ヒロアカ世界に転生した者が千手を背負い過ごしていく。 作:名も無き住人
放課後。
学校から出ると、ねじれが校門の前で待っていた。
水色のロングヘアが風に揺れている。今日は普通の私服だ。雄英近くの寮から直接登校したから、学校が終わり一度帰ってから待っていたのだろう。
(結構足止めされたから待たせてしまったか……)
「悠太!! 透ちゃん!!」
ねじれが手を振った。
「待ってたのか」と俺は言った。
「待ってた!! 昨日のUSJのこと、ちゃんと顔見て話したくて!! 二人が無事なのはわかってたけど、でも会わないと気が済まなくて……」
「ねじれ先輩……」と透が言った。
「変?」
「変じゃない」と俺は答えた。「ありがとう」
ねじれが少し止まった。
「……悠太が素直に「ありがとう」って言った」
「言わない方が良かったか」
「ううん!! 嬉しい!! ちょっとびっくりしただけ!!」
ねじれが照れたような声で言った。水色の髪が夕日を受けてきらきらと光っている。
「どこか行く? 今日はうちに来るか?」
「うん! 行く!! ていうか今日は私が何か作ろうか? いつも悠太に作ってもらってばかりだし」
「ねじれが作るのか」
「作れるよ!? 得意じゃないけど!!」
「……じゃあ一緒に作るか」
「え、一緒に?」
「料理は教えると覚える。一人でやるより二人でやった方が早い」
ねじれが少し黙った。それから「……一緒に作るの、なんか嬉しい」と小さく言った。
「私も一緒に作りたい!」と透が言った。
「三人で作るか」
「やったーー!!」とねじれ。
「……やった」と透。
三人で並んで歩き始めた。
台所に三人が入ると、狭い気がした。でも不思議と悪くなかった。
「今日は何にするの?」とねじれが聞いた。
「材料を見てから決める。冷蔵庫開けてくれ」
「はいはい! えーと……鶏肉、卵、白菜、しめじ、長ねぎ、豆腐……あとはじゃがいもが少し」
「鶏と白菜の鍋にするか。寒い時期じゃないが、昨日いろいろあったからな。温かいものが良い」
「それ最高じゃん……!!」
「ねじれは白菜を切れるか」
「切れる!! 太さはどのくらい?」
「三センチくらいの短冊切り。芯は少し薄めに」
「わかった!!」
ねじれがまな板の前に立った。包丁の持ち方が少し危なっかしかったが、俺が「持ち方はこう」と後ろから手を添えて教えると、ねじれが「あっ、こう? 切りやすい!!」と声を上げた。
「透は長ねぎを斜め切りに」
「うん、やってみる」
「包丁は引きながら使う。押さない方が安定する」
「……こう?」
「そう。上手い」
「……本当に?」
「本当だ」
透の動きが少し軽くなった。
俺は鶏肉を一口大に切りながら、鍋の準備をした。だしは昆布とかつおを合わせる。鍋の汁は出汁が命だ。薄口醤油と塩と、少しだけみりん。
「悠太ってさ、料理するとき楽しそうだよね」とねじれが切りながら言った。
「そうか?」
「うん。目が違う気がする。普段と」
「普段は目が違うのか」
「違うっていうか……普段は落ち着いてるけど、料理してるときはもっとなんか……生き生きしてる感じ?」
俺は少し考えた。
「好きなことをしてるからだろう」
「料理が好きなの?」
「好きだ。素材が変わっていく過程が面白い。考えた通りに味が出たとき、それが一番気持ちいい」
「……悠太って、自分の好きなこと、ちゃんと知ってるよね」
「そうか?」
「うん。料理が好き、歌が好き、戦闘が好き——って、全部ちゃんと言える。私、自分が何が好きかってぱっと言えないから、羨ましいな」
「ねじれはヒーローになりたいだろ。それが好きということじゃないか」
「……そうか。そうだね」
ねじれが少し黙って、白菜を切り続けた。
「悠太に言われると、なんかすっきりする」
「なんでだ」
「わかんない。でも、すっきりする」
透が「私もそう思う」と長ねぎを切りながら言った。
「悠太に言われると、なんかそれが正解な気がしてくる」
「俺が正解を言ってるわけじゃないぞ」
「でもそう感じる」
「……そうか」
俺はだし汁を鍋に入れながら、少し思った。
こういう時間が——好きだ。
台所に三人がいて、それぞれが何かをしていて、会話が続いている。
前世ではこういう時間がなかった。あってもよかったんだろうが、俺の方が作れなかった。
今世ではある。透とねじれがいるから、ある。
(大事にしないといけない)
俺はそう思った。
鍋が完成して、三人でテーブルについた。
「いただきます!!」
「いただきます」
「……いただきます」
ねじれが一口飲んで「おいしい……!!」と言った。
「私も切ったのに!! なんか嬉しい!!」
「透も上手く切れてたぞ」
「……本当に?」
「本当だ。長ねぎが均等な厚さで切れてた」
「……やった」
透が小さく喜んだ。
「ねじれも白菜の切り方が良かった。芯がちゃんと薄くなってた」
「えっ、褒められた!! 悠太に料理褒められた!!」
「料理は素直に伸びるやつが上手くなる。ねじれは素直だから向いてる」
「……なんかそれ、すごく嬉しい」
ねじれが少し静かな声で言った。いつもの全力の大きな声じゃなく——本当に嬉しいときの、静かな声だ。
俺はそれを聞いて、何も言わなかった。
でも、ちゃんと届いているのはわかっていた。
ねえ、体育祭の話聞いた?」とねじれが食べながら言った。
「今日告知があった」と俺。
「三年生も同じ日程だよ! 全学科が出るから、普通科やサポート科も出るんだよね」
「そうなのか」
「うん! 去年の体育祭、すごかったよ。二年と三年の人たちが本気でやってて、プロから声かかってる人もいたし」
「そうか」
「悠太は体育祭、どんな感じでやる?」
「個性の上限を確認する。それが一番の目的だ」
「……スカウト狙いとかじゃないの?」
「俺の将来の目標は歌い手だ。スカウトされてもヒーロー事務所には入らない」
「じゃあどんな目的で体育祭出るの?」
「自分の個性を知るため。あとは——」
「あとは?」
「クラスメイトと本気でぶつかれる機会は貴重だから」
ねじれが「……悠太って、クラスメイトのこと、好きになってきてる?」と聞いた。
俺は少し考えた。
「好きというか——面白い人間が多い、と思ってる」
「それが悠太の「好き」だよね」と透が言った。
「そうか?」
「うん。悠太が「面白い」って言うのは、「好き」と同じ意味だと思う。私はそう感じてる」
俺はそれをしばらく考えた。
「……そうかもしれない」
「でしょ」と透。
「でしょ!!」とねじれ。
「そうすると、俺はこのクラスが好きということになるな」
「そうだよ!!」とねじれが元気よく言った。
「良かった」と透が静かに言った。
俺はその二人の反応を見て——また少し笑った。
ねじれが帰る前に、廊下で少しだけ二人になった。
透は台所で片付けの続きをしていた。
ねじれが俺を見た。
「さっきの話」
「ああ」
「……嬉しかった」
「そうか」
「悠太が「何かが動く」って言ってくれたこと。それだけで、なんか……充分な気がした」
「充分か」
「充分。欲張りじゃないから」
俺はねじれの顔を見た。
水色の髪が廊下の電灯の下で、やわらかく光っていた。いつも元気で、おしゃべりで、全力で——でも今は、静かな顔をしていた。
「ねじれ」
「なに?」
「俺のことを待ってくれてるなら、今すぐ答えは出せないが——」
「わかってる」
「出せないが……いつかちゃんと向き合う。それは約束する」
ねじれが少し目を見開いた。
それから、ゆっくりと「……うん」と言った。
「ありがとう、悠太」
「どういたしまして」
ねじれが「じゃあね!!」と言って、玄関から出ていった。
水色の髪が、扉の向こうに消えた。
俺はしばらくそこに立っていた。
如何でしょうか?AI君に書かすと所々?となる文章を作るので修正に手間取りました。変なところがあればお教え下さい。