出来るだけ長くは書こうとは思いますが、何卒よろしくお願いします。
それはある夏の日のことだった。
深山山に流星が落下。
空中で燃え尽きるはずの流れ星にしては大きく、しかし周囲に目立った被害がない当たり隕石にしては小さいことに疑問と興味を抱いた大学生、
一「落下地点は確かにこのあたりのはずだが・・・うん?あれは・・・。」
森の中を歩きながら目視で測ったおおよその落下地点を探索していた彼の目に留まったのはドアを開けて停車している2台のパトカー。中には誰も乗っていない。
「落下物を見に行っているだけ。」嫌な胸騒ぎを押し潰すように自分にそう言い聞かせながら愛用のバイクを降りると警察官が通ったのであろう道を歩いていく一。そんな彼の前に姿を現したのは小学校のグラウンドよりもずっと大きい、楕円形をした銀色のボールのようなものだった。
なんだこれはと恐る恐る近づく彼を招き入れるかのように開いた扉。直後、扉から現れたのは明らかに人間とは違う黒い身体に大きな目、触覚を持った異質な人型の生命体。その形状はどこか、アリにも似ていた。
人型のアリという明らかな化物に思わず怯みを見せた一。
対して後ずさる彼を見つけたアリ人間は一へと襲い掛かってきた。
一「うわああああぁぁぁぁぁ!?」
叫び声をあげながらその場から逃げ出す一。アリ人間はそんな彼を追いかけ腕へとつかみかかる。
そんな相手を咄嗟に蹴り飛ばした一。よろめいたアリ人間に渾身のパンチを打ち込んで再び逃走した彼はバイクに跨るとエンジンを吹かし発進。
その後ろを、同じくバイクに乗ったアリ人間が追いかける。
猛スピードで追い上げるアリ人間から逃れつつ何とか舗装された道に出た一。
一瞬の安堵を覚えた彼の目に留まったのは待ち伏せするようにバイクを止めていた数体のアリ人間。
山道から降りてきたアリ人間たちも追いつき、一を挟み撃ちにするようにじりじりと追い詰めてくる。
一「一か八か・・・やるしかないか!」
飛び掛かってきたアリ人間の攻撃をいなしつつカウンターパンチ。続いて、背後に回っていたアリ人間の身体を掴んで斜面から落として抵抗を見せた一。しかし数の暴力、その上人間を上回る頑丈性を見せるアリ人間に追い詰められていった彼はついに取り押さえられてしまった。
一「くそ・・・ッッ離せ!!」
逃れようと身をよじる一の腹を殴り、動かなくなったのを確認したアリ人間たちはそのまま彼を連れて行った。
一「・・・ここは・・・?」
「目を覚ましたかな?」
数十分後。目を覚ました彼は何者かに声をかけられた。
一「誰だ!?」
声の主を探そうと身体を起こした彼の目に映ったのは白衣を着た青年。
「おや」と驚いた顔を見せた彼は一へと近づいて、その体をまじまじと見つめてきた。
「驚いた。アリ兵士じゃびくともしない程頑丈な拘束にしておいたはずなんだけど・・・」
一「拘束だと・・・!?」
腕を見ると、そこについていたのは引きちぎられたらしい鉄輪。
だがそれ以上に彼が驚いたのは人間のそれとは似ても似つかない腕。
悲鳴を上げた彼に、青年は不気味な笑みを浮かべながら話しかけてきた。
「驚いたでしょ、ソレ。本当は君のこと殺しちゃおっかな~・・・って思ってたんだけど、身体の使い方は上手だし、丁度あたらしい改造人間を試してみたかったからやってみたんだ。」
一「お前・・・!」
振りかぶった拳をひょいと躱した青年は一の腹へと蹴りを入れる。人間とは思えない威力のキックを受けた一は大きく吹っ飛びつつも着地。「シュッ」と突き刺すように伸ばしてきた腕をキックで相殺すると、反動を使い距離をとり青年目掛けダッシュ。跳躍し跳び蹴りを放つと、青年はいとも簡単に足を掴んで蹴りを受け止めた。
「うーん・・・やっぱり実用的な改造人間よりは弱いか。・・・でも量産型の改造人間としてはありかな。取り敢えず脳改造だけ済ませちゃおっか。」
その言葉と共に一を投げ飛ばすと、じりじりと近づく青年。
壁に叩きつけられた一はふらつきながら周りを見渡すと出入口らしき扉を見つけ、近くにあったワゴンを投擲し同時に扉目掛け疾走。
投擲されたワゴンへの対処で行動が遅れた青年の隙をついて扉へと飛び込んだ一の目に映ったのは迷路のように入り組んだ狭い通路だった。
勘に任せてがむしゃらに。しかし妙に確信めいたものを抱き、立ち塞がるアリ人間たちをなぎ倒しながら通路を走っていくと一は出入口らしい扉にたどり着いた。
一「ぐ・・・うおおおぉぉぉぉ・・・!!」
そのドアを力任せに開いた一は脱走。
数秒遅れて外に飛び出してきた何体ものアリ怪人のうち数体は彼を探しに外へと飛び出し、残りの数体は銀色のドボールの中へと戻っていった。
「逃がした…だと?」
ボールの中。やけに広い一室で低い、威厳のある声が響く。
声の主らしい、鎧武者のような風貌をした人物は平伏す白衣の青年を睨みつけながら言葉を続ける。
鎧武者「どこまで知られた・・・?」
「恐らく何も…。必ず、処分して見せます。」
返事を聞き、つまらなさそうにフンと鼻を鳴らした鎧武者は青年を下がらせると、近くにいた大男を呼びつけた。
鎧武者「命令だ。逃亡者を俺の前に持ってこい。可能なら生きた状態でな。」
「畏まりました、将軍。」
深々と頭を垂れた大男は、しかし。剛毛の生えた腕から伸びる鉤爪や八つの不気味な目と、そう呼ぶには余りにも異質な見た目をしていた。
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