詐欺占い師と米花町   作:罠ビー

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今回は占い師少なめ
※今回は時代に合わせて本編のキーアイテムを若干変更してます。(パソコン通信やフロッピーなど)


小さくなった2人の会遇

 

 

 ある日帝丹小学校に転校生がやって来た。名前は灰原 哀。有無を言わせず俺の隣の机に座ったと思えば、そのまま成り行きで少年探偵団の活動に参加する事になり、人探し事件を一緒に捜査した。

 

 探されていた依頼人のお兄さんは偽札作りの彫師として黒づくめの女がリーダーの集団に監禁されていた。黒づくめという事で奴らの仲間だと疑ったが彼女達は警部いわく偽札作りの常習犯であるらしい。残念ながら奴らとは関係なかった。

 

 

「シェリー」

 

「これが私のコードネームよ…どう? 驚いた? 工藤新一君?」

 

 

 偽札作りの犯人達は……だ。

 

 転校生、灰原 哀は黒づくめの男達の仲間だった。警部に怒られて泣きじゃくっていた彼女を家まで送る事になったのだがその道中彼女は泣き真似を辞めると挑発的に俺にそう告げて来た。

 

 彼女は組織の科学者で俺をこの姿にした毒薬を作ったと言っていた。そんな彼女が俺の事を工藤新一と確信して目の前に現れた。その事実におぞ気が走る。そうかもしれない人はいたが確信をもって喉元に切っ先を突きつけられるような状況は初めてである。

 そんな俺をあざ笑うかのように彼女が告げた住所、そして博士の身の危険を仄めかすような発言。俺は彼女の事を一旦追いやり一目散に博士の家に行けばそれは灰原の趣味の悪いサプライズであったわけであるが

 

 

「いやースマンスマン。電話線が今使えんくてのー」

 

 

 彼女は俺が飲まされた薬の制作者であるが彼女は組織で姉が殺されたこと、その理由を伝えなかった組織を不審に思いストライキを敢行。しかしそんなことが許されるはずはなく彼女は監禁され、自殺を試みてあの薬を服用すれば彼女の目論見とは裏腹に幼児化。組織を逃げ出した彼女は俺の家の前でお人好しの博士に保護されたようだ。

 

 

「あたしと同じ状況に陥ったあなたならきっとあたしの事を理解してくれると思ったから」

 

「ふざけんな!!人間を殺す薬を作っていたやつを、どう理解しろってんだ」

 

 

 博士は俺をなだめるが納得できねえ。毒薬を作っているつもりはなかったと言っていたがどうだか。しかし彼女があの薬の制作者ならこの身体をどうにかできる可能性があるんじゃないかという博士のいう事はもっともだ。

 

 しかしそううまくは事は運ばない。研究データは膨大で灰原は当然持ち出せていないし、灰原がいた研究施設は火事になっているという新聞を見せてきた。そこまで徹底した隠ぺいを図るとすれば目の前の灰原を組織は血眼になって探している。

 

 

「どうする?厄介者の私をここから追い出す?高校生探偵の工藤新一君」

 

「バーロ。お前の事がばれたら俺の事がばれるのも時間の問題。阿笠博士には悪いが嫌でもここでこのまま小学生しててもらうぜ」

 

 

 灰原の事はまだ信用できないがコイツは今単身でここに居て追われる立場だ。灰原がまだ組織と繋がっているなら有無を言わさず先程の笑えないジョークが現実になっていたはずだ。であるならば感情はまだ追いついていないがコイツには目の届く範囲にいてくれた方がありがたい。

 

 博士が灰原の家族を案じれば彼女は両親がすでにこの世にいないことを打ち明けた。姉もさっき死んだと言っておりもう身内はいないのだろう。そんな話の最中灰原は何かを思い出したようだった。それは彼女の姉は彼女と違い監視付きでも普通の生活をしており、旅行の写真が入った記憶媒体が送られてきたという話だった。その記憶媒体を姉に返す際誤って薬のデータが入った記憶媒体が混ざっている可能性があるとのことだった。

 

 灰原の姉の家はすでに組織が処分しているとのことだったが旅行の写真は一緒に旅行に行っていた大学教授が記憶媒体に入れたらしい。

 

 

「その先生って誰か知らないのか」

 

「南洋大学教授の広田正巳」

 

 

 ヒロタマサミ⋯⋯その名前に聞き覚えがあるが、冷静に考えれば同姓同名名だけだ。何より性別が違う。

 

 しかしその引っ掛かりは広田教授に連絡した博士が灰原に姉の名前を聞いた瞬間に完全につながった。

 

 

「明美、宮野 明美よ」

 

 

 ヒロタマサミ、宮野明美、そしてその妹。

 

 

「なあ灰原。お前の名前⋯⋯宮野 志保で間違いないか?」

 

 

 

 空気が凍った。ついで本名を言い当てられた灰原が取り乱す。博士は広田教授との電話を続けておりとりあえずはいったん彼女を落ち着かせる。

 

 

「それで、なんで私の名前を知っていたのかしら」

 

「⋯⋯お姉さんが死んだ時にコレを俺に託されたからだ」

 

 

 博士が電話を終えた後、俺は保存用の袋に入れられたメモを持ってくる。血がべっとりと付いた志保へと書かれたメモを。それは遺書ともとれるメモであり灰原はそれを持ち震える。

 

 

「な、なんで⋯⋯あなたがコレを持ってるの。だったらお姉ちゃんは死ぬことが分かってたみたいじゃない」

 

 

 灰原はさっきまでと打って変わって泣きじゃくっている。それは目暮警部に怒られた時とは違い、さっきまでの組織の人間のような冷血さも感じない、本当に年相応⋯⋯薬で小さくなってることを考えれば子供のような様子で泣きじゃくっている。

 

 

「⋯⋯たぶん分かっていたんだと思う。少なくとも死ぬ可能性は高いと思っていたと思う」

 

「馬鹿、馬鹿、馬鹿。お姉ちゃんの大馬鹿。こんなものより、こんなものより」

「それに、あなたなら、あなたなら助けられたんじゃないの」

 

 

 灰原はメモの入った袋を胸に抱き床を叩き慟哭する。そしてやり場のない気持ちを俺にぶつけてくる。俺は灰原にかける言葉がなかった。かける言葉はないが伝えなければいけないことはある。

 

 

「灰原、言わなければいけないことがある」

「もしかしたら俺より早くお姉さんの動きを察知していたかもしれない人がいるんだ」

 

 

 この事件に関わっているもう一人の俺の知っている人間。そしてその人の危険性を。

 

 

「誰、誰なの」

 

「ただその人は組織と関係があるかもしれない。その人は博士と西の高校生探偵の服部、俺の両親以外で俺の正体を察しているようで」

「俺の幼児化すら予言して見せた。お前の薬の効能を知っているようなそんな相手だ」

 

 

「リンネという名で占い師をしている、明日谷 リンネと名乗った女だ」

 

 

 

 

 

 占いの椅子とテーブルを置いて、壁に寄りかかり煙草を吸っていれば立ち止まり占い用の椅子に座る女がいた。その女は普通なOLのような姿をしている。客ならば仕方ないと吸っていた煙草を押し消してから自分も椅子に座る。

 

 

「やっているかしら」

 

「やっていたように見えたかしら」

 

 

 看板こそ出しているが椅子には座っておらず、その横でヤンキー調の女が煙草を吸っている。とてもではないが一見だとは思えない。となれば私を知っている相手だろう。しかしこの状態の席に堂々と座る勇気は選択を迷っている人間だとは考えづらい。

 ともすれば可能性は何となく絞られてくる。確認のためサッとヴィジョンを見ればその正体は明らかになる。

 

 

「日本に来られてたのね、ヴィンヤード様」

 

「⋯⋯流石ねバンシー。少しヒントが多すぎたかしら」

 

「私はこの能力以外は凡人よ。忙しい中冷やかしに来たのかしら、ヴィンヤード様」

 

 

 あーこれ面倒事だろうなと思えば皮肉の一つでも言いたくなる。帰ってくれないかと思うがそうはいかないんだろうな。はあーと深い溜息を吐けば目の前の一般人面した大女優はにこやかに笑っている。

 

 

「そうね、私忙しいの。ねえバンシー。貴女色んな人を視るのでしょう」

「忙しい私に代わって人を捜して欲しいのよ」

 

 

 そう言って写真を押し付けてくる。赤茶髪の白衣の女の写真を。

 

 

「おいシャロン、私は受けるなんて」

 

 

 目を落とした写真はどこか蓋をしたかった記憶をほじくるようで、そんなことに気を取られていればすでにシャロンはこの場から立ち去っていた。10数万程度の現金を置いて。

 

 

 

 

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