南米にあるとある高級レストラン。そこはドレスコードをしてようやく入店が認められる上級国民専用と言ってもいいほどの店だった。そして店内の奥にあるVIP専用の個室。そこには、ゴップとミンシュェンが座っていた。
「遅いですね〜」
ミンシュェンがのんびりとそう言うと。
「レイブンの事だ。結果的に見れば任務こそ達成はしたが奪還に成功したのはもう、完全に無価値となった鉱山。なにか言われるのが面倒くさいのだろう」
ゴップも気長に待っていると。
「だから、困るって言ってんだろ!!」
VIP席にも聞こえるくらいの大声が聞こえた。何事だと思いミンシュェンが確認に向かうとそこには、私服姿のレイブンと若いウェイターが言い争っていた。
というよりも、レイブンの私服姿を見てただの平民と思ったのか若いウェイターが出て行くように言ってるだけだった。
「はぁ、何度も言ってるだろ?俺はゴップ閣下に呼び出されてここに来たんだ。いるんだろ?ゴップ閣下が」
レイブンは、ゴップに閣下をつけて呼ぶたびに嫌そうな顔をした。
「あのな、ゴップ閣下は、連邦軍の超が何個もつくぐらいのお偉い様なんだぞ!そんなお方がお前みたいな平民とお会いするわけないだろ!!」
それを聞いてレイブンは、ニヤリと笑うと。
「そうか。お会いするわけないか。なら仕方ないな。確かに君の言うとおりだ。俺みたいな凡人に超が何個もつくようなお偉いさんが会うわけないな。仕方ない。なら、帰るとしよう」
レイブンは、早口でそう言い突然のことに若いウェイターもハァ?と言ったような感じの顔をしていた。そして、レイブンが出て行こうとすると。
「ハイハイ帰らなくていいよ〜。ゴップ閣下は、凡人の君と会うために予定を作ったんだから」
ミンシュェンが割って入りレイブンを止めた。
「ミンシュェン」
「まったく、連邦軍の制服を着てくればよかったのにあえて着て来ずに追い払われようとしたね〜?政治家である我〈ぼく〉にそんな初歩以下の駆け引き挑んじゃう〜?」
「うるさい」
レイブンは、諦めた顔をしてミンシュェンについて行った。若いウェイターも最初は、ポカンとしていたがどう言う状況なのか理解して顔を真っ青にした。
「来ましたよ〜ゴップ閣下」
「やぁ、遅かったなレイブン」
レイブンは、ため息を吐いて席に座った。
「それでなにがあったんだい?」
「レイブンが私服で来ちゃいましたから〜、ウェイターの方が勘違いして追い出そうとしてたのですよ〜」
「おや、そうなのか。なら、次からは、レイブンの顔写真を渡して『この男が来たら通すように』と、言っておくか」
「余計なこと言うなよミンシュェン」
そう言ってるとレストランのオーナーとさっきの若いウェイターが入ってきた。
「申し訳ありませんゴップ様。この者がゴップ様のお連れの方を知らずに追い出そうとしていたようで」
「も、申し訳ございません!!!」
若いウェイターは、顔を真っ青にして土下座をした。
「あぁー、いい、いい。レイブンはそんなしょうもないことで怒るような兵士じゃない。それよりも早く料理を出してくれないか?」
ゴップは鬱陶しそうに手を振るとオーナーは、若いウェイターを引かし料理が運ばれた。そして、オーナー自らワインのボトルを持って来ると。
「ゴップ様、こちらは我々からのお詫びの品です。10年もののデュランワインでございます」
「へ〜、いいワインじゃないですか〜。確かボトル一本で数百万は、する代物ですよ〜」
ミンシュェンがそう解説するとオーナーは、「サービスです」と、言ってワイングラスに注いだ。
「レイブン、鉱山の奪還任務ご苦労だった」
「嫌味か?結局、あの鉱山はジオンに全部取られてなにもなかったんだろ?」
レイブンは、ゴップを睨みつけながらワインを飲んだ。ワインが美味かったのかレイブンは、一瞬だけ驚いた表情でワインを見たがすぐにゴップの方を向いた。
「君の言う通りだ。もう、あの鉱山には正真正銘何の価値もないただの山になった」
ゴップは前菜を食べ終えスプーンを皿の上に上品に置いた。
「とりあえず〜、あの鉱山は立入禁止の廃山にして戦争が終わるまでの間は連邦軍が管理することになったんだよ〜。ジオン軍やレジスタンスに際占領されたらめんどくさいしね〜」
ミンシュェンが簡単に説明をした。
「それでレイブン。しばらくの間、君に休暇を与えようと思うんだ」
ゴップがそう言うとレイブンはゴップに疑いの目をかけた。
「何企んでるんだ?」
「企んでないさ。だが、強いて言うのならしばらく私とミンシュェン君の遊戯を手伝ってほしいのさ」
「遊戯?」
「まぁ、要は我〈ぼく〉達を護衛してほしいってことだよ〜。君が我〈ぼく〉達を護衛してくれたら我〈ぼく〉達は、安全に遊べるしレイブンが暇になればゆっくりと羽伸ばしもできる。悪くないでしょ〜?」
「ふざけてるのか?そんなもの俺じゃなくても他の私兵に任せればいいだろ?」
「そこを頼むよ〜レイブン!仕事が終わったら報酬として良いものを用意すらから〜」
ミンシュェンは、レイブンの隣に蛇みたいな動きで擦り寄りヨヨヨと嘘泣きを始めた。
「だが、護衛が欲しいのは本当だ。うまくいけば君の新しい力を渡すことができるかもしれん」
ゴップが真面目な顔で答えた。レイブンは、ため息を吐くと立ち上がり。
「必要なら呼べ。それまでは部屋で待機している」
レイブンは、そう言って運ばれて来る予定だった残りの料理を無視してレストランから出て行った。
「とりあえず、これでレイブンを連れ出されますね〜」
レイブンが出て行ったのを見送るとミンシュェンは、ゴップの方を向いた。
「権力争いをしている将官や政治家達も伝説の連邦兵が近くにいればなにかしたくても何もできんだろ」
ゴップは、そう言ってワインを一口呑んだ。
「本当に苦労したんですからね!!伝説の連邦兵を欲しがってるのはあちこちにいるんですから!!この前のグレイブなんかも大変だったんですから!!」
「彼もレイブンを欲しがっていたがなぜ、突然レイブンの争奪戦から手を引いたんだい?」
「レイブンよりも面白いモルモットを見つけたみたいですよ〜」
ミンシュェンがそう言ってレイブンの分のスープも食べ次に出された魚料理を食べ始めた。
「レビル君の方はどうだい?」
「とりあえず、結果的には、レイブンの任務は完了しましたからね〜。プロトタイプガンダムは、レイブンに任せる手筈になっているはずですよ〜」
「そうか」
「それよりも本当にいいんですか〜?」
「何をだい?」
「例の鉱山ですよ〜。本当に民間の会社に管理を任せるんですか〜?」
「そのつもりだよ」
「レイブンを騙すことになるけど大丈夫なんですか〜?」
ミンシュェンがそう訊くとゴップが言った。
「レイブンを騙して心が痛むのかい?」
それを聞いてミンシュェンは、ニヤリと笑うと。
「ぜんぜ〜ん。レイブンの力になるなら全然心が痛まないね〜」
と、答えた。
「民間の会社には、安くあの鉱山を売りその会社は確実にレジスタンスに売るだろう。あの鉱山は、レジスタンスの拠点になってもらった方が私達としては得だ」
そう言ってゴップはワインを呑む。
「・・・・・ゴップ閣下。時々訊きたいと思ってたんですが〜。ゴップ閣下は、レイブンを使って何を企んでるんですか〜?」
「さぁ、君は私が何を企んでると思う?」
そう言ってゴップが立ち上がった。
「レイブンの体を休ませる以上、ここからは政治が忙しくなる。しっかり仕事を頼んだよミンシュェン君」
「了解しましたよゴップ閣下。我〈ぼく〉も彼がいないと出世できないですからね〜」