ヒロアカ世界に転生した者が千手を背負い過ごしていく。   作:名も無き住人

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日常回ですが少しだけ恋愛要素あり?な話となります。


十六話

 放課後。

 学校から出ると、ねじれが校門の前で待っていた。

 水色のロングヘアが風に揺れている。今日は普通の私服だ。雄英近くの寮から直接登校したから、学校が終わり一度帰ってから待っていたのだろう。

 (結構足止めされたから待たせてしまったか……)

 

「悠太!! 透ちゃん!!」

 ねじれが手を振った。

 

「待ってたのか」と俺は言った。

 

「待ってた!! 昨日のUSJのこと、ちゃんと顔見て話したくて!! 二人が無事なのはわかってたけど、でも会わないと気が済まなくて……」

「ねじれ先輩……」と透が言った。

 

「変?」

「変じゃない」と俺は答えた。「ありがとう」

 ねじれが少し止まった。

 

「……悠太が素直に「ありがとう」って言った」

「言わない方が良かったか」

 

「ううん!! 嬉しい!! ちょっとびっくりしただけ!!」

 ねじれが照れたような声で言った。水色の髪が夕日を受けてきらきらと光っている。

 

「どこか行く? 今日はうちに来るか?」

「うん! 行く!! ていうか今日は私が何か作ろうか? いつも悠太に作ってもらってばかりだし」

 

「ねじれが作るのか」

「作れるよ!? 得意じゃないけど!!」

 

「……じゃあ一緒に作るか」

 

「え、一緒に?」

「料理は教えると覚える。一人でやるより二人でやった方が早い」

 ねじれが少し黙った。それから「……一緒に作るの、なんか嬉しい」と小さく言った。

 

「私も一緒に作りたい!」と透が言った。

「三人で作るか」

「やったーー!!」とねじれ。

「……やった」と透。

 三人で並んで歩き始めた。

 

  台所に三人が入ると、狭い気がした。でも不思議と悪くなかった。

「今日は何にするの?」とねじれが聞いた。

 

「材料を見てから決める。冷蔵庫開けてくれ」

「はいはい! えーと……鶏肉、卵、白菜、しめじ、長ねぎ、豆腐……あとはじゃがいもが少し」

 

「鶏と白菜の鍋にするか。寒い時期じゃないが、昨日いろいろあったからな。温かいものが良い」

「それ最高じゃん……!!」

 

「ねじれは白菜を切れるか」

「切れる!! 太さはどのくらい?」

「三センチくらいの短冊切り。芯は少し薄めに」

「わかった!!」

 

 ねじれがまな板の前に立った。包丁の持ち方が少し危なっかしかったが、俺が「持ち方はこう」と後ろから手を添えて教えると、ねじれが「あっ、こう? 切りやすい!!」と声を上げた。

 

「透は長ねぎを斜め切りに」

「うん、やってみる」

 

「包丁は引きながら使う。押さない方が安定する」

「……こう?」

 

「そう。上手い」

「……本当に?」

「本当だ」

 透の動きが少し軽くなった。

 

 俺は鶏肉を一口大に切りながら、鍋の準備をした。だしは昆布とかつおを合わせる。鍋の汁は出汁が命だ。薄口醤油と塩と、少しだけみりん。

 

「悠太ってさ、料理するとき楽しそうだよね」とねじれが切りながら言った。

「そうか?」

「うん。目が違う気がする。普段と」

「普段は目が違うのか」

「違うっていうか……普段は落ち着いてるけど、料理してるときはもっとなんか……生き生きしてる感じ?」

 俺は少し考えた。

 

「好きなことをしてるからだろう」

「料理が好きなの?」

「好きだ。素材が変わっていく過程が面白い。考えた通りに味が出たとき、それが一番気持ちいい」

 

「……悠太って、自分の好きなこと、ちゃんと知ってるよね」

「そうか?」

 

「うん。料理が好き、歌が好き、戦闘が好き——って、全部ちゃんと言える。私、自分が何が好きかってぱっと言えないから、羨ましいな」

「ねじれはヒーローになりたいだろ。それが好きということじゃないか」

「……そうか。そうだね」

 ねじれが少し黙って、白菜を切り続けた。

 

「悠太に言われると、なんかすっきりする」

「なんでだ」

「わかんない。でも、すっきりする」

 透が「私もそう思う」と長ねぎを切りながら言った。

 

「悠太に言われると、なんかそれが正解な気がしてくる」

「俺が正解を言ってるわけじゃないぞ」

「でもそう感じる」

「……そうか」

 俺はだし汁を鍋に入れながら、少し思った。

 こういう時間が——好きだ。

 

 台所に三人がいて、それぞれが何かをしていて、会話が続いている。

 

 前世ではこういう時間がなかった。あってもよかったんだろうが、俺の方が作れなかった。

 

 今世ではある。透とねじれがいるから、ある。

(大事にしないといけない)

 俺はそう思った。

 

  鍋が完成して、三人でテーブルについた。

 

「いただきます!!」

 

「いただきます」

 

「……いただきます」

 

 ねじれが一口飲んで「おいしい……!!」と言った。

 

「私も切ったのに!! なんか嬉しい!!」

「透も上手く切れてたぞ」

「……本当に?」

「本当だ。長ねぎが均等な厚さで切れてた」

 

「……やった」

 透が小さく喜んだ。

 

「ねじれも白菜の切り方が良かった。芯がちゃんと薄くなってた」

 

「えっ、褒められた!! 悠太に料理褒められた!!」

 

「料理は素直に伸びるやつが上手くなる。ねじれは素直だから向いてる」

 

「……なんかそれ、すごく嬉しい」

 

 ねじれが少し静かな声で言った。いつもの全力の大きな声じゃなく——本当に嬉しいときの、静かな声だ。

 

 俺はそれを聞いて、何も言わなかった。

 

 でも、ちゃんと届いているのはわかっていた。

 

 ねえ、体育祭の話聞いた?」とねじれが食べながら言った。

 

「今日告知があった」と俺。

「三年生も同じ日程だよ! 全学科が出るから、普通科やサポート科も出るんだよね」

 

「そうなのか」

 

「うん! 去年の体育祭、すごかったよ。二年と三年の人たちが本気でやってて、プロから声かかってる人もいたし」

 

 「そうか」

 

「悠太は体育祭、どんな感じでやる?」

 

「個性の上限を確認する。それが一番の目的だ」

 

「……スカウト狙いとかじゃないの?」

 

「俺の将来の目標は歌い手だ。スカウトされてもヒーロー事務所には入らない」

 

「じゃあどんな目的で体育祭出るの?」

 

「自分の個性を知るため。あとは——」

「あとは?」

 

「クラスメイトと本気でぶつかれる機会は貴重だから」

 

 ねじれが「……悠太って、クラスメイトのこと、好きになってきてる?」と聞いた。

 

 俺は少し考えた。

「好きというか——面白い人間が多い、と思ってる」

 

「それが悠太の「好き」だよね」と透が言った。

 

「そうか?」

 

「うん。悠太が「面白い」って言うのは、「好き」と同じ意味だと思う。私はそう感じてる」

 

 俺はそれをしばらく考えた。

「……そうかもしれない」

 

「でしょ」と透。

 

「でしょ!!」とねじれ。

 

「そうすると、俺はこのクラスが好きということになるな」

 

「そうだよ!!」とねじれが元気よく言った。

 

「良かった」と透が静かに言った。

 俺はその二人の反応を見て——また少し笑った。

 

 ねじれが帰る前に、廊下で少しだけ二人になった。

 透は台所で片付けの続きをしていた。

 ねじれが俺を見た。

 

「さっきの話」

 

「ああ」

 

「……嬉しかった」

 

「そうか」

 

「悠太が「何かが動く」って言ってくれたこと。それだけで、なんか……充分な気がした」

 

「充分か」

 

「充分。欲張りじゃないから」

 

 俺はねじれの顔を見た。

 水色の髪が廊下の電灯の下で、やわらかく光っていた。いつも元気で、おしゃべりで、全力で——でも今は、静かな顔をしていた。

 

「ねじれ」

 

「なに?」

 

「俺のことを待ってくれてるなら、今すぐ答えは出せないが——」

 

「わかってる」

 

「出せないが……いつかちゃんと向き合う。それは約束する」

 ねじれが少し目を見開いた。

 

 それから、ゆっくりと「……うん」と言った。

 

「ありがとう、悠太」

 

「どういたしまして」

 

 ねじれが「じゃあね!!」と言って、玄関から出ていった。

 

 水色の髪が、扉の向こうに消えた。

 

 俺はしばらくそこに立っていた。




如何でしょうか?AI君に書かすと所々?となる文章を作るので修正に手間取りました。変なところがあればお教え下さい。
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