【DB×HxH】サイヤ転生 〜バーダックの弟だが、飛ばされたHUNTER×HUNTERの世界で修業してフリーザたちをぶっ倒す〜 作:えーあいの下請け
エピソードオブシャロ1
肉体ってのは、つくづく不思議なもんだ。
前世じゃ運動なんて縁がなかったはずなのに、今のオレは――“戦うこと”に、一欠片の迷いもねぇ。
むしろ、血管の中で暴れるサイヤ人の血が、歓喜の咆哮を上げてやがる。が――
「……ッ、タイミングが最悪すぎるだろ、おい!」
爆発。衝撃。
空が焼け、宇宙の端まで届きそうな轟音が響く。
目の前に広がるのは、フリーザ軍との最終局面。いわゆる、惑星ベジータ最後の日ってやつだ。
(足りねぇ……圧倒的に力が足りねぇ!)
拳を握りしめる。
オレの戦闘力は、正直言って兄貴――バーダックには及ばない。だが、これでもナッパの倍はあるんだ。エリートどもにだって負けやしねぇ。
それでも、届かねぇ。目の前の“帝王”には。
「シャロ、続けッ!!」
兄貴の咆哮。
振り向いた瞬間、ドォンッ! と空気が爆ぜた。
兄貴の拳が、フリーザの顔面を捉えたんだ。
「……やったか? いや、入った!」
思わず息を呑む。
その時、兄貴の“雰囲気”が明らかに変わった。
脳裏に焼き付く、記憶と一致する違和感。
(まさか……ガス戦で見せた、あの覚醒か!?)
チッ、と舌打ちが漏れる。
「……一人で先に、カッコいいとこに行きやがって」
だが、弟のオレが置いていかれるわけにはいかねぇ。
ここで決めなきゃ、サイヤ人の名が廃るってんだ!
「兄貴、どけッ! デカいのぶち込むぞ!」
「シャロ、とどめはオレが刺す! 余計なマネすんな!」
「うるせぇ、仲良く半分こだ!」
腕にエネルギーを収束させる。空間が歪み、光が膨張する。
オレだって、この最悪な状況に――。
知識で知っていたのに――
「頭にきてんだよッ!!」
――解放。
極太の光が一直線に走り、進路上の雑魚どもを文字通り蒸発させる。
宇宙に軋みを与える渾身の一撃。
「死ね、フリーザァ!」
当たる。そう確信した、その瞬間。
(……消えた?)
冷や汗が背中を伝う。
直後、背後から氷のような声が鼓膜を震わせた。
「誇っていい。君たちはただの猿ではないようだ」
振り向くと、そこにいた。
最終形態のフリーザ。指先には、オレたちの命を終わらせるのに十分すぎる光。
「でも――ここまでだ」
ドスッ、と。
腹に熱い閃光が貫通する。
遅れて視界が真っ白になるほどの激痛。
「がっ……、は……っ!?」
(格が……違いすぎる……。なんだよ、このバケモノ……)
フリーザが冷酷に微笑み、トドメの光を指先に灯す。
死ぬ。そう思った瞬間。
脳裏によぎる、ヒータどもとの戦闘。
――世界が、静止する。
(……なんだ?)
フリーザの指先から放たれる弾筋が、スローモーションのように“見える”。
いや、“解る”。
身体が勝手に動き、触れる。
ほんのわずかに指に力を込めて、その軌道を――“ずらした”。
ゴォォォォォッ!!!
背後の空間が消し飛ぶ音を聞きながら、オレは無意識に笑っていた。
(はは、死ぬかと思ったのに笑いが出やがる)
まだ、終わらねぇぞ。
「いけるぞ兄貴ィ!」
「……ああ、ありったけだッ!」
二人の光が重なり、巨大な奔流となってフリーザへ牙を剥く。
だが。
「……ちっ、少し本気を出させてもらいますよ」
フリーザの指先に、星より強大なエネルギーが一瞬で収束する。
オレたちの全力のすべてが、押し返される。
絶望が光となって視界を埋め尽くした、その時。
兄貴が叫んだ。
「違う!」
なんだ、何があった。
なんで兄貴が今、超サイヤ人に……。
ほとばしる黄金のオーラが、フリーザの攻撃を相殺する。
「くっ、サイヤ人ごときが!」
「フリーザ!」
(お、オレもあそこに――)
痛みをこらえて兄貴の元に飛ぶ。
はずだった――。
「サイヤ人は皆殺しだ」
振り返る。あり得ない。フリーザよりも絶望的な差を感じる。
そいつをオレは知っている。
フリーザの兄。前世の映画のキャラクター。そんなことを悠長に思い出して居たとき。
オレに向かって、クウラは強大なエネルギー弾を放った。
「ち、くしょう、クウラ! 絶対にぶっ倒してやる!」
「無理だな猿。そのまま消えろ」
エネルギーの渦に飲み込まれる中、奇妙な“穴”が開いた。
「……は?」
吸い込まれる。
抗う間もなく、オレの意識は暗闇に飲み込まれていった。
■
ザザァー……と、耳心地のいい波の音。
「……、……ねえ、大丈夫?」
頬に伝わるパチパチとした痛み。
……いや、誰かオレの顔を叩いてやがるな?
「いてえわ、やめろ。……あぁ? どこだここは」
重い目蓋をこじ開けると、そこには見慣れない茶髪の女がいた。
波の音が心地よい家。惑星ベジータでないのは確実だ。
むしろ、前世の住居に近い。
「あなた大丈夫? 服もセンス最悪だし、ほぼ露出狂じゃない」
「あぁん? 喧嘩売ってんのかテメェ、誰が露出狂だ!」
「助けてあげた相手にその態度? 困った人ね」
女が腰に手を当てて睨んでくる。なんだこの女、一般人のくせにオレに物怖じしねぇ。
と、そこで視線を感じた。
足元に、ツンツン頭のガキが立っている。
どこかで見たような、妙な既視感。
「おい、女。……あのガキ、誰だ?」
「え、ゴン? 起きてたの?」
「ねえミトさん。その人、もしかしてオレの親父?」
「あー違うわよ。あいつも変人だけど、こいつほどじゃないわ」
……ゴン。ミト。
最悪の予感が背筋を駆け抜ける。
「あー……一応、確認だ。ここ、なんて場所だ?」
「くじら島だけど? 知らずに来たの?」
……は?
「ここ……『HUNTER×HUNTER』の世界かよ!」
思わず叫んだ。
「ふざけんな!! 元の所に帰せ! 死ぬならあっちで死なせろよ、畜生ーーっ!」