魔槍使いの半英霊   作:保志白金

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 ようやく卒業研究が一段落着いたので、こちらも投稿できました。

 あと話の内容を話すと、脱出までの流れはほとんど原作通りのためカットしました。もし、省略せずに書け、という意見があるのなら、その時はメッセージを飛ばしてください。書き加えますので。


機剣使いとの共闘

 その後、レン達は作戦をうまく成功させて、あの創り出されたフィールドから脱出することができた。死神(グリム・リッパー)達の戦力を大きく削ることにも成功した。

 

 しかし、その際に支払った代償はあまりにも大きすぎたのである。それはーー

 

「……一誠、お前はまだ次元の狭間で生きてるんだろう?無事に生き残ってて、みんなのことを今でも一人寂しく待っているんだろう、なぁ?」

 

 一誠がいなくなったことだ。

 

 レン達がゲオルクやジークフリート、死神を相手にして戦っている最中、突如介入してきたシャルバ・ベルゼブブは『魔 獣 創 造(アナイアレイション・メーカー)』の所有者ーーレオナルドを強引に利用して、無理矢理禁 手(バランス・ブレイカー)を発動。その力によって超弩級の魔獣を合計13体産み出し、そのまま冥界へと送り込んだ。

 

 冥界に突如姿を現したシャルバにより創られしモンスター達は、破壊の限りを尽くし、冥界の街中を蹂躙していった。それは丸1日経った今でも依然として続いている。そのことはニュースで報道、中継されており、それをグレモリー城のフロアの一角にあるテレビで観ていたレンは急に立ち上がり、宣言した。

 

「さて、そろそろ行くとしようか。今さら悔やんでいても仕方のないことだしな」

 

「どこに……ですか?」

 

 突然立ち上がり、ここから出るという宣言を聞き、この場の離れた場所に座っていた祐斗が訊ねる。

 

「そうだな、俺に今できることをする。だから、今のところは、ヴァルハラから援軍として来てるであろう友人の加勢に行こうと思っている。それで、祐斗。お前はどうする?」

 

「……レンさんは強いですね。いや、僕達がこれだけイッセー君に依存していたということなのかもしれません」

 

 祐斗は、完全に沈みきっている自分達のことを弱々しく自嘲している。しかし、そんな祐斗の脆い一面を見てもレンは自然な笑顔を作り、頭を優しく叩く。そして、励ますように言葉を返すのだった。

 

「まったく、何を言い出すかと思えばそんなことか。そんな悲しそうな顔をするなよ、祐斗。お前にだってできることはあるはずだ」

 

「そう、ですね。なすべきことが決してないわけではありません。……ただ、こんなにもグレモリー眷属がバラバラな状態でいるのは初めてで、少し前まではこれ以上がないくらい、正真正銘の最高のチームだったはずなのに…………」

 

 レンから優しい言葉をかけられたことで、いつもの祐斗では見せるはずもない悲痛な面持ちで言葉を引き出すが、思うような言葉を出すことはできなかった。その様子を見て、どうしても放って置けなかったのか、レンはついさっきまで話していた初代孫悟空の言葉を思い出して、そのことを語り出した。

 

「……祐斗、お前にだけはこのことを一応話しておくよ。これから話す内容は初代孫悟空が言っていた可能性であり、ただの憶測に過ぎない。だから、今のところの信憑性は皆無と考えていいだろう。それだけは頭の隅に入れて、この話を聞いて欲しい」

 

 すると、祐斗はレンの言葉に静かに頷き、そのまま黙っている。レンはそれを確認してから話を続けた。

 

「一誠の肉体は間違いなく死んでいる。……ただ、一誠の8つの駒は呪いがかかっていなかったんだよな?そこから推測されることは、魂の方は生き残っている可能性があるということだ。どのような形で魂が残っているのかはよくわからないけど、次元の狭間で一誠は今も漂っているかもしれない」

 

 レンがそこまで言い終えた段階で、祐斗の顔色は一瞬にしてよくなったようにも見えた。しかし、誰にでもわかりやすいように、声や表情にまでは出していない。レンはその微妙な祐斗の変化を読み取ったのである。

 

「……というのが、初代孫悟空の見解だ。まぁ、俺も絶対的な確証があるわけではないんだけど、俺はそれを信じる。だから、祐斗もなすべきことをなしてくれ」

 

 最後にそう言葉を残して、レンはグレモリー城を後にする。そして、門の前に停めていたシルバー・ゲイルに跨がり、フルフェイスタイプのヘルメットを被るとエンジンを勢いよく吹かし始めた。

 

「ユーゴ、俺も今からお前達の戦場に向かうよ。……まぁ、俺が到着する前に勝負を決めておいてもいいんだからな」

 

 最後に冗談じみた独り言をこぼしてから、ヘルメットのバイザーを下ろし、レンはバイクのアクセルを全開にするだった。

 

 

 

 

 

◼◼◼

 

 

 

 

 

「斬っても斬っても、次から次へ湧いて出てきやがって……。チッ、いい加減しつこいんだよ!」

 

 レンがシルバー・ゲイルを駆り、急いで戦地に向かっていたその頃、ヴァルハラから派遣されてきたユーゴ達ーー勇者や戦乙女達の精鋭部隊は、『豪獣鬼(バンダースナッチ)』の一体と既に交戦していた。

 

 その中でもユーゴは、『豪獣鬼(バンダースナッチ)』が産み出した小型魔獣の殲滅続けていて、戦乙女達による大出力の魔法の砲撃可能になるまでの時間稼ぎとしての役割を担っている。

 

「どうだ、そっちの方は準備できてるか?」

 

「ええ、いつでもいけますよ」

 

 バンダースナッチへの決定的な致命傷を与えることはできていないが、ダメージは確実に蓄積させており、戦況は大分有利に進んでいる。しかしながら、まだ気を抜くことが許されない状況であり、この場にいる全員が未だに険しい表情を浮かべている。

 

「ユーゴ、奴等から離れろ。準備が整った!」

 

「……ッ!おう、了解した!」

 

 勇者の一人が大声で指示を飛ばすと、それにユーゴもすぐさま応じ、その場から大きく後退した。同時に後衛で待機していた戦乙女達が魔方陣を大量に展開させ、魔術による幾重もの攻撃を魔獣に向けて放った。その際に発生した余波が砂煙を生じさせていて、今の攻撃がどれだけの激しさを伴っていたのかを物語っている。

 

「……どう?」

 

「やった……のか?」

 

 膨大な量の攻撃を浴びせ、強烈な大打撃を与えることに成功したため、そのような言葉が口々に出てくるが、一部の者は違った。それはまだ、勝負が決していないことを理解していた者達だ。

 

「いや、まだだ。まだ終わってねぇ!油断すんなよ!」

 

 ユーゴ達の視界は、ついさっき巻き起こった砂煙によって遮られており、バンダースナッチの姿をそこから確認することはできない。しかし、ここにいる誰よりも速くユーゴは前に飛び出し、ベガルタとモラルタを改めて構えた。すると、砂煙の中で一瞬だけ小さく何かが光ったかと思えば、考える暇すら与えずに、それは敵意あるバンダースナッチからの攻撃であると、ここにいる全員に知らしめてみせた。

 

「シャァッ!」

 

 最前線に立ちはだかったユーゴは、あえてモラルタを前に突き出すように振るい、バンダースナッチが放った光線に真っ向からぶつけた。その光線は、モラルタにエネルギーが吸収されていき、少しずつ弱まっていくように伺える。

 

 機剣モラルタの特性は、悪魔が使う魔力や堕天使が使う光力などといった、攻撃のエネルギーそのものを吸収可能とし、そのエネルギーを自らの力としてその特性を還元、放出させることができる。ユーゴはそれをうまく利用して、バンダースナッチからの攻撃を見事防ぎきってみせたのだ。

 

 それから、天高く二本の機剣を力強く振りかざすと、それらの刀身は等間隔で分離していき、しなりながら伸びていく。そして、限界の長さにまで達した刀身には光が帯びていた。

 

「テメェのもの、そっくりそのまま返してやる。食らい……やがれぇぇ!」

 

 ユーゴによって降り下ろされた二本の巨大な剣は、バンダースナッチの体を確実に捉え、左右の腕と脚ごと胴体を抉り取っていった。

 

「ハァ……ハァ……」

 

 肩で息をしながらも、今、自分が斬った対象からは視線を外さないユーゴ。吸収したエネルギーを使いきった機剣は役目を果たしたため、通常の刀身の長さに戻っていく。通常形態に戻った二本の機剣を背中の鞘に収めながら、同僚達に短く告げる。

 

「……フゥ、後のことは任せたぜ」

 

「わかった。後は俺達に任せてくれ」

 

「そうそう、ユーゴは先に休んどいて」

 

 体の大部分を失いながらも、まだ息をしているバンダースナッチに止めを刺そうと、ユーゴを除いた全員が接近して、攻撃をさらに加えていった。だが、ユーゴの一撃が大打撃を与えたのは間違いない。実際、小さな魔獣を精製する機能は、ほとんど死にかけており、遠距離攻撃もできなくなっていた。

 

「ーーハハッ。さすがだな、ユーゴ」

 

「おう、久しぶりだな。けどよ、かなりの大遅刻だぜレン、お前の仕事はもう残ってないみたいだからな」

 

「ん?ああ。どうやら、そうみたいだ」

 

 戦闘が終局に向かっていた最中、レンはこの場に到着した。もっとも、今のレンにできることはもう無いのだが。

 

「それで、ここ一帯の状況はどうなってるんだ?大まかなことはニュースである程度理解しているんだが、詳しいことは現場にずっといたお前の方が深く知ってるだろうし」

 

「……あ~、そうだな。どこもかしこもこんなもんだろうよ。俺達のところみたいにバンダースナッチはなんとか仕留められているらしい。……そんなことよりも、かなりマズイ状況に置かれているのが、この街に住んでいる市民の避難だろうな」

 

「市民の避難だって?」

 

 一大事であると判断して、思わず聞き返してしまうレン。ユーゴはレンの言葉にひとつ相槌をついてから、話を続ける。

 

「そうだ。若手悪魔の……たしかシトリー眷属とか言ったっけな?そいつらが前に立って、取り残された市民達の誘導を今もしているらしい。もっとも、悪魔以外の各勢力も応援を出していて、俺達の方からも数名向かわせているらしいんだが、それでも数が少ないのが現状っていう話だ」

 

「……会長達が避難誘導を請け負う、か。実に彼女らしいな」

 

「え、何か言ったか?」

 

「いやなんでも。ただの独り言だ。……さて、だったら俺はその支援にでも向かうとするよ。じゃあな」

 

「なんだよ、もう行くのか。俺が見ない間にずいぶんとせっかちになったんじゃないか?」

 

「ったく、その偏見はなんなんだよ。俺はいつだって即断即決をモットーに事を運んでいるつもりなんだけどね」

 

 レンはそう言うと再びバイクに乗って、走らせようとキーを回そうとする。

 

 

 

 

 

 だが、レンがバイクに刺さった鍵に手をかけようとした、正にその時だった。その行為は、突如発生した爆発によってキャンセルせざるをえなかった。

 

「うおっ!……いったい何が起きやがった!?」

 

 ユーゴは原因不明の爆発に驚き、機剣に手をかけながら声を上げるが、レンはすぐにその爆発の正体がいったい何なのかを理解していたようで、バイクから降りて今にでも戦うことのできる態勢を取った。

 

「アンタの仕業か。……ヘラクレス!」

 

「ハッハッハァ。デカイ光の剣が見えたから、強い奴と戦えると思ってここに来てみたんだが、まさかこんなところで出会えるとは、奇遇だよなぁ!テメェもそう思うだろ?なぁ、魔槍使い!」

 

 既にもぬけの殻となっていた中層ビルの屋上から高笑いが聞こえてくる。そこには、今の爆発を引き起こした張本人であるヘラクレスが、自らの神器を禁手状態にして立っていた。

 

「ヘラクレス、ここへ何をしに来た?俺に敵わないってことを自分がよく知っているはずだろう」

 

「ケッ、そうだな。たしかに俺はあの時、お前に負けたよ。だがな、あの時とは違う何かがあるとすれば、戦いの結果はひっくり返るだろうよ!」

 

 ヘラクレスは懐から拳銃のような何かを取り出し、その銃口を自分の首元へ持っていく。その拳銃の銃口には、よく見ると注射針が取り付けられているのが確認でき、ドーピングに似た何かを注入するつもりなのだと、この場にいたレンとユーゴは容易に断定できた。

 

「オラッ!」

 

 薬を打たせまいと、先にユーゴが動きを見せた。ユーゴは通常状態のレンの最高速に勝るとも劣らない高速移動で、敵に近づいていく。そして、自分の射程距離に入ると、すぐに自前の機剣をしなやかに伸ばしていきながら、ヘラクレスに斬りかかっていった。

 

「あら、ここに来ているのはヘラクレスだけじゃないの。私もいるのよ♪」

 

 しかし、今のいままで気配を消していたジャンヌが姿を現して、ユーゴの前に立ちはだかり斬戟を阻んだ。

 

「んだと!?」

 

「……ッ。ユーゴ、今すぐそこから離れろ!」

 

「わかってる!」

 

 ユーゴは態勢を建て直すために、一旦そこから後退する。レンが立っている場所のすぐ近くに着地し、レンに向けて言った。

 

「レン、この戦いは避けようにも避けられなさそうだ。……お前はどっちと戦う?」

 

「過去にどちらとも戦ったことはあるから、奴等の手札はほとんど知り尽くしている。やろうと思えば、二人まとめてだろうと相手にできるさ」

 

「ハッ、そいつはいい。凄まじく心強いぜ」

 

「……ただ、唯一の不確定要素は、ヘラクレスの手に握られているあのドーピングらしきものだ。あれを使われるとどんなことが起きるのかだけが想像できない」

 

 過去の戦績も含めて相当な自信があるのか、ユーゴには強気な態度を見せているが、まだ、自分達が勝つという絶対の確証はない。目を細めるようにして、ヘラクレスの手の中にある注射をじっと睨み、慎重な姿勢をとっている。

 

「そうか、お前もあれは知らないのか。けど、どうせやることは変わらないんだろ?」

 

「ああ、当然。見たところ、相手の指揮官が来ていないようだし、撤退するつもりは鼻から無いのだろう。だから、今回で決着をつける」

 

(来い、ゲイ・ボルグ、蜻蛉切!)

 

 レンは右手にゲイ・ボルグ、左手に蜻蛉切を出現させて、今にも跳び出せるように腰を低く構えだす。

 

「……そういえば、俺達は付き合いこそ長いが、一つのペアとして戦ったことは一度もなかったな」

 

「なに、そんなことは関係ないだろ。お前の動きを一番よく知っているのは、誰よりも数多くお前と戦ってきたこの俺だ。連携ぐらい余裕だろ」

 

「フフ。たしかにお前の言う通りかもな。……行こう、ユーゴ」

 

「任せろ、速攻で片を付けてやる!」

 

 二人はほぼ同時にその場から姿を消すとそれがこの戦いの火蓋となった。英雄派のヘラクレスとジャンヌ、両名との交戦が始まった。

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