペースノイドたちの数少ない娯楽でもあった。
宇宙の閉鎖空間ではこれといった楽しみもない。せめて、減っていく借金の額を眺めることが数少ない楽しみだった。
せんないねぇ。
それはともかく、彼等の船舶が目的地とする宇宙都市グラナダの話をしよう。
グラナダは、地球側から見て月の裏側に建設された都市で、同じく、月の裏側の重力均衡点…ラグランジュポイント宙域…に置かれたサイド3ジオン共和国に、最も近い大規模月面都市だ。
この世界線のグラナダは、一年戦争が勃発した世界線とは違い、戦争は回避されたため、大規模な軍事要塞化はなされていない。
かわりに地球圏を離れた外宇宙へと続く、多くの巨大船舶が寄港する中継都市として発展、機能していた。
件の民間宇宙船は、フォン・ブラウンシティを発した後、地球圏最大の資源衛星ルナ2で資材を受け取り、こうしてショートカット…本来の航路とは別の空間を抜ける…して、グラナダに着々と近付いていたのである。
?
「ん…船長、空間センサーに異常あり。左舷に大規模なミノフスキー粒子反応です。何やら複数の船舶と小型のモビルワーカーの反応が見て取れます。ミノフスキー粒子に隠れて断続的に…ですが」
「ほぅ、まさか宇宙海賊の類じゃあるまいな………」
突然の部下の報告を受け、キャプテンシートに身体を預けるお鬚の艦長が考え込んだ。
(この宙域は連邦軍やジオン共和国軍の演習には使われていないはず。月面の無人地帯での大規模な新技術の実験でもしているのか? 事前の注意喚起もない…ただの杞憂だと良いのだがな)
「…ドローン班、有線型バロールを数機出撃させろ。バロールのモノアイで確認を取れ。操舵主、エンジンブロックに連絡。最悪の場合を想定して、フルブーストでケツを捲る準備をしておけ」
「りょっ、了解しました!」
お鬚の船長はすぐさま宙域を離れるのではなく、原因究明策を選択した。
正直、安全を第一とする運行責任者なら、シュートカットによる節約よりも命を大事にして、一目散に同宙域から退去する。何事も、命あっての物種なのだから。
この甘い判断は、戦争が身近に迫った世界線故での選択だった。かなりの平和ボケと言えた。
その決定と指示を受けた艦橋に緊張が走った。
(しゃあねぇな、船長の決定だ…悪い結果になるなよ)
艦橋スタッフそれぞれの想いはどうあれ、船のリーダーの下した決断だ。従わなければならない。各自がそれぞれの責務を果たすべく、素早く動き出した。
「船内格納庫より艦橋操作班へ。バロール射出形態での艦首移送完了!」
「こちらドローン班。艦橋部各モニター、各計器異常なし。操作準備完了」
「了解。船首発射管開く。バロール射出してください。船長!」
「操舵! 艦首左舷向け90°! バロール射出後、同航路へと素早く復帰。メインエンジン、サブの各バーニア並列させ! フルバースト準備態勢に移行せよ!」
「了解! 艦首左舷向ける! 取り舵90°!」
「バロール射出開始!」
「一番、二番、三番、四番、射出完了!」
「航路復帰! 面舵90°!」
「バロール変形開始! モノアイ露出! これより監視体制へと移行します!」
民間船艦首より撃ち出されたバロールとは、ミノフスキー粒子下で使用不能となるレーダーの代用品たるドローンだ。
ミノフスキー粒子下で盲目となる艦船の、新たな目となる観測機器なのである。
一年戦争がある世界線では、ジオン公国軍によってデブリ帯などに潜む敵機探索に利用すべく開発された機密兵器であった。
だが、戦争のないこの世界線では、約10年先んじて完成。有線型ドローンとして民間の観測機器として活用されている。
それらバロールは艦首発射管から射出されると、弾丸型から変形を開始する。本体中心部から前方にモノアイ部分を突き出し、後方斜め四方にバーニア付きの脚部が突き出される。
さながら、宇宙のタコかイカといった形状へと変形し、目標宙域へと向かっていった。
「さて、オニが出るか、ジャが出るか」
バロールが捉えたモノアイでの映像は、滞りなく有線を通じて艦橋モニターへと送信されていた。自然と各種モニターへと、船長以下、艦橋クルーたちの視線が集まる。
!?
(あれは! 人型兵器! 肩にマウントされるシールドは、危険を知らせる黄色と黒の塗装! ヤバい!)
そして、艦橋のクルー全員がその映像を確認した瞬間、お鬚の艦長が叫んだ。
「ドローン班! 有線切り離し! バロールを投棄せよ! 撮影した映像データも同様にすべて廃棄! 信号弾準備! 我々は何も見ていないとあちらに伝えろ!」
「り、了解!」
「でっ、ですが、船長! あれは! あの映像は凄く儲かります! ありゃ、噂のモビルスーツです! サイド3のミノフスキー博士が完成させたっていう! 新型の小型イヨネスコ炉を搭載した!」
お鬚の船長や年長者たちが逸早く対処処置を急ぐ中、若手の艦橋クルーが叫ぶ。
「馬鹿野郎! だからこそだ! 下手に連邦やアナハイム、ブッポにデータを流してみろ! 俺たちに持っているのは宇宙空間での行方不明だ! 俺たちゃ妻子持ちだ! 残されたカカァやボウズ共に宇宙移民の借金だけ残して死ぬ訳にはいかんだろう! 違うか!」
(はっ!?)
「そっ、そりゃそうだ………悪い、大金に目が眩んで可笑しくなったのは俺だ。やってくれ」
「ああ。おい!」
「もう有線切り離しています!」
「映像データも消去中です!」
「そうか、信号弾撃ち上げて、とっととケツ捲ってこの場から逃げ出すぞ。後々、グラナダで色々と艦内を捜索されるだろうが、下手なものを残しておくんじゃねぇぞ!」
「もちろんですよ!」
「すまなかったな、すぐに逃げ出さなかった俺のミスだ。いずれ折を見てお前たちに借りを返すさ」
斯様にして本来とは別の航路を取り、図らずもジオン共和国軍保護下の実験に遭遇してしまった民間宇宙船は最大船速を選択。逃げ去るようにグラナダの港へと向かっていった。
数機のバロールだけを残して。
そんな残されたバロール数機を、民間船が撃ち出した信号弾の輝きが照らした。大きな影が形作られ、バロール裏の月面上に、光と闇のコントラストをが生じさせる。
そのコントラストの影部分から這い出る、巨大な人型の機動兵器群。
MS-04 ブグ 計12機
(…了解した。各機に告ぐ、拿捕行動は中止。引き続き周辺監視に当たれ。逃げた民間船はグラナダの情報部が担当するそうだ)
母艦とのテレパス通信によってブグのモビルスーツ隊は、目標としていた民間宇宙船への奇襲陣形を解いていく。
(ソウシ、どうだ…感じるか?)
(大丈夫だ、カズキ…悪意は感じない。マヤも安心しろ)
(カズキ君、お疲れ様。ヨウコウ君…そっちは?)
(大丈夫さ、マヤちゃん。ソウシの指示通り、もうビームスナイパーライフルを下ろしてもね)
(サクラ、俺たちはもう周辺監視に戻るぞ…はいよ)
(ケンジ、もう心配ないって実験間各位へのアナウンスよろしく!)
(マモル君、編隊航行の距離から必要以上離れないで)
(解ってるよ、カリン姐さん)
(まったく、面倒にならなくて助かった。アキラ、セリ、余計なことを考えない!)
(へーへー、解ったよカノン)
(セリ、つまんない)
(こちらヒロト、アキラもセリちゃんも押さえてよ)
ブグを駆るニュータイプ部隊の面々が、早々に民間宇宙船が去ってくれて助かったと安堵の表情を見せた。一部、つまらないと胡乱な思考を飛ばし合う者も存在したが。
そう。
彼等は全員がニュータイプだった。シルキー・マイア・フェラリオが造り出したニュータイプ薬アウラアニムスを実験的に接種した、サイド3島一号コロニータツミヤ出身の者たちだ。
あなたはそこにいますか?
それが、アウラアニムスを接種した者たちに数か月後、同様に投げ掛けられたテレパスでの問い掛けだった。
それにテレパスで応じることのできた少年少女たちが、今回こうしてブグのパイロットとしてこの場に集まり、同モビルスーツ隊を構成していた。
なお、先程のニュータイプ同士でのテレパス通信に若干の内容のズレが生じていた理由は、お互いの思考を先読みしていたからだ。
一年戦争があった世界線で、アムロの存在にニュータイプ能力で気付いたクアトロが…どうするつもりだとアムロ…アムロだと?…と、思考が追い付かぬままに呟いてしまった状況に若干似ていた。
通信相手からテレパスが届く以前にその思考を読み取ってしまい、先に応じてしまった次第である。
この様にニュータイプは思考外で相手の言動や行動を先読みし、気付かぬままに返事をしたり、行動したりしてしまうことがあった。
そのため、言動や行動の順序が常人とはだいぶ異なってしまうのである。
「みんな、口頭で通信しよう…コホン。我々はこれで、やっとイザナギ/イザナミ・オブジェクトを利用した超空間通信の実験ができる。遙か未来、外宇宙に進出した人類に今を生きる者たちが残すことのできる遺産…完全民主主義システムの実践データ取り」
そういった言動の齟齬を埋めるため、今度は口頭で通信を開始するミナシロウ・ソウシ。12名のブグパイロットのリーダー格である。
ミナシロウはさらに言葉を重ねる。
「外宇宙に進出した人類の最大の難問。それは、互いの生きている場所の距離が離れれば離れるほど意思の疎通が困難になることだ」
「でも、ニュータイプ能力の拡大で、時間と距離を超越した意思の疎通が、ニュータイプではない一般人同士でも可能となれば、その問題は解決するのよね」
理屈っぽく、熱っぽく語り出したソウシに、より語り易くなるように合の手を入れるマヤ・トーミィ。良くできた幼馴染娘である。
「そうだよ、マヤちゃん。距離が遠すぎて、お互い相手のことが理解できず、憎しみのみを肥大化させていき、ついには最悪の状況に至る。そんな宇宙戦争の可能性を事前に排除できるんだ」
「ソウシの言う通りさ。それを民主主義の投票行動に反映できれば、さらに世界は大きく変わる。一部の権力者や、彼等と手を組んだ悪い連中が独占し、私のものにしていた政治。その偏りに風穴を開けることができるかもしれない」
「じゃあ、僕も。少数の恵まれた環境にいる者たちでなく、より多くの民衆のためになる投票手法の実現。そのためのイザナギ/イザナミ・オブジェクトなんだよ」
マヤ同様にソウシの言動に合わせて、カズキ・ザルヴァートルとヨウコウ・フィアーが会話に加わった。
しかし、その他のブグパイロットたちには不評だったようだ。
「もう! ソウシ君ったら理屈っぽいよ。もっと簡潔にお願い!」
「そーだぞ、ソウシ。お前が心酔するオーカザキ博士の研究と、それに対する心意気を語りたいのは理解できるが、程々にな」
「ああ。もうちょっと歌でも歌うようにさ………何とかならない?」
「理屈っぽくて悪かったな! お前たち! もう少しオブラートに包んだ表現とかできないのか! 子供か!」
「ああん?………俺たちニュータイプなんだからさ、隠し事は無理だろ」
「そうそう! 結局は率直な言葉や、テレパシーでの対話が尊ばれるのさ!」
「なんだと!」
酷い言われように顔を真っ赤にして激高し、反論しようとするソウシ。だが、怒りで思考が安定せず、それ以上は言い返せないのであった。
(もう止めて差し上げろ。カズキ、お前もソウシを落ち着かせてくれよ)
(そうだぞ、マヤ、ヨウコウ、お前たちもソウシを宥めてやってくれ)
(うん…ミナシロウ君、そこまでにしよう。ね?)
(深呼吸、深呼吸だ、ソウシ)
(まあ、落ち着こうよ)
「………ふん! とにかくだ! 僕は正直に想う。本当にオーカザキ博士たちやダイクン公が、軍のタカ派ではなく一般の常識を持った人物であったことを好ましくな! カズキ、お前もそう思うだろう!」
「はは…そうだな、ソウシ。彼等が軍関係者だったら、国家や政敵の優位に立つために、僕たちやオーカザキ博士たちの研究を使うだろうから」
「うん、私も解るよ」
「僕もだ」
ソウシ、カズキ、マヤ、ヨウコウの四人のニュータイプが、モビルスーツによるお肌の接触通信による通常通信でそう語り合い、距離の離れたブグ搭乗者たちには、MSの掌から射出した光ファイバーを通じ、そう語り合った。
彼等は出自がタツミヤに引き取られた孤児や、同研究者の親族であり、その縁で共にアウラアニムスを摂取した、立場を同じくする者だった。
そのため、大の仲良しだった。
で、あるからして、仲間たちにクールダウンして貰えば、彼等の言い合いはそこで終了する。それ以上、破局的な大事…お互いを罵り合って喧嘩別れする…を迎えることもなく抑制される。
(仲良しさん同士のじゃれ合いはそこまでにしましょう)
ソウシのクールダウンから間を置かず、ブグを駆るニュータイプ部隊の面々に、母艦であるパプア級クロスストロベリーからの通信が入った。ミノフスキー粒子下の影響を受けない、テレパスによる通信だった。
クロスストロベリーにもまた、ニュータイプである通信士のミミカが乗艦しており、テレパス能力を使って苦笑しながら彼等の会話を聞いていたのである。
(フラナガン博士とオーカザキ博士からの伝言です)
(タツミヤ隊のみなさん、伝わってますか? 12機それぞれに搭載してあるオブジェクト神器神宝十ニ種の力を開放してください。本艦クロスストロベリーも、サイド3とサイド7とに控える2隻も、オブジェクト三種の神器の封印を開放しますから)
(君たちに与えた12種の宝具もまた実験を成功させるために重要なファクターだ。よろしく頼む!)
(そういう事です。各自、クロスストロベリーを中心にして所定に位置に移動してください。別宙域に控えたブルーベリージャム、ベリーベリーメロンは、すでに準備を整えていますから)
「了解! 仲間内での応酬は控え本来の任務に戻ります!」
タツミヤ隊を代表する形でミナシロウ・ソウシが応じる。もう仲間内でのじゃれ合いは終わりにすると。
12機のブグは、そんな本実験の責任者たちからの意を受け、パプア級クロスストロベリーを囲む円環状に散っていく。さながら、時計の時刻を表すように。
なお、イザナギ/イザナミ・オブジェクトを基にして精製された神器神宝十二種と、オブジェクト三種の神器とは、ニホン神話に登場する神々の持つ品々を模して生み出した代物である。
なぜそのような形を模してオブジェクトを精製したかというと、そういった謂れのある人類文明のシンボルほど集まった人々の想いを結ぶ象徴となるからだ。
剣、鏡、勾玉、比礼。
神代といわれる時代から人類にとっての大事な品々。人心を集めるにはもってこいの形をする太古からの道具たち。
オーカザキ博士とフラナガン博士は人の関心をより引く物として、そのような形に自らが生み出したオブジェクトを精製したのだ。
なお、それぞれモビルスーツ大の大きさに製造して、ブグ全機に装備させました。
正直、この点は趣味です。
趣味と実益を兼ねてみました…と。
まあ、せっかく道具として作るのなら、巨大にしてMSに持たせてみたいよね。
そんなこんなで実験の準備は続く。
「よろしい! みなさん御上手です、見事なポジショニングです。綺麗な円を描けていますね。さすがはタツミヤ隊です!」
「ニュータイプ能力でお互いの位置を正確に把握していて一部の隙もない。これならば、当初のシミュレーター通りの結果が期待できそうだ」
実験開始のお邪魔虫であった民間宇宙船の排除の後、ニュータイプ能力を使った完全民主主義システムの実験準備は順調に進んでいた。
これには、イザナギ/イザナミ・オブジェクトの共同研究者兼共同開発者であるオーカザキ博士、フラナガン博士共にニッコリである。
二人とも、自分たちの研究成果が人類の未来を切り開くものであるのだから、その実験への熱の帯様も当然である。円滑に物事が進めば笑顔も見せる。
「では、精製した三種の神器の状況はどうです?」
「既に複合詠唱機による術式詠唱準備完了! オーラ力の増幅のための巫女の皆様や楽師様の配置も完了しております!」
「大変よろしい。投票行動に参加される周辺宙域に控える船舶の方々は、テレパス酔いのためのスウェッセム・ブースター薬の接種完了していますか?」
「無論です。すでに参加する人員の99%は接種しています」
「残り1%は?」
「博士お二人と我々です」
「ですよね。では秒読みを開始しますよ。宜しくて?」
「宜しい」
「13…12…11…10…9…8…7…6…5…4…3…2…1…全イザナギ/イザナミ・オブジェクト起動!」
まずは、このグラナダ近海宙域での特殊フィールド展開実験が開始される。オールドタイプでもテレパス能力が得られるフィールドの展開。
続いて、フィールドに被験者となる者たちの乗り込んでいる船舶をフィールド内に誘導。
その後、フィールド内部で完全民主主義システムに乗っ取った投票行動を実施する。投票内容は、取り敢えず実験が成功すればよいだけなので、非常に簡単なもの。
十二神器神宝、三種神器とは別に用意してあった無銘の剣ネームレスブレードを演算機とし、投票の成否を割合を算出、その結を遠く離れた月の表側宙域、さらに遠方の地球を越えた反対側サイド7宙域に送信するというものだ。
さて、この実験データも重要なのだが、さらに重要な実験はこの後に実施される。
それは、人類を外宇宙へと送り出す技術…すなわち、ワープ技術の実験であった。
周辺宙域を満たす膨大な数のイザナギ/イザナミ・オブジェクトを用い、ソウシたちのニュータイプ能力をオーラ力で安定、増幅し、力技で膨大なエレルギーを真空から抽出。
それらの莫大な力を利用し、時空間を超越する超空間ゲートを発生させようというのだ。
じつは、これら実験の順番は逆転している。
そもそも最初にする完全民主主義システムの実施実験とは、人類が外宇宙に進出してから後、その助けとなるシステムの構築。
ワープ実験が成功、実用化してから後、人類が必要とする民主政治の要、投票システムなのだ。
つまり、種を明かすと、オーカザキ博士とフラナガン博士は、共同で造り出したイザナギ/イザナミ・オブジェクトの限界を推し量る研究を進歩させ過ぎてしまって、行き付くところまで来てしまっていたのである。
ついには、人類の夢であるワープ実験すら敢行できる段階まで至ってしまい、慌てて、その後に必要となる完全民主主義システムの実施実験も、一緒に実施することにした次第だ。
ヤバッ! ワープ技術完成間近だ!
長々距離空間通信技術も確立していないし、大幅に生存圏が離れた時のための意思疎通技術確立してない!
外宇宙に進出した人類の距離が離れすぎて、同じ時間軸上で生きられなくなって、それが原因で星間戦争に発展しちゃったらどうしよう!
私たちの研究が、宇宙に広がった人類絶滅の遠因になっちゃうかも!
ヤバい! ヤバいって!! 早急に対策を考えなくっちゃ!!!
そーだ!
恒星間でもできる意思疎通方法、次の実験で構築しちゃおう!
それで急ぎ足になった今回の実験であった。
「まずは第一段階、順調ですね。これが成功したなら、第二段階………ミスターガデム、オーラダイバー、ビルド・バインダー…ビルバイン起動準備お願いします」
「あいわかった」
オーカザキ博士からの通信に、パプア級クロスストロベリーの格納庫に控えていたお鬚の軍人がそう応じた。
時空嵐
流体オーラパルスシステム
オーラ・ドライブシステム
サイコ・フィールド・アクティブ(駆動)システム
セイヴァービット
アヴェンジャー・フィン・ファンネル
次元裂断刀スターティアブレード
サイコビームサーベル ハイパーオーラ斬り
次元振動調律超弦跳躍機関スターティア・システム
超巨大RX78‐02ガンダムの形をしたナニカ
オキツカガミ
ヘツカガミ
ヤツカノツルギ
ココノツカノツルギ
トツカノツルギ
イクタマ
タルタマ
マカルガエシノタマ
チガエシノタマ
オロチノヒレ
ハチノヒレ
クサグサノモノノヒレ
マモル・バックラー イレブン 十一 侍の数字
混線する別世界線の情報、 存在しないはずの記憶。戦い続け、斃れたもう一人の自分。
人類とは別に誕生した無垢なる命フェストゥム。悪しき想念の依り代にはもってこいの存在。
己の生命を触媒にした同化再生によるザルヴァートル化。魂の昇華とたくさんの魂の昇華。
マモルと一つになる十一の命、イザナギ/イザナミ・オブジェクトとの同化現象。
ブグ・ザルヴァートルゴーバインモデル 全長120メートル
知的生命体のオーラエネルギーとサイコエネルギーで同化精製されるイザナギ/イザナミ・オブジェクト。すなわち、オブジェクトを搭載した機体のパイロットたちがその新たな原材料になりえる。
勇者王ガオガイガーのブレイブクリスタルと同じ。
知的生命体の命が原材料であるブレイブクリスタルを再精製して生み出されたものこそ、Gストーン。
シャア子♀とアムロ♂の機体であるナイチンゲール君とνガンダムさんには、イザナギ/イザナミ・オブジェクトになった人々の、数億の勇者たちの魂が宿っている。
自分の故郷を守護すべく別世界線で雄々しく戦い散っていった英霊たちと、自分の故郷を守護すべく同世界線に残り、戦い散っていった衛霊たちの魂。
マモルのブグもみんなの命と同化融合して昇華される。みんな一緒だ。
ファフナーの名称は、ノートゥングモデルとか武具名が付いているので、マモルやカズキたちを乗せるモビルスーツは、ブグが相応しい。
ちょっと習作
イザナギ/イザナミ・オブジェクト3~さよなら蒼き日々よ~一部抜粋
そこは、現世と幽世との境界というべき空間。数多の生命と魂が悪しき想念を封印する如意の墓標と化し、厳かに眠りにつく楽園だった。
それは、遙か過去の事だったか、遥か未来での出来事だったろうか。
封印を抜け出し、現世へと落ち伸びて、滅びへといざなう悪しき想念の残滓。
それらを再封印した新たな生命と魂の欠片たち。
彼等による哀しき最後の対話が続く。
(愚かでよかったのだろう。我々は空想にまみれた進歩を求め続けた。そんな我々を、現状に満足し享楽に生きる者達は愚かと見做した。だが、我々はそれに耳を貸すことはなかった)
(進まぬ研究。その歩みは遅々として緩やかなものでした。その限界を取り払うべく、私たちを手を取り合い、目標を同じくしました。そんな新たな出会いが刺激となり、世界を変え得る奇跡を起こしたのです)
かつて、フラナガン博士、オーカザキ博士と呼ばれていた魂の、祈りにも似た最後の願い。まだ人として救いようのある少女の意識に対する望みだ。
(人はいずれ時空間すら超越すると信じて、我々は人の限界に挑戦し、その助けとなるイザナギ/イザナミ・オブジェクトを作り出した)
(お恥ずかしい。その結果がこの有様です。地球圏に深刻な夢の傷痕を残してしまいました)
(すまない。マモル君やソウシ君、カズキ君、そしてミミカ君、君たちにまで、この夢の傷痕の代償を支払わせてしまった。諸君たちまで、イザナギ/イザナミ・オブジェクトと同化する必要はなかったと言うのに)
(ミミカさん、せめて貴女だけは生きてください。マモル君だけでなく、ソウシ君やカズキ君、ヨウコウ君、マヤさんたち、他のみなさんも、それを望んでいるはずです)
(我々はこの夢の道半ばで、生命の円環の理と同化せねばならなくなった。だが君はまだ間に合う。現世へと戻って欲しい。もっとも、その現世は世界線を越えた別の現世かもしれんが………どうか人として精一杯生きて欲しい)
(私たちがとても酷なことをいっていると解っています。辛い選択を強要してしまって本当に申し訳ありません。でも大丈夫、みんな一緒にいてくれます。ミミかさん、どうか恐れないで)
(いや! みんないなくなっちゃたのよ! 酷いよ! 私だけ帰るなんて! どうして? どうしてなの? 先生! 私は何を支えにして生きていけばいいのよ? もう何もないのに!)
(ミミカ君………君は歌が謳えるじゃないか)
!?
ミミカの意識が驚愕する。確かに謳うことは楽しい。大好き。でも、どうしてあなた達がそのことを知っているの?…と。
(そうですよ。休憩時間の艦でよく歌っていてくれましたね。私たちも、クロスストロベリーのみなさんも、作業の合間に、とても楽しみにしていました)
(ソウシ君たちもそうだった。彼等も君が何気なく謳う歌声を聞き、日々を生きる糧の一つとしていた。そういった何気ない日常の積み重ねには、誰かの想いを救い続ける力がある)
(私たちのように、ミミカさんの歌を聞いて救われる方々がきっといるはずです。どうか、故人となった私たちにではなく、未来へと共に歩んでいく人々のために生きて、命の歌を謳い続けてください)
(そんな…そんな! 酷いよ! 私も! 私だって先生たちと一緒に! そこで眠っていたいのに! どうしてそんな! 待って! どうして!?)
時間も距離も関係ない空間のはずなのに、突如、ミミカの意識が、フラナガン博士やオーカザキ博士の意識から遠ざかっていった。
ミミカの選択がそうさせていた。
謳うことは大好き。みんな笑顔で聞いてくれたもの!
ずっと…ずっと! みんなに聞いて居てい欲しかった!
どうして生きていなければ、それはできないの?
ミミカの意識は、ミミカという存在として、現世にあり続ける選択をしたのだ。その決断が、ミミカの意識を幽世側から現世へと続く、出口へとなる場所にいざなった。
(貴女の想いが、命が、存在することを選び取ったのです。それは誰でもない、貴女自身による自分自身への祝福。さようならミミカさん、そしてありがとうございます。あなただけでも生き残ってくれた。それが私たちへの何よりの祝福になるのです」
(君のこれからの歩みに、幸多からんことを願う)
(どうか…幸せになって………私の可愛い養い子の一人)
「僕がみんなを守るんだ!」
「私がみんなを守らなくちゃ!」
ミミカの意識は、クロスストロベリー艦橋で聞いた戦闘中のマモルの通信音声と、自分の声がクロッシングし、重なって聞こえた気がした。
次の瞬間、ブグ・ザルヴァートルゴーバインのコックピットに、一糸纏わぬ姿のミミカが現れた。
12名のブグパイロットたちの魂と生命、多量のイザナギ/イザナミ・オブジェクトと同化融合し、度重なるザルヴァートル化によって誕生した、全長120メートルを誇る巨大スーパーロボット。
そのコックピットに。
「………暖かい…みんな、ここに居てくれたんだ。ミミカがやって来るのを待っていてくれたのね…ありがとう………あたし…ここにいます………」
そんあミミカの言葉通りだった。
ブグ・ザルヴァートルゴーバインのコックピットが、狭間の空間からミミカの意識を救い上げるゲートの役目を果たしたのだ。
ゴーバインに宿る12名のタツミヤ島一号コロニーの仲間たちの魂が、狭間の空間を彷徨うミミカの意識を救い上げ、その身体をコックピットへと再構築し、祝福したのだ。
お帰りミミカ…と。
「綺麗………」
仰向けに寝ていたシートから上半身を起き上がらせ、ミミカがゴーバインのメインモニターを覗き込む。すると、そこには蒼穹と無人島の白い砂浜が拡がっていた。
多くの大切な人々、それだけではなく、自分が本来所属していた世界線との繋がりすら失ってもなお、少女は、目の前の世界を美しいと思える感性までは失っていなかった。
(ここは地球だよね?………綺麗な空と海…砂浜)
眩しい朝駆けが蒼と白で彩られた世界を照らし出し、外に出てみろとミミカを誘う。人として生き残ったのはミミカ一人。頼れるのはゴーバインのみ。それでもミミカは、自分を受け入れた新たな世界を美しいと思った。
勇気を出してゴーバインコックピットから這い出たミミカは、一糸纏わぬまま、すべてを曝け出し、その身体を新たな世界へと預けていく。
「…あたし…行かなくちゃ………みんなの分まで生きて………歌を謳い続けるね………」
イザナギ/イザナミ・オブジェクト3~さよなら蒼き日々よ~END