詐欺占い師と米花町   作:罠ビー

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詐欺占い師と米花町

 

 百発百中の占い師はいるのだろうか?答えはNOだ。たとえ未来が見えたとして必ず当たるとはいえない。

 例えば競馬。18番人気頭固定の三連単3000万円が当たったとしよう。当然未来が見えてるから馬券は当たる。だけれどコレを極秘情報だと言って何人かに教えたら、どうだろうか?バカバカしいと一蹴されるかもしれないしお導きと買うかもしれない。

 もし私が百発百中のスーパー馬券師としてこの情報をだしたならたちまち馬券は売れに売れていつの間にか12番人気、配当金も500万、はたしてコレは未来を当てたのだろうか?

 

 占いだって同じだ。占った相手がハナで笑うか、真剣にその話を聞いて行動するか、結果はいくようにも変化する。そしてコレは話を真面目に聞いたものの未来ほど変わる。即ち外れる。

 

 つまり真面目にやればやるほど外れる占い師になるという事だ。あまりにもクソ、

 

 

「私の運命の人はいつ現れますか?」

 

「そうね。貴女可愛らしいし、積極性もあるからモテると思うわよ」

 

 

 目の前の女子高生を占いながらそれっぽい事を言う。彼女がモテるだろう事は客観的事実だ。派手すぎず地味すぎず、本人の良さを生かすメイク、明らかに怪しい占い師という感じで営業してる私に声をかけてくる積極性。その上で私が聞きに回ってるだけで情報を話してくれるが、致命的な部分は出さない聡明さ。

 所作を見れば年の割に上品さも垣間見えており、資産か教育に力を入れているだろう事も伺える。制服も私立帝丹高校のもの。ここらへんでは名門の部類だろう。

 

 

「でも運命を共にする人ってなると難しいわよね」

 

「そうなんですよ。ビビっとこないっていうか」

 

 

 相手を褒めて、会話で機嫌をとったところで漠然とした不安……というほどではないが、懸念点を上げる。そうすれば共感されたと思い彼女は大きく頷く。大半の人は解決ではなく共感を求めるのだ。

 

 

「そこでなんだけど、今こういうものを持っててね」

 

 

 そう言って出すのは少しだけ綺麗めの石をあしらったブレスレット。原価は数百円。

 

 

「恋愛運を向上させるってお守り。どう?3000円でさ」

 

 

 そう言って素敵な営業スマイルで目の前の女の子に勧める。

 もちろんそんな加護なんかない。あったとしてそれはプラセボ以上のナニモノでもない。

 

 つまりコレはまごうことなく詐欺の一種であり、霊感商法とかそういうふうに言われる奴である。消費者センター案件になれば100%負けるし起訴されれば捕まる。

 

 こういうのは程度が大事である。あくまで女子高生が出せる金額で、致命的な懐への痛みはない、というかちょっと変なの買っちゃったねで済ませられる程度。あくまでコレの事は刹那で忘れられる程度の値段であり、複数回同じ相手にはやらない。やったとしてその時はそれを流せる程度の経験値を作る。

 

 例えば目の前の娘なら1万円ふっかけても問題はないだろうが、横の少女も買うとなった場合一万だとその少女にとって具合が悪い。例え隣にこの娘が居なかったとしても学校で話題になればそこから別の娘が来るかもしれない。そうなっても1万では具合が悪いし、彼女の前で値段を変えるのはもっての他だ。

 まあ社会人にはもうちょい乗せて売ってるがその場合は学割とか調子のいいことを言っておけば値段に対する追及も回避出来る。

 

 

「買う「バーロやめとけ園子。そのアクセにんな効果はねえよ」」

 

 

 せっかく上手くいくと思った取引だがそこでダイナミックインターセプトが入る。同い年くらいの帝丹高校の男子生徒。整った顔立ちでイケメンと言われる部類であろう。

 

 

「ちょっと、営業の邪魔はやめてくれないかしら」

 

「アンタのソレが真っ当な取引なら邪魔はしないさ。そういうの霊感商法って詐欺だぜ」

 

「詐欺呼ばわりは酷いわね。彼女の為を思ってオススメしているのに」

 

 

 はい。霊感商法です。……一応強く不安を煽ったりして法外な金額で買わせるってのが構成要件なのでギリギリセーフよりのアウトではあるのだけれど。なので彼に対して強くは出ない。好きな子の前でヒーローになりたい年頃なのかな?

 だとするならば恋愛は成就。悪いお姉さんの出番は無いですねー。

 

 

「アンタはイイ人いんのかよ」

 

 

 ソレは戦争じゃねーかな?クソガキが。

 私はローブの下でコメカミがピクピクするのを必死に抑える。夜職のおかげで常に笑顔でいるのは慣れてる。

 

 

「いるわよ彼氏くらい失礼しちゃうわね……」

 

 

「……ほぉ、じゃあ今度紹介してもらおうか」

「俺もいる時にお願いね」

 

 

 聞こえる声にギギギと油の切れたロボットのように振り返る。その声の主は私の知り合いであり、今の状態では非常に不味い相手だった。

 

 

「よぉ、リンネぇ。奇遇だなあ?また詐欺まがいの事してんのか?ああ"」

「リンちゃん俺もじんぺーちゃんもそんな話聞いて無いけど」 

 

 

 やべぇマッポだ。

 

 

「少し落ち着いて欲しいわ、萩原、松田。まだ売ってないわ。それに彼女達から被害届もないわよ」

 

「詐欺は証言や証拠でしょっぴけるわドアホ。今ならそこの兄ちゃんが証人だし令状とってもいいんだぞリンネ」

「ゴメンね君たち。こんなんでも僕らの友達で、信じられないかもしれないんだけどちゃんとした占いも出来るんだ」

 

 

 抵抗しようとするが松田の手にローブの上から頭をグリグリされる。あっこれダメ?任意されなきゃダメなヤツ?

 

 

「おら、騙そうとした詫びに嬢ちゃん達になんかちゃんとしたの言ってやれよ」

 

 

 松田は私の頭を引っつかみながらそう言う。いやいや、既に地に落ちてる信頼度の私が何言っても無駄でしょう。あーでも仕方ないわね。

 

「えっと、まず貴女ね。運命の人は現れるわ。場所は夏の海辺。武の求道者って感じの人でそれでも貴女をとても大事にしてくれるわ」

「次、そこの貴女。貴女の愛しい人は長い間貴女の元を離れるわ。辛く苦しい時間でしょうがその期間で貴女は新たな友人も得るし、いずれ愛する人は戻ってくるわ」

「そしてそこのボウヤ。君は摩訶不思議な目に遭うわ。そしてそれは君にとって試練になる。でもそれ以上は言わないわよ」

 

 

 一気にまくし立てると覚えてなさいよーという感じで松田と荻原に連れてかれる。それを女子高生コンビは呆然と見ていてボウヤの方はざまあみろといった様子で私を見ている。ムカつくなぁ。

 

 

「君は小学生に逆戻りする。フフ、もし当たったら地面に頭をついて詫びて貰うわよ」

 

 

 二人に引きずられながらボウヤの耳にコソッとそういう。呆れた眼差しを向けられるがもうどうでもいい。あのボウヤがクソガキになった頃に土下座させてやる。

 

 

 

 

「それで、ホントなのさっきの」

 

「あらやだ?荻原君は私を疑うの?命を助けてあげて松田君の命を救ったのも私なのに」

 

「不愉快極まりねえなそう言われると。別にそこは疑ってねぇよ不本意ながら。でも口先は疑ってる」

 

 

 

 ……私の商売はたしかにインチキである。だけれど私の能力がインチキであるなんて一言も言っていない。

 

 私は未来が見える占い師。でも百発百中当たる占い師とは言えないし、私以上の占い師なんて居ないのよ。

 

 

「私、これでも百発百中を謳ってるのに酷いわねぇ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「また会ったわね?ボウヤ。地面を舐める準備は出来ているかしら?」

 

 その女は怪しいローブを身に纏い、フェイスベールで口元を隠し、バチバチにアイメイクをしたいかにもステレオタイプな占い師で。

 

「それともそれが治るように私の商品を買うかしら」

 

 明らかに違法な詐欺のような商売をしながら警察に連れて行かれた、そんな女が

 

「今ならお友達価格でいいわよ、工藤新一君」

 

 1年前に俺の幼児化を予言した女だとは認めたくなかった。

 

 

 

 

 

 

 




リンネ
 未来が見える占い師。なお未来が見えたとてそれを喧伝すればするほど外れるということに気づきそれを喧伝する事はやめた。商売はインチキでわざとらしくそれをやってる。見えてしまうことにより凡てにおいてやる気がなく、観測者じみておちょくる事や一度自分を侮った相手に屈辱を与える事でしかコミュニーケーションを取れない性格難。
 荻原や松田とは同級生で一度引っ越しで転校するが東京で再会。なお当時も詐欺まがいで任意される。



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