Neverwinter Nights - Deekin in Halkeginia   作:ローレンシウ

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第七十八話 Guardians

 

ディーキンが適切な合言葉を言えなかったことで、この隠し通路の防衛システムが動き出したらしい。

これまでに歩いてきた背後の地下通路のあちこちの壁面が崩れ、その奥から続々とガーディアンたちが姿を現し始めた。

 

それは、実にさまざまな姿形をした守護者群だった。

翼の生えた悪魔型の石像のようなもの、金属の鎧を着た人間のようなもの、ライオンを象った石膏像のようなもの……。

 

その数は見える範囲だけでも二十体は下らず、通路の端から端まで広がって封鎖するようにしながら、こちらへ向かって前進してくる。

正面はしっかりと閉ざされた重い金属の扉で行き止まり、そして背後の通路には守護者の一群。

どうやら侵入者の退路を断って、確実に仕留める算段のようだ。

 

「あ、あれは……、ゴーレム、でしょうか?」

 

シエスタがそれらの守護者たちの姿を見て、戸惑ったようにそう呟いた。

彼女はメイジではないので、さほど魔法に詳しいわけではない。

 

「違うわ。きっとガーゴイルよ」

 

ルイズがそう説明する。

 

「ガーゴイル?」

 

「そう。ゴーレムなんかと違って、自立した意志で動く魔法人形のことね。

 ほら、学院の食堂の周りにも、夜になると踊り出す小さな像がいくつも立っているでしょう?

 あれはアルヴィーっていう小さなガーゴイルの一種よ」

 

作り出したメイジが常に操りつづけなければならないゴーレムと違い、ガーゴイルは擬似的な意志でを持ち、自立して動く。

それだけに通常はかなりの魔力を必要とするものなのだが……、これらはおそらく、土石かなにかを動力として組み込まれているのだろう。

そこに込められた魔力を使って、合言葉を言えない侵入者が現れると自動的に起動するように仕掛けられていたのだ。

 

「もう! こっちには大公殿の可愛い愛娘がいるってのに、容赦ないわね!」

 

キュルケがそんな抗議めいたことを言いながら、杖を構えた。

まあ、この防衛システムを用意したのであろうシャルル大公自身も、まさか娘がそれに襲われる日が来ようとは想像もしなかっただろうが。

 

「うー、ディーキンはタバサのお父さんにも申し訳ないの……」

 

いつもよりちょっとばかりネガティブになったディーキンが、ぼそぼそと懺悔している。

 

頑張って慣れないことをやってはみたものの、やはり本職のローグのようなわけにはいかなかったようだ。

そういえば、仲間の中で自分よりもずっと罠に詳しいナシーラが以前に話していたことが、今更ながらに思い出される。

 

『隠し扉を見つけたからと言って、すぐに飛びついて開けるのは素人よ。

 ドロウなら、“罠は嵌りやすいところに仕掛けるものだ、隠してある扉に仕込んだりはしないだろう”という思い込みの裏をかくわ。

 単純な例としては、隠し扉の奥はただの行き止まりの小部屋で毒ガスが充満していたり、守護者が配置してあったりね』

 

そう、《隠し扉の探知(ディテクト・シークレット・ドアーズ)》の呪文では、そういったものの存在までは発見できないのである。

 

(ああ、もうちょっとちゃんとナシーラの言ったことを覚えておけばよかったの……)

 

そうすれば、何かしらやりようはあっただろうに。

 

しかし、この状況でくよくよと失敗を悔やんでいるわけにはいかない。

ディーキンは気持ちを切り替えると、その小さな体を屈めるようにして仲間たちの間をすり抜け、最後尾へ移動し始めた。

このメンバーの中では前線要員である自分は、背後の敵を迎え撃つために最後尾に回らなくてはいけない。

 

その際に、自分の次に扉に近い位置にいたタバサに一言かけておいた。

 

「タバサ、ディーキンはあっちから来る敵を食い止めるから、一応扉の方にも気を付けておいて。

 もしかしたら、奥からまだ何か出てきたりするかも知れないからね!」

 

その間に、ディーキンよりも後ろに並んでいたシエスタは一足早く最後尾に、つまりは敵に対する最前列に移動していた。

そこでデルフリンガーを構え、他の仲間たちを庇うようにして立ちはだかる。

 

「ここはとにかく、相手が遠いうちにみんなで火力を叩き込んで一気に押し切るしかないわ。

 逃げ場がない以上、ここまで殺到してこられたらこっちの負けよ!」

 

キュルケはそう叫ぶと、早速呪文を詠唱し始めた。

 

頑強なガーゴイルの集団に逃げ場も無い袋小路で懐まで斬り込んでこられたら、自分たちメイジではまずひとたまりもあるまい。

しかも通路は幅が広く、前線に立つのがシエスタだけではとてもすべての敵を食い止めきれないだろう。

ディーキンもじきに駆けつけてくるだろうが、2人がかりでも厳しいはずだ。

 

タバサの魔法で敵を吹き飛ばして時間を稼ぎつつ戦う、というのもあまり期待はできそうにない。

こんな空気の淀んだ地下では、『風』の魔法は十分な力を発揮できないのだ。

この場に『土』のメイジがいれば、ゴーレムなりを出して敵を食い止める前線要員を増やすという手もあるのだが……。

 

「おい相棒、来るぜ!」

 

デルフリンガーが警告を発する。

ガーゴイルたちの中でも最もこちらに近い壁面から出現し、しかも動きの速いライオン型の像が一体、先走って飛び掛かってきたのだ。

 

シエスタは緊張した面持ちで剣を握る手にぐっと力を込め、姿勢を低くした。

 

さすがに真物のライオンほどに速くはないようだが、代わりに痛みも恐怖も知らない頑丈な魔法人形である。

果たして、自分の力で太刀打ちできるものかどうか……。

 

そうして対峙する両者の間の距離が、2メイル足らずにまで縮まった時。

そのガーゴイルは突然、爆発に巻き込まれて吹っ飛んだ。

 

「……やったわ! 今よ!」

 

そう快哉の声を上げたのは、もちろんルイズである。

 

自分の爆発が実は呪文ではないと知ったルイズは、ディーキンやエンセリックに助言を求めつつ、自分なりにその扱いを練習していた。

その結果、自分の爆発にはいくつかの明白な利点があることに気が付いたのである。

杖も詠唱も不要であるがゆえに、有効範囲や威力がそこそこあるのに大半の呪文よりも素早く攻撃できることもそのひとつだ。

 

シエスタは突然の爆発に面食らっていたが、ルイズの声ではっと我に返ると、吹き飛んだガーゴイルが立ち上がる前に素早く斬り付けた。

ルイズの爆発で既に全身にひびが入っていたライオンは、シエスタの剣で容赦なく頭部を割られて完全にその動きを止める。

 

しかし、ほっとしている暇はなかった。

すぐにまた、新手が迫ってくる。

 

次の相手は金属鎧を着て剣を持った人間型のガーゴイルと、悪魔を象った魔除けの石像のような姿のガーゴイルだ。

 

シエスタがそちらに向き直るか直らないかのうちに、今度は後方のキュルケとタバサから呪文が飛んだ。

キュルケの『フレイム・ボール』が、今にもシエスタに噛み付かんとしていた悪魔型のガーゴイルの口に飛び込み、その頭部を融解させる。

それとほぼ同時に、タバサの放った『ジャベリン』が金属鎧ごと人間型のガーゴイルの胸を撃ち抜き、そのまま凍結させて破壊した。

 

通路の奥から、今度は十数体ものガーゴイルの戦列が迫ってきている。敵の本隊のようだ。

 

その時ディーキンが、仲間たちの足元をすり抜けるようにして最後尾に到着した。

心強い増援の到着である。

 

しかし、他の仲間たちの後方からの援護は、すぐには期待できない。

キュルケやタバサの強力な呪文は立て続けには使えないし、ルイズの爆発も一度に巻き込めるのはせいぜい2、3体がいいところだろう。

しかも前線の味方が一旦接敵して戦い始めたら、仲間を巻き込みかねない彼女の爆発は迂闊には放てなくなる。

 

すなわち、前線のシエスタとディーキンだけで残りのガーゴイルを何とかしなくてはならないのだ。

最低でも、ある程度の間は食い止めておかなくてはならない。

 

「先生、ご一緒します……!」

 

なんとしてでもやり遂げてみせるという決意を固めた面持ちでそう言うシエスタを、ディーキンが手で制した。

 

「うん。でもシエスタ、最初はちょっと、ディーキンの後ろに下がってて……」

 

そう言いながら、ちらりと通路の壁や床に目を走らせた。

それらがすべて石造りなのを改めて確認すると、ひとつ深呼吸をしてから、敵の戦列を見据えて大きく口を開く。

 

次の瞬間、開かれた口の奥から凄まじい熱量の紅蓮の炎が噴き出して通路を覆い尽くし、迫りくるガーゴイルの群れを丸ごと呑み込んだ。

 

「「「「……!?」」」」

 

その光景を見た少女らは、みな一様に目を丸くした。

 

彼女らは、ディーキンがドラゴンの血を引いているとは聞いていたものの、彼がブレスを噴くところはまだ見たことがなかったのである。

人間よりもずっと小さいその体から、火竜のブレスもかくやというほどの多量の炎が突然噴き出したのだから、そりゃあ驚く。

 

だが、いつまでも目を見開いているわけにはいかなかった。

限られた地下通路の空間の中で炸裂した高熱の炎が巻き起こす突風が襲ってきたからだ。

淀んだ地下通路の空気を吹き飛ばす、まるで砂漠に吹くシロッコ(熱風)のような熱い風に、少女らは思わず腕で目を庇った。

 

(こりゃ、すごいわ)

 

キュルケは炎の熱気とまぶしさに目を細めながら、内心で感嘆していた。

 

これだけの威力でこの効果範囲の広さ、じっくりと時間をかけて唱えた自分の全力のトライアングル・スペルでも果たして及ぶかどうか。

しかも、これは呪文ではなくブレスなのだ。詠唱に時間をかけることなく、瞬時に放つことができる……。

 

(この子がまさか、ここまでとはねえ……)

 

キュルケは顔に吹き付ける熱風以上に、胸の奥に疼くような微熱を感じた。

 

まさかトカゲめいた姿の幼げな亜人に対してそんなことがあろうなどとは思いもしなかったが、不思議とすんなり受け入れられた。

こういった相手は自分も初めてだが、それだけにぞくぞくするような背徳感を感じるし……。

何としてでも蕩かせてやりたいと、狩人としての血も疼く。

 

彼がタバサの想い人でさえなければ、今夜にでも部屋に誘ってみるところなのに、何とも惜しいことである。

 

(……ま、結局あの子には先見の明があったってことかしらね。

 男の見立てで私が後れを取るだなんて、さすがは私の親友じゃあないの)

 

悔しさ半分、微笑ましさ半分といった感じで、キュルケはそんなことを考えていた。

 

まだ戦いの際中だというのに、なんとも緊張感のないことではある。

だがディーキンのブレスを目の当たりにしたキュルケは、もう戦いは終わったも同然であることを確信していた。

 

通路を覆っていた炎が晴れると、案の定そこにいたガーゴイルどもはもうきれいに片付いてしまっていた。

 

高熱で表面が溶けて若干変形した床のあちこちに、融解しかけた魔法人形達の残骸が転がっている。

それらの残骸の位置や、床や壁のダメージから見るに、ディーキンのブレスは10メイル近い距離までの通路全体を焼いたらしい。

身の丈1メイルあるかないかの体から噴いたにしては、驚異的な効果範囲の広さだといえよう。

 

それでも、ブレスの届かなかった遠方に、まだ4体ばかりのガーゴイルが残っていた。

人型をした青銅甲冑が2体に、狼型の真鍮像が2体。

 

感情の無い魔法人形であるがゆえに、仲間たちが一瞬にして壊滅状態になった事にも動じてはいない。

後者はこちらに向かって勢いよく駆け出し、前者は腕にセットされたクロスボウを用いて遠間から太矢を放ってきた。

 

だがキュルケも感じた通り、もはや勝負はついたも同然だった。

 

放たれた太矢は、キュルケの火球とタバサの氷の矢が危なげなく撃ち落とす。

狼たちは例によってルイズの爆発で出ばなをくじかれ、怯んだ隙に斬りかかったシエスタとディーキンの刃によってあっさりと葬られた。

 

最後に残った甲冑たちは、今一度攻撃しようとクロスボウを装填し直している。

ディーキンは一気に間合いを詰めて斬り倒そうかと一瞬考えたが、今は迂闊に味方から離れない方がいいかもしれないと思い直す。

代わりにそちらに向かって手をかざすと、素早く呪文を唱えた。

 

「《スジャッチ・クサーウーウク……、アトナズ・ハトブ・ユーベラキャル!》」

 

甲冑たちが太矢を放つよりも早く、呪文は完成した。

 

ディーキンの周囲に一瞬朧な影のようなものが湧き上がり、次の瞬間にはそれらが凝集して、幾本もの魔法の矢を形成していた。

鮮やかな緑色をした5本の強酸の矢は、ディーキンが軽く手を捻ると2体の甲冑めがけて高速で襲い掛かる。

影術によって模倣した、《元素の投げ矢(エレメンタル・ダート)》の呪文であった。

放つものこそ違えど、タバサの『ウィンディ・アイシクル』にどこか似たような攻撃である。

 

右の甲冑に2本、左の甲冑に3本。

 

矢は的確にガーゴイルたちの体を捉え、硬い金属の体のあちこちをたちまち溶解させて、床に崩れ落ちさせていく。

そこに駄目押しとして、太矢を迎撃するつもりで用意していたキュルケとタバサの呪文が叩き込まれ、ガーゴイルたちは完全に粉砕された。

 

一時は危機的な状況に陥ったかと思われたが、終わってみれば誰一人怪我をすることも無く、余裕の勝利であった。

 

 

 

当面の敵を退けると、ディーキンはまず真っ先に、自分の失策についてみんなに謝った。

 

とはいえ、元よりルイズらには、特に彼を責めようなどという気はなかった。

いきなり合言葉なんて言われてもわからないのが当然だし、そうそう咄嗟に適切な対処などができるものでもないだろう。

 

「私たちだって気付いてなかったんだし……、誰がやってもあんたと同じような結果だったと思うわ。

 だから別に気にしなくても、これから気を付けてくれればそれでいいから」

 

彼のパートナーであるルイズがそう言い、他の皆もそれを首肯したことで、その話はお終いになった。

 

「ディーキンはみんなの広い心に感謝するの。これからはもっと、気を付けるようにするよ」

 

最後にしっかりお礼を言って頭を下げると、調査を再開する。

 

問題の扉は、まだしっかりと閉ざされたままだった。

魔法の鍵かなにかがかかっているようだし、なかなかに大きくて頑丈そうだが……。

おそらく扉を閉ざしている呪文を解呪するか、扉を力任せに打ち破るなり破壊するなりして通ることはできるだろう。

 

(でも、気を付けてやらないとね……)

 

フーケ騒動の時にも用いた『商人のコンパス』を使って調査した結果では、罠は無さそうだった。

 

だが、守護者の有無まではわからない。

扉を開けた途端、奥から第二陣の守護者が飛び出して奇襲してくる、という可能性も無きにしも非ずだ。

 

ディーキンは熟慮した結果、まずは仲間たちを扉から離れさせることにした。

先程ガーゴイルたちを始末した通路の後方のあたりは既に安全が確保されているとみてよいだろうから、そこまで下がってもらう。

それから、自分もそれよりは若干手前なくらいの位置まで下がる。

 

これなら、扉を開けた時に中から守護者なり毒ガスなりが出てきても、自分が対応したり仲間たちが逃げたりできる距離的な余裕がある。

 

残る問題は、扉を誰が開けるかということだ。

魔法の鍵がかかっているようだが、《見えざる従者(アンシーン・サーバント)》では力任せに打ち破れるほどのパワーはない。

もちろん、まずは魔法の鍵を解呪した上で従者たちにやらせる、という手もあるだろうが……。

 

ここは用心に用心を重ね、《怪物招来(サモン・モンスター)》を使おう。

そうすれば、扉を打ち破る要員と前線要員の両方を同時に用意することができる。

 

そう決めたディーキンは、早速呪文を唱えて何か適当な、力のありそうなモンスターを招来することにした……。

 

 

「……ディー君もまた、ずいぶんゴツいのを呼び出したわね。まあ、今更驚きはしないけど……」

 

キュルケが離れた場所から様子を見守りつつ、苦笑気味にそんな感想を漏らした。

 

「せ、先生、天使様だけじゃなくて、あんな生き物も使役されるんですね……」

 

「……蟲」

 

「うう……、な、なんでまた、あんな気色悪いものを使うのよ!」

 

他の少女らもまた、口々にそんなことを呟いている。

 

「うん? 一番でっかくて、扉とかをぶっ壊すのに向いてそうだからなの。

 それに、もし奥から敵とかが出てきても、体が大きいから食い止めてくれるでしょ?」

 

ディーキンが律儀にそう説明した。

 

「そ、そりゃあそうかも知れないけど……。

 なにもム、ムカデとかじゃなくてもいいでしょうに! もっと他に、手頃なのはなかったの!?」

 

そう、彼が召喚したのは……、体長が優に10メイル、いや20メイルもあろうかという、巨大なムカデであった。

より正確に言えば、アナーキック種モンストラス・センチピード(無秩序の巨大ムカデ)である。

 

混沌のクリーチャーだけあって、体を覆う甲殻の表面はぼこぼこしてしみだらけで、普通のムカデ以上に実に気色悪い姿形をしている。

うら若い少女であるルイズが抗議するのも、無理はあるまい。

 

そいつはとぐろを巻くようにして、窮屈そうに扉の前に陣取っていた。

 

「アア、ルイズは嫌な気分なの? 申し訳ないの。

 でもちょっとだけ我慢してくれないかな、仕事が終わったらすぐに戻ってもらうからね」

 

ディーキンは少し申し訳なさそうにそう言うと、早速そいつに扉を打ち破るように身振りで指示を伝えた。

ムカデの方も狭苦しい場所に呼び出されて居心地が悪いだろうし、お互いにさっさと用件を済ませるに限るだろう。

 

指示に従い、異次元からやってきたそのムカデは、扉に巨体をガンガンと叩きつけて打ち破ろうとした。

大きな音と振動が、地下通路に響き渡る。

 

何度目かの挑戦で、ついに扉を閉ざしていた魔力はその物理的な衝撃に屈した。

大きな音を立てて扉が打ち破られ、内側に向かって勢いよく開く。

 

――――その、次の瞬間。

 

扉の奥から、先程のディーキンのブレスもかくやというほどの猛烈なエネルギーが放たれた。

それはムカデの体を中心に炸裂し、目もくらむような閃光と共に、一瞬にしてその巨体を呑みこんでしまったのである……。

 





ディーキンのブレス:
 ハーフドラゴンのブレスの効果範囲は、60フィートの直線状か30フィートの扇形(中心角は90度)のどちらかで、種類によって異なる。
ディーキンの場合はレッド・ドラゴンの血を引いているので、後者の範囲に[火]のダメージを及ぼすブレスを吐くことになる。
ダメージは親にあたるドラゴンの種類に関わらず、一律6d8点(M72ロケットランチャーの4/5程度の威力)である。

エレメンタル・ダート
Elemental Dart /元素の投げ矢
系統:召喚術(創造); 2レベル呪文
構成要素:音声、動作
距離:中距離(100フィート+1術者レベル毎に10フィート)
持続時間:瞬間
 術者は[酸][冷気][電気][火]のうち、呪文発動時に選択したエネルギーの投げ矢を創造し、敵を攻撃する。
この矢の数は最初は1本だが、術者レベルが3レベルを超える2レベル毎に1本ずつ増える(最大は11レベル時点での5本)。
矢による遠隔接触攻撃が命中した目標は、1本につき術者レベル毎に1点(最大10点)+1d6点の、選択されたエネルギーのダメージを受ける。
ただし、頑健セーヴに成功した目標に対してはダメージが半減する。
複数の矢がある場合、術者はそれぞれで別の目標を狙っても、あるいは同一の目標を狙っても構わない。
 この呪文の出展は、『Dragonlance Campaign Setting』(ドラゴンランス関連のサプリメント、未訳)である。
 バードの呪文リストには含まれていないが、シャドウ・カンジュレーションでの効果模倣ならばバードにも使用できる。

アナーキック種クリーチャー:
 混沌の次元界に住むクリーチャー。物質界の生物に似ているが、より未完成でみすぼらしい外見をしている。
一説によれば、彼らは忘れ去られた創造主の最初の試作品であり、泡立つ混沌の次元界に捨てられた現在の生物の原型なのだという。
若干のエネルギー抵抗や高速治癒、「秩序を撃つ一撃」などの能力を持ち合わせている。
 なお、通常サモン・モンスターで呼び出せるのはフィーンディッシュ種のモンストラス・センチピードである。
しかし未訳のあるサプリメントに、フィーンディッシュ種のクリーチャーをまとめてこの種に代替することが可能である旨が記されている。
フィーンディッシュ種は悪の属性を持つクリーチャーであり、本作のディーキンは使う気が毛頭ないためこちらに代替しているという設定。

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