あっホシノ!イライラしてるなら……はいっ!殴っていいよ!   作:広々瀬

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好きな子に腹パンされたい


ホシノに必要なのは怒りをぶつけられる場所ッ!僕がその役割を果たすんだ!!!

 

 

「もうムリ……マジムリ……もうこれ死ぬわぁ……」

 

 

 ゲームの世界に転生する……なんてことは、ご都合主義の二次創作か、日々の労働で心が擦り減ったお労しい人の妄想の中でしか起こり得ないことだと思っていた。

 正直僕はあまり好きではないが、『転生』なだけまだマシだと思う。『転移』は好かん。何はともあれちゃんとその世界観に合わせてくれ。

 

 僕はご都合主義の二次創作よりも、シリアスで暗鬱で愉悦を摂取できる作品の方が好きだ。それに心が擦り減るほど働いてもいなかったので、『転生』に対する脳内シミュレート回数が少ないのは言うまでもない。

 

 だから、もしそこに有識者がいるのなら教えてくれ。

 

 

 見渡す限りに広がる砂、砂、砂、砂。

 

 いや、正確には見渡さなくても砂しかない。

 視線を動かす必要すらないほど、世界は単調で、乾いていて、殺意に満ちた色をしていた。

 

 足元で砂が鳴る。

 

 一歩踏み出すたびに、靴の中へと入り込んでくる不快な感触が増えていく。

 

 制服のスカートは場違いにも風に揺れ、太陽は遠慮という言葉を知らない。

 右手にある銃だけが、やけに現実的だった。重さも、冷たさも、引き金に指を掛けた時の緊張感も。

 

 これは夢じゃない、と嫌でも理解させられる。

 

 そして何より致命的なのは、自分が男としてあるまじき格好をしているという事実だった。

 

 

 女子の学生服。

 銃。

 ヘイロー。

 砂漠。

 

 

 ……役満では?

 

 

 うん。

 

 

『ブルーアーカイブ』に転生したっぽいんだけどどうすりゃいいの?

 

 

 説明しようッ!

 

 ブルーアーカイブというゲームは、まぁなんというか美少女ゲームの皮を被ったGTAって感じのゲームだ。治安はクソみたいに終わってるし、バッドエンドだって無数にある。正直普通に暮らしてても支障が出るくらいに世紀末だし、たまの豪雨くらいの感覚で世界終末レベルの厄災が発生するとんでもない世界である。

 

 それでも確かなのは、このゲームの主人公的存在の『先生』と、ここキヴォトスの生徒達との青春の物語だということ。

 

 僕だって一人の先生としてゲームを堪能したし、それなりに思い入れもある。基本放置でいいスマホゲームは学生と労働者の味方なのだ。

 ただし課金は敵である。お前のことだぞアロナ。青春だからってブルーな封筒はいらないのよ。紫をくれ、紫を。

 

 ふぅ。

 

 とまぁ現実逃避はここまでにして。

 

 

「これどうしろってんだ……」

 

 

 可愛らしい声が砂漠に響く。

 

 未だに自分の喉からこんなに可愛い声が出ているとは信じられないが、男だったらブルーアーカイブの世界観を崩しかねないのでTSは甘んじて受け入れることにした。

 

 何か目印はないかと、首を反らして空を見上げるが、期待していたものは何もなく、ただ清々しいくらいの快晴が広がっていた。

 

 うん、ほんとにどうしよう。このままじゃ僕も梔子ユメよろしくドライJKまっしぐらだ。

 流石に転生──そもそもこれを転生と定義していいのかは謎だが──して一日もせずに死にたくない。

 

 せめてユウカの太ももとハスミのデカパイとイオリの脚とアコの横乳とヒナのお日様の香りとトキのバニー姿とミカのヘラった姿とナギサのナーフされたデカケツとセクシーフォックスの脇とヒマリの足の指とレオタードのアツコとクソ雑魚カヤと、なにより────

 

 

「ホシノを一目でいいから見さしてくれぇ……」

 

 

 僕の最推しである小鳥遊ホシノを堪能したい。

 

 未練ばっかり浮かんでくるな。この世界でまだ一時間も生きてないのに。

 

 

 

 ……ん?というかここアビドス砂漠だよな?

 

 

 ビナー君「やぁ(^^)」の可能性があるってコトぉ……?

 

 

 

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!! マジで誰でもいいから助けてくださぁぁぁぁい!!!! 死んじゃう!! このままだと確実にポックリどころか、グチャッもしくはドロッって逝っちゃうからぁ!!」

 

 

 ………。

 

 返答は無し。こちとら一世一代の命乞いだぞ。誰か一人、いや一匹、いいや一体くらいは聞いてくれてもいいんじゃないでしょうか。

 このままだと本格的に僕の体力が尽きるか、命が尽きてしまうのですが。

 

 ………こんな一人茶番やってても意味ねぇわ。さっさと歩こう。それがいい。

 

 

「はぁ……」

 

「お困りのようですね」

 

「いやほんとに…………ドゥウェエァ!!??」

 

「癖の強い驚き方ですね」

 

「ど、ど、どどど……!? ド変態!!」

 

「今回は縁が無かったということで」

 

「ヘイ紳士的なそこの黒い人、こんな暑い日には僕みたいなクールビューティーな美女で妥協しないかい?」

 

「クックック、えぇ、まぁ、良しとしましょう」

 

 

 ふと隣を見たら黒服がいた。

 何を言ってるのかわからないと思うが、僕も何を言っているのかわからない。

 さっきまでいなかったのに、普通にいるのなんなん?

 お化けよりもたち悪い見た目してるんだからやめてくれ。心臓に悪い。

 

 あ、そういえばこの人ワープみたいなの使えるんだっけか。……ガハハ!勝ったッ!第三部完!

 

 

「実は記憶喪失兼迷子なんです。なんでもするかもしれないので助けたほうがお得ですよ?」

 

 

 とりあえず腰をくねらせて女体を強調、さらに猫撫で声も使って全力で誘惑。

 ここで黒服に見捨てられたら冗談抜きでユメ先輩コースだ。こちとらもう体感一時間くらいは砂漠練り歩いてるんだから、マジ頼む。もう限界なの。

 

 

「『なんでもするかもしれない』とは、また随分と含みのある言い方ですね」

 

「いやほら、それは言葉の綾というか、花のJKが言えばとたんに魅了が跳ね上がる魔法の言葉というか……」

 

「クックック……なるほど。では質問を変えましょう」

 

 

 黒服は、僕の右手──握り慣れていないはずなのに、妙にしっくりくる銃に視線を落とした。

 

 

「『観測者』が何故その役に?」

 

 

 ………バレてーら。

 

 ブルーアーカイブにおいてそれぞれが持つテクストというのは、その存在の意味そのものを左右する重大なものだ。

 それこそ『先生』というテクストを持ったこの世界の主人公は、決して折れることなく生徒にとっての希望を見い出して彼女達を導く運命にある。

 

 この世界の可愛いJKが銃弾をものともしないのは、彼女達が『生徒』というテクストに縛られているから……というのが僕の考えだ。

 

 ならば黒服が言う『観測者』が持つテクストは何なのか。

 

 言葉通りに受け取るなら、この世界を次元を超えて観測する者──すなわちブルーアーカイブのプレイヤーのことだ。黒服が指すそれも、きっとこのことだろう。

 

 なら、僕が持つ答えは決まっている。

 

 

「わかりません」

 

「…………」

 

「目が覚めたらアビドス砂漠のど真ん中。この現象を貴方達すら理解できないのなら、僕が理解する術はないです」

 

 

 ──なんでこの世界に?

 

 それは一番僕が聞きたい。

 このゲームは外から眺めるからこそ口角が上がるのであって、実際に世界の住人として住むには治安が悪すぎて無理。

 日本に戻れるのならすぐに戻してほしい。あ、でもせめてホシノだけは見させて。

 

 僕の返答に黒服はしばらくその炎をゆらゆらと揺らした後、くるりと背を向けて歩き出した。

 

 

「あ、あれ……興味無くしました?」

 

「……クックック。いえいえ、逆ですよ。貴女は、実に興味深い」

 

 

 ふぅ……見捨てられたわけではないみたい。あんまヒヤヒヤさせんなよ。こっちはいつでもその胡散臭い体に鉛玉ぶち込めるんだからなぁ!

 まぁ銃なんて撃ったことないんだけどね。

 

 

「僕を口説くのには10年早いよ」

 

「おやおや、手厳しい」

 

 

 先を歩く黒服に小走りで追い付き、その隣に並ぶ。『生徒』と『大人』というテクストがある以上僕と彼が真に対等になることはないけれど、契約を重んじる彼なら、探求者である黒服なら、きっと僕のことは放っておけないだろう。

 

 僕は『元』観測者で、黒服はこの世界の一人の役者に過ぎない。だから彼にとって僕は未知であるし、僕のためにもそうあり続けなければならない。

 

 

「では、こちらへ」

 

 

 そう言って黒服は何も無い空間に手を添える。するとそこに人一人が通れる程の黒い穴がぽっかりと開いた。

 いかにもな雰囲気はあるけれど、当の本人がホラー感満載なので少し物足りない感じがする。

 

 

「キヴォトスへようこそ。我々『ゲマトリア』は、名も無き観測者を心から歓迎いたします」

 

「……そりゃどうも。せいぜい貴方達の期待に応えられるように頑張るよ。あとさ、電話番号くれない?」

 

「……どうぞ」

 

 

 そのやり取りを最後に、黒服は最初に現れた時と同じように煙の如く姿を消した。

 

 これ用意しといて本人は違う移動手段があるのかよ。黒服……というかゲマトリアに対しては知らないことが多すぎて、『観測者』としてのアドバンテージがほぼ無いんだが。

 

 てかさ、この穴ってほんとに安全なやつ?急に不安になってきたわ。

 黒服なら「え?街まで送り届けるなんて言ってないですよ?さぁ、実験実験^ ^」とかやってきそうで怖いんですけど。

 

 …………。

 

 

「ええい、ままよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「……おぉ」

 

 

 恐る恐る目を開けると、そこには砂に塗れた街の景色が広がっていた。どうやら黒服は本当に僕を送り届けてくれたみたいだ。

 

 

「それはそれで裏がありそうで怖いな」

 

 

 これで黒服は僕の命の恩人になった。僕としても感謝の気持ちはあるので、今回のことをダシにされたら、3回くらいはタダ働きさせていただこう。

 ホシノを捕らえろとか命令されたら喜んで従おう。僕ごときが捕まえられるとは思っていないけれど。

 

 

「……っ」

 

 

 そんなことを考えながら砂の街を歩いていると、前方に見覚えのある生徒の姿が見えた。

 

 緑がかった水色のロングヘアー。アビドス高校の制服に身をつつみ、ハーネスベルトが彼女の大きな胸をさらに強調している。

 彼女が背中に背負っているのは、未来でホシノの物になる盾。何より特徴的なアホ毛が、彼女が何者であるかを示している。

 

 

 梔子ユメだ。

 

 

 間違いない、生きてる……! まだ原作が始まる前ということか。つまり今のホシノはまだショートのツンツンロリっ子!? なんてこったい。すぐにでもアビドス高校に行ってその期間限定フォルムを拝まなければならない。

 

 という下心を胸に、僕は彼女に声をかけた。できればここで入学のお約束を取り付けたい!!

 

 

「こんにちは! 梔子ユメさんですよね?」

 

「え? そうだけど……何か用かな?」

 

 

 なんか心なしか元気が無いな。原作だともっと元気溌剌で人当たりの良いイメージだったんだけど。

 

 

「何かあったんですか? 僕でよければ話を聞きますよ」

 

「いやいや、そんな……大丈夫だよ。そんなに困ったことでもないから」

 

「まぁまぁ。人に話せば楽になることもありますし。僕実は記憶喪失で今のところ知人の一人もいませんので、誰かに言いふらすこともありませんよ」

 

 

 秘技『どしたん話聞こか』作戦。

 こういうちょっとしたところで好感度を稼いでいくべきだとギャルゲーで学んだのだ。

 

 一歩距離を詰めて、彼女の肩にそっと手を置く。もはやナンパと言ってもいいが、今の僕は可愛い女子高生なので問題は無い。見る人が見れば絶頂するほどの美しい景色だろう。

 

 僕の紳士的な言葉で、ユメ先輩は徐々に話をする気になったようで。少し躊躇いながらも話始めた。

 

 

「実は今日ね。学校の後輩と喧嘩しちゃって」

 

「──────へぇ」

 

 

 なるほど。なるほどなるほど。

 今日だったのか。

 

 

「それは、何が理由で?」

 

「……今までの積み重ね、かな。私が生徒会長としてあんまりにもダメだからさ」

 

 

 ──見限られちゃったのかも。

 

 

 そう言って梔子ユメは下を向いてしまった。その視線の先に小さな水滴が落ち、乾燥したアスファルトを潤す。

 

 梔子ユメが下を向いてくれて助かった。

 

 今の僕は、とてもひどい顔をしているだろうから。

 

 

「ご、ごめんねっ! 初対面なのにこんな話しちゃって」

 

「いえ、僕の方こそごめんなさい。無神経に聞いてしまって」

 

「そんなことないよ。聞いてくれてありがとう」

 

「力になれたのなら良かったです。では、僕はこれで」

 

「あ、私に何か用があったんじゃ──」

 

 

 ぺこりと頭を下げ、逃げるように彼女から離れる。きっと彼女が生きている姿を見るのは、これが最後だろう。

 僕は彼女を救済なんてするつもりはないし、なんなら今すぐにでもこの手で────

 

 まぁ、それはナシかな。

 

 今はやることができた。

 

 公衆電話に駆け込み、ついさっき貰った電話番号を入力する。

 使えるものは何でも使う。

 何もわからないままここに来て、平凡な生を送るくらいなら、今この瞬間、僕は自分の性癖に第2の人生をオールインしてやるよ。

 

 

「もしもし黒服さん? ちょっとお願いしたいことがありまして……」

 

 

 

 

 

 

「ユメせんぱい。どこにいるんですか」

 

 

 砂漠を歩く少女がいた。

 ピンクの髪は砂でその艶を失い、制服も砂漠の色と遜色ないほどにくすんでいる。

 誰が見ても限界。それでも少女は歩みを止めない。

 

 

「ユメせんぱい」

 

 

 うわ言のように同じ言葉を繰り返す。

 その名が指す人物が、今も生きているとは限らないから。少しでも彼女を忘れないために、少しでも彼女を繋ぎ止められるように。

 

 もしもを、最悪の結末を考える自分に鞭を打つ。

 

 

 ────大丈夫。まだ間に合う。

 

 

 それが本心か、それとも自分に言い聞かせているだけなのか、少女は──小鳥遊ホシノはわからなかった。

 

 

「ユメせんぱい」

 

 

 謝りたいことがある。

 言わなきゃいけないことがある。

 一緒に行きたい場所がある。

 話したいことがたくさんある。

 

 

「ユメせんぱい」

 

 

 後輩にこんなに砂漠を歩かせて、まったく手のかかる先輩だ。帰ってきたらたくさん文句を言わなきゃいけない。

 説教が終わったら、謝らなきゃいけない。ポスターを破いてしまったことを。たくさん酷い言葉を吐いてしまったことを。

 

 だから、はやく。

 

 

「ぁ……………ぁ…………」

 

 

 歩いて、歩いて、歩いて。

 

 

「ユメ、せんぱい」

 

 

 やっとの思いで先輩に会えた。

 

 

「ここにいたんですね」

 

 

 私は、私が、たった一人の大切な先輩を────

 

 

 

 

「貴女のせいではない、かもしれません」

 

「…………どういうことだ」

 

 

 ユメ先輩が亡くなって3日が経った。

 一人の教室は思っていたよりもずっと広くて、寂しかった。あんなにうるさいと思っていた先輩の声は、私には欠かせないものだった。

 

 思い出となった教室に、唐突にそいつはやって来た。私が忌み嫌う大人であり、今一番会いたくない奴。

 きっと弱ってる今の私なら付け入る隙があるだなんて考えているのだろう。

 

 もう、いい。

 

 私は愛銃の引き金に指をかけた。何か気に障ることが聞こえた瞬間、私はそれを躊躇いもなく引けるだろう。

 

 だが私の予想とは裏腹に、そいつ……黒服は一つのUSBと、先の言葉を残して去って行った。

 教室に残ったのは、人殺しの私と渡されたデータのみ。

 半ば投げやりに、私は渡されたUSBをパソコンに差し込んだ。その中に入っていたのは、一つの映像データだった。

 

 

「は」

 

 

 思わず、声が出た。

 

 それに映っていたのは、俯いて涙を流しているユメ先輩と────先輩の肩に手を置いて邪悪に笑う一人の生徒。

 日付はちょうどユメ先輩がいなくなる一日前。何か、こいつに言われたのだろうか。脅されたのだろうか。ユメ先輩がこんな風に泣くなんて、よっぽどのことがあったに違いない。

 何があった。こいつは誰だ。どうしてそんな顔をしている。

 

 『貴女のせいではない』と黒服は言った。

 

 ならば。

 

 

「こいつが」

 

 

 こいつがユメ先輩を殺したんだ。

 

 

 ────私じゃなかった。

 

 そんな安心感も、憎悪に飲まれて消えていく。頭が真っ白になって、真っ黒に染まる。

 

 ユメ先輩の敵。私の怒りの矛先。人殺し。

 

 

「待っていてください。ユメ先輩」

 

 

 暴力だけが、私の取り柄だった。それ以外に価値を見出してくれたユメ先輩はもういない。

 だから、私に残った唯一の取り柄で、最後にユメ先輩の役に立とう。

 

 そしたらきっと、私は私を許すことができる。

 

 

 

 

 

 

「ふひ、ひひっ……あはぁ」

 

 

 今頃ホシノは僕がユメ先輩を殺したのだと思い込んでるだろう。

 黒服に頼んで手に入れてもらったデータは、僕と梔子ユメが会話をしているところが映っている防犯カメラの映像だ。その内容は、泣いてるユメ先輩の肩に手を置いた僕が愉悦に浸っているというものでしかないのだけれど。

 ユメ先輩の死で思考力が削がれたホシノなら。ユメ先輩の死の原因を、自分以外に見つけられる可能性があるのなら。

 

 きっとホシノは僕の思い通り、僕に憎悪を向けてくれるはずだ。

 そのありったけの思いを、ホシノのためだけの思いを、僕だけに向けてくれるなんて……!

 

 

「最高だ」

 

 

 今から楽しみでしょうがない。

 これから、僕を見つめるオッドアイが、僕を罵るその口が、僕を逃がすまいと駆けるその脚が、僕を撃ち抜くその銃が、僕を憎むその思考が、ぜんぶぜんぶぜんぶぜんぶぜんぶぜんぶぜんぶぜんぶぜんぶぜんぶぜんぶぜんぶぜんぶぜんぶぜんぶぜんぶぜんぶぜんぶぜんぶぜんぶぜんぶぜんぶぜんぶぜんぶぜんぶぜんぶぜんぶぜんぶぜんぶ──────楽しみでしょうがない。

 

 

 そして、そして、そして。

 

 

 僕を殺して、どうか君が、君自身を許せるように。

 

 

「待っててね、ホシノ」

 

 

 これは僕がホシノのサンドバッグになるまでのお話だ。

 





大好きな人にガチで疎まれるってほんとに興奮する
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