〈個性〉を奪い、ストックし、与える能力の転生者:ヴィラン 作:アマテス豆
あと、同じ日に申し訳ないのですが。アンケートの結果、セリフ前に人物名はいらない!!が、3倍ぐらいの差を付けていたので締め切ります。
なので一話と二話からも人物名を抜きました。
てことで本編をどうぞ!
ガンヘッドと麗日から逃げ延びた俺は、紆余曲折を経て、無事に義爛(ギラン)さんから新しい仕事を回してもらうことができた。
今回の仕事は、ある組織系ヴィラングループの下働きだという。
衣食住完備で、給料は破格。
良い職場に巡り会えたことに義蘭さんには感謝しかない。
まあ、一つだけ気がかりなことがあるのだけど…
オールマイトがまだ活躍しているこの時期に、組織立って動いているヴィランなんていたっけ…?
…深く考えてないようにしよう。
そして今日から本格的に仕事開始だ!
さらに義爛さんも別件でその組織を訪れるらしいし、俺はお出迎えも兼ねて、早めに指定された職場へと赴いた。
「ここが、今日から勤める職場か……。見覚えしか無いんだけど…」
見た目はごく普通の商業ビル。だが、俺には、ものすごく見覚えがあった。
「近い将来、オールマイトに壊されそうな建物だな……。ピザーラが天敵になりそう……あはは」
なんか黒い霧の人や、全身に「手」を纏った人が潜伏してそうな建物。
そんなビルの前で立ち止まっていた…その時
「お前、邪魔」
背後から、低く鋭い声が投げつけられた。
振り返るとそこにいたのは、黒髪高身長で継ぎ接ぎだらけの爛れた皮膚が特徴的な男だった。
…めっちゃ知ってる。青い炎を使う重度のファザコンさんだ。
「あ〜、最悪だ…」
「あぁ?」
俺は、現実は非常だと、最悪の値を引いてしまったと頭を抱えてその場にしゃがみ込む。
そんな俺をみて彼はひどく怠そうに睨みつけてきた。
「いや、なんでもないです。ごめんなさい……」
厄介ごとに発展する前に、俺は謝りながらそそくさと距離を取った。
…が、焦るあまり、後ろから歩いてきた別の誰かに思い切りぶつかってしまう。
「あ、すみませ――」
「あ! ユニ君じゃないですか! なんでこんな所にいるんです?」
その声を聞いた瞬間、俺の背筋に氷水が走った。
ぶつかった相手は、俺を〈ユニークバンパイヤ〉に仕立て上げた張本ートガヒミコだったのだ…
あぁ、みたくなかった、この並び…荼毘とトガヒミコ。
この顔ぶれが揃っているということは、確定だ。
ここは間違いなく、ヴィラン連合の本拠地。
時系列、組織の規模、そして場所。
指定された時から薄々気づいてはいたが…。
あぁ!…もう、どうにでもなれ!
「トガヒミコ…俺も、君たちとだいたい同じだよ」
俺は思考を放棄し、なかば投げやり気味に彼女の質問に答えた。
「そうなんですね! ユニ君も、ステイン様のかっこよさに引かれたんですね!」
「いや、そ――」
「お前ら、時間は守れるみたいだな」
否定する間もなく、背後から聞き覚えのある声がして、俺は安堵した。
義蘭さんの到着だ。
ちなみに義蘭さんは、俺がヴィランを始めた直後から世話になっている、ヴィラン界の親父さんのような存在だ。…本当この人がいなかったら俺はすぐに捕まってたと思う…本当感謝してもし足りない。
「義蘭さん! お久しぶりです。この二人も、義蘭さんが連れてきたんですか?」
「ああ。例の別件だ。お前の職場になる『ヴィラン連合』さんに紹介する新人たちだよ」
「そうなんですね……。あれ? 俺の紹介はいいんですか?」
ふと浮かんだ疑問を口にする。
てっきり俺もトガたちと一緒に面接を受けるのかと思っていたのだが。
「いや、お前は直々に『指名』があったんだ。食堂係兼、衛生管理を担当してくれってな」
直々に指名!? なにそのピンポイントな求人、怖いんですけど……黒霧さんあたりかな?指名してきたの。
そんな不安を抱えた訳だが仕事なので嫌々言うわけにもいかない…
そんなこんなで俺たちは目的の扉の前まで移動していた。
「入るぞ……」
義蘭さんの手が、重い扉にかかる。
ついに、俺の職場となる『ヴィラン連合』の本拠地。
いつかヒロアカ本編に関わりたいとは思っていたが……よりによって、『ヴィラン連合』として関わるとは…もっと真っ当な関わり方をしたかったよ!
だが、泣いても笑っても扉は開く。
俺は気を引き締め、一歩を踏み出した。
扉の奥――カウンターの向こうには、黒い霧の体を持つ男、黒霧。
そして、顔面を覆う「手」の隙間から、濁った瞳でこちらを睨む死柄木弔が座っていた…
ーーーーーーー
ところ変わって天界。
ユニを転生させた女神とその部下である天使が何やら話し合っていた。
「あ、そう言えば…間違えて転生させちゃったあの子、元気にやってるかしら?」
「あの子ですか?『今回は転生者さんの心に寄り添うわ!』とか言って、女神様が一人で対応したあの…」
天使の目がスッと据わった。
「転生直前に足が滑って転び、転生先と能力のランダム決定ボタンを、一秒の狂いもなく同時に押した結果…本来なら世界観に合わせて調整されるはずなのに、ギャグ漫画の能力を持たせて、ハードなバトル漫画の世界に放り込んでしまったあの子のことですか?」
「う……」
「さらに、自分の失態がバレるのを恐れて『私のせいでは決してありませんわ!』なんて真っ赤な嘘を吹き込んで、責任を有耶無耶にしたあの子のことですか?」
「そ、そうだよぉ…!そこまで細かく蒸し返さなくてもいいじゃない!悪かったとは思ってるわよ!」
半泣きで縋りつく女神を天使は冷たい目線で遇らう。
「結果的に、私たちの仕事が増えたんですからね?そもそも、少しも寄り添ってませんよね?彼に。」
「うぅ…言い返せない…」
「まあ、安心してください。あの子は前世よりずっと刺激的な日々を謳歌してるようですから。」
女神は、俯いていた顔をハッとあげる。
「本当!今どこで何をしてるの?やっぱりヒロアカの世界だし、トップヒーローとかになってるのかしら?!」
「いいえ、違います。」
「え?」
「真逆です。ヴィランとしてヒーローから追われ、路地裏を逃げ回っています。」
「なんで?!そんな悲惨な末路を?!ちゃんと、お詫びとして特別に私の『加護』を授けておいたのに?!」
女神の言葉に天使は深いため息をついた。
「…やっぱりですか。女神様。あなたの『加護』に致命的な欠陥がある事を前お話ししましたよね?覚えていますか?」
「お、覚えているわよ!確か、えっと…うっと、あれだよ!あれ、あれよ!」
「…覚えていないんですね。これは彼に本気でお詫びを入れなければ…。はぁ、いいですか?もう一度言いますよ?あなたの加護の欠点はーー」
その後、女神は天使から『加護』の欠陥についてと、日頃のズボラな仕事ぶりへの説教をみっちり3日間叩き込まれるハメになった…。
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アンケートに回答してくれた方、ありがとうございます!また何か迷ったりしたらアンケートをすると思うので気軽によろしくお願いします。
それでは、また次回!