ヒロアカ世界に転生した者が千手を背負い過ごしていく。 作:名も無き住人
ステージを降り、客席に戻るとクラスメイトたちが待っていた。
「悠太くん! すごかった!」と麗日が言った。「酸が触れても溶けないと分かるとすぐちゃんと対応してて……!」
「確証が無かったけどな」
「でも切り替えが速かった! 見てて、頭使ってるなって思った!」
「褒め方が独特だな」
麗日が笑った。
緑谷が走ってきた。
「千手くん! 真数千手の腕を地面に突いて浮遊するのと、出力を抑えた壱乃掌……! 今まで見たことない使い方だったよ……!」
「試しながらやった。本番で試すのはあまり良くないが、練習できる相手がいなかった」
「それでああ動けるのが……!」緑谷がノートを取り出した。「少しメモしていい?」
「好きにしろ」
飯田が「諸君、次の試合も始まるぞ!!」と言った。
俺はクラスメイトたちの顔を見た。
芦戸の試合を真剣に見ていた顔。緑谷が分析していた顔。麗日が心配していた顔。飯田が仕切っていた顔。
(悪くない)
俺はそう思った。
だが俺には一つ頭に残る出来事を思い出していた。
——————————
騎馬戦が終わり、昼休憩の時間になった。
(さてと、昼ご飯でも食べに行くか……)
「……なぁ千手、あと緑谷もいいか」
「うん?」
「え?」
「…話があるんだ」
昼ご飯を食べる為に食堂へ行こうとした矢先、轟に呼び出された。
「轟くん……話って……何? 早くしないと食堂すごい混みそうだし……」
と緑谷がしどろもどろになりながらも言い
「出来れば直ぐに済ませてくれ……透とご飯食べる約束してるから透が不機嫌になる……」
と俺も意見すると。
轟は何も言わずにこちらを睨みつけるように見てくる。まるで敵意があるような感じだ。
「気圧された…自分の制約を破っちまう程によ…」
と言う轟に俺は少し感心していた。
(へぇ〜緑谷が轟とねぇ〜やるじゃん緑谷)
「なァ、緑谷…お前…オールマイトの隠し子か何かか?」
「「……」」
(何故そうなる……)
だが緑谷は何か別の隠し事はあるみたいな反応を見せる
「違うよそれは…って言っても、もし本当に隠し子なら違うって言うに決まってるから納得しないと思うけど、とにかくそんなんじゃなくて……」
「「そんなんじゃなくて」って言い方は少なくとも何かしら言えない繋がりがあるって事だな……」
と轟が言うことに俺も静かに同意する。
「何故俺は呼ばれたんだ?今の所俺は関係ないように思えるが……」
と言うと轟は一息ついて喋り始める。
「お前もオールマイトの隠し子とは思っていない……ただお前の個性に関して聞きたくてな……単刀直入に聞く……お前も作られた仔か?」
その言葉に俺は憤慨した。
「巫山戯るなよ轟……!本気で言っているのか!」
そう言うと轟は直ぐに謝罪した。
「悪かった千手、気を悪くさせてすまなかった」
「……わかればいい」
だろ」
「……緑谷はオールマイトと何かしらつながりがある。千手俺の倍は強ぇ。だから俺は……猶更勝たなきゃいけねぇ。俺の親父はエンデヴァー。知ってるだろ、万年№2のヒーローだ」
「「……」」
轟が俺達2人に自身の父親の事を語り始める。
「親父は極めて上昇志向の強い奴だ。ヒーローとして破竹の勢いで名を馳せたが…それだけに生ける伝説オールマイトが目障りで仕方無かったらしい。
自分ではオールマイトを越えられねぇ親父は次の策に出た。"個性婚"知ってるよな」
「……!超常が起きてから、第二~第三世代間で問題になったやつ……」
と緑谷が言うと俺はまさかと思った。
「ああ、自身の“個性”をより強化して継がせる為に配偶者を選び、結婚を強いる。倫理観の欠落した前時代的な発想……」
「……ちょっと待って、此処でそんな話が出るって事は、まさか……」
……緑谷もどうやら気付いたようだな
「そのまさかだ。親父はその頃から万年№2なんて言われていたらしいが、そこは腐っても№2ヒーロー。つまり、親父にはそれに相応しい実績と金だけはあった。それで親父は母の親族を丸め込み、母の“個性”を手に入れた」
「記憶の中の母はいつも泣いている…『お前の左側が醜い』と…母は俺に煮え湯を浴びせた」
「「……!!」」
左側の顔の火傷に手を覆い火傷の理由を告げる轟、その理由を聞いて緑谷と俺も流石に青ざめてしまった。
「ざっと話したが俺がお前らに突っかかんのは見返す為だ。クソ親父の個性なんざ無くたって、いや…使わず一番になる事で奴を完全否定する!!」
轟がそう宣言して次に俺に目線が向けられる。冷たく鋭い視線だった。
(目の敵にされてるな……)
すると緑谷が
「僕は…ずぅっと助けられて来たさっきだってそうだ…僕は…誰かに救けられてここにいる。オールマイト……彼のようになりたい…その為に1番になるくらい強くなきゃいけない。君に比べたら些細な動悸かもしれないけど…でも僕だって負けらんない。僕を救けてくれた人達に応える為に…さっき受けた宣戦布告、改めて僕からも…僕も君に勝つ!!」
緑谷が拳を握り締め轟に宣戦布告をした。轟はそれを聞いてそのまま立ち去っていった。
(緑谷……本当にすげぇな……)
——————————
(轟……お前は……)
そうこうしてるうちに次の俺の対戦相手が決まった。
「次の相手は常闇か……」
八百万に何もさせず速攻で場外に押し出し勝利していた。
(さてと……次の準備でもしようか)
試合の流れは基本原作通りなので気になる方は原作を見てください。