レビルの救出に成功した報を聞いたゴップは、満足そうな顔をしていた。
「やはり、レイブンに任せてみて正解だったな。ジオンへの単独潜入とレビルの救出。無事、成功に終わってよかった」
「ですが、今回の手柄はエルラン中将のものとなります。正直、ゴップ閣下もベルゼルガ少尉も得をしていないと思われるのですが」
秘書官がそう言うと。
「構わんよ。元々、救出計画はエルランが考えていたからな。レイブンの価値を上層部に示せただけでも良しとするさぁ」
と、答えた。
「閣下、ひとつお訊ねしてよろしいでしょうか?」
「なぜ、『レイブンにこだわるのか』かい?」
ゴップが先読みをしてそう訊ねると秘書官は、頷いた。
「レイブンは、確かに優秀な兵士です。ですが、閣下がお目にかけるほどとは到底思えないのですが」
「なら、君はできるのかい?単独潜入とモビルスーツの迎撃を」
「そ、それは・・・・」
「報告書を信じるならミノフスキー博士の亡命作戦の時に彼だけが1機だけだったがモビルスーツを迎撃した。彼ならちゃんとした装備を用意すれば生身でモビルスーツを迎撃することができると考えている。そして、いつか来るであろうモビルスーツの開発計画の時間を稼いでくれるはずだ」
「また、ベルゼルガ少尉に嫌われますね」
「だな」
ゴップは、クックックッと笑いながら会議室に向かい始めた。エスカレーターに乗り下に下っていると。
「お疲れ様ですゴップ閣下」
話しかけて来たのはスーツを着た男の政治家だった。
「铭轩《ミンシュェン》君か」
彼の名は、王 铭轩(ミンシュェン ワン)。中国地方生まれの連邦の政治家だ。
「聞きましたよ〜。レビル閣下を救出したそうですね」
「相変わらず、耳が早いなミンシュェン君」
「そんな事ありませんよ〜。レビル閣下は、きっと戦争継続を演説するでしょうね〜。実際、ジオンの休戦協定は降伏勧告ですし。他の政治家達は、やる気をなくしてますよ〜」
「なら、我々のここでの会議は無駄ということか」
「とりま、条約を結ぶことになるでしょうね。とりあえず、核兵器と生物・化学兵器の使用禁止。コロニーや小惑星を使った攻撃も禁止。所々に抜け穴はありますがそれでもこれを結べばコロニー落としはしなくなるはずですよ」
「まっ、それを結べることも良しとするか」
そう言ってゴップは会議室に到着したのだった。
一方、ルナツーに無事到着したレイブンは、喫煙室でレビルの演説を待っていた。
(とりあえず、仕事は完了してレビルを無事、ルナツーに送ることは成功した)
レイブンがのんびりと葉巻を吸っているとついにレビルの演説が始まった。
『私はこの目でジオンの内状をつぶさに見て来た。我が軍以上にジオンも疲れている。先日のコロニー落としもルウムでの戦いもジオンにとってはギリギリの勝利でしかなかったのだ。我々も苦しいがジオンも苦しい。彼らに残された兵はあまりにも少ないのだ』
「戦争継続のためとはいえ・・・・・まぁ、いいけど。だけど、モビルスーツをどうにかしねぇと連邦は、ワンチャン負けるぞレビル」
レイブンは、紫煙を吐きながら呟いた。
この日、レビルの奇跡の脱出と演説が連邦の士気を高め南極での会議は、条約交渉で終わりある意味で連邦に有利な形で交渉が終わり南極条約が締結されるのだった。