レイブンは、順調にジオンからモビルスーツを鹵獲し破壊を続けていた。
すでに旧ザクを3機、ザクF型を3機、ザクJ型を2機、ザクキャノンを1機鹵獲することに成功し連邦軍でのモビルスーツ研究も順調に進んでいた。ここまで順調に進むことができたのはレイブンの努力もあるが原因はもうひとつあった。
それは、ジオン軍が無理な領土拡大を続けていたからだ。モビルスーツの力に過信したジオン軍は、前線を広げすぎて補給が追いつかなくなってしまったのだ。そのおかげで連邦軍とジオン軍は、膠着状態になり連邦軍は防衛に徹することでV作戦を進めれるようになったのだ。
だが、いい話ばかりではない。膠着状態になったと言ってもどこかしらで戦闘は発生しており攻勢に出た一部の連邦軍の部隊が返り討ちにされたり領土を奪われたりもしていた。そして、その訃報の中には、かつて共にザクを鹵獲した部隊、セモベンテ隊の全滅の報告もあったのだ。
その報告を受けたレイブンは、少し残念そうな顔をして。
「次会った時は、ビールを奢ってくれるはずだったんだがな。せっかく、いい店を見つけていたのに無駄になったか」
と、答えていた。
そんなレイブンが今、どこにいるかというとアフリカにいた。目的は、アフリカにある廃棄された連邦軍小基地【ニャニール基地】の奪還だった。もう、戦略的価値など皆無に等しくなったこの基地は、捨てられることになり後に基地は取り壊される予定だった。
しかし、反連邦勢力のレジスタンスがニャニール基地を占拠してしまったのだ。おまけにジオンからの支援も受けており彼らは、砂漠地帯仕様のザク・デザートタイプを2機も保有していたのだ。そのせいでアフリカに滞在している連邦軍は、連邦軍の首都ダカールの防衛を理由にしてなかなか攻めれずにいた。
「そこで奪還の支援をしろってことか」
レイブンは、アフガニスタン地方で使っていた白い馬を走らせながら呟いた。
『レイブン、予定通り積荷を積んだ囮のホバートラックが予定ポイントに向かっています。レジスタンス側も積荷を確保したいのか砂漠地帯仕様のザクを2機出しています』
「いい情報だ。囮がうまくいってよかった」
『後は、レイブンがザクを全滅させれば勝ちなのですが正直、無謀ですよ。生身でザク2機と戦うなんて』
「確かにな。毎回、無理難題を押し付けるゴップはそろそろ殺すべきかもな」
「冗談でもやめてくださいレイブン。あなたなら絶対にできますから」
そう言ってると目的のポイントに到着した。馬に取り付けている対モビルスーツ用ミサイルを背中のロケットランチャーに装填した。双眼鏡で偵察を始めると予定通り、ザク・デザートタイプがホバートラックを確保していた。
「さてと、さっそく始めるか」
レイブンは、そう言って軍用水筒を持ち水を飲んだ。
「キャリアン、後どれくらいだ?」
『予測では後、10分後です。彼らも砂嵐には慣れていてもモビルスーツの操縦はまだ、素人のはずですから砂嵐に遭えばおとなしく過ぎ去るのを待つはずです』
「賭けは俺達の勝ちになればいいが」
そうして少し待っていると予定通り砂嵐が発生した。レイブンは、暗視カメラを使いザクの居場所を確認すると馬に乗り駆け出した。
(予測通り、連中はまだモビルスーツを完全に使いこなせていない!今なら)
レイブンは、そう考えながらミサイルランチャーを構えた。レイブンは、ザク・デザートタイプに近寄りそしてザク・デザートタイプの股の下に来ると。
「くらえ!!」
対モビルスーツ用ミサイルを下から撃った。ミサイルは、ザク・デザートタイプの股に命中し爆発するとオートバランサーが故障したのかバランスを失いそのまま倒れた。
ズドーンと大きな地響きを鳴らし突然の奇襲に驚いたのかザク・デザートタイプは、上半身を起こしてモノアイを左右に激しく動かした。生き残ったザク・デザートタイプもザクマシンガンを構えレイブンがどこにいるか探しているとレイブンは、際装填したミサイルランチャーを構えオートバランサーを破壊されたザク・デザートタイプのバックパックに向けて対モビルスーツ用ミサイルを発射した。ミサイルは、バックパックに命中し爆発するとそのまま機体は、誘爆を起こし倒れ動かなくなった。
相方がやられて焦ったのか2機目のザク・デザートタイプは、ザクマシンガンを構えあちこちに乱射を始めた。あちこちに120ミリ弾が着弾するがレイブンに命中することはなかった。馬を走らせザク・デザートタイプの懐に入ろうとするとザク・デザートタイプの操縦者は、しびれを切らしたのかSマインを発射した。
しかし、レイブンは、Sマインが発射されたことに一早く気づきロケットランチャーからアサルトライフルに持ち替えると銃口を合わせるとそのまま全てのSマインを撃ちぬいた。Sマインは、ザク・デザートタイプの近くで爆発した。思わぬカウンターを受けたザク・デザートタイプは、爆発の衝撃で膝をついた。
それを見てレイブンは、ミサイルランチャーに持ち替え対モビルスーツ用ミサイルを発射した。ミサイルは、ザク・デザートタイプの頭に命中しメインカメラを破壊した。そしてミサイルを装填しザク・デザートタイプの背後に回りミサイルランチャーを構えた。
「これでトドメだ」
レイブンは、そう言って対モビルスーツ用ミサイルを発射。ミサイルは、1機目の時と同じようにバックパックに命中し爆発するとそのまま大の字で倒れ動かなくなった。
「フー」
レイブンは、大きく息を吹きキャリアンに繋いだ。
「キャリアン。戦闘終了だ。ザクは、2機とも破壊した」
『!!さすがですレイブン!生身でザクを2機も!レイブンの伝説に新しい1ページができましたね!』
「なに興奮してるんだキャリアン?それよりも基地の奪還はどうなってるんだ?」
「情報通りならこちらが優勢のようです。レイブン、目的はすでに達成していますがどうします?援護に向かいますか?」
「いや、その必要はないだろ。ジオンの支援を受けていたとはいえ相手は、寄せ集めの烏合の衆だ。そんな奴らにも勝てないなら支援をする必要もないだろ」
『そうですねレイブン。すぐに迎えに向かいますので待機していてください』
通信が終了するとレイブンは、葉巻を取り出し火をつけようとしたがさすがに砂嵐の中では葉巻を吸えなかった。
砂嵐は徐々におさまり視界が良好になるとレイブンクロウ隊せんようミデアが飛んでくるのが見えた。ミデアは、レイブンの前に止まるとレイブンは、馬と一緒にミデアに乗った。
レイブンが乗り込んだことを確認するとキャリアンは、すぐに出発をし作戦エリアから離脱するのだった。
レイブンが作戦エリアから離脱した3時間後、1機のファット・アンクルとスパイクシールドとヒートホークを持った旧ザクがその場に来た。
「ボス!見てくだせぇ!砂漠戦に特化したザクが2機もくず鉄になったやすぜ!修理すれば全然使えやすぜ!どうしやすか!?」
ファット・アンクルに乗っているボスと呼ばれた人物は、タバコを咥え火をつけると。
「決まってるだろ。全部回収しな」
一言そう言うとザク・デザートタイプの回収を始めた。
「今は、稼ぎ時だ。ネジ一本でも取り損ねるんじゃないよ。もし取り損ねたらボーナスとして鉛玉をくれてやるよ」
そうしてザク・デザートタイプを回収していると。
「ボス、偵察班から連絡だ。基地を奪還した連邦軍がこちらに向かっているようだ」
「目的は、コイツらの回収といったとこか。回収作業は?」
「1機目は、すでに回収しています。2機目は砂嵐のせいで少し埋まってしまい掘り出すのにもう少しかかりそうだ」
「そうかい。マッドスタンプ、少し、遊んできてやりな」
「オーケー、ボス!報酬はたんまりとお願いしやすぜ!!」
そう言って旧ザクは、ブースターを吹かして狩りに向かった。ファット・アンクルの機体には、ジオンのマークがかき消されそこには、RaDと書かれていた。