8000年と月の香り   作:文才の無い本の虫

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彩葉とかぐやのエピローグ


完全無欠のハッピーエンドへ

 

 

 

 

 

「正月にお祖父ちゃんとお祖母ちゃんとこみんなで行ったやろ。私と二人きりになった時にさあ、『()()()()足掬われんようにな』って言われて」

 

人が居なくなって静かな研究室の中、私は兄との通話中だった。

 

「私もうええ歳やのに、まだそんな事言わはるん?!て。びびったわー」

 

「まああん人は死ぬまでそんな感じやろ。流石にかぐやちゃんには我慢したみたいやけど、狩人さんとヤチヨちゃんに会うた時は『よくもまあ顔出せたもんですな』とか言ってたしな」

 

「狩人さんに?!うわ~・・・」

 

「俺もこないだ久々にメール来たから『おーっす!』て返しといてん」

 

「もしかして乃依くんとのこと?」

 

「せや。未だに孫なし確定なん嫌みたいやわ」

 

「なんやそれ〜」

 

私達は声を上げて笑い合って、待ち合わせについての確認をしてから通話を切った。

あれから十年。

かぐやの身体を作るために研究者になった私は、気付けば所長の肩書を得ていた。

勿論かぐやの身体は完成していて、今では別の事を研究している。

まあ、研究所の出資元は守月グループだし、狩人さんとヤチヨからの技術提供まである至れり尽くせり状態なので失敗する方が難しかったんだけどさ。

 

「ほんと狩人さんとヤチヨには頭上がんないなぁ・・・」

 

それはそれとして。

所長になったからか、かぐやが私の隣に居てくれるからか、母からの長文お説教メールや連続着信電話も無くなり、今ではたまに会った時のお小言くらいだ。

ブラックオニキスは今も変わらず活躍中で、いつの間にか守月グループの広報課に就職していた芦花や結婚してお母さんになった真実も元気にしている。

みんな色々と大変なことはあるみたいだけど、近況を聞けばいつも楽しそうにしていて嬉しい限りだ。

 

「およよ?にやにやしてるねー彩葉。いいことあった?」

 

「あ、ヤチヨ。いらっしゃい。珍しいね、生身で此処に来るなんて」

 

噂をすれば影。

椅子を回して振り返れば、研究室の扉を背にヤチヨが立っている。

入室許可申請が来てなかったのでワープで来たんだろう。

 

「毎回言ってるけどワープで来るのは止めて。人が居ない時を選んでるみたいだけどそれが余計に心臓に悪い」

 

「えー、彩葉も使えるじゃん、ワープ」

 

「使えるけど、あれ理論的じゃないから苦手で・・・」

 

というか普通はワープなんて出来ない。

かなりファンタジーが紛れ込んでる気がするけど一応私が居るのは科学の世界なのだ。

物事は理論的じゃないと・・・いや、愛とか恋とか(理論的じゃないもの)が原動力だった私が言えた事じゃないんだけどさ。

 

「んで、それ新衣装?前みたいに見せに来た感じ?」

 

「ううん。これはおめかしだよ。狩人とデートしてきたんだ♪」

 

うわ、笑顔が眩しい。

それにしてもデートか・・・次の休みに私もかぐやと行こう。

 

「今日はかぐやの誕生日パーティがあるでしょ?だから仕事持ち越さないぞーって超集中彩葉(ゾーン状態で時間が見えない)とかになってないか見に来たんだ」

 

「何時もご迷惑お掛けしてます・・・」

 

「へへ、気にしなくて良いよ〜持ちつ持たれつだよ!!それで、今日はかぐやは居ないんだね?パーティの準備?」

 

「んー・・・」

 

私はオーグマーⅢ――守月グループと私達の研究室で共同開発したスマコンの次世代型ウェアラブル情報端末――でかぐやの情報を参照する。

バイタルとかは平常値、場所は台所か。

 

「うん。今は家の台所に居るみたい。『皆に美味いもの食わせちゃる!!』って張り切ってたから料理の仕込みとかしてるんじゃないかな?」

 

「へえ。それは楽しみだね。じゃあ、彩葉、また後でね。さらばーい!!」

 

ぽんっ、という音と共にヤチヨが居なくなる事。

やっぱ便利だよなあ、ワープ。

他の人達でも使えるようにする為の理論はあるんだけど製品化が難しいし兵器転用が怖いしなぁ・・・。

 

「よし、帰ろ」

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

膝の上のかぐやが身体を左右に揺らしながら言う。

 

「彩葉ー皆まだかなー?」

 

「すぐに来るでしょ。かぐやは主役なんだから座ってれば良いのに」

 

「えーでもかぐや皆が来てくれるの嬉しくって・・・」

 

「待ちきれない?」

 

「うん!!」

 

可愛いかよ。

撫でちゃう。

 

「・・・えへへ」

 

「うわ、私のかぐや可愛すぎ」

 

そうしてダラダラしているとインターホンが鳴った。

オーグマーⅢを玄関のカメラとマイクに繋ぐ。

そこに写ったのは。

 

「彩葉ー、来たよ!」

 

ますます綺麗になった芦花に。

 

「やっほ〜」

 

ずっと変わらない、朗らかな真実。

 

「よっ」

 

私の自慢のお兄ちゃんと。

 

「暑い。早くもてなして〜」

 

何時も通りマイペースな乃依くん。

 

「・・・」

 

無口な影の薄い雷さん。

久し振りに集合した賑やかな面々が其処には居た。

 

「かぐや、皆を迎えに行ってくるからちょっと待っててね」

 

「ううん。かぐやも行く!!」

 

元気いっぱいなかぐやに苦笑して、私はかぐやと手を繋いで玄関に向かう。

 

「みんな、入って」

 

「皆、おひさ〜☆」

 

そうして皆を招き入れると、少ししてまたインターホンが鳴った。

あ、でもこれ開けに行く必要無いな。

 

「やぁやぁ久し振りだね皆!!」

 

ハイテンションにワープでやって来たヤチヨと。

 

「詫びの品とお土産だ」

 

その手を握っているちょっと申し訳なさそうな狩人さん。

これで皆が揃った。

 

――そうして。

 

「「「「「「「かぐや(ちゃん)、誕生日おめでとう!!」」」」」」」

 

「皆、ありがとうー!!」

 

「ねえ、狩人・・・今思ったんだけどさ」

 

「ヤチヨ?」

 

「ヤッチョ以外の女の子の下の名前を呼び捨てとか、浮気だよね??

 

「ヤチヨ?!」

 

「お、修羅場か?」

 

「笑える〜」

 

「ぷふ・・・」

 

「ぷぷぷ、や、やめてーーかぐやの為に争わないでーー」

 

「ちょ、かぐや!!それガソリン!!」

 

「へえ?」

 

「・・・(あのーヤチヨさん?)」

 

「横暴だってわかってるけど言い訳は聞かないよ?だって、ヤッチョを不安にさせる狩人が悪いもんね?」

 

「スゥーー・・・大変申し訳ございませんでしたァ!!」

 

「「「狩人さんが(標準語で)喋った?!」」」

 

「草、キャラ崩壊してんじゃん」

 

――とっても賑やかな誕生日パーティが始まったのでした。

 

 

 

 

 

 

「ねぇ、彩葉」

 

「なに、かぐや」

 

「私・・・今、ちょー幸せ(ハッピー)だよ!!」

 

「ふふ、私もだよ、かぐや」

 

 

 

 

 




酒寄彩葉博士:見た目は二十歳のアラサー超人。愛と頭脳で人類のステージを引き上げた女。毎年何かの賞を取っていて当分金に困る事は無い。でも交通費はケチるし、出来るだけかぐやと居たいから出勤帰宅にはこっそりワープを使っている。見た目に関しては神秘に触れた事で老化が遅くなっているだけで寿命はちゃんとある。実は不老の理論を思いついちゃった(啓蒙)ので日々悩んでいる。芦花?大切な人(友達)だよ?
酒寄かぐや:見た目女子大生に成長したかぐや姫(既婚)。数年前にに復帰ライブをしてツクヨミに返り咲いた。ヤチヨとは姉妹の様な母娘のような不思議な関係。狩人とは親戚のおじさんの様な関係。ちょくちょくコラボしてはお小遣いを貰っている。彩葉?私の全部!!

狩人:ちょっとはしゃいでる親戚のおじさん。かぐやに4倍、ヤチヨに100倍弱点を持つ男。最近結婚した。詳しくはまた今度。
ヤチヨ:いろかぐを見守るお母さん。でもちょっと複雑な気分。ツクヨミと現実と夢を生き来しながら生を謳歌している。

鬼いちゃんこと酒寄朝日:ブラックオニキスとして活動しながら流れてくる彩葉の噂を聞いては爆笑してる。人生楽しそうな男。乃依と同棲中。そもそも名前って出したっけ?とか言ってはいけない。
ブラックオニキスの乃依くん:かなり空気だった。ファンがいたらごめんね。
ブラックオニキスの雷くん:すまん空気。同上。

芦花:紆余曲折あって守月グループの広報課に就職した。ちょくちょく彩葉の研究室に差し入れを持っていってるので裏では『通い妻』とか『第二夫人』とか呼ばれている。
真実:原作と変わらず結婚、双子の母に。彩葉に引っかかっちゃってる芦花を見ては「彩葉、最悪内縁の妻(?)でいいから芦花を貰ってくれないかな・・・」とか思ってる。

オーグマーⅢ:SSOのあれにフルダイブ機能とかを付けてデスクトップPCを遥かに凌ぐ処理能力を持たせた感じのやつ。彩葉が研究中に「スマコンの処理能力じゃ足りないし、今考えると目に入れる物が熱持つのはヤバくない?」と言うことで開発された。簡単にスマコンが熱持つまで処理能力ぶん回す方がおかしい。酒寄彩葉博士の代表的な発明品(オーパーツ)の一つ。
かぐやの身体:酒寄彩葉の超人的な頭脳と狩人とヤチヨからの技術提供(もと光る竹、人形)によって完成した成長するし寝ることも疲れる事も出来るまさに生きた義体。酒寄彩葉博士が裏で『人体錬成に成功した錬金術師』とか言われてる原因。この技術を開発したことによって研究者界隈では『悪いところは取り換えましょうとか素で言うヤバい女』と囁かれている。でも医療関係者とか障がい者には凄く尊敬されているらしい。
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