ヒロアカ世界に転生した者が千手を背負い過ごしていく。 作:名も無き住人
準決勝
千手悠太VS爆豪勝己。
スタジアムの雰囲気が変わった。観客の熱が上がった。
爆豪は今日、全試合を圧倒している。相手を完膚なきまでに叩きのめして勝ち上がってきた。出力も速さも、今日見た誰よりも高い。
俺は爆豪を正面から見た。
爆豪が俺を見ていた。
「……おい金ピカ野郎」
「なんだ(金ピカ?)」
「今日、ちゃんと見てたぞ。芦戸戦も常闇戦も」
「そうか」
「手加減してたろ」
俺は少し考えた。
「手加減ではない。必要な力を使った」
「同じことだ」と爆豪は言った。
「俺相手に同じことしてみろ。ぶっ飛ばす!」
「するつもりはないが、どうなるかわからん」
「あ?」
「お前相手に、必要な力が何かわからない。だから最初からその気で動くつもりだ」
爆豪が少し目を細めた。
「……ほぉ」
それから、爆豪が笑った。俺が今日初めて見る、本気の笑顔だった。
「いいじゃねえか。やってみろ」
「試合開始!」
爆豪が即座に飛んだ。
爆発を使った高速移動——空中から俺に向かって突進してくる。
俺は真数千手を顕現した。
「シねェ!!!」
「壱乃掌!」
ドゴォン!!
爆発と掌がぶつかり合い爆発の熱が掌打を相殺した。
(やはりこれでは倒せないか……)
ならやる事は一つ……手数を増やす!
真数千手——弍乃掌
もう一つ目の腕が爆豪に向けて放たれる、が……さらに
真数千手——参乃掌
バゴォン!!
二本の腕で挟み込み攻撃する、これでは動かまい。
実況席からも
「ほぉ……彼奴が壱乃掌以外も使うとは……それほど爆豪を警戒したな」
「おいおい!こりゃあ勝負は決まったかぁ‼︎」
たが
俺は驚愕する
ドォォォォォン!!!!!!
なんと腕を破壊して出てきたのだ
(マジか……自分諸共爆破で……!)
「おいおい……何驚いてやがるこんなんで俺を倒せると思ってんのカァ!!」
「食いやがれぇ!!」
ドォン!! ドォン!! ドォン!!!!
爆豪が全方向に爆発を放った。俺の掌打が弾かれた。
だが——全部は弾けなかった。
一発の掌打が爆豪の体に当たった。
ドゴォン!!
「ぐっ——!!」
爆豪が吹き飛ぶ。
だが同時に、爆豪の爆発が俺の体に当たる。
ボッガァン!!!!
「——ッ!!」
俺も吹き飛んだ。
二人同時に、反対方向に。
着地して、立ち上がった。爆豪も立ち上がっていた。
お互いのダメージを確認するように、一瞬止まった。
「……やるじゃねえか」と爆豪が言った。
「お前も」
「タリめぇだろう!」
爆豪の手に爆発が溜まっていた。俺の傷が増えてきた。
それでも——俺は冷静だった。
(まだいける)
俺は真数千手を再展開した。消えた腕が戻ってきていた。
(……やはり正の力は体力を大きく持ってかれる……特に腕の再生は特にか……)
試合が続いた。
爆豪の爆発と俺の真数千手がぶつかり続けた。
スタジアムが揺れ、観客が沸いた。
俺の腕も吹き飛んだ。爆豪も傷を増やしていた。
どちらも引かなかった。
どちらも、楽しんでいたのだ。
決定的な瞬間は、突然来た。
爆豪が上空高く飛んだ。
そして——渾身の爆発を、真上から叩き込んできた。
「ハウザー!!!!インパクトォ!!!!」
ドォォォォォン!!!!!!
轟音がスタジアム全体に響いた。
爆発の衝撃が俺の真数千手を使いガードしてた俺を衝撃波が貫いた。
俺は——半歩、後退した。
それだけだった。
「……なんで倒れねえんだ」
爆豪が言った。驚いた声だった。
「倒れるほどじゃなかった」
「あの威力で?」
「痛かったが、倒れるほどじゃない」
爆豪が着地した。俺を正面から見た。
「……テメー、どこまで頑丈なんだ」
「さあ」
「さあ、じゃねえ」
だがここで正の力を隠してきた弊害が出た。
「そこまで!勝者、爆豪勝己!!」
「ハァ!?」
「……何?!」
爆豪も驚いているが俺も驚いた。
「ナンっでだよ!!」
爆豪が声を荒げるとミッドナイトが説明する。
「場外や戦闘不能ではないけれど、出血量が多すぎるため危険と判断し勝者爆豪くん!」
よく見ると確かに全身血だらけだった、ただ見た目だけでそこまで出血はないように自分では思えるが、全身血だらけのヒーローはダメという事なのだろう。
「フザケンナ!もう少しだったのに!」
と爆豪が吠える。
「何が「もう少し」だ。俺もまだ動けた」
「うるせえ! テメーが余計硬いからだ!!」
ステージを降りて客席に戻ると、クラスメイトが待っていた。
「悠太!」
透の声がした。
「無事か」
「無事だ」
「傷増えてるじゃん!」
「浅い」
「またそれ言う……!」
透が俺の腕を掴んだ。確認するように。
「……本当に浅いね」
「言っただろ」
「心配したんだよ」
「ありがとう」
麗日が「すごかった!!爆豪くんと互角に戦ってて……!!」と言った。
「負けたが」
緑谷が「負けたのに……なんか楽しそうでしたよね、千手くん」と静かに言った。
「確かに楽しかった」
「やっぱり」
「爆豪は今日一番強かった。強い相手と本気でやれて、楽しくない理由がない」
緑谷が少し笑った。
「僕も、そういうのわかるよ。怖くて痛くても……本気でぶつかれてる感じが、良いっていうの。」
「そうだ」
「……なんか、また似てる気がしました」
「俺とお前は違う人間だが」
「でも、方向性が同じというか……」
俺は緑谷の顔を見た。
真剣な目だった。この男は本当に、ヒーローになりたいのだ。それが全身から見える。
「緑谷」
「何?」
「お前はいいヒーローになる」
緑谷が固まった。
「……どうして、そう思うんですか」
「本気で人を守りたいと思ってる顔をしてる。そういう人間が強くなったとき、一番頼りになる」
緑谷の目が赤くなった。
「……ありがとう」
「事実を言っただけだ」
「それでも、ありがとう」
爆豪に負けた。悔しいかと聞かれれば悔しい。だがまた戦える日も来るだろう、これからの俺の役割は——観客だ。
三位は自動的に決まった。俺と轟との対戦で負けた飯田天哉、二人が同時に三位。
「千手くん! さっきの爆豪くんとの試合、見事だった!!出血多量での敗北と聞いたが本当に大丈夫なのか?」
「心配してくれてありがとう。でも問題ない、見た目が酷かっただけだ、飯田も準決勝まで行った。良い戦いだった」
「……恐縮だ」
「ホントは轟とも戦いたかったがこうなってしまったら仕方……どうした、何かあったか?」
飯田がしばらく黙った。
「……兄が、怪我をしまして」
「そうか」
「詳しくはわからないが……今から早退して向かわなくてはいけない」
「わかった。家族を優先しろ」
「……すまない。本当なら壇上にも一緒に上がりたかったが」
「俺が代わりに立つ。気にするな」
こいつは本当に真面目な人間だ。ヒーローを目指している理由が、ちゃんとある。それが伝わってくる。
「飯田」
「なんだい?」
「お兄さんが早く回復することを祈ってる」
飯田が一瞬固まった。
「……ありがとう」
決勝が始まった。
爆豪勝己 VS轟焦凍。
スタジアムの熱が変わった。
俺はその二人をステージから見た。
爆豪はいつも全力だ。全身から闘志が出ている。
轟は——またしても右半身だけで戦っていた。火を使っていない。
(なぜだ)
俺は見ながら考えた。
轟の右半身の氷は強力だ。だが火を使えば、さらに強くなる。なぜ使わない。
まだ何か理由があるのか、轟の中に、緑谷と戦いで解けたと思っていたが……
俺にはわからない。でも——爆豪はそれを許さないだろう。
案の定左を使わない轟に爆豪がキレて吠えていた。そして爆豪の必殺技を繰り出し、轟も炎を使うかと思ったが……轟は炎を消した。
そして轟の場外となり爆豪が優勝した。
———————————
「それではこれより!!表彰式に移ります!!」
しばらく時間が立ち表彰式の時間となった。表彰台には3位俺、2位の場所には轟が、そして1位の場所には……
「何アレ……」
「起きてからずっと暴れてんだとよしっかし、まー締まんねー1位だな」
「ん"ん"〜〜〜!!」
恐らくは他のA組の生徒達も1位の表彰台で拘束器具でガチガチに拘束されている爆豪の様子を見て引いているだろう。
俺は今はいない飯田の事を案じていた
「福本くん……先に失礼します。兄のところへ行かなければなりません」
「行け。お兄さんのそばにいてやれ」
「……表彰式、一人で申し訳ない」
「気にするな。飯田の分まで、ちゃんと立つ」
飯田が深く頭を下げた。
「……本当に、ありがとう。この体育祭、本当に良い戦いができた。それだけは確かだ。」
「ああ。良い体育祭だった」
飯田が去った。
その背中を見送りながら、俺は思った。
(大事でなければいいが、飯田のお兄さん)
心配していると,ミッドナイトが話を続けた。
「メダル授与よ!!今年メダルを贈呈するのはもちろんこの人!!」
「私が…メダルを持って来「我らがヒーローオールマイト!!」……」
オールマイトの登場文句とミッドナイトの声が被って気まずい雰囲気が少しだけだが漂った。
早速メダル授与となり3位の俺のメダル授与となった。
オールマイトがメダルを渡しながら、低く声をかけてきた。
「よく戦ったよ、千手少年」
「ありがとうございます」
「今日の試合、全部見ていた。芦戸少女戦の臨機応変さ、常闘少年戦の正面突破、爆豪少年戦の粘り——どれも本物だ」
「爆豪には負けました」
「それでも、あれだけやれれば十分だ。ただ——」
オールマイトの声が少し変わった。
「一つ、気をつけてほしいことがある」
「なんですか」
「君は傷を軽く扱いすぎる。先程の試合、肩と腕の傷を「浅い」と言って、しばらく放置していたそうだな」
「問題ないと思ったので」
「そう判断できる根拠があるのはわかる。だが、ヒーロー活動の中では、小さな傷が積み重なって大きなダメージになることがある。自分の体を守ることも、力の一部だ」
俺は少し考えた。
「……受け取ります」
「もう一つ。君は個性の出力を状況に合わせて変えることができる。それは本当に優れた技術だ。ただ——まだ上限が見えていないだろう?」
「はい」
「上限を知ることは大事だ。だが、知る前に出し切ってしまうのが一番危険だ。上限に近づくときは、必ず安全な環境で、段階的に。わかるかい?」
「わかります」
「よし」
オールマイトが、今度は笑顔になった。
「君は強い。そして——見ていて、楽しかった。戦いを楽しんでいる人間の戦いは、見ている者にも伝わる」
「……ありがとうございます」
「これからも頑張りなさい。君がどんな道を選んでも、その力は誰かの役に立つ」
俺はそのメダルを受け取った。
重かった。
ただの金属なのに——重かった。
隣の空いたスペースを見た。
(飯田、ちゃんと受け取っておくぞ)
俺は静かにそう思った。
夜。
三人で飯を食った。
今日は俺じゃなくて透が作ると言い張った。ねじれも一緒に来ていた。
「悠太!!今日めっちゃかっこよかった!!爆豪くんと互角に戦ってて!!私もうドキドキしすぎて心臓止まるかと思った!!」
「止まってないだろ」
「止まりそうだったの!!本当に!!ていうか肩の傷大丈夫?!あと腕に爆発当たってたよね?!全部大丈夫?!」
「全部大丈夫だ」
「でも負けたじゃん」
「負けた」
「悔しくないの?」
俺は少し考えた。
「悔しい。自分の力を出しきれなかったら、ただ爆豪が出しきれていない俺より強かった。それは事実だから」
「事実でも悔しいでしょ!」
「悔しいと言った」
「あ、そうか。うん……」
ねじれが少し落ち着いた。
「でも、すごかった。本当に」
「見てくれたんだな、自分も本戦まで進んだんだろ?」
「うん!進んだよ!だけど全部!全試合!録画してたからさっき全部見てた!!」
「そうか。ありがとう」
「……また素直に言った」とねじれが嬉しそうに言った。
「言い方が変だな」
「だって悠太が素直にありがとうって言うの、まだ慣れなくて」
「慣れろ」
「慣れる!!」
こうして体育祭が幕を閉じた。
と、言う事で三位となります。正直無理矢理感が凄いですがそこは文才がなかった自分の不甲斐なさです。因みに正の力を使っていれば楽々優勝してました。
報告です。自分は介護福祉士の仕事をしており、その関係で時間が取れないことが最近多い為あまり書き溜め出来ておりません。そんな中誰かからかこの時期にコロナウイルスをもらってしまい感染してしまいました。ただでさえ駄文なのに体調不良の中書くとAIを使っているとはいえ、さらに酷いことになると考え投稿を体調が良くなるまでお休みさせていただきます。本当に謝ってばかりで申し訳ありませんが何卒宜しくお願い致します。