【悲報】昭和のおばちゃん、宇宙世紀に転生したと思ったら、最推しの姉だった【あんまり過ぎる】   作:佐世保の中年ライダー

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懲りずにまたやります。
望外にも☆9と言う、高評価を頂き感謝致します。


おばちゃんは、これから始まる最推しとの生活に歓喜し、妄想をたれ流す。

 

 今日この日の事を、私は生涯忘れる事は無いだろう………なんて歴史ドラマ風に脳内でナレーションを入れる私。まあ実際はこの日の出来事が、この先の歴史を左右するとかって事は無いんだろうけどね。いや、もしかしたら私という異分子がこの世界にいる時点で何某かの齟齬が、今後の宇宙世紀の歴史に顕れるかも知れないけど、現状はそんな事は起こっていないと思う。

 なんせ今の私はただの三歳児だし、やっている事と言ったら毎日保育園に通いながらのチャイルド・プレイ。それと今後宇宙世紀の正史上、訪れる可能性が高いっぽいビダン夫妻の夫婦仲が冷え切らな様に、子は鎹ムーヴを鋭意実施中って事くらい。

 

 「ふう。やっぱり官舎といっても、我が家は落ち着くわね」

 

 ヒルダママがホッと呟いた。そう出産入院期間を経て、只今ヒルダママとカミーユ・ベイビィバージョンが官舎へと帰宅して来たんだ。やったね私!今日から最推しと一つ屋根の下での生活が始まるんだよ、やっふーッ!

 

 「ははは、本当にお疲れだったねヒルダ」

 

 小さなカミーユを揺り籠に寝かせて、フランクリンさんがヒルダママを優しく抱擁して見つめ合う。そして二人はそっと口付けを交わした。二人の子を持つ親と言っても、まだまだお若い二人さんは蜜月にある様だね。お盛んな事で大変結構ですな。と言うか流石は異人さんだね、愛情表現が直截的で躊躇いもなくて、実に分かり易い。まるで昔のアメリカンなホームドラマのワンシーンだわ。子供が見ていようともお構いなし。だけど、エロさも感じないから良いのかな。

 まあ言っても私も元は主婦(専業では無かったけど)で、二児の母で孫持ちだ。なので懐かしいな、私も若かりし頃は旦那とこんな感じだったなぁ、てな感じで生温くお二人をお見守りいたしますよ。

 それにだね。そんな事よりも、今の私の関心はお二人でな無く、別のところにあるんだよね。そして今私の目は、二人では無く別のところにロックオン、ただ一点にカチリと固定されている。勿論それは!ゆるりと揺蕩う揺り籠の上で、スヤスヤと眠る小さな天使の如き我が推し!

 

 「はぁ、カミーユぅ……寝顔が尊い♡」

 

 眠りながら、口元をムニャムニャと小さく動かしている仕草が鬼可愛い。そんなカミーユが尊くて私の思考回路はショート寸前、語彙力も消失寸前だわッ!

 

 「ふふふ、愛加那はカミーユに夢中ね」

 

 「そうだね。アイカナも弟と一緒に居れるのが、嬉しいのだろう」

 

 今生の両親が何か言っているけど貴方達、そりゃあ当然っなものでしょう!ニャンコ達がち◯〜るに夢中になる様に、推しを目の前にしたファンが夢中にならない、なんて事があろう筈もないでしょう!

 はぁ〜、この小さな命が成長すると、宇宙世紀史上最高のニュータイプにして、そして最高位の中性的美少年になる事が確定しているんだから、もうたまりませんよ。グヘヘと下衆い笑いがまろびでそう。ヤバいわ私!

 

 「でもカミーユも眠っているのだし、愛加那もあまり強く触ったり煩くしたりしないでね」

 

 「うん、ちゃんとカミーユが起きてからお世話するね」

 

 まあ三歳児ですしね、加減が分からないって思われてるんだろうな。だけど私の中身は出産も子育ても経験済みのベテランおばちゃんだからね。何なら孫の面倒も見て来ましたよ。そこら辺の心得はバッチリです。

 

 「そう、偉いわね愛加那はもうお姉ちゃんとしての自覚があるのね」

 

 そりゃそうですよヒルダママ。何の因果があってこの世界に転生なんてしてしまったのか解らないけど、愛しのカミーユの身内になってしまったのなら、甘々に超溺愛しますともさ。そして!

 

 『目指すは、劇場版のラスト以上のハッピーエンドですよ!』

 

 ねぇ、カミーユ。家庭環境や自らのコンプレックスから複雑な精神構造を形成してしまったけれど、本質はとても優しくて繊細な男の子。そんな男の子が過酷な戦場で、その優しさ故に追い詰められ精神(こころ)を砕け散らせてしまったTV版と、はっきりと明言はされてないけど明らかに命を散らしたとしか思えない描写の小説版、そんな悲劇的な二つの結末。だがこの強火のファンである私がこの世界にいるのだ!絶対にそんな結末になんかさせないからね。

 

 当時の私はさ、あまりにもカミーユに感情移入をし過ぎていて、その結末を見届けた後しばらくはメンタルブレイクしてしまってたんだよね。食欲も衰えてしまったし、眠ってても夜中に何度も目を覚ましてはもっと違う結末はなかったのかと、アレでもないコレでもないと思い煩ってたんだ。

 まあでも一週間後にダブルゼータのアレを視てね、何とも言えない珍妙な気分になってしまったんだけど。

 

 「そうか。じゃあ父さんと母さんは荷物を置いてくるからアイカナはしばらくカミーユの事を見ていてくれるかい」

 

 「うん!わかったパパ」

 

 私にカミーユの事を見ていてと言い付けて二人の寝室へと歩いていく。その背中にチラリと私は目をむけると、フランクリンさんの右手がヒルダママの右肩に添えられいた。そんな二人を見つめる私、さながら今の心境はさながら腕組み後方待機理解者か。

 

 「ねぇカミーユ、このまま二人の仲が険悪にならなければ、未来のカミーユの運命も違うものになるのかな。そんな未来になれば良いんだけどね」

 

 パタンと閉じられた扉の向こうに二人の姿が消えたのを確認して、私はスヤスヤと眠っているカミーユに語り掛けてみる。

 

 テレビ放送から二十年が経って制作された劇場版三部作、その世間的な評価は決して高いものでは無い。新作部分の作画のクオリティは凄く高いんだけれど、旧作映像との作画の乖離が激しくて見辛かったのは否定出来ない事実だしね。しかも、旧作映像のチョイスされた部分がね、なんだかあまり作画のレベルが高く無い部分をも選んでるみたいにも感じたし。予算とか話の展開上とかの関係で、致し方無い面もあったんだろうけど。

 それに全五十話あるテレビシリーズを、全四十三話のガンダムよりも短い時間でまとめてしまっている関係から、このエピソードは必要だよねって部分までバッサリ切られてるって印象だった。いやね、TV版は4クールの長丁場、途中の中弛みみたいな部分がガンダムよりもゼータは多かったから、カットされるのは私的にも理解できるんだ。

 まあ感想は人によりけりだとは思うんだけどね、私的にはキリマンジャロも欲しいしダカールの日も入れるべきだったと思ってる。

 いやまあ、あそこでフォウの死をカミーユが見てしまうと、その悲しみからTV版ルートに行ってしまう可能性が高いと思うから、敢えてそこをカットしたのかとも推察してるんだけどね、例えば『哀・戦士編』でミハルを喪ったカイさんがその御霊に誓いジオン絶許に目覚めたように、例えばカミーユがフォウを喪っても尚、その彼女の死を無駄なものもしない為にも、死した彼女にティターンズの悪行を阻止するんだと強く誓うシーンを挿入する事で、カミーユの心持ちがTV版とは違うんだよと印象付けられたのではなかろうかとね。

 それとダカールのエピソードはね、TV版でも作中エゥーゴとティターンズの形勢逆転の重要なスプリングボードでもあると私は思ってるし、作戦終了後にアムロとシャアが祝杯をあげるとことか、カミーユとベルトーチカの和解とかの良いシーンが沢山あるんだからさ。

 

 ちょっと劇場版の不満点をつらつらと述べたけれど、私としては賛否両論ある“あの結末”だけども、勿論圧倒的に賛の方だよ。

 だってねぇ、TV版のラストのカミーユの姿に悲しみの涙を、心の中で流した私としては彼が健やかな心を保ったままでいてくれた事が本当に嬉しくってね、思わず劇場の席で嬉し涙を流しながら。

 

 『良かったねカミーユ、ファちゃんと幸せに暮らすんだよ』

 

 なんて、心の内で二人に祝福を贈ったんだよね。まあそんな私の痴態を、一緒に観に行った旦那と当時小学生だった二人の子供達は苦笑しながら生温い目で見てたけど。

 だって、二十年待った私の望みに近い結末を迎えてくれた事がメッチャ嬉しかったんだから、しゃあなしだよ!

 

 

 

 

 穏やかに眠る生後六日目カミーユを見守りつつ、私はなんとなく自分が置かれた状況について考えてみる。

 

 「やっぱり何と言ってもね、何処の誰のどんな思惑とか作為があって私をこの地獄の宇宙世紀に転生させたのかって事だよねぇ」

 

 私もオタクの端くれだし、転生系の話はなろう系や二次創作含めてそれなりには読んだり視聴してたよ。だから自ずと今の自分の立ち位置が何らかの存在が介入した結果ではなかろうかと、考察する訳ですよ。

 まあ、文明も現代世界よりも遅れているナーロッパ世界とかに送り込まれるよりは、マシなのかもしれないけどさ、でも九年後には総人口の半数が死んでしまう規模の戦争が勃発する世界だからね、その死者のうちの一人に自分がならないとは限らないし。

 

 「けど、両親が二人とも軍の技術者だって事は不幸中の幸いって言えるのかな」

 

 基本私は富野アニメ、富野ガンダムが好きな自称トミノコ族!であり、ガンダムなら全シリーズ何でも知っていなければニワカ呼ばわりをして貶してくる不寛容な、所謂ガノタでは無いから後付け設定とか詳しく無いし、ハッキリとした事は分からないんだけど、確か連邦の艦船とかって殆どがジャブローで生産されてるんだよったよね。それにガンダムを始めとするV作戦の機体や量産機のジムとかも。ボールもかな?

 だったら機械工学や材料工学に携わってるビダン夫妻は、何れジャブローへお呼ばれする可能性は相当高いはず!あそこならサイド7から脱したホワイトベースが入港するまでは一応安泰だよね。やった〜ッ私ってば生き残れる可能性大だ!

 

 一年戦争が始まり、ホワイトベースがジャブローに入港するまでは取り敢えず安泰?だとの将来の展望にちょっとだけ安心感を覚える私だけど、そうなると人間って欲望が沸いて出てくるものなのか、こんな事を思ったりする。

 

 「でもさぁ、だったら姉ポジションじゃ無くてさぁ、幼馴染みとかの将来的にカミーユと結ばれるヒロインポジションに転生させてくれても良かったんじゃないかい!?そうすりゃ私だってワンチャン、カミーユと結ばれるエンドとかも微レ存?」

 

 などと己の欲望垂れ流しよ。そりゃあ、あ〜た何と言っても、ステージ上にいる推しを客席から見てるんじゃなくて、こんなに近い位置って言うか、謂わば同じステージに立たされてるんだったら、あわ良くばと欲望全開にして考えてしまうのも仕方ないでしょ!そう思うよね?それが人ってモンですよ。

 

 「ねぇ、カミーユ」

 

 ちっちゃな口元を、もにゅもにゅしている天使に問うてみる。返事が返ってくる事が無いって事は百も承知である。将来的にサイド7へ移住したら、カミーユはファちゃんと出逢うしね。尤も私という異物がこの世界に入り込んだ事で、二人の関係にも何らかの変化が表れるかもだけど。

 

 「イヤ、待てよ。姉と弟の禁断の関係ってのアリよりのアリか!?」

 

 昨今のポリコレとか多様性とかLGBTとかに、私は一欠片も興味ないけどは、モーホーやレズが認められるんなら、姉弟による禁断の関係も認められても良いのではなかろうか(暴論)ならば、発動しようではないか!魔法◯女育成計画ならぬ、お姉ちゃん大好き弟育成計画を!!

 あ〜っ、もうッ!私も何だかあの眉無しの様に、一丁演説でもぶち撒けてみたくなってきましたよ。演説のテーマは勿論、禁断の愛よ!

 すくっと立ち上がって、私はギュッと握りこぶしを作りグッと空へと掲げる。ファイトォー!イッパァーツ!と叫びたいところだけど、ちょっと自嘲します。

 

 「ふぁ………ぶぁぅぅ」

 

 あっ、不味い。ちょっと五月蝿くし過ぎたのかな、なんだか今にもカミーユがむずがりだしそう。ゴメンねカミーユ、お姉ちゃん(おばちゃん)煩かったよね。

 

 「ゔぁ。ゔぅあ………うぎゃぁ……」

 

 ありゃぁ、そうこうしている内にカミーユが本格的に泣きはじめてしまったよ。突き上げてた手を慌てて下ろして、私は揺り籠を軽く揺らしつつ泣きはじめたカミーユのお腹をポンポンとゆるく叩いてあやす。

 

 「よしよし、カミーユ、大丈夫だよ」

 

 怨めしい。本当は自分の胸元に抱っこしてあげたいんだけど、あいにくと今の私は三歳児のボディとそれに見合う程度のスペックしか無い。なので揺り籠からカミーユをきちんと取り上げて、抱いてあげられるが分からないんだよね。だから迂闊な真似はするべきじゃない。なので今は、ヒルダママが此方へ来てくれるのを待つしかない。これはたまらなくもどかしい。

 

 「あらあらカミーユ、どうしたの」

 

 おおっ!カミーユの泣き声を聴きつけたヒルダママが寝室のから、このリビングへと来てくれたよ。そのあとに続く様にフランクリンさんもご一緒です。

 

 「大丈夫よカミーユ。ママは此処に居ますからね」

 

 揺り籠へと駆け付けたヒルダママは優しく手を延ばして、泣きじゃくるカミーユを静かに抱きかかえてあやし始めてくれた。

 

 「カミーユ、いい子だね。パパも一緒に居るからね」

 

 ヒルダママの隣に並んでフランクリンさんも優しいパパさんモードで、カミーユに呼び掛ける。頼みますよお父つぁん、今後も良き父親であってクレメンス!

 

 「あら、どうしたのかしらちっとも泣き止まないわね。お襁褓(おむつ)の汚れお知らせの色も変わっていないから、お腹が空いているのかしらね」

 

 ヒルダママが抱き上げたカミーユに履かせているお襁褓の外観を確認し、それに変化が無い事を確かめると、カミーユが泣き出したのは空腹の為ではないかと見当を付ける。そうだよね、私もヒルダママの言うとおりだと思います。

 だけど、今時のお襁褓って凄いんだね。赤ちゃんがオシッコやうんちをすると、それに反応して色が変わってお知らせしてくれるんだから。私の二人の子供達の頃は、そんな機能なんてありゃしなかったよ。まさに隔世の感ありだね。

 と言うか考えてみりゃ此処って私からするとずっと未来の宇宙世紀なんだから、二十一世紀の令和日本世界よりも、こう言った日用品も含めて、技術的に進歩発展していても何も可怪しくないんだった。やだ、おばちゃんったらウッカリだわ!

 

 「ははは、そうかも知れないね。ではミルクを作ってカミーユに飲ませてあげるかいヒルダ?」

 

 「いいえ、愛加那の時と同じ様にもうしばらくは母乳のみで様子を見ましょう。その後はミルクも併用して良いんじゃないかしら」

 

 「分かった」

 

 素敵だね。演じているのでは無く、本当に仲睦まじいビダン夫妻をおばちゃんは生温く見守りますよ。こんなふうに私とカミーユの記念すべき同棲生活(あらやだ、ポッ♡)は始まリました。そしてもう一つ記念すべき事が起こったんだよ。

 それはなんと!生後六日目にしてカミーユの瞼が初めて開かれたのです。まあだいたい赤ちゃんの目が開くのは生後六日前後だし、カミーユが順調に育っている証だね。

 たまに異世界転生系の作品でさ、生後すぐに赤ちゃんに転生した主人公が目を開いて、戸惑いながら周りの状況を把握したりする描写があるけど、実際には生まれてすぐに瞼は開かないんだよね。それに、開いたとしても視力が伴わないからモノを認識出来ないんだよね。まあその辺りはちょっと割愛する。

 

 ゆっくりと開かれた、その瞼の瞼の裏に隠れていたカミーユの青い瞳がお美しくって、おばちゃん思わず見惚れてウットリしてしまったわ。

 

 『瞼の中の君の瞳が碧く輝いていたから、今日は開眼記念日』なんてね♪

 




カミーユ・ビダンちゃん生後6日、後に史上最高のニュータイプとなるその片鱗により、おばちゃんの黒い剥き出しな欲望のプレッシャーを感じた為に、泣き出したのかも知れません?
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