〈個性〉を奪い、ストックし、与える能力の転生者:ヴィラン 作:アマテス豆
リメイク前を見ていてちょっと退屈してた人はここを頭の片隅に入れながら見てくれたら嬉しいな!
てことで本編をどうぞ!
「……そいつらは?」
死柄木弔が、睨みながら義蘭さんに問いかける。
「アンタがリーダーか。……生で見ると、また一段と気色悪いな」
「手の人! 手の人だ! ステイン様の仲間ですよね! 私も入れてください、ヴィラン連合!」
義蘭さんが答える前に、荼毘とトガがそれぞれ勝手な事を言う。
これが真のヴィラン……。やっぱり慣れなわ、根本的な感性からして違いすぎる。
「〈ユニークバンパイヤ〉です。よろしくお願いします」
俺は二人みたいに尖ったことは言えないので、ごく普通の挨拶を返した。
「黒霧、あの三人飛ばせ。俺の嫌いなのがセットで来やがった。クソガキに礼儀知らず……あと、なんか気に食わんやつ」
死柄木は苛立ったように首を掻きむしり、黒霧さんに命令を下す。
おい、最後の一人って絶対俺のことだよな!? 完全にとばっちりだよね?
「まあまあ。話だけでも伺いましょう。あの大物ブローカーの紹介です、戦力としては間違いないかと」
黒霧さんが死柄木を宥めるように割って入る。流石は連合の良心、話が分かる。
「黒霧さんの言う通りだ。紹介だけでも聞いておきな。まずこの女子高生、未成年だから顔は伏せられているが、連続失血死事件の重要容疑者として追われている」
「トガです、トガヒミコ! 生きにくいこの世の中を、もっと生きやすくしたいんです! ステイン様の血が吸いたいんです! だから入れてよ、弔くん!」
……紹介にはなっているが、内容は完全に狂っている。
「意味が分からん。……破綻者か」
死柄木…ごもっともすぎる! わかるわかるぞ!
「会話は成り立つ。きっと役に立つよ」
すかさずフォローを入れる義蘭さん。流石だ。
続いて、隣の継ぎ接ぎ男に視線を移す。
「こっちの彼は、目立った余罪こそないが、ヒーロー殺しの思想に酷く固執している」
「不安だな。この組織に本当に『大義』はあるのか? まさか、こんなイカれ女と一緒にされるんじゃないだろうな……」
自己紹介より先に他人をディスる。
盛大なブーメランだと思うのは俺だけか?
「おいおい。その破綻女子高生ができていることすらできてないぞ。まず名乗れ」
死柄木、ごもっともな意見パート2! 分かってるじゃないか!
「今は荼毘で通している」
「通すな、本名を名乗れ」
「出す時が来れば出す。とにかく、ヒーロー殺しの意志は俺が完遂する」
この掛け合い、テンポが良くて聞き心地がいいな……なんて呑気に鑑賞している場合じゃなかった。
死柄木が首を掻きむしる速度が上がっている。やばいめっちゃ苛ついてる…
「……はぁ、ウザい。どいつもこいつもステイン、ステイン! 気持ち悪い! 気分が最悪だ」
殺気が膨れ上がる。そして
「ダメだ……ダメだお前ら! 消えろ!!」
死柄木が五指を広げ、俺たちに向かって飛び出してきた。
ちょっと待て、俺も攻撃対象に入ってる!? 狭い店内で逃げ場がない。迎え撃つか?
いや、ここ一応、俺の新しい職場なんですけど!
俺と同じく殺気に反応した二人も、青い炎とナイフを死柄木へと向ける。
マズい、この至近距離で炎なんか出されたら全員消し炭だ。
せめて被害を最小限に――!
「『特性権限:スパロー』…」
俺は【個性】を権限させて咄嗟に前に出ると、死柄木と荼毘、両者の手首を掴んで強引に捻り上げた。
「ちょっ……! 皆さん、落ち着いてください!!」
俺の急な行動に、二人が反射的に体を引く。
ちなみに……トガヒミコのナイフは、俺の首筋に数ミリ食い込んだところで止まっていた。
あと一センチ深ければ致命症だった。
痛ぇ……。絶対あとで血を吸われるパターンだ、これ。
「……なんだよ、お前は」
死柄木が忌々しげに、だがどこか毒気を抜かれたような顔で俺を見た。
よし。今ならちゃんと自己紹介ができそうだ。
「ヴィラン名、〈ユニークバンパイヤ〉。本名は……名乗りたくありません。ここには食事と衛生管理の担当として、指名を受けてやってきました。精一杯やらせていただきます。あ、呼ぶ時は『ユニ』でお願いします」
最後にお辞儀を添える。ふぅ、決まった。
……いや、この空気感だったらもっと【個性】を出すべきだったか?「普通」すぎたよな…
「そんなの頼んだ覚えはないんだけど……。黒霧、どうなってんの?」
死柄木が不快感を隠そうともせず、黒霧を問い詰める。
「私は、あの方――先生に頼まれ、それに従ったまでです」
「……先生が? ……チッ」
えっ、俺を指名したのは黒霧さんじゃなくて、オール・フォー・ワンなの?
思わぬ大物の名前に、俺の心臓が嫌な音を立てる。
え?俺オール・フォー・ワンに認知されてんの?てかなんで指名を…やめた、これ以上考えたく無い…
俺は最悪の考えしか余儀らず思考を放棄する。
「死柄木弔。あなたが望む道を進むなら、組織の拡大は必須事項。世間の注目が集まっている今が好機なのです。彼らは、あなたの目的を果たすために必要な駒なのですから……」
黒霧は死柄木の耳元に顔を寄せると、周囲には聞こえない声で何かを囁いた。
それを聞いた死柄木は、弾かれたように立ち上がると、無言のまま扉の方へと歩き出す。
「どこへ行く?」
「うるさい!」
義蘭さんの問いを一蹴し、死柄木は苛立ちを撒き散らしながら店を出て行った。
「取引先に口出しするつもりはないが……若すぎるねぇ」
義蘭さんが呆れたように煙草をくゆらす。
「殺されるかと思いましたぁ」
トガヒミコがケロッとした様子で呟く。
「いや、お前も殺そうとしてたからね! あと、どさくさに紛れて少しずつ近づいてこないで! 最近、吸ったばかりでしょ!」
死柄木がいなくなった反動で、抑えていたツッコミが口をついて出た。
「はぁ……。どいつもこいつも気色悪い」
荼毘が吐き捨てる。
「それを貴方が言います!? あの死柄木の反応、このメンバーの中じゃ一番まともな部類でしたけど!?」
「あぁ?」
またやってしまった。完全にツッコミのスイッチが入っている。
荼毘から鋭い殺気が飛んでくるが、もういい。
この際、殺されない程度にここのツッコミ役に徹してやろう。
「お二方とも、返答は後日ということでよろしいでしょうか? 彼は今、自分がどうすべきか葛藤しているはずです。……分かっているからこそ、何も言わずに出て行ったのでしょう。オールマイトにヒーロー殺し。二度も鼻を折られたのですから。必ず、あなた方も、そして彼自身も納得する答えを出すはずです」
黒霧の言葉に、二人は軽く応じた。
「……わかった」
「わかりました! それはそれとして……ユニ君! やっぱりちゅうちゅうさせて!」
トガがナイフを構えて飛びかかってくる。
くそっ、これだから同じ空間にいたくないんだ! こっちは今、深刻な貧血なんだよ!
何か、ここから逃げ出す口実は――。
「あ! 黒霧さん、冷蔵庫の中身って何かあります!?」
「現状、最低限のものしかありませんが」
「じゃあ買い出し行ってきます!」
「……確か、あなたは顔が割れているのでは?」
「大丈夫です! 追跡を撒くのは得意ですから! では、行ってきまーす!!」
俺はトガの突進を間一髪でかわすと、脱兎のごとく店を飛び出した。
ーーーー
ユニが慌ただしく店を飛び出した二人も出て行った後、残された義蘭が静かに口を開いた。
「あいつなら、報酬に見合った仕事はきっちりこなすよ。ああ見えて、数々の修羅場を潜り抜けてきた男だからね」
煙草の煙を吐き出しながら、義蘭はユニの「腕」を保証するように補足する。
「そうですか……。情報屋であるあなたがそこまで言うのでしたら、間違いはないのでしょうね」
黒霧は、義蘭の言葉に一応の納得を示した。
だが、義蘭はまだ拭いきれない懸念を抱えたまま、カウンター越しに黒霧を見据える。
「ただ……あいつは本来、組織に指名されるようなガラじゃない。その『先生』とやらは、あいつに別の意図があるんじゃないのか?」
その問いに、黒霧の黒い霧がわずかに揺れた。
「分かりません。私はあの方の命に従ったまでですので」
鉄壁のポーカーフェイスを崩さない黒霧。
その瞳の奥にある真意は、この場所で誰よりも冷静な義蘭にさえ読み取ることはできなかった。
「……分かった。俺はそろそろ失礼するよ。次の客を待たせているんでね」
義蘭は短く告げると、コートを翻して店を出て行った。
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疑問なんだけど、今はだいたい文字数を3000前後に抑えるようにしているのですが?
もっと長くしたほうが良いのかな?
このままの方が読みやすい?
俺の参考までにアンケート置いときます。
(リメイク前は、6000〜8000ぐらいだった)
それでは、また次回!
文字数に関してのアンケート
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今のままぐらいが読みやすい。
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もうちょい増やした方が読みやすい。
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二話分の文字数のほうが読みやすい。