Neverwinter Nights - Deekin in Halkeginia 作:ローレンシウ
(ええい……、一体何をやっているのだ、あの連絡係の男は!)
ワルドは『女神の杵』亭の2階で、窓から一人外の様子を窺いながら苛立っていた。
既に日は沈み、スヴェルの月夜が訪れている。
夜空に星が瞬き始め、赤い月が白い月の後ろに隠れて、ひとつとなった月が青白く輝いているのだ。
だというのに、夜までには戦力を手配して連絡を入れるといっていたあの男からの報告が、一向にやってこないではないか。
階下では今しも同行者たちが酒場に揃ってくつろぎ、気を緩めているところだ。
まさに今こそが、襲撃の絶好の機会だというのに……。
「いい加減な輩め!」
この計画の重要性については既に十分説明してやっただろうに。
落ちぶれた貴族崩れごときが、自分に待ちぼうけを食わせるとはいい度胸ではないか。
いっそ自分一人でやってやるか、ともワルドは考えた。
これまでに蓄えた精神力をかなり消耗することにはなるが、遍在の3~4人も使えば同行者の数を削るための戦力としては十分だろうと踏んでいた。
しかし、さすがに同じような姿のメイジ数人が同時に襲撃すれば、遍在を用いていることが露見してしまいかねない。
そうすると、体格などが似ているということで自分に嫌疑の目が向くことも無いとは言えまい。
そういった諸々の事柄を考え合わせると、やはり自分だけでやるというのはいささか難しいように思われた。
「……ちっ」
なんにせよ、もう待てない。
一体何をしているのか、もう一度こちらから出向いて確かめてやる。
もし仮に、大口を叩いておいてまだ戦力が揃っていないのでだんまりを決め込んでいるなどということであればただではおかぬ。
(その時は、貴様の首が飛ぶことになると思え!)
ワルドは軽く周囲に人気がないことを確認すると遍在を作りだし、変装用に適当に用意したフード付きのローブを身に付けさせた上で、窓から外に送り出した。
どこかで梟の鳴く声がする。
急がなくてはならない。
遍在は、正しく風のような速さで夜の街を走って行った……。
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しばらくの後、遍在は昼間に連絡役が案内してくれた建物へ辿り着いた。
入り口をノックも無しに通り抜けて奥の様子を窺うと、地下の方からかすかに明かりが漏れている。
「あの馬鹿め……!」
ワルドの遍在は、顔をしかめて悪態をついた。
やはり、いまだにこんなところに留まって悠長に構えていたのか。
あれだけ説明したにもかかわらずことの重要性が理解できていないのか、それともこの自分を他所者だからと思って虚仮にしているのか?
(いずれにせよ、許してはおけん)
遍在は細剣状の杖を引き抜くと、足音を殺してゆっくりと地下へ降りていった。
奴に杖を突きつけて申し開きをさせ、その内容如何によってはすぐにでも始末してくれる。
自分にとって何の役にも立たぬ輩であるなら、生かしておく必要もない。
使い魔の鴉共々始末した後は、適当に室内を物色しておけば近隣のごろつきにでも殺されたのだと思われるだろう。
ワルドはそこでふと何かの気配を感じたような気がして足を止め、背後を振り返ってみた。
だが、何も不審な様子は見えない。
気のせいだったかと思い直して、階下の方へ向き直る。
地下の扉の前まで辿り着くと、遍在はひとつ深呼吸をしてから明かりの漏れている扉を一気に体当たりするようにして押し開き、部屋の中へ飛び込んだ。
部屋の中でのんびり構えているであろうクロトートに不意打ちで杖を突き付け、恫喝してやるつもりだったのである。
「む……?」
だが、部屋の中にはランプに灯こそ燈っているものの、誰もいなかった。
ただ、床の上に嫌な臭いを放つ汚らしい泥の水たまりと、それに浸かったひどく破れて傷んだ豪奢な衣服の残骸があるばかりだ。
ワルドには知る由もなかったが、先に死んだクロトートとイガームのなれの果てである。
怪訝に思った遍在がもっとよく調べてみようとしてその水たまりの方へ向かった、そのとき。
背後の扉が突然がちゃりとしまり、次いで鍵のかかったような音がした。
「なっ!?」
遍在は慌てて扉に飛びつき、引っ張ってみた。
だが、やはり開かない。
杖を振って『アンロック』をかけてみても、攻撃呪文で叩き壊そうとしてみても、扉はびくともしない。
「おっ、おのれ……!!」
彼は今や、逃げ道のない地下室に完全に閉じ込められてしまったのであった。
・
・
・
「……ふう、やれやれだね」
ワルドの遍在をあっさりと閉じ込めた張本人、かつての怪盗『土くれ』のフーケにしてミス・ロングビルことマチルダ・オブ・サウスゴータは、扉の外でほっと息を吐いていた。
彼女はあらかじめディーキンから預けられた透明化の指輪を使って、この建物にやってくる者を見張っていたのである。
与えられた役割は、誰かが来たら他の見張りやディーキンらにその旨の連絡を入れるというものだった。
だが、ワルドの遍在が自分の存在に気付かずに地下へ向かったことから好機を見てとり、もう一働きしてやろうという気になったのだ。
フーケは遍在が完全に地下室へ入ったのを見届けると、扉を閉めて『ロック』をかけた上に、外側から『錬金』で作った石や金属で何重にも固めてやった。
たとえスクウェア・メイジであろうが、『風』では『土』の莫大な質量を吹き飛ばすことは容易でない。
ましてや、空気の流れが淀んでいるために風の力が格段に弱まるこんな建物の深部ではなおさらのことである。
これで、あの遍在が自力で内部から脱出することはまず不可能だ。
(後は、あの子たちの方がうまくやるだろうさ)
そう考えていた時、背後から声が掛けられた。
「ミス・ロングビル。大丈夫でしたか?」
「……!?」
不意を突かれたフーケは、ぎょっとして後ろを振り向いた。
心配そうな顔をしたコルベールが、いつの間にか彼女のすぐ後ろのあたりに立っていた。
(い、いつの間に……?)
一仕事終えたばかりで少々気が緩んでいたことは否定できないし、彼の方も敵であろう男が入った建物内へ侵入するのだから注意深く足音を殺そうとしてはいただろう。
だが、たとえそうであったにしても、この自分がこれほど近づかれるまで気配を察知できなかったとは……。
彼女がここに来たのは自ら名乗りを上げたからだが、コルベールはオスマンの推薦だった。
オスマンは今宵、『魅惑の妖精』亭で楽しく夜を過ごそうとコルベールを誘い、ちょうど学院とそちらの間を往復することになっていたシルフィードの背に乗せてもらって彼と共に店に足を運んでいた。
そこへ、学院でオスマンが出かけていることを聞いたディーキンとタバサが現れ、事情を話して助力を求めてきたのである。
話を聞いたオスマンはすぐに承諾し、ちょうど王都に来ていたこともあるし、直ちに王城へ足を運んで王女らに伝えようと約束した。
しかし、話を聞いたアンリエッタやマザリーニが迅速に手配を済ませてくれて、用意された人員が火竜なりヒポグリフなりでラ・ロシェールへ向かったとしても、到着は早くて明日になるだろう。
それまでの間、発見した敵のアジトを監視しておく要員が必要だった。
それに、今夜敵の襲撃がないかどうかを見張るためにも、できればもう少し人手があるとありがたいのだとディーキンは説明した。
同席してその話を聞いていたフーケは、ならば自分がと名乗りを上げ、店長のスカロンに数日の休暇をもらってディーキンらに協力することにした。
一度は捨て去ったとはいえアルビオンを生まれ故郷とする彼女としては、その故郷が悪魔だの麻薬だのに汚染されようとしていると聞いてはいささか思うところもあったのだ。
とはいえ、信頼できる身分や権威の後ろ盾を持たないフーケでは、アジトの監視や封鎖をやるにしても、現地の衛視や後々派遣されてくる王城からの人員に対して説明などしなくてはならなくなったときに面倒なことになる可能性がある。
そこで、コルベールもぜひ一緒に連れて行くようにとオスマンが提案した。
その場に動かせる人員が彼しかいなかったというのもあるのだろうが、フーケにとっては少々意外な人選であった。
コルベール自身もあまり気乗りがしない様子だったが、教え子たちやミス・ロングビルの身を守るためなら、といって承諾した。
(学院長のジジイも妙に推してたし、ただの研究バカってわけじゃなさそうだね……)
だがまあ、本人はそれについてあまり触れたそうな様子ではないし、なんにせよ今詮索することでもあるまい。
それに、あまり詮索されたくないのはこちらとて同じなのだ。
フーケはすぐにミス・ロングビルとしての表情に戻って、コルベールに微笑みかけた。
「ええ、見ての通り大丈夫です。敵の遍在はこの奥へ閉じ込めておきましたわ」
「そうですか。いや、お手柄ですな! 駆けつけるのが遅れて申し訳ない……」
「いいえ、ミスタは街中を回っておられたのですもの。急いで来てくださったのはわかっています」
見張りの役割分担として、フーケは主にこのアジトを見張ってやってくる者がいないかを確認する役を担当し、コルベールの方はデヴィルが持っていた地図に記された地点に傭兵たちが集まっている様子がないかをさりげなく巡回して確かめる役を担当していた。
ワルドの遍在が宿を出た直後に2人には連絡が届いていたが、遍在は風のような速さでまっすぐアジトに向かってきたので、その時の位置次第で到着が多少遅れてしまうのはやむを得ないだろう。
ちなみに、その連絡要員としての役割を果たしてくれたのは、ディーキンが昼間に交渉した傭兵のガデルだった。
彼は『女神の杵』亭近隣の目立たない高台に陣取り、ワルドの遍在が宿から出ていったことや、今のところ周辺で不自然に人が集まっている様子はないことなどを、他の見張りに逐一知らせていたのだ。
ガデルは襲撃の直前に牢から出される手はずになっていたのだが、手引きをするはずだったクロトートは先刻ディーキンらが倒してしまったので、このままではせっかく貴重な情報を提供して改心を誓ってくれた彼が捕まったままになってしまう。
それが気がかりだったディーキンは、タバサに《変装帽子(ハット・オヴ・ディスガイズ)》を貸して適当に悪者っぽい雰囲気の女性の姿(どことなくフーケに似ていた)に変装してもらい、詰所へ向かってもらったのである。
彼女が当直の衛視に昼間の商人の代理だと伝えると、案の定その男は事前に買収済みだったようで、すんなりとガデルの牢の鍵を渡してくれた。
タバサはその衛視を問答無用で風の鎚で昏倒させ、牢から出したガデルに手伝ってもらってふん縛ると、そのまま彼の代わりに牢の中へ閉じ込めておいた。
あとは、学院から来てくれているコルベールを介して明朝他の衛視らがやってきたときに事情を説明し、王城から増援が駆けつけ次第そちらに引き渡すように取り計らっておけば問題ないだろう。
その後、牢から出たガデルに逃げる前にもう一仕事頼めないかと持ちかけると、彼は快く承諾してくれたのである。
「い、いやあ、恐縮ですな。……それでは、私は念のために宿の方へ向かってみましょう。遍在をやられた件の魔法衛士隊長とやらが、生徒らに対してどんな暴挙に出るかもしれませんからな!」
いまだにロングビルの正体がフーケだと知らないコルベールは、相変わらず彼女の些細な言動にもいちいち顔を赤くしていた。
アルビオンへ向かう前に、ワルドに対する疑念にも片をつけてしまうべきだろう。
身内に敵かもしれない者を抱えて、その動向に常に注意しながらデヴィルとも渡り合うなどという危険なことはできないのだ。
彼が味方ならば信頼して緊密な連携を築いていかなくてはならないし、敵ならば排除しておかなくてはなるまい。
そう結論したディーキンは、ガデルに対してワルドの動向を特に気を付けて見張ってくれるようにと頼んでおいたのである。
もしもデヴィルたちが予定していた今夜の襲撃と彼に何らかの関係があるのなら、おそらく予定通りに事態が運んでいないとわかった時点でワルドは何がしかの動きを見せるはずだ。
彼自身、もしくは彼の作った遍在が、今夜宿を離れてデヴィルたちのアジトや襲撃予定地点を探るような動きを見せたなら、黒だと断定して間違いあるまい。
ワルドが宿を出た直後に聞いた梟の鳴き声のような音は、ガデルが虚空に向けて放った『シグナル・アロー』によるものだったのだ。
堅い岩から削り出された上に周辺を山に囲まれたこの街の中では、特に今のように空気が澄んで雑音の少ない夜中には音は実に遠くまでよく響き、離れた場所にいるフーケやコルベールにも事態の進行を速やかに知らせてくれた。
「ええ。私もご一緒しますわ。こちらは、しばらくなら放っておいても大丈夫でしょうし……」
まあ、私たちが行くまでもないだろうけどね。
と、フーケは心の中で付け足した。
彼女は、怪盗として世間を騒がせていた自分をあっさりと捕縛してみせた亜人の少年の姿を思い浮かべていた。
あの子は自分のゴーレムに潰された上に土の下に生き埋めになったにも関わらず、いつの間にかそこから脱出していてこちらの背後を取ってみせたのである。
魔法衛士様だかなんだか知らないが、ろくな警戒もせずに地下室に閉じ込められてしまうような間抜けの敵う相手でないのは確かだ。
それから、思い出したようにディーキンから渡されたマジックアイテムを取りだし、彼に《送信(センディング)》の呪文で事態の成り行きを伝えておいた……。
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(これは一体、どういうことなのだ!)
いまだに事態を把握していないワルドは、宿の一室で事の成り行きに困惑していた。
様々な憶測が脳裏をよぎる。
(まさか、あの連絡係どもが俺を裏切って罠にはめようとしているのか? いや、しかし……)
そんなことをして、連中に何か得があるとも思われない。
では、誰か敵にアジトが潰されでもしたのか。
無きにしも非ずだが、しかし、一体なぜ、どうやって自分の遍在の不意を打ったのだ?
「……もう一度遍在を送ってみるか、それとも――」
ワルドが思わずそう声に出して呟いたちょうどその時、こんこんと扉がノックされた。
「……なんだね?」
思案の邪魔だとわずらわしく思いはしたが、同行者の誰かだとすれば返事をしないわけにもいくまい。
続けて、今は忙しいので後にしてくれと言おうとしたその時、扉が開いた。
「アー、ちょっとお邪魔するの」
ディーキンが扉の影からひょっこりと顔を出して、軽く会釈をするとてくてく部屋に入ってきた。
その後ろから、タバサとキュルケも続く。
(許可も得ずに、下等な亜人や小娘どもが不作法な真似を……!)
俺は今、取り込み中なのだ。
ワルドは内心で悪態をつきながら、出ていくように注意しようと口を開きかけた。
だが、そこで異様な気配に気が付く。
一見すると3人ともそれほど普段と変わりがないのだが、雰囲気が……特に女性2人のそれが、張り詰めているように感じられるのだ。
おまけにキュルケは普段は胸の間に収めている杖を手に持っていて、部屋に入るなりこっそりと扉に『ロック』をかけた上に、それが済んだ後でも杖をしまおうとしない。
タバサは小さく杖を振って風の流れを操作し、部屋の外に音や声が漏れないようにしている。
「……なんだい。どうかしたのかね?」
ワルドは、いかにも作り物めいた笑みを浮かべてそう尋ねた。
「それは、そちらがよくご存知じゃないかしら?」
キュルケは今や少しの遠慮もなく、小馬鹿にしたような笑みを浮かべてそう言いながら、タバサと共に窓側にゆっくりと移動した。
ディーキンは扉側に留まったままで、一歩前に進み出てじいっとワルドを見つめながら口を開いた。
「あんたはなんで、この街に麻薬を流してる人たちの住処を知ってたの?」
「なんのことかな?」
とぼけてみせるワルドに構わず、ディーキンは言葉を続けた。
「ええとね。もう、麻薬を流してたところは潰したし、今夜の襲撃もないと思うの。それで……あんたは昔、ルイズの婚約者だったんでしょ? だから、できれば降参してほしいんだけど……」
「杖を渡して」
「大人しく諦めてくれれば、ルイズに免じて姫殿下に口添えしてさしあげますわよ?」
3人からそう呼びかけられて、ワルドは朗らかに笑った。
「ははは……。いや、君らは何か、勘違いをしているらしいね――」
そうとも、とんでもない勘違いだ。
俺が貴様らのような女子供相手に降参するなどと、本気で思っているのか?
確かに、まさか露見するなどとは思わなかった、どうやって探り出したのかは知らんが大したものだ。
しかし、この街の無能で臆病な末端構成員どもを始末した程度で自分も追いつめたつもりなのなら、思い上がりも甚だしい。
(もっと穏便な手段で事を運んでやるつもりだったのが、予定が変わったというだけのことだ!)
こうなればこの場で貴様らを皆殺しにし、ルイズを攫うまでのこと。
この旅を通してルイズの心を自分に傾け、進んで協力するようにもっていくつもりだったが、どの道女を言いなりにする手段などいくらでもある。
禁制の薬か水魔法でも使ってやればそれで済むのだ。
「いいとも。それで気が済むのなら、ぼくの杖はしばらく君らに預けておこう。大事にしてくれよ?」
おどけたように手を広げてから、腰の剣杖を鞘ごと抜いて床に放る。
タバサは速やかに『レビテーション』を使ってそれを回収しながら、ワルドに釘を刺した。
「ブーツにあるのも」
「はは、これは参ったな……」
そこまで気付いていたとは、油断のならないことだ。
だが……。
(それならこんな生温い降伏勧告などせずに、俺を不意打ちするべきだったな!)
ワルドは屈みこんでブーツの杖を抜くふりをしながら足に力を込め、タバサの引き寄せた武器をディーキンが受け取ったその瞬間に、不意に横跳びに跳躍してソファーの影に滑り込んだ。
「……ウル・カーノっ!」
キュルケが咄嗟に『ファイアー・ボール』を放ったが、『風』のメイジであるワルドの動きはさすがに素早い。
間に合わず、火球はソファーに命中した。
「はっ!」
ワルドが嘲りながら、ソファーの影でブーツから引き抜いた予備の杖を横薙ぎに振るう。
「オオ……」
「きゃあっ!?」
「……!」
途端に『ウィンド・ブレイク』の烈風が巻き起こってキュルケを壁に叩きつけ、同時に火のついたソファーをはじめ、花瓶や彫刻など、室内の調度類が乱舞してディーキンらを襲った。
タバサは風を操って仲間たちの身を守ったが、その間にワルドは杖を構えて距離を取り、すっかり戦闘の態勢を整えていた。
「さて、君らの慧眼に敬意を表して、こちらも本気を出そう。なぜ『風』の魔法が最強と呼ばれるのか、その所以をご教授しよう――」
シグナル・アロー(合図の矢):
D&D第3版のサプリメント、『武器・装備ガイド』に記載の特殊な武器のひとつ。
マジックアイテムの類ではなく、射出すると鳥の鳴き声に似た音が出るように特別に設計された矢である。
エルフの弓師は、鷹の声、梟の声などの細かな音の差異により、異なる合図を密かに味方に伝えることができるようにこの矢を作るという。