〈個性〉を奪い、ストックし、与える能力の転生者:ヴィラン   作:アマテス豆

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新しくコメント来てた!嬉しい!
そして記念すべき十話目突破!さらにリメイク前の投稿話数も突破しました!
これからも頑張っていきます。

それでは、本編へどうぞ!


第十話 ヴィラン連合大・集・結!![後編]

新しくヴィラン連合に仲間が加わった、数日後のこと。

 

「また邪魔するよ」

 

義蘭さんがまたまたやって来た。

 

(今日は一体、誰を連れて来てるんだろ?てか残りが問題児ばっかなんですが…)

 

俺はカウンターの奥でコップを拭きながら、その様子を見守る。

 

一応、俺はちゃんと調理&衛生担当としての仕事をこなしているのだ。

 

まあ、今のところヴィラン連合の面々に料理だけなんだけどね……。

 

「あぁ、入ってくれ」

 

死柄木くんが気怠そうに入店の許可を出す。

彼はここ数日、とあるシミュレーションゲームに没頭していて、目の下にうっすらと酷いクマが出来ていた。

 

「いつもご足労いただき、ありがとうございます」

 

黒霧さんが深々とお辞儀する。

それに続いて、俺も笑顔で義蘭さんを迎えた。

 

「いらっしゃいませ! いつもご苦労様です、義蘭さん。何かお飲み物でも淹れましょうか?」

 

「じゃ、コーヒーを頂こうかね。……死柄木さん、今回は前回以上にとびきりの曲者揃いだ。だが、それ相応の実力は確実に有る奴らさ。入れ、お前ら」

 

義蘭さんが背後の扉へ合図を送ると、ゾロゾロと四人の男たちがバーの中へと入ってきた。

そして、お約束とも言える恒例行事の自己主張(アピール)が始まる。

 

「俺はスピナー。ステインの夢を征く者だ」

 

初めに堂々と名乗りを上げたのはスピナーだった。

 

(おお、トカゲだ。思った以上にトカゲだわ……。本人の“個性”はヤモリだけど、見た目は完全にトカゲだな……)

 

「紹介なんざ後回しでいい! 早く暴れさせろ! 存分に暴れられる所を作ってくれるんだろ、あぁ!?」

 

続いて、野獣のような凄みで吠えたのはマスキュラー!

ガタイがめちゃくちゃ良い。……うん、それ以外に形容のしようがないな

 

「ねえ、僕を入れてよ。このクソみたいな学歴社会をぶっ壊したいんだ」

 

マスタード…金髪イケメンなのに、学歴コンプレックスを拗らせているらしい。

 

いや、その顔立ちなら学歴がなくても普通に人生の勝ち組だろ!と思うけれど、そこを突っ込むのは浅はかというものだろう。

 

「肉見せて……肉見せてぇええ……!!」

 

そして最後は、拘束衣に身を包んだ不気味な男、ムーンフィッシュ。

だが――彼は入店したその瞬間に、“個性”を使って無差別に攻撃を仕掛けてきた。ガチガチと音を立て、凶器と化したその歯が、死柄木くんや俺たちの頭上を目がけて狂ったように伸びてくる。

 

「危ないっ!!」

 

俺は咄嗟に身をすくめて防御体勢に入ったが、迫り来る無数の歯が俺たちに届くことはなかった。

 

黒霧さんが素早くワープゲートを展開し、その軌道を逸らしてくれたのだ。ナイス黒霧さん!

 

「――『ユニーク・スティール』!!」

 

安全が確保された隙を見逃さず、俺は即座に能力を発動させてムーンフィッシュの【個性】を強奪した。

 

「すまないねぇ、死柄木さん。コイツは特に曲者なんでな……。自分の欲求を抑えるのがどうにも苦手らしい」

 

義蘭さんが頭を掻きながら苦笑いする。

 

(危ねええええ!! 曲者すぎるよ、義蘭さん! っていうか原作のヴィラン連合は、一体どうやってこんなヤバい時期のムーンフィッシュを手懐けてたんだよ!? 一歩間違えたらアジトごと全滅だぞ!)

 

「……実力があれば、それで良い」

 

死柄木くんが、静かに髪をかき上げながら呟いた。

 

(死柄木くん……今のセリフ、めっちゃ格好よく決まってんな。ゲームのやりすぎでクマできてるけど)

 

「……ごめんなさい。だめですね……ちゃんと自己紹介をしないといけないのに。自分はムーンフィッシュです。どうぞよろしくお願いします」

 

【個性】を抜かれたせいで、すっかり物腰の柔らかい、常識的な丸い性格になってしまったムーンフィッシュ…

元々の見た目がイカつい緊縛衣装なだけで、中身はただの丁寧な普通のおっさんになってしまったため、外見の変化は特になし。それが余計にシュールだった。

 

「これは、なかなかの曲者を連れてこられましたね……」

 

黒霧さんが冷や汗を流すような声で呟く。

 

「俺、この人ちょっと苦手かも……。後で【個性】を返すの嫌だなぁ……」

 

俺はそっと、大人しくなったムーンフィッシュから距離を取り、心の中でそっとため息をついた。

 

「で、そこの巨漢と、ガキ。名前は?」

 

死柄木はソファの背もたれに深く体重を預け、顔を覆う「手」の隙間から、値踏みするような視線を向けた。

 

「あぁ、悪い! 俺はマスキュラー! 世間じゃ『血狂いのマスキュラー』なんて呼ばれてるなぁ! で? どこで暴れればいい? 誰を殺せばいいんだ!? 早く教えてくれよ!」

 

(あー、マスキュラーは会話が通じるタイプの狂人(バトルマニア)なんだよな……。後で緑谷にボコボコに負ける運命だけど)

 

「待て。急ぐな。ゲームには順序ってものがあるんだよ。お前は?」

 

死柄木は苛立ちを噛み殺すように首筋をガリガリと掻き、今度は金髪の少年に顎をしゃくった。

 

「マスタード。……ねえ、そこの君、学生でしょ? 僕と一緒に、この下らない学歴社会をぶっ壊してみない?」

 

マスタードが突然、俺に向かって話を振ってきた。

 

「……いや、別に。俺はここ、ただのバイトだし。そういう思想的なのには興味ないかなぁ……」

 

まあ、ヴィラン連合の籍にいる以上、組織の方針には従うつもりだけど。

ぶっちゃけ今の俺には、確固たる目的も大義もない。

ただこの過酷なハードモードの世界を生き抜くのに必死なだけなのだ。

 

「チッ、しょうもな」

 

マスタードは盛大に舌打ちをすると、侮蔑の入り混じった目で俺を睨みつけてきた。

……あ、俺こいつ嫌いだ。クソガキめ! 早く林間合宿で、B組の鉄哲たちに撃破されてしまえ!

 

「おい義蘭。そいつらの“個性”は? 使えない駒なら、今すぐ黒霧に放り出させるけど」

 

死柄木が不機嫌そうにカウンターへ視線を投げると、義蘭さんがやれやれと肩をすくめた。

 

「今回は俺から説明するよ、死柄木さん。まずスピナー、 “個性”は『ヤモリ』。ヴィランとしての実戦経験はないが、威勢とバイクのセンスは保証する」

 

(そうだった、スピナーって林間合宿でマンダレイといい感じにやり合ってたから忘れてたけど、ヴィラン連合に入る前はただの引きこもりニートだったわ)

 

「次が、その血狂いのマスキュラー。 “個性”は『筋肉増強』。多くの重軽傷事件を引き起こし、過去にはプロヒーローも殺害している実力派だ」

 

(あぁ、ウォーターホース事件ね……。あかん、話を聞くだけで心が痛む。俺、一応ヴィラン側の立場なのに。洸汰くん……! 後で緑谷ってやつが、命がけでちゃんと守ってくれるからね……!)

 

「マスタードは、過去に学校で毒ガス事件を起こした問題児だ。 “個性”は『ガス』。広範囲を無差別に昏睡させられる」

 

(うわぁ、やっぱりガチでヤバい奴だわ。っていうか、自分の“個性”のガスを吸ったら自分も気絶するからガスクマク着けてるくせに、他人を馬鹿にしてるの、本当に視野が狭いクソガキだなぁ)

 

「最後に、そこに転がってるムーンフィッシュ。 “個性”は『歯刃』。肉片を見るのが大好きな狂人で、死刑囚の身でありながら自力で脱獄した大悪党さ」

 

(どうやってあの身体拘束から脱獄したんだろ。てかコイツ、本来なら最高セキュリティーのタルタロスにぶち込まれるレベルの危険度じゃないの? 警察も完全に判断ミスしてるな……)

 

「……ふん。ステインの劣化コピーに、戦闘狂、不登校のガキ、死刑囚か。どいつもこいつも、俺の思い通りに動かなそうなクソゲーのキャラばっかりだな」

 

死柄木は忌々しげに呟き、首の皮が赤くなるまで激しく掻きむしった。だが、黒霧に目配せをして、ふっと冷酷な笑みを浮かべる。

 

「だが、使えるパラメータだけは揃ってる。……いいよ、お前ら全員、俺の『手駒』にしてやる」

 

(おお、やっぱり採用判定を下す瞬間だけは、どこか冷徹なゲームマスターって感じで死柄木くんらしいな。まあ、無事に全員採用されたんだし、俺が組織の行く末に文句を垂れるのはここまでにしよう!)

 

「てことで、みんな採用おめでとう! 俺はここのバイトで主に調理を担当してるから、何か食べたいもののリクエストがあったら気軽に言ってくれよな!」

 

「なんでもいいんか!? じゃあプロテインくれや、プロテイン!」

「……ハンバーグ。君みたいな思想のないバイトに、まともなものが作れるのかな?」

「俺はなんでもいい。ステイン様の思想に殉ずる身だ、腹が膨れるものなら何でも構わん」

「肉をお願いします……。柔らかくて、瑞々しい、肉を……」

 

凶悪な新入りたちから、容赦のないリクエストが次々と飛んでくる。

プロテインは料理じゃないし、マスタードの煽りは地味にイラつく。

 

「分かりました、順番に作りますね! ……あ、そういえば、ムーンフィッシュさん。これを返さないと。――『存在付与(ユニーク・ギフト)』!」

 

俺はそっと、ストックしていたムーンフィッシュの【個性】を彼の体に突き返した。

 

「ひ、肉ぅ……肉片を見せてぇえええ!!」

 

【個性】が戻った瞬間、丁寧だったおっさんが一瞬でいつもの猟奇殺人鬼へと逆戻りする。

危ねぇ!

 

(よし……! こいつらがここで本格的に暴れ出す前に、早く厨房へ避難するぞ!)

 

「じゃ、速攻で作ってきますね!!」

 

俺はトガやムーンフィッシュの狂気から逃れるように、ダッシュでカウンターの奥の厨房へと滑り込んだ。




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それではまた次回!

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