狩人「ウミウシに・・・・惚れちまったんだ」
かぐや改めヤッチョ「狩人?私のだよ?」
これで一旦過去編終わりです
決断してからは早かった。
狩人は文句なんて言わず「ヤチヨ、お前のやりたい事が俺のやりたい事だ」なんて言っちゃうものだから、思い出してヤッチョ照れちゃう・・・。
まあ、それは心の宝箱にしまっておいて。
まず『彩葉』がトラウマとかから救うのは『かぐや』がやってくれるからむしろ放置推奨。
だから手を加えるべきは『かぐや』が『彩葉』の前から居なくなるシナリオをどうにかしなくてはいけない。
幾つかの
・・・こほん。
その『かぐや』が月へ帰ること自体は妨害できないし、するべきじゃない。
妨害すると本気出して向こうが船で来るだけだし、『彩葉』ももっと酷いことになる。
だから発想を変えることにした。
帰るの自体を妨害してはいけないなら帰った後にどうにか出来るように動けば良い。
名付けて、帰っちゃうなら帰らせちゃっても良いじゃないか作戦!!
『かぐや』がやっていた仕事のデータは1から10まで頭に入っている。
引き継ぎに必要なデータも全て。
だからこれを『かぐや』が帰るまでに月に持っていける形にしておけば良い。
そうすれば『Replay』で目が覚めた『かぐや』が直ぐに戻ってこれる。
そうすれば隕石に衝突することもなく、時間遡行も使わないで問題なく帰ってこれる筈。
・・・多分?
いや、正直確証は持てない。
何故なら視えたどの
理由は狩人が居ないからだ。
正直私が狩人と会えたのは偶然、たまたま、マジで奇跡の産物以外の何物でもない。
だからこそこれからの8000年を孤独に過ごした『ヤチヨ』には自分の過去である『かぐや』を助けるという選択を出来るほど強くはなくなっていたんだと思う。
ヤチヨ、弱くなっちゃった・・・みたいな悲劇のヒロインムーブかましてるに違いない。
まあ、同情の余地しかないけどね・・・。
取り敢えず一人で悩んでもしょうが無い。
私は私にしかないアドバンテージで戦うしかないのだから。
「――で、どう思う?」
「ふむ・・・その『いろは』と『かぐや』の関係や勝利条件は理解った。俺が今考え付く対策は3つだな」
「ほうほう」
やっぱりヤッチョのヒーローは頼りになる。
3人寄れば文殊の知恵っていうけど、狩人とヤッチョならスパコンにだって負けないもん。
「それで、1つ目は資金を集める事だ」
「なんでお金?」
「聞いた限りその未来で資金は少なくともあって困るものじゃなさそうだからだ。元手が多ければ大きい程様々な手段が取れる」
「成程。ヤッチョはお金ぐらい当たり前に稼げると思ってたから目からウロコなのです」
「目からウロコ?諺か?」
「そうそう。新しいことを知ってビックリ!とか気付いてないことに気付いてビックリ!みたいな意味だよ」
「成程・・・目からウロコだな。あってるか?」
「あってるあってる!!」
そうしてヤッチョ達は将来に使えるお金を増やす相談をしたりして、それが視えた逃避行に繋がるみたい。
不謹慎だけどちょっと楽しみだな。
「で、だ。2つ目はこのループを壊した時にヤチヨに影響がでないようにする事だが・・・まぁ、大丈夫だろう。最悪俺がどうにかするから問題は無い」
「えっ・・・それって、『お前のことは俺が守る』的な?」
「そうだが」
きゃー!!狩人ったら大胆じゃん!!
プロポーズ?プロポーズだよね??
・・・ちょっと取り乱しちゃった、えへ。
「3つ目は月と地球を往来する方法の確保だ。往来する方法が確立出来れば最悪後手に回ってもどうにか出来るだろう」
「わあ、本日二度目の目からウロコだよ。月に乗り込むなんて考えたこともなかったかも」
――とまあそんな感じで楽しく作戦会議をしたのを今でも鮮明に思い出せる。
◆◆◆
時は想像してたより早く過ぎていった。
私達は旅をした。
西へ、東へ。
風の赴くまま、気の赴くまま。
色んな人と出会って、別れて。
その出会いと別れの殆どは死別で、その度に泣いた。
そしたら狩人はその度に私を抱き締めてくれて、頭を撫でながら「ヤチヨ、お前はそれを失うなよ」って慰めてくれるの。
それって何のことを指してるんだろ?とか、ちょっと慰め方独特だな?とか最初の方は思ってたのは内緒だけど、狩人からの気持ちは痛いほどに伝わって来たから、私はそれが嬉しくて、少し罪悪感も感じた。
人とは違う時間を生きる事の罪悪感ともう会えない彩葉への思いは千年、二千年って積み重なってって、三千年が経った頃くらいに私は発狂した。
多分、狩人が居なかったら私は何処かで折れていたんじゃないかと思う。
で、目が覚めたら
「ヤチヨ、落ち着いたか?」
「・・・うん」
「少しゆっくりしようか、ヤチヨ。俺達にも休息は必要だからな」
そうしてちょくちょく短い――今の私からすれば1年は短く感じてるけど、人からすると長いんだろうな――休憩を挟みながら現代に辿り着いたの。
それから私は狩人にかなりおんぶに抱っこの状態でツクヨミを創り上げて、真の意味で『月見ヤチヨ』になった。
「ヤオヨロ〜〜☆みんな、生きるのはどうですか?良い事あった?それとも泣いちゃいそう?」
――酸いも甘いも噛み分けて、此処まで来ました。
「よしよし、全部大丈夫。どんなに永い道のりでも、楽しかったなーって記憶が足元を照らすよ」
――ねえ、彩葉。
――私を育ててくれてありがとう。
――あんまり伝えてはくれなかったけど愛してくれてありがとう。
――だから、
「この時間も忘れられない思い出にしたいから・・・」
――私の知ってる彩葉への最初で最後の我儘。
――ずっと、ずっとずっと忘れないよ。
――じゃあね。
――行ってきます、
――次は、私の大切な人を連れてくるね。
「どうか一緒に踊ってくれる?」
さあ、行こう。
私がハッピーエンドへの幕を上げるんだ。
ヤチヨ:タイムループものの主人公みたいな事やってる。変質したせいでやや精神が幼いままヤチヨになってしまったのが発狂の原因。ヤチヨのかぐやは彩葉に育てられた子供の自認が少し強かっただけで、ちゃんと彩葉を愛していた。
『墓石』
狩人の夢にひっそりとある墓石
それは郷愁であり、もう二度と会うことのできない誰かへの祈りでもある
欠かさず磨かれ続けたのか、名前が擦り切れて久しい
だが、その名前が忘れられる事は無いだろう
ありがとう、お母さん
私は、お母さんに育てられて幸せでした
あ、お姉ちゃんの方が良かったかな?