ヒロアカ世界に転生した者が千手を背負い過ごしていく。   作:名も無き住人

6 / 14
今回は繋ぎの為短いです。そしてキーーさんそして桶の桃ジュースさん評価してくださりありがとうございます。駄文ではありますが書いていくのに本当に励みになっています。


第六話

 放課後。

「悠太」

 透が近くに来た。

「疲れた?」

「疲れてはない」

「今日、いっぱい話してたね。昨日より色々な人と」

「そうだったか」

「お茶子ちゃんとも飯田くんとも緑谷くんとも。全部ちゃんと返してたじゃん」

「まあな」

 透が少し笑った。「良かった。悠太が楽しそうで」

「楽しいかどうかと言うと——」

「楽しいよ。顔に出てる」

「悠太の顔の変化、私はわかるから」

「……そうか」

 楽しい、か。

 そうかもしれない。強い人間たちがいて、面白い教師がいて、自分の個性をどう使うかを考える場所がある。歌い手になる夢とは別の軸で——確かに、この場所が好きだと感じていた。

「悠太」

「なに」

「ねじれ先輩に報告、今日もする?」

「あいつから絶対LINEが来る」

 スマホを確認した。

 既読が三件。ねじれから。

『どうだった!!!』

『ねえ!!!!何かあった?!!!』

『悠太!!!! 透ちゃん!!!! 報告!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』

「来てた」

「やっぱり」と透が笑った。

 俺は『今から帰る。飯作るから来い』と返信した。

 三秒で『やったーーーーーー!!!!!!!!!!!!!』が来た。 夜。三人でテーブルについた。今日は豚汁と焼き魚と、ご飯だ。豚汁は具だくさんにして、身体に沁みるようにした。

「それで!! 除籍って言われたってどういうこと!!!」

 ねじれが最初から全開だった。

「本当の除籍じゃなかった。極限状態での反応を見るための嘘だ」

「そういう授業スタイルなんだ……やっぱり雄英らしい!」

「相澤先生って、ねじれ先輩知ってる?」と透が聞いた。

「消去ヒーロー・イレイザーヘッドでしょ! 知ってる! 正直あの人が担任ってちょっと大変かもって思う。厳しい人だから」

「厳しいというより、合理的な人間だと思う」と俺は言った。

「除籍宣告が嘘だって最初から気づいてたの?」とねじれが言った。

「確信はなかったが、可能性として考えてた」

「え、すご。私なら絶対パニックになる」

「透もパニックになってたか?」

「……なってた」と透が正直に言った。「でも頑張ろうとは思った」

「それで十分だ」

 ねじれが「悠太ってほんとに何があっても動じないよね」と言った。

「動じないわけじゃない。考えてる」

「どう違うの?」

「動じないのは感情が動かないこと。考えてるのは感情が動いた上で判断してること。俺も驚いたが、驚いたまま止まらなかっただけだ」

 ねじれが「……それ聞いてちょっと安心した」と言った。

「なんで?」

「悠太って感情ないのかなって思うことたまにあって。でも動くんだな、ちゃんと」

「ある。ただ出し方が人と違うのかもしれない」

 透が「私は悠太に感情あるのわかるよ」と言った。

「どこで」

「料理するとき。今日みたいに人に食べてもらいたいときは、丁寧に作る。それって感情じゃないの?」

 俺は少し黙った。

「……そうかもしれない」

「ほらね」

 ねじれが「それ良いこと言う!」と笑った。「豚汁、おいしい! 具だくさんで嬉しい!」

「ありがとう。野菜が残ってたから全部入れた」

「最高!!」「ねえ悠太」とねじれが言った。

「なに」

「雄英入ったら——悠太の歌、また聞かせてくれる?」

「入学して落ち着いたらな」

「……約束?」

「約束とは言ってない」

「悠太!!!」

「でも、聞かせる気はある」

 ねじれが少し黙った。それからゆっくりと「……わかった」と言った。

 透が「私も楽しみにしてる」と言った。

「ああ」

 三人でしばらく、黙って食べた。

 静かで、穏やかな夜だった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。