学マスアイドルを曇らせたい! 作:曇らせP
プロデューサーは、あたしの人生の恩人だ。ダメダメだったあたしのことを見出してくれて、アイドルとして育ててくれて、家のことまで解決してくれて…………
本当に、感謝してもしきれないくらいの恩がある。こんだけあたしのこと救ったんだから、その責任は取ってもらわなきゃ困る。
最近はお出かけの頻度も増えてきて、どんどんプロデューサーとの距離が近くなっている気がする。
あたしがプロデューサーのコト好きな以上に、プロデューサーがあたしのコト大好きだからナ〜♪
「は〜♪ 遊園地、楽しかったですね♡」
「そうですね」
今日は、プロデューサーと一緒に遊園地で遊び尽くした。レッスンのこととか、咲季や手毬のこととか全部忘れて楽しんでほしいっていうプロデューサーの気遣いだ。「アイドルは公に恋人を作れないから、デートの代わりに」って。
こういうところが好きなんだよナ〜♡
沈んでいく夕日を眺めながら、プロデューサーと手を繋いで歩く。至福の時間だ。
夕日が沈んでいくのを見ると、一日の終わりを実感する。散々遊んだのもあって、すっかり疲れて眠くなっていたあたしの足取りは若干ふらふらしていた。
「ぷろでゅ〜さぁ〜♡ あたし、歩くの疲れちゃったんですケドぉ……」
「どこか、座れるところを探しましょうか?」
「そうじゃなくてぇ! 可愛い担当アイドルが、歩くの疲れた〜って言ってるんですよぉ?」
「……おんぶしろと?」
「さっすがプロデューサー! あたしのこと分かってるナ〜」
「……いくらアイドルとプロデューサーが並んで歩けるエリアとはいえ、それは流石に……」
「えぇ〜? いいじゃないですかぁ、それくらい───────」
「藤田さん!!!」
一瞬、何が起こったのか分からなかった。
意識が戻ったあたしが最初に見たのは、腕や足が変な方向に折れ曲がったまま血塗れで倒れているプロデューサー。
フロントがぐしゃぐしゃになった車。
一部だけなくなったボロボロのガードパイプ。
プロデューサーが、轢かれた。
それからどうやって帰ったのかはよく覚えていない。
病室で眠るプロデューサーは、怖くなるくらい安らかすぎる表情で眠っていた。植物状態、とかいう言葉が聞こえた気がする。
あたしは、その病室から動けなくなっていた。何をする気にもなれない。
イシャとかケーサツとかから色々説明されてた気がする。でも、何も覚えてない。ただひとつ覚えているのは、あたしのせいでプロデューサーが取り返しのつかないくらいの重症を負ってしまったこと。一生かけても返せないくらいの恩を、あたしはこれ以上ないくらいの仇で返した。
あたしは、救われたのが間違いだったのかもしれない。
「……ね……ことね!」
声のした方に視線を向けると、咲季と手毬が立っていた。……なんでここにいるんだろう。それを考える気力もない。
「……ここ数日、何も食べてないって聞いたわ。これ、良かったら食べて」
咲季が何かが入った袋を目の前に置く。でも、その中身が何かなんてどうでもよかった。
「……ことねの気持ちは察する。でも、今のことねは見てられない」
手毬が何か言っている。どうせ、いつもみたいなくだらないことだ。
「……落ち着いたら戻ってきなさい。手毬、行くわよ」
咲季と手毬が消える。
プロデューサーと2人きり。やったあ。
……………………
「……ぷろでゅーさー。あたしが代わりに死んだら、目を覚ましてくれますか?」
返事はない。
……あたしに、死んでほしいって。
「こんなアイドルで、ごめんなさい。あたしを選ばせて、ごめんなさい。あたしなんかが生きてて、ごめんなさい」
あたしが代わりに死ぬから
ぷろでゅーさー おきて