〈個性〉を奪い、ストックし、与える能力の転生者:ヴィラン 作:アマテス豆
いやー執筆欲があればすぐに1日で終わるんですね!
今のところ「名前がいらない」と言うのが多いので比べるように今回は無しでやってみました。
てことで本編をどうぞ!
ようやく着いた俺の寝床。
安堵できると思って、息をついた時…
音もなく背後に何かが現れ、首に冷たく鋭いものが当てられる。
「ちょ、待ってよ。…トガヒミコ」
俺は冷静に、背後のにいる主を呼んだ。
「あ、バレちゃいましたか?お久しぶりですユニくん!まだ捕まってなかったんですね!」
その主…トガヒミコは、デリケートというか、洒落にならない事を言ってくる。俺はさっきのことを思い出し背筋が凍った。
「君こそ、まだ捕まってなかったんですね。」
「うんっ!すごいでしょ?」
皮肉のつもりで返したのだが…何故かトガちゃんフィルターで褒め言葉に変換されてしまった。
「あ、久しぶりにあったから、血、貰っちゃうね?」
そして、無邪気な宣言と共に、首元にガブッと噛まれる。
「あ、いや、久しぶりとか関係無いから!気軽に血を吸わないでください!おかげで身に覚えのない罪が増え続けてるんですよ!あ、ちょ…イタい!吸いすぎ……」
トガヒミコとは、何かの因果かこうして頻繁に遭遇する。
ちなみに俺の血は彼女曰く「なんか…不思議な味で美味しいんですよ!」とのこと…会うたびにデザート感覚で摂取されるのが常だ…。
そんなに吸われるのが嫌なら抵抗すれば良いじゃないかって?…いや!出来ないの!絶対に勝てない、下手しなくても死ぬ。
しばらくして、意識が少し遠のくぐらいまで吸い尽くされると、トガヒミコは満足げに唇を拭った。
「ごちそうさまでした!またお話ししましょう!」
嵐のような去り際。彼女の気配は完全に消え、俺はそんな話してないけどな!とツッコミながら安堵した。
「…俺は二度と会いたくないけどな!うぅ…吸われすぎた。止血しないと…」
ふらつく足取りで、少し汚れている救急箱から包帯を取り出し、首に巻きながら箱の中身を確認する。
包帯も薬も残り僅かであった。
「はぁ、そろそろ次の仕事を回してもらわないとな…明日、義蘭(ギラン)さんに会いに行くか…アレも取りに行かないとだしね。」
食糧の備蓄と残った包帯を交互に見て俺はため息をついた。
「…今日はもう寝よ…」
俺は段ボールで作った簡素なベッドに倒れ込み、糸が切れたようにように眠りに落ちた。
ーーーーーーーーーー
翌日。
ユニが眠る裏路地のすぐ近くでは、一人の少女が緊張した面持ちで歩いていた。
「パトロールの基本は周囲への警戒と市民に安心感を与えること。分かったかな?」
「はい!わかりました!(やっぱり可愛い…!)」
麗日お茶子は、職場体験先のヒーローガンヘッドの指導に目を輝かせていた。
ガンヘッドはいつものパトロールルートとは違い比較的安全なルートを選んで麗日を案内する。
しかし、その「安全なはずのルート」には、かの『指名手配犯』の寝床があるのだった。
ーーーーー
そんな事態になっていることも知らずに、俺は呑気に義蘭さんに仕事をもらう為、遠出する準備をしていた。
何故電話で済まさないのかって?スマホなんて持ってたら探知されて終わりだろ!
「よし、証拠品は残ってないな…。くそ、くらくらする〜、トガヒミコめ〜!」
寝床にしていた裏路地を再度確認し、必要最低限の荷物を込めた鞄を背負い直す。
「よし、行きますか!どんな仕事頼まれるんだろ…運び屋とかなるべく安全ややつがいいな…」
淡い期待を胸に路地から一歩踏み出した…その瞬間。
「ちょっとそこの君。見ない顔だね?裏路地から出てきたみたいだけど」
心臓が跳ね上がった、何故なら…声を掛けてきたのが、プロヒーローのガンヘッドその人だったからだ。
…え?ガンヘッド!なんでここに?曜日的に今日は別経路のパトロールのはずじゃ!俺の読み外れてた?!)
冷や汗が止まらない…だが、相手はまだ捕まえようとする素振りを見せていない。ワンチャン俺の顔を知らない可能性に賭けるか!
「あはは、俺は各地を回ってる旅人でして、お恥ずかしながら道に迷ってしまったんですよ。」
必死に言い訳を並べた。すると、ガンヘッドの背後から可愛らしい女の子がすこし息を切らして走ってきた。
「ガンヘッドさん、早いわ…。急に走り出すから反応できへんかったわ…」
麗日お茶子ちゃん!え?こんなところで会えちゃうとは!あぁ、生で見るとむゃちゃくちゃ可愛い…尊い…。
…なんて見惚れてる場合じゃない!今お茶子ちゃんなんて言った?『急に走り出した』?
プロがパトロール中走り出すなんて2つしかない、事件事故に遭いそうになっている人を助ける為か…
「ごめんね。でもこの子、指名手配犯中の〈ユニークバンパイヤ〉ていうヴィランだから。早急に対応しないとね?」
ヴィランを捕まえる為。ガンヘッドは、淡々と麗日に説明する。
…うん、バッチリバレてた。
「えっ!なんでバレた!?」
「そりゃ、顔写真がヒーロー達にバレてるのに隠しもしなかったらバレるよね?」
あ、そういえばそうだった、顔ヒーローにはバレてるんだった…なんで忘れてたんだ俺!
でも、まだだ!この距離なら、不意をついて逃げられる!
「ガンヘッドさん!逃げられちゃうよ!」
お茶子ちゃんが気づいてしまう。
さすがヒーロー志望!
でも、もう間合いは、とっ….
その瞬間、ふわっとした浮遊感を感じ、気づけば目の前の景色が、九十度回転していた。
「…あれ?なんで俺空を見上げてるんだろう?」
「お茶子ちゃん、大丈夫。もう確保してある。」
「すごい!今のもガンヘッド・マーシャル・アーツなんですか!?」
地面に叩き伏せられ、完璧な関節技で固められている。
プロの技術。逃げる隙すら、最初から一ミリもなかったのだ。
「〈ユニークバンパイヤ〉。君、まだ未成年だよね?こんなこともうやめて、しっかり罪を償いなさい!君ならまだやり直せるよ。」
俺はその言葉に反射して、こんな事を口にしていた。
「…間に合わないんだよ、本当に」
自主を促すガンヘッドの言葉が、酷く虚しく俺の心に響く。
…ヒーロー達が把握している俺の罪状は、そのほとんどがトガヒミコが俺の姿で犯したものだ。殺人だってやってないし、手助けした覚えもない…実際、自分で犯した小さな「罪」なら、ちゃんと覚えてる。それはちゃんと償いつもりだ。だが、身に覚えのない大罪を背負って「聖人」の真似事をするほど俺はお人よしじゃない!
て、ちょっとイラつきすぎ…ヒーロー達は、ちゃんと仕事をしているだけだし、それは分かってる。…だからこそ、俺は抗う。ヴィランとして…
「…正論ですね、俺もそう思います。…でも!冤罪で一生を棒に振るのだけはごめんなんですよ!だから逃げさせてもらいます。」
そう話すと同時に、全身の神経を研ぎ澄ませた。
「お茶子ちゃん、ガンヘッドさん、ごめんなさい。この世界を生き抜く為なんです。『ユニーク・スティール』」
白い光が二人から出て、その【個性】を強引に引き抜く。
「『特性権限:ガンヘッド』…確か…こんな名前だったけ?『ガンヘッド・マーシャル・アーツ』!」
ガンヘッドから奪ったばかりの『格闘センス』を自分へ上書きする。そのプロの技術がまるで体が覚えているかのように、完璧に再現し、突破できなかった拘束を、スルリとダッシュした。
「お茶子ちゃん!これはいつか必ず返すから!」
俺は理解が出来ていない二人を横目に雑踏の中へと消える。
あ〜〜!最悪だ、お茶子ちゃんの『個性』も奪っちゃうなんて!まあ、捕まらないようにする為には仕方なかったとして…大丈夫かな?キャラ変わり過ぎて退学とかならないよね?
俺は胸を刺すような罪悪感を抱えたまま、足を止める事なく義蘭さんの元へと急いだ。
ーーーーーー
職場体験体験が終わった翌週のこと、麗日は、違和感を感じながらも雄英の門をくぐった。
「あ、緑谷さん。おはようございます。確かステインというヴィランに襲撃されたのでしたね?体調に変化はありませんか?」
「…え?麗日さん?」
話しかけられた緑谷出久は、思わず足を止めて困惑した。
いつもなら「デクくん!」と親しげに駆け寄ってくるはずの彼女が、まるで事務連絡するかのように淡々と、堅苦しい敬語で話しかけてきたからだ。
「大丈夫?!様子も全然違うよ?!」
話し方だけではなく、見た目の印象すら激変していた。
彼女よチャームポイントだった、ふっくらとした健康的な丸みが消え、どこにでもいる「平均的な女子高生」のような、スッとした。言い換えれば特徴のない体型に変わってしまっていたのだ。
「大丈夫です。至って普通ですよ?ただ、パトロール中に〈ユニークバンパイヤ〉を名乗る不審者に接触してしまっただけですから。」
ヴィランに襲われたという重大な事実を「急に雨降ってきたなぁ」程度の内容と言うかのようにさらっと口にする。
「そ、それって本当に大丈夫なの?!」
緑谷は、驚きを通り越して恐怖すら感じてしまった。
その後の教室でも、彼女の「豹変」はステイン事件の当事者三名より大きな話題となり、A組に奇妙な緊張を走らせることとなった。
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アンケート最終話!最後の回答よろしくお願いします。結果によって修正します!
そしてリメイク前の一話分が無事終了!
次はリメイク前の二話ですね!多分2分割します。
それでは、また次回!
セリフの前に人物名はいる?(一応、台本形式ではないつもりだけど)
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いる!!
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いならい!!