南米のとあるレストラン。そこで連邦軍の政治家ミンシュェン・ワンは、反対派の政治家の接待をしていた。
「さぁ、どうぞせんせ〜」
そう言って、ミンシュェンは、ビールをお酌した。
「それで、私を賛成派にして私になんの徳があるのかね?ワンさん?」
ミンシュェンは、笑顔を絶やさず。
「まず、モビルスーツには未来があります」
と、答えた。
「戦争以外に使い道があると?」
「えぇ、それはもちろん」
「たとえば?」
「人命救助並びに宇宙資源採掘機、現場の作業機械とコロニーの整備機器」
ミンシュェンがそう答えると政治家の目が鋭くなった。
「全てモビルワーカーでも事足りると思うが?」
「確かにモビルワーカーでも事が足りるでしょう。ですが肝心なのは、モビルスーツの器用さです。モビルワーカーは、月の資源採掘機として開発されましたが同時に宇宙ゴミの除去にも使われていました。モビルスーツは、それをさらに強化されたもの。工事現場に必要な機器もモビルスーツ1機で補えますし資源回収もボールポッドよりも確実です。破壊された建物の残骸もモビルスーツなら解体機器よりも早くどかせられますし人命救助にも繋がります」
簡単に説明をすると政治家は少し考えを巡らせ。
「連邦軍の新型モビルスーツ開発計画はどのようなものなのだ?」
と、政治家は食いついた。
「ゴップ閣下、なんとか1人反対派を取り込むことに成功しましたよ〜」
「そうか。レビル君も自分の意見を押し通してなんとかV作戦を発動させようとしている。その間に1人でも多くの出資者を集めないといけない。これからの政治工作も頼んだぞミンシュェン君」
「そう言いながら閣下は、予算をあまり出してないようですが〜?」
「その代わりに裏でちゃんと支援しているさ」
「ま〜た、レイブンを動かしてるんですね〜。いい加減にしないとそろそろ本気で殺されますよ〜」
「かもしれんな」
そう言って、ゴップは笑った。
とある街道での小さな戦闘。そこでは連邦軍50人の歩兵とジオン軍40人の歩兵が撃ち合いをしていた。
「撃て!撃ちまくれ!」
連邦軍の歩兵隊長がアサルトライフルを構えながら号令し連射をしていた。ジオン軍歩兵部隊も近場の木に隠れて撃ち返してきた。
「ヒィィィィッ!」
連邦軍の二等兵が悲鳴を上げて木の後ろに隠れた。
「ビビるな!撃ち返せ!」
「しかし、隊長!この弾幕では撃ち返したくても返せません!」
隊長は、ニヤリと笑うと。
「我が部隊の銃は、疲れ知らずの絶倫部隊だろ?タマなしじゃないところをジオンの宇宙人共に見せつけてやれ!」
と、鼓舞した。
下ネタが効いたのか歩兵部隊はやる気を見せ全力でアサルトライフルを連射した。
「た、隊長!5人やられました!」
「まだ9割残ってる!負傷者を後退させてうおっ!」
激しい撃ち合いの中、仲間達が倒れていく中、ジオン軍歩兵部隊も少しずつ撃たれて倒れていく。
「クソ!あの宇宙人共ぜんぜん数が減らねぇ!」
「しぶといな・・・・この街道をたった一個小隊で守るつもりか?こっちには、援軍が来る手筈になっている。そんな時間稼ぎをしたところで意味ない事が分からねぇのか?」
そう言ったその時。
激しい爆発と地鳴りが連邦軍の歩兵部隊を襲った。
「な、なんだ!?」
背後からの攻撃だった。隊長は、慌てて後ろを見るとそこには、旧ザクがいた。
「隊長!ザク1です!」
「嘘だろ!モビルスーツを持ってたのか!?」
「隊長!今の30人はやられました!」
「情報と違うじゃねーか。あの部隊は、モビルスーツを持たない部隊じゃなかったのかよ」
どちらにしても切り札を出されそして位置から見ても援軍は、おそらく全滅か撤退してしまったのだろう。勝敗は確定だった。
「白旗を上げるぞ」
歩兵隊長がそう言うと仲間達は、信じられない顔をした。
「お前らが言いたい事は、分かってる!だけど、モビルスーツが相手じゃ俺達は、何もできねーだろ!専用の武器もない!もう、降伏しかないだろ!」
歩兵隊長がそう言うと結局、白旗を上げて降伏をしジオン軍歩兵部隊に拘束されて捕虜になった。
戦闘に勝利し小基地に帰ったジオン軍は、戦勝祝いをしていた。酒を飲み当直員以外は勝利に酔っていた。それを見ている当直員は、羨ましそうな顔をしていた時だった。
「ん?」
人影のようなものが見えたような気がした。戦勝祝い中だから酒に酔って吐いている奴だと思い気にせずにいたがそれがこの基地の命運の分かれ道だった。そこに潜入していたのはもちろん、サプレッサー付きのハンドガンを持ったレイブンだった。
「ったく、今度は、ザクを鹵獲して来いだと?盗人になった覚えはないぞ」
レイブンは、ため息を吐いてゴップからの指令を思い出した。
『我が軍も新型モビルスーツの開発を計画された。レイブン、君もモビルスーツの開発計画に協力してもらうことになるだろう』
『協力ってテストパイロットでもやれってことか?』
『いや、テストパイロットは、別の兵士が担当することになっている。君は開発資料を持ってきて欲しい。要は、ザクを捕獲して来いってことだ』
『捕獲ってクマやイノシシじゃないんだぞゴップ』
『別にパイロットごとザクを持って来い言うわけじゃない。そうだな、運良く施設内に落ちている機体をそのまま持って来るのはどうだ?』
『ちょっと待て!俺に盗人になれって言いたいのか!?』
『人聞きの悪い事を言わないでくれ。君は、施設内にある落とし物をたまたま拾いそしてジャブローに届ける。それだけの仕事だ。ちょうど、ここの基地に旧型のザクがあるみたいだし盗んで《拾って》来てくれないかな?』
思い出したレイブンは、こめかみに血管を浮かせると。
「アイツいつか殺してやる」
と、呟いた。
宴会中なので多少大胆に動いても問題はなさそうだがレイブンは、慎重に進み旧ザクを鹵獲しようとしていた。すると。
「!」
檻に閉じ込められている捕虜を見つけた。昼間の戦闘で降伏した連邦軍の歩兵部隊の生き残りだった。
「おい、生きてるか?」
レイブンは、近づいて小声で呼びかけた。歩兵部隊は、レイブンの服装を見て連邦軍の人間だと分かると。
「た、助けてくれ。捕虜になったんだ」
歩兵隊長が檻を掴んで救出要請を出した。
「落ち着け、他の仲間は?」
「別のところで捕まってる。頼む、檻を開けるだけでいい。とにかく助けてくれ」
「待て、とにかく今から開けるから」
即席の簡単な檻だった為、レイブンは、持っていた針金を出しピッキングで即席の檻の鍵を開けるとそのまま中の歩兵隊長を出した。
「ありがとう。アンタは一体?」
「別任務でここに潜入している。ここから逃げるも仲間を助けるのもアンタの自由だ」
そう言って、レイブンは進もうとした。
「待ってくれ。アンタ、名前はなんだ?どこの部隊の所属だ?」
「・・・・・・レイブン。所属は・・・・・チッ」
頭の中で浮かんだゴップの顔を見てレイブンは、舌打ちをした。
(今、舌打ちした!?」
「ゴップの私兵だ」
レイブンは、心臓嫌そうな顔をして動き出した。
しばらく歩いてようやく整備中の旧ザクを発見した。コックピットに誰か乗っているのかそれとも整備中なのかコックピットは、開けっぱなしだった。なんとかよじ登りコックピットの中を確認するとそこには、エロ本を読んでいるジオン兵がいた。
「おう、ようやくこうた・・・い・・・・か?」
レイブンを見て声を失っている間にレイブンは、銃口を向けていた。敵襲と叫ぼうとしたがそれよりも前にレイブンが眉間を撃ち抜きそして死体を外に捨てた。
「さてと、シュミレーターで訓練を受けていたけど本当に使えるのか?」
そう言って旧ザクを起動させた。コックピットが閉まりメインカメラが起動し外の光景が見えるとレイブンは、旧ザクを立ち上がらせた。
「オートバランサーは、ちゃんと働いてるみたいだな。俺みたいな素人でも動いてくれよ」
そう言って立ち上がりモノアイがグポンと音を鳴らした。整備中の105ミリ旧ザクマシンガンを拾いそれを構えた。宴会中だったジオン軍歩兵達も異変に気づいたがもう遅い。レイブンは、容赦なく攻撃をした。基地内で爆発音が鳴り響きジオン軍歩兵部隊も次々と旧ザクマシンガンで吹っ飛んだ。
慌てて12.7ミリ機銃を取り付けた装甲車が来たがそれも旧ザクマシンガンで破壊された。そして更に。
「全隊、レイブンに続け!!」
救出した歩兵部隊が突撃をしたのだ。混乱状態になっていたジオン軍歩兵部隊は、全時代的な突撃に対応できず殴り倒され銃やナイフを奪われて即座に殺された。そして、小基地は制圧され結果的に連邦軍この戦争で初めての勝利を手にしたのだった。