8000年と月の香り   作:文才の無い本の虫

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いろっぴ〜と言う訳で彩葉メイン回
予約投稿ミスったので毎日更新は途切れました・・・赦して、くれ・・・


いろはと狩人

 

 

 

 

 

あの波乱の3連休が過ぎ去ってから数日。

私の日常には異物――月から来た宇宙人、かぐや――が居座ったままだが、多少は“普通”を取り戻していた。

いや、ツクヨミでのライバー(仮)の二重生活を普通と言って良いのなら、だけども。

 

――そんなある日、学校の帰り道の事。

 

私は下駄箱で待ってくれていた二人の友人と三人で並んで歩いていた。

他愛もない話の途中で友人の片方である芦花――ツクヨミではファン数十七万の美容系インフルエンサー『ROKA』――が言う。

 

「そう言えば最近彩葉って変わったよね」

 

「そうかな?」

 

そう言うと、もう一人の友人の真実――ツクヨミではファン数十二万のグルメインフルエンサー『まみまみ』――がその言葉に被せるように言った。

 

「そうだよ!1年の頃は成績とかは完璧なのに何時も顔色が悪くて隈が隠しきれてなかったし〜あ、この子ほっといたら死んじゃうな〜位の勢いだったじゃん」

 

「そうそう。スキンケアとかも全くして無かったし。限界過ぎて女捨ててるのかなって」

 

「ねえ、酷くない?」

 

「「残当(残念ながら当然)だと思う」」

 

友人の芦花と真実に声を揃えて断言されてしまった。

いやまあ、確かに上京したばっかりの時は大変だった。

自分でも女を捨ててるんじゃないかって思ったし。

 

「やっぱりあの足長おじさんとかぐやちゃんのお陰かな〜?」

 

「かぐやは分かるけど足長おじさんって?・・・・・・ああ、社長(狩人さん)の事か。いやでもおじさんって見た目じゃないでしょ」

 

「年齢不詳の英国紳士風大富豪って属性盛りすぎだとは思ったけどね」

 

「社長ってそんな事言われてるんだ」

 

「そうだよ〜?『年齢不詳ドルオタ実力派エリート』だとか『世界で五本指に入る大富豪』だとかだね」

 

「そうそう。それ位ネットで名前を打てば出てくるよ?調べた事無い?」

 

「いや、ほぼ2日に1回は会ってるし。わざわざ調べるよりも本人に聞いたほうが早いから」

 

「「確かに」」

 

いやマジであの人聞けば大体何でも答えてくれるんだよなあ。

頼りになるし、ヤチヨ神棚の横に社長の名刺を置いても良いかもしれない。

ツクヨミとヤチヨのスポンサーだし。

 

「あ、彩葉。噂をすれば影じゃん」

 

「へ?」

 

「ほらそこ」

 

真実が少し先に停車している見覚えのある車を指差した。

ヤチヨをイメージしたカラーリングに⑨のプリント、ミラーの下にはちびヤチヨのキーホルダーが揺れているのが見える。

バ先の社長――『守月グループ』のトップ、守月狩人――の自家用車、『(ナインボール)ヤッチョ号』だ。

嘘か本当か、カラーリングと名前はヤチヨに考えてもらったらしい。

だから運転でかすり傷一つ付けたこと無いとか。

本当だったら凄く羨ましい。

でもあの車目立つんだよなぁ・・・。

 

「うっわ。来るなら社用車(黒塗りのリムジン)の方で来てくれないかな」

 

「私用で近くに寄った序に貴公を迎えに来たのだから仕方無いだろう」

 

「うわっ狩人さん!!毎回言ってますけど音も無く後ろに立つのやめてくれませんかね?!」

 

背後からの声に振り向くと特徴的な帽子の自称英国紳士の社長が立っていた。

どうやって後ろに立ったんだろう。

マジで怖いんですけど。

 

「わぁー彩葉がゴルゴになっちゃった」

 

「ゴル葉・・・解釈違いかな・・・」

 

二人は面白がってないで突っ込んでくれないかなあ?!

 

「む、綾紬芦花に諌山真実ではないか。貴公らも久しいな。もし良ければ送っていくが」

 

「本当ですか〜?あ、じゃあ迷惑じゃ無ければ、ちょっと彩葉のお仕事の見学しても良いですか〜?」

 

「あ、私もそれで」

 

「ふむ」

 

「真実?!芦花?!私の仕事なんて見ても何も無いよ?!」

 

本当に何言ってるんだこの二人は。

社長なら二つ返事でオッケー出しちゃうから。

私の仕事なんて唯の事務だから。

 

「良いとも。友たる貴公らが居れば酒寄彩葉も喜ぶだろう。社会見学と行こうではないか」

 

ほらね。

 

「酒寄彩葉。貴公の友達はもう乗り込んでるぞ」

 

社長に言われて車の方を見ると、芦花と真実が車内でシートベルトを付けながら私を手招きしていた。

 

「遠慮なさ過ぎでしょ」

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

『狩人、頼まれてた資料まとめてきたよ〜』

 

AR上にロリヤチヨ――分身体ヤッチョその9ことキュー――データを携えてやって来る。

 

「キューか、助かる」

 

「社長、書類出来ました」

 

「ふむ・・・良し。これと一緒に法務部に送ってくれ」

 

「了解です」

 

酒寄彩葉も居ることで作業効率倍増である。

我が社――正確には『守月グループ』――はヤチヨによる万全なセキュリティを盾に全面的にデジタル化をしているので本社ビルに居る社員は半数ほどだ。

その為処理能力が重要であり、酒寄彩葉はこの上ない人材なのだ。

 

『(今私以外の女の事考えた?)』

 

あ、ヤチヨさん、浮気じゃないです。

人材評価な、人材評価。

 

『(ふうん。ならいっか!後でヤッチョも構ってね♪)』

 

と、まあヤチヨが365日24時間監視しているのでセキュリティ面は万全である。

それにヤチヨの分身体もこっそり働いてるのでぶっちゃけ社員居なくても回るっちゃ回るんだがそれだと経済が回らなくなるからなぁ。

 

『ねえねえ、ヤッチョと遊ぼ?』

 

「仕事が終わったら良いぞ」

 

『ちえ・・・じゃあヤッチョにお仕事頂戴』

 

「少し待て、そろそろ書類が来る筈だ」

 

「社長、これ追加の書類のデータだそうです」

 

「手持ち無沙汰にしてるキューに投げといてくれ」

 

「了解です。キューちゃん、これデータね」

 

『んー、把握したよ。1分位で仕上げるね』

 

「酒寄彩葉、コレが終わったら今日は上がりで良いぞ」

 

「良いんですか?」

 

「ああ。今日は特に私がするべきタスクは無いからな。友人達を案内してやると良い」

 

『彩葉〜芦花と真実に彩葉のIDに紐付けした深度3のID発行しといたからぐるーって案内してあげてね』

 

「キューちゃんありがと・・・って深度3?!」

 

『うん。ラウンジでお茶会出来るようにって狩人が』

 

「酒寄彩葉、偶には甘味をたらふく食べるのも良いぞ」

 

社員のIDもヤチヨが一元管理していて、深度によって社員の行ける場所や出来る事が変わる。

深度3だと地下にある施設以外への出入りが可能、この場合はラウンジ(食堂の特殊区画でスイーツ等が頼める)に入れる様にその深度にした。

因みにうちの社員食堂は無料である。

栄養バランスを考えられた料理(食堂のおばちゃんとヤチヨの合作)が無料で食べれるという天国だ。

福利厚生は重要だからな。

 

「よし、今日の仕事は終わりだな」

 

『狩人〜ヤッチョ頑張ったよ〜』

 

「おお、よしよし」

 

『えへへ』

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

「ほら、つまんなかったでしょ」

 

「パンフとかお茶菓子があったから退屈はしなかったよ。それに想像の100倍は専門的じゃん」

 

「彩葉めっちゃ凄いじゃん!!」

 

「そうそう。彩葉すご」

 

「そんな事無いよ。ヤチヨだって手伝ってくれてるしこれぐらい普通」

 

「「いやいやいや」」

 

「それよりも社長がラウンジ使わせてくれるからスイーツ食べに行こ」

 

「スイーツ?」

 

「そ。お金の心配はしなくていいよ。ここの食堂無料だから」

 

「「神??」」

 

「うん神」

 

「ほら、彩葉早く行こ!!パフェだよパフェ!!」

 

「かぐや?!何で此処にいんの?!」

 

「さっきから居たよ?」

 

――そうして四人はラウンジで楽しくおしゃべりしながパフェとパンケーキに舌鼓を打つのでした。

――ちゃんちゃん♪

 

 

 

 

 




彩葉:待遇は良いし、先輩方は優しいし、推しにも会える理想の職場。不思議な事に慣れてきちゃった系女子高生。哀れ・・・。食堂のおばちゃんのお陰で原作より健康体。
かぐや:彩葉が学校に行っている間は配信か、狩人の所に遊びに来ている。パンケーキうまー。
芦花:彩葉可愛い上に優秀過ぎじゃん。パフェ美味?!
真実:彩葉すご〜。あ、パンケーキとパフェ美味しい。

狩人:『年齢不詳ドルオタ実力派エリート』『世界で五本指に入る大富豪』他には『エセ英国紳士風日本人』『ジェネリックアナハイム』などなどのあだ名がある。因みに表に出る時は正装(狩人シリーズ一式)。仕事は一日3時間ぐらいで回る様にしている。
ヤチヨ:実は分身体その10〜500位までは『守月グループ』で働いている。本体と分身体その3〜9は暇な時に手伝いに来てる。
ヤッチョその⑨:狩人からの愛称はキュー。暇な時は狩人の仕事の手伝いに来ている。『⑨ヤッチョ号』の命名者でカーナビを兼任してたりする。
食堂のおばちゃん:狩人が直々にスカウトしたおばちゃん。ヤンチャしてた頃の通り名は『鉄拳のガラシャ』。多分一回ぐらいしか出てこない。
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