8000年と月の香り   作:文才の無い本の虫

16 / 16
前回までの8000年と月の香りは!

狩人「ウミウシに・・・・惚れちまったんだ」
かぐや改めヤッチョ「狩人?私のだよ?」

これで一旦過去編終わりです


貴女に出会う為の物語

 

 

 

 

 

決断してからは早かった。

狩人は文句なんて言わず「ヤチヨ、お前のやりたい事が俺のやりたい事だ」なんて言っちゃうものだから、思い出してヤッチョ照れちゃう・・・。

まあ、それは心の宝箱にしまっておいて。

 

アドバンテージ(幾つかの平行世界の記憶)があるとは言っても彩葉をハッピーエンドに連れて行くのは簡単じゃない。

まず『彩葉』がトラウマとかから救うのは『かぐや』がやってくれるからむしろ放置推奨。

だから手を加えるべきは『かぐや』が『彩葉』の前から居なくなるシナリオをどうにかしなくてはいけない。

幾つかの分岐(平行世界)ではそのせいで『彩葉』が心を病んじゃって・・・駄目駄目、細部まで思い出しちゃうと私が病んじゃう。

・・・こほん。

その『かぐや』が月へ帰ること自体は妨害できないし、するべきじゃない。

妨害すると本気出して向こうが船で来るだけだし、『彩葉』ももっと酷いことになる。

だから発想を変えることにした。

帰るの自体を妨害してはいけないなら帰った後にどうにか出来るように動けば良い。

名付けて、帰っちゃうなら帰らせちゃっても良いじゃないか作戦!!

 

『かぐや』がやっていた仕事のデータは1から10まで頭に入っている。

引き継ぎに必要なデータも全て。

だからこれを『かぐや』が帰るまでに月に持っていける形にしておけば良い。

そうすれば『Replay』で目が覚めた『かぐや』が直ぐに戻ってこれる。

そうすれば隕石に衝突することもなく、時間遡行も使わないで問題なく帰ってこれる筈。

 

・・・多分?

 

いや、正直確証は持てない。

何故なら視えたどの分岐(平行世界)でもヤッチョは『かぐや』が『ヤチヨ』になる邪魔をしなかったし、助けるという選択はしなかった。

理由は狩人が居ないからだ。

正直私が狩人と会えたのは偶然、たまたま、マジで奇跡の産物以外の何物でもない。

だからこそこれからの8000年を孤独に過ごした『ヤチヨ』には自分の過去である『かぐや』を助けるという選択を出来るほど強くはなくなっていたんだと思う。

ヤチヨ、弱くなっちゃった・・・みたいな悲劇のヒロインムーブかましてるに違いない。

まあ、同情の余地しかないけどね・・・。

 

取り敢えず一人で悩んでもしょうが無い。

私は私にしかないアドバンテージで戦うしかないのだから。

 

「――で、どう思う?」

 

「ふむ・・・その『いろは』と『かぐや』の関係や勝利条件は理解った。俺が今考え付く対策は3つだな」

 

「ほうほう」

 

やっぱりヤッチョのヒーローは頼りになる。

3人寄れば文殊の知恵っていうけど、狩人とヤッチョならスパコンにだって負けないもん。

 

「それで、1つ目は資金を集める事だ」

 

「なんでお金?」

 

「聞いた限りその未来で資金は少なくともあって困るものじゃなさそうだからだ。元手が多ければ大きい程様々な手段が取れる」

 

「成程。ヤッチョはお金ぐらい当たり前に稼げると思ってたから目からウロコなのです」

 

「目からウロコ?諺か?」

 

「そうそう。新しいことを知ってビックリ!とか気付いてないことに気付いてビックリ!みたいな意味だよ」

 

「成程・・・目からウロコだな。あってるか?」

 

「あってるあってる!!」

 

そうしてヤッチョ達は将来に使えるお金を増やす相談をしたりして、それが視えた逃避行に繋がるみたい。

不謹慎だけどちょっと楽しみだな。

 

「で、だ。2つ目はこのループを壊した時にヤチヨに影響がでないようにする事だが・・・まぁ、大丈夫だろう。最悪俺がどうにかするから問題は無い」

 

「えっ・・・それって、『お前のことは俺が守る』的な?」

 

「そうだが」

 

きゃー!!狩人ったら大胆じゃん!!

プロポーズ?プロポーズだよね??

・・・ちょっと取り乱しちゃった、えへ。

 

「3つ目は月と地球を往来する方法の確保だ。往来する方法が確立出来れば最悪後手に回ってもどうにか出来るだろう」

 

「わあ、本日二度目の目からウロコだよ。月に乗り込むなんて考えたこともなかったかも」

 

――とまあそんな感じで楽しく作戦会議をしたのを今でも鮮明に思い出せる。

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

時は想像してたより早く過ぎていった。

私達は旅をした。

西へ、東へ。

風の赴くまま、気の赴くまま。

色んな人と出会って、別れて。

その出会いと別れの殆どは死別で、その度に泣いた。

そしたら狩人はその度に私を抱き締めてくれて、頭を撫でながら「ヤチヨ、お前はそれを失うなよ」って慰めてくれるの。

それって何のことを指してるんだろ?とか、ちょっと慰め方独特だな?とか最初の方は思ってたのは内緒だけど、狩人からの気持ちは痛いほどに伝わって来たから、私はそれが嬉しくて、少し罪悪感も感じた。

人とは違う時間を生きる事の罪悪感ともう会えない彩葉への思いは千年、二千年って積み重なってって、三千年が経った頃くらいに私は発狂した。

多分、狩人が居なかったら私は何処かで折れていたんじゃないかと思う。

で、目が覚めたら知らない場所(『狩人の夢』)に居て、そこで少し狩人と過ごしたんだ。

 

「ヤチヨ、落ち着いたか?」

 

「・・・うん」

 

「少しゆっくりしようか、ヤチヨ。俺達にも休息は必要だからな」

 

そうしてちょくちょく短い――今の私からすれば1年は短く感じてるけど、人からすると長いんだろうな――休憩を挟みながら現代に辿り着いたの。

それから私は狩人にかなりおんぶに抱っこの状態でツクヨミを創り上げて、真の意味で『月見ヤチヨ』になった。

 

「ヤオヨロ〜〜☆みんな、生きるのはどうですか?良い事あった?それとも泣いちゃいそう?」

 

――酸いも甘いも噛み分けて、此処まで来ました。

 

「よしよし、全部大丈夫。どんなに永い道のりでも、楽しかったなーって記憶が足元を照らすよ」

 

――ねえ、彩葉。

――私を育ててくれてありがとう。

――あんまり伝えてはくれなかったけど愛してくれてありがとう。

――だから、ヤチヨ(かぐや)にちょっと押し付けがましい恩返しをさせて欲しいの。

 

「この時間も忘れられない思い出にしたいから・・・」

 

――私の知ってる彩葉への最初で最後の我儘。

――ずっと、ずっとずっと忘れないよ。

――じゃあね。

――行ってきます、お母さん(彩葉)

――次は、私の大切な人を連れてくるね。

 

「どうか一緒に踊ってくれる?」

 

さあ、行こう。

私がハッピーエンドへの幕を上げるんだ。

 

 

 

 

 




ヤチヨ:タイムループものの主人公みたいな事やってる。変質したせいでやや精神が幼いままヤチヨになってしまったのが発狂の原因。ヤチヨのかぐやは彩葉に育てられた子供の自認が少し強かっただけで、ちゃんと彩葉を愛していた。


『墓石』
狩人の夢にひっそりとある墓石
それは郷愁であり、もう二度と会うことのできない誰かへの祈りでもある

欠かさず磨かれ続けたのか、名前が擦り切れて久しい
だが、その名前が忘れられる事は無いだろう

ありがとう、お母さん
私は、お母さんに育てられて幸せでした
あ、お姉ちゃんの方が良かったかな?

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

ハッピーエンドの傍らに(作者:鮎貝式部書生)(原作:超かぐや姫!)

現代に転生した権中納言敦忠が、現代の生活を楽しんでいる話。▼※一話目の冒頭のみ、権中納言敦忠とウミウシ状態のかぐやのやり取りを、誰かが伝え聞いて歌物語にした物の一部……みたいなイメージで書いた擬古文になっています。そこ以外は、普通に現代文です。


総合評価:384/評価:7.8/連載:9話/更新日時:2026年05月19日(火) 18:19 小説情報

超普通人!(作者:読み手のコットン)(原作:超かぐや姫!)

大変大変〜!▼超かぐや姫の世界に原作知識あり無自覚チートありの一般男性が迷い込んじゃった!▼この世界は何本にも枝分かれする不安定な世界だからそんな劇薬1人スポーンするだけでさあ大変!▼月見ヤチヨはなぜか実体化してるしいったいどうなっちゃうの〜!?▼次回、優希気絶する▼デュエルスタンバイ!


総合評価:682/評価:7/連載:26話/更新日時:2026年05月21日(木) 23:20 小説情報

超かぐや姫!〜縄文時代から時を超えて〜(作者:ウミウシになりたい)(原作:超かぐや姫!)

現代を生きる、日本人が縄文時代に生まれた。その恵まれた才能はゲームみたいで、生きるのは楽だった。▼だが、残酷な現実を目の当たりにしてその考えを改めて生を歩み出した一人の男。▼そんな男に、また一匹のウミウシがある日姿を見せた。


総合評価:744/評価:7.82/連載:8話/更新日時:2026年05月02日(土) 21:00 小説情報

超かぐや姫!~夏を死に戻りした少年の成り代わり~(作者:ホシノ推しのコータ(偽名))(原作:超かぐや姫!)

ある日、超かぐや姫!というアニメ映画を幼馴染と共に観に行ったアニメヲタクの高校生、仁坪(ジンペイ)。▼だがしかし、彼の頭に強烈な痛みが襲い、死亡。▼目を覚まし、気づいたら彼はサマータイムレンダの主人公、「網代慎平」に転生していた。▼そして慎平は小学生になったとき、親の都合で地元・和歌山県から京都に引っ越すこととなる。▼そこで彼は引っ越しの挨拶で偶然酒寄彩葉と…


総合評価:341/評価:6.13/連載:31話/更新日時:2026年05月22日(金) 18:01 小説情報

今日も正常営業。ただし“そういうとこ”を添えてー(作者:火力万能主義)(原作:超かぐや姫!)

学校では礼儀正しく誠実な優等生。▼けれどその正体は、仮想空間「ツクヨミ」で無声配信を続ける異端のモノ創りライバー《シらぬイ》。▼京都の古い家系に生まれ、褒められることなく「できて当然」を押しつけられてきた橘雅治は、誰にも本当の自分を見せないまま生きてきた。▼だが、誰にも渡したくないはずの本心は、夜になると“予測不可”な創作として溢れ出す。▼巨大トウモロコシ砲…


総合評価:1621/評価:8.53/連載:15話/更新日時:2026年05月16日(土) 02:51 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>