〈個性〉を奪い、ストックし、与える能力の転生者:ヴィラン   作:アマテス豆

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第十六話 上る

少し時が経ち、俺たちは非常階段を使って80階近くまで上がっていた。

 

「シャッターがあるぞ。どうする? 壊すか?」

 

80階から上へ続く階段には、分厚いシャッターが降りていた。

 

「普通にこっちから行けば良いんじゃねえか?」

 

峰田くんが、80階フロアへ繋がる扉に手をかける。

 

「ストップ! 峰田さん!」

 

止めようとしたが、間に合わなかった。

 

プォンッ――

システムが起動し、扉が開く。

 

「……やばい。絶対バレたね。……デク、どうする?」

 

(うわ、相棒に言うみたいなセリフ言えた! ちょっと嬉しい)

 

「……こっちなら、まだ上に行く方法があると思う」

「メリッサさん、他に最上階へ行く手段は?」

「反対側に同じ型の非常階段があるわ!」

「なら、急ごう!」

 

俺たちは峰田くんが開けたフロアへ飛び出す。

 

「シャッターが!」

 

通路のシャッターが降りてきていた。

 

「轟くん!」

 

轟くんが氷を放ち、シャッターが完全に閉まるのを防ぐ。

 

「ここ、扉があるよ。確か……」

「植物プラントね。ここを抜ければ、向かい側にさっきの階段があるわ!」

 

中は湿った空気と植物の匂いが満ちていた。中央には巨大なエレベーターがそびえている。

 

「エレベーターが……動いてる!」

 

状況からして、ヴィランが乗ってきたのは明らかだった。

 

「ヴィランにバレたんじゃ……」

「いや、シャッター閉まった時点でバレてるから。……ってツッコんじゃった」

(いや今ツッコミしてる場合じゃない)

「隠れてやり過ごそう!」

「もう70階だよ!」

「急いで隠れるんだ!」

 

皆が植物の影に身を潜める。

 

(ここからは時間との勝負……緑谷くんより先に辿り着かないと。協力者を作るためにも!)

「ガキはこの中にいるらしい。面倒なところに入りやがって」

(来た……空間をえぐるやつと、変異型のやつだ)

「見つけたぞ! クソガキども!」

 

あぁ……見つかった。

……爆豪くんが。

 

「ああ? 今なんつったテメェ!!!」

 

(うわ、生で聞く爆豪くんの怒鳴り声……最高)

 

「お前ら、ここで何をしている?」

「あの、俺ら道に迷ってしまって……レセプション会場ってどこですかね?」

 

(あ、切島くん……知らないから普通に聞いちゃってる)

 

「見えすいた嘘ついてんじゃねえぞ!!!」

 

攻撃が放たれる。

 

「危ねえ!」

 

轟くんの巨大な氷壁が、攻撃を一瞬で凍りつかせた。

 

(これが瀬呂くん瞬殺した氷壁……デカッ! 俺、対峙したら逃げ切れる?)

 

「えっ、何なに? どゆこと?」

「このタワー、ヴィランに占拠されてるんですよ。で、今の人たちがヴィランです」

「なるほど……って誰?!」

 

(その反応、めっちゃ好き)

 

「メリッサの友達で、ユニって言います。趣味は――」

「後にしろ。お前ら先に行ってくれ。ここは俺たちがなんとかする」

 

轟くんが俺の自己紹介を止め、氷壁で俺たちを上階へ押し上げる。

 

「ちょ、轟くん!」

「ある意味最善だよ。今はあの子たちを信じよう」

「あぁ、ユニさんの言う通りだ。先へ進もう!」

 

しかし、上へ続く道はすべてシャッターで塞がれていた。

 

「もう! シャッターばっかり! 壊して進めばいいんじゃねーか?」

「悪手だよ。壊せばまた位置がバレる。さっきの二の舞」

「そんな〜」

「メリッサさん、あそこ! 扉みたいなのが!」

「あの構造なら、中にハシゴがあるのでは?」

「あるけど……中からしか開けられないわ」

「だったら……」

 

八百万が通風口を破壊し、緑谷が簡易ハシゴを見つける。

 

「なるほど! 上の階にも通風口があれば……!」

「あの狭い通風口を上に行けるのは……」

 

皆が峰田くんを見る。

 

「も、もしかしてオイラが!? バカバカ! 80階だぞ!? 落ちたら死ぬんだぞ!」

「じゃ、俺が行く」

「ユニくん!? 行けるの!?」

「まあ、慣れてるから。行ける行ける、行ける」

「危ないよ! 峰田に任せた方が……」

「でも峰田くん、怖がってるし――」

「分かったよ! 行くよ! オラが行けばいいんだろ!」

「大丈夫? 峰田くん」

 

峰田くんはヤケクソ気味に通風口へ入り、ハシゴを下ろしてくれた。

 

(はは……俺、何にも役に立ってない)

 

そこから先はシャッターが開きっぱなしで、警備ロボが大量に襲ってきた。

完全に誘い込まれている。

 

「くそっ、また警備ロボか!」

「無理にでも突破しよう!」

「待って! サーバーに被害が出たら警備システムにも影響が……!」

「緑谷さん、ここは我々に任せて、先に行ってくださいませ」

「……分かった。行こう、メリッサさん、ユニくん!」

「オケ。皆さん、任せました」

「お茶子さんも一緒に来て!」

「え、でも……」

「いいから、来てください」

 

辿り着いたのはタワー外の巨大な風力発電施設だった。

 

「なんでここ?」

「ここからなら、あそこの非常口へ行けるの!」

「でも、どうやって?」

「麗日さんの個性で……だよね、メリッサ」

「ええ」

「分かった。やってみる! 2人とも緑谷くんに掴まって!」

「いや、それじゃ麗日さんの負担が大きい。緑谷くんとメリッサだけ先に行って。俺は中から上に上がる」

「それじゃユニくんが……」

「大丈夫。追われるのには慣れてるし、囮がいた方が侵入しやすい。警備システムが戻れば何とかなる」

「……分かった。気をつけてね。麗日さん、飛ばして!」

 

緑谷くんとメリッサが浮き上がる。

 

「麗日さん、俺、先に上がるね」

「分かった。後で私も行く」




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