ミンシュェンは、とあるVIPと面会していた。そいつは、大企業【アナハイム・エレクトロニクス社】の艦船建造部本部長と農業管理部管理部長がいた。
「【ビンソン計画】ですか?」
艦船建造部本部長が首を傾げながら計画書を読んでいた。
「連邦宇宙軍最強と名高いティアンム提督の発案ですよ〜。ルウム戦役では、ジオンのザクとドズル艦隊の連携で連邦艦隊は壊滅。ルナツーがまだジオンの手に堕ちてないのは、ルナツーが大きすぎて今のジオンの戦力じゃ攻略できないからですよ〜」
「そこを逆手に取りルナツーに建造されたマゼラン級戦艦とサラミス級戦艦、ミサイル艦や宇宙空母を送ればいいのですか?」
艦船建造部本部長がそう訊ねると。
「それだけでは足りんよ」
ゴップとティアンム提督が入って来た。
「これはゴップ閣下、ティアンム閣下」
艦船建造部本部長と農業管理部管理部長が立ち上がり頭を下げた。
「お座りくださいお二方」
ティアンム提督がそう言って上座の席に座りゴップは、ミンシュェンの隣に座った。
「それで、ゴップ閣下足りないとは一体」
艦船建造部本部長が訊ねるとティアンム提督が答えた。
「連邦軍が敗戦を重ねていたのはジオンがモビルスーツを保有していたからなのはもう知っているでしょう。我が連邦軍もモビルスーツの開発は順調に進んでいます。そこで我が軍もジオンと同じようにモビルスーツ搭載艦を用意するのです。今までの戦闘機による攻撃はもう通用しないのですから」
「すでにモビルスーツ開発計画によりモビルスーツを搭載できる強襲揚陸艦を2隻まで開発している」
ゴップがそれを教えると艦船建造部本部長は、難しそうな顔をした。
「モビルスーツを搭載する軍艦となりますと相当の金になりますが今の連邦軍にお支払いできますか?」
「でしたら、今ある艦船を改造することはできないでしょうか〜?」
提案したのはミンシュェンだった。
「旧時代の歴史でもありましたが〜民間船から軍用船に造り替えられた歴史も存在しますよね〜?でしたら、マゼラン級とサラミス級を改造してモビルスーツを搭載できるようにしたりコロンブス等の宇宙空母もモビルスーツを搭載できるようにしたらどうでしょうか〜?」
「なるほど、それなら確かに新造艦を1隻造るよりもコストは安く済みますね」
艦船建造部本部長は、納得したように顎に手が触れた。
「その方向で行くのなら本部長、作業員をルナツーまで出張させることはできますか?」
「可能ではありますがご存じの通り月はジオンの支配下にあります。一時的に本社を月のフォン・ブラウンからサイド6に移動させてはいますがサイド6は中立です。作業員を送るのは難しいかと」
「支社から作業員を送れないのですか〜?」
「可能ですが本社と比べたら腕は少し落ちますよ?」
本部長にそう言われてミンシュェンはゴップの方をチラッと見た。ゴップは小さく頷いた。
「ハァ、仕方ありませんね〜。サイド6の方には、我《ぼく》が説得しに行きましょう〜」
そう言ってビンソン計画がまとまりそうになったがティアンム提督は、少しだけ不服そうだった。
「どうしたのだいティアンム君?何が不服だい?」
「ゴップ提督、私は考えが古い人間でしてやはり、マゼランとサラミスにモビルスーツを載せるのは受け入れ難いのですが」
「なら、ルウム戦役と同じことをするかね?」
ゴップがそう訊ねるとティアンム提督は、黙った。
「ゴップ閣下、我《ぼく》の護衛としてレイブンをお借りしますよ」
「いいだろう。レイブンも羽休めのために中立コロニーで少し遊ばせよう」
レイブンは、レイブンクロウ隊を率いてメキシコ州に来ていた。北米がジオンに盗られてからは、この地域は、連邦軍としては最も危険な最前線になっていた。
ならなぜ、そこにレイブンが来たのか?それは、レイブンクロウ隊に仕事が来たからだ。
『ゴップに体を休めてろって言われてるんだが?』
『これは緊急の案件なんだ!!忌まわしきジオンが水陸両用モビルスーツを開発し太平洋や北大西洋は、ジオンの支配領域となり海上からの補給が使えなくなったのだ!連邦軍は、ジオンの水陸両用モビルスーツを調べてそれに対抗する術が必要なのだよ!!ベルゼルガ少尉、メキシコ州には、ザニーで編成されたモビルスーツ隊が攻勢に出たが迎撃され全滅した。そこの機体からデータを回収してジャブローに届けるのだ!これはレビル将軍からの直々の指令である!!』
参謀本部からの突然の指令を思い出しレイブンは、ため息を吐いた。
「悪いなキャリアン。休暇中なのに呼び出すハメになってしまって」
「問題ありませんよレイブン。私達は、レイブンに憧れて自らこの部隊に志願したんです。レイブンが来いと言うのでしたらどこへでも向かいますよ」
キャリアンがそう答えると。
「レイブン、まもなく現場に到着します」
レイブンが乗っている戦闘ヘリを操縦している副機長が報告するとレイブンは、アサルトライフルを手に取った。
「各分隊に降下準備を送れ。到着次第、データの回収を始めるが確実に戦闘が発生する。警戒を怠るな」
レイブンは、そう言って現場に到着し降下するとさっそく戦闘が
始まらなかった。
「どういうことだ?」
現場には、ジオンの偵察兵どころかジャンク屋すらもいなかった。今、この場所はジオンにとってもジャンク屋にとっても宝の山になっているはず。なのに、偵察兵もジャンク屋もいない。レイブンは、不気味な予感がしていた。
「レイブン、ジオンの偵察兵も回収部隊もいません。この戦場なにかおかしいです」
「罠でしょうか?」
「キャリアン、索敵結果はどうなんだ?」
『レーダーには何も映っていませんし目視でも何も発見できませんでした』
キャリアンの報告を受けてレイブンは、少し考えると。
「各員、警戒しながら作業を始めろ」
レイブンは、そう言ってザニーの残骸に近づき罠を警戒しながら戦闘ログの回収を始めた。しかし、罠も何もなかった。
「レイブン、いくらなんでもおかしすぎる。罠も何もない!俺達は、嵌められたんじゃ」
「戦闘ログにも異常なし。・・・・・・・どうやら疑心暗鬼になっていたみたいだな」
レイブンは、落ち着いた様子で葉巻に火をつけた。
「ここまで来たらもう、ジオンもジャンク屋も回収する気がなかったのかもしれん。罠も無かったしこのまま帰還するぞ」
レイブンは、そう言うと戦闘ヘリに戻りジャブローに帰還するのだった。
現場から離れた場所にタバコを吸っている女性が双眼鏡でレイブン達の作業を見ていた。
「【伝説の連邦兵】レイブン。まさか、アイツが伝説の連邦兵だったとはね」
「ボス、本当に戦闘ログを回収しなくていいんですかい?戦闘ログをジオンに売りつければいい値段で買い取ってくれるかもしれませんよ?」
「機体だけでも十分だ。連邦軍がずらかったよさっさと作業を始めな」
女性は、そう命令しジャンク屋達の回収作業が始まった。