この物語はヒューマンバグ大学様の二次創作であり、またフィクションです。
本作に登場する人物、企業、宗派、団体は実在のものとは一切関わりがありません。
苦手な方、違和感を覚えた方は無理をせずブラウザバックをお願いいたします。
薄暗い廃倉庫。
タバコの煙が充満する中、数人の男たちが震える手で酒を煽っていた。
彼らは街の地上げや裏仕事で糊口を凌ぐ、いわゆる「情報のプロ」たちだ。
だが、今の彼らの表情には、かつての不敵さは微塵もない。
「……おい、聞いたか。あの『ギフト』の件。八角の野郎、生きたまま行方不明だとよ」
「ああ、それだけじゃねえ。幹部連中が泣きながら自首したっていうじゃねえか。まるで、地獄の蓋が開くのを見たような顔をしてな……」
一人が声を潜め、震える声で続けた。
「最近、裏じゃあっぱらっぱに噂が流れてやがる。警察の皮を被った、とんでもねえ『掃除屋』がいるってな。『織姫一派』……そう呼ぶ奴もいる」
その名前が出た瞬間、場に冷たい空気が流れた。 すると、その場にいた一人の老いた情報屋が、枯れた声で呟いた。
「……お前ら、その中でも特に『正宗』の名を継ぐ男には気をつけろ。あいつに睨まれたら、死んだことすら気づけねえぞ」
「正宗?どっかの将軍か? 」
「伊達のじゃねーよ。あと現実の話さ。奴はひとたび『仕事』となれば、その手には恐ろしく冴え渡った日本刀が握られると聞く。」
老人は、空になったグラスをじっと見つめながら、その「恐怖」を反芻するように言葉を紡ぐ。
「奴の刀裁きは、もはや速さの概念を超えている。振り抜く動作すら見えねえ。……気が付いた時には、自分の体が二つに分かれている。それも、まるで鏡面のように滑らかで、まっすぐな断面を残してな」
「断面が……まっすぐ……?」
「ああ。あまりに鮮やかすぎて、斬られた痛みすら数秒遅れてやってくるのさ。血が噴き出す暇もねえ。奴に斬られた奴らは、自分がいつ、どうやって終わったのかも分からず、ただ美しい断面を残して崩れ落ちるんだ」
老人は静かに席を立つと、最後にこう言い残して去っていった。
「奴の通った後には、塵一つ残らねえ。……まさに、汚れをすべて削ぎ落とす『掃除屋』そのものだ。さてと、俺はそろそろお暇するぜ。最近うまい飯屋を見つけたんだ。美人ちゃんねーが作ってくれる飯に飲みもんまでもうまいんだぜ。裏社会のこんな薄暗い話なんて似合わないほどの、明るい店がよ。」
__________
喫茶『宝船』――。
そこは、香り高い珈琲と絶品オムライスを求め、多種多様な人々が語らい合う憩いの場。
この店では、陽光の下を歩く一般客も、闇に身を置く裏社会の住人も、等しく「客」として席を並べる。
ギル「日向さん。プレーンオムライス三つ、お願いします」
お昼時を迎え、戦場のような忙しさを見せる店内。
その喧騒に紛れるように、隅の席では裏社会の人間たちが声を潜めていた。
「おい……さっき注文を取った給仕のねーちゃん、あれか? 噂の美人は」
「ああ、間違いない。凛とした美人だろう。……それに、あの注文を伝えた男もだ。表じゃ『王子様』なんて言われて女どもが騒いでるが、裏じゃ【薔薇の騎士】だって相当な男前の紳士と噂だぜ。紳士だが、敵には容赦ねえってな」
男たちは、優雅に立ち働くギルハーツを盗み見ながら、震える手でカップを握る。
「なら、もう一人の怪物、【十哲の剣豪】と呼ばれる『正宗』はどうなんだ?」
「容姿の情報はねえが……あの【日本刀の和中】や【日本刀のバース】、あるいは【二刀流の六車】のような、血生臭い殺気を放つ屈強な大男に決まってる。あんな神速の抜刀、並の体格じゃできねえからな……」
表の客には心地よいBGMにしか聞こえない会話も、裏を知る者、あるいは耳の冴える者が聞けば、その意味はあまりに重い。
星「だとよ。お前の異名ばかりが一人歩きして、勝手に怪物にされてるぜ。よかったな、正宗さんよ」
カウンターの端で、星彦がニマニマと意地の悪い笑みを浮かべながら厨房へ声をかけた。
その視線の先――。 湯気の立ち込める厨房で、真剣な面持ちでフライパンを振り、卵を「とろとろ」に仕上げている。
日「名字も名前もどちらでも間違われるのでもう慣れてます。依頼人の方にもよく驚かれますからね」
ふわっと笑う清楚で透明感のある女性。
エプロンを付けてオムライスを作っている宝船の料理人、
その名前からは男性名のようで、実際に男性だと思っている者が多いが、普通に女性である。
日向は、慣れた手つきでケチャップを使い、オムライスの上に綺麗な曲線を描いていく。 その動作には一切の無駄がなく、まるで名刀を研ぎ澄ますかのような集中力が宿っているが、口元には柔らかな微笑みが湛えられていた。
日「はい、お待ち遠さま。プレーンオムライス三つです、ギル君。」
ギル「ありがとうございます。おや、今日も素晴らしい焼き加減ですね。卵の繊維一本一本が、主君の機嫌のように輝いて見えますよ。」
ギルハーツが恭しくトレイを受け取り、フロアへと戻っていく。
いつものような同期の【星彦流石ですbot】に呆れつつも、日向はその背中を見送って小さく息をついた。
カウンターで
日「星彦さん…お昼時と厨房では禁煙ですよ。莉寿ちゃんもいるんですから、せめてここじゃなくて外で吸ってください。」
星「あー、わりぃわりぃ。つい癖でな。」
莉「日向ちゃん諦めな?多分またすると思うから」
日「莉寿ちゃん、あきらめちゃダメ。なんでそんなに達観してるの?」
星彦の部下でもある日向だが、こうして一派の中ではお姉さんでもありお母さんのような常識人のツッコミ役なのだ。
星「久しぶりに伊集院にあったんだろ?どうだったんだ。」
日「伊集院先生はお変わりありませんでしたよ。同い年の流川さんと一年間の出来事を話しましたが、お変わりないようでした。ちゃんと外道さんを粛清してくれるのでありがたいものですね。」
日向は淡々と、だがどこか懐かしむようにそう言った。
彼女が「伊集院先生」と呼んでいるのには理由がある。
遡ること十年――彼女が十三歳の時。
日向は、母親を理不尽な外道の手によって殺害された。
その絶望の淵で、若き日の彼女を救い出したのが、当時から腐敗した司法を正そうと動いていた星彦と、若き拷問ソムリエ時代の伊集院茂夫だった。
彼女にとって星彦は命の恩人であり、伊集院はその後の彼女の「正義」の在り方に影響を与えた一人なのだ。
その後、彼女は二十歳の時に正式に織姫一派へ合流した。
一派の結束を何よりも重んじ、表では看護学生として懸命に学びながら、裏では「正宗」の名を継ぐ掃除屋として、その神速の抜刀で数多の汚れを削ぎ落としてきたのだ。
星「看護師の資格取ってから、すぐ海外へ飛ばしたからな。一年間、文句も言わずに仕事してたんだろ?」
日「文句なんてありませんよ。星彦さんの指示のおかげで、
看護学生から海外でのライセンス取得。
日向は一派の中でも、武力・知力・医療知識を兼ね備えた、まさにハイブリッドな傑物として成長していた。
この一年間、彼女が日本にいなかったのは、星彦の密命で世界各地の組織の資金洗浄や実態調査にあたっていたからに他ならない。
しかし、そんな超人じみた彼女が戦い続ける理由は、単なる使命感だけではない。
日「ただ…各国の裏社会の情報屋さんに聞いても、父であろう人の情報は得られませんでした。やはり父は、ここ日本にいるようですね。いったい、どこにいてなんのために姿を消したのでしょう…。」
日向の瞳に、一瞬だけ鋭く、それでいて切ない光が宿る。
ある日突然姿を消した父親。
探すための情報網と、父が守りたかった正義。
それらを追い求めることが、今の彼女を突き動かす原動力となっているのだ。
莉「日向ちゃんって、生まれは兵庫なんだよね?そっちにはいなかったの?」
日「うん。帰ってきたときに真っ先に兵庫に行ったけど、情報屋さんからは特にありませんでした。母の実家の神奈川にも行ったけど、そっちにも情報はありません。父さんの名字の【河上】と、私と同じ白い瞳だってことしか情報がないから、難しいのでしょうね。」
星「お前の名字は、母親のだって言ってたしな。河上っつー名字じたい、約一万以上の人のだったりするからな。そんな中で探すとなると……砂の中から針を探すようなもんだぞ。」
日向は、手元で仕上げたオムライスを一度見つめ、小さく微笑んだ。
日「そうですね。一万分の一……。でも、一万分の一まで絞り込めていると考えれば、あとはその中から『正義』に生きた男を見つけ出すだけです。」
そう語る彼女の横顔には、裏社会という泥濘に身を置く人間特有の「陰り」や「濁り」が、驚くほどに存在しなかった。
普通、凄惨な殺しの現場を渡り歩き、人の醜い欲望を暴き続けてきた「掃除屋」ともなれば、その眼差しには冷酷な諦観や、消えない不信感がこびりつくものである。
しかし、日向から溢れ出すのは、透き通った水のような純粋さと、凛とした清廉さだ。
その佇まいは、裏社会の住人にしてはあまりにも真っ直ぐで、素直だった。
人を騙し、裏切りを常とする者たちから見れば、その曇りのなさは、もはや「怪しさ」や「裏」を疑う余地すら与えないほどに絶対的な光として映る。
星彦は、そんな彼女の眩しさに少しだけ目を細めた。
星「……相変わらず、お前は真っ当すぎて逆に心配になるな。お前、本当に裏社会に馴染んでる人間に見えねーよ。」
日「そうでしょうか。ですが私は、
日向は、オムライスの仕上げに使うパセリを丁寧に散らしながら、どこか遠くを見るような、それでいて清々しい表情で言葉を紡ぐ。
日「彼女たちの、客人の心にするりと入り込み、一瞬でその場を華やがせるあの技術……。任務で何度もご一緒し、所作や振る舞いを教わりましたが、私には未だに慣れる気配も、馴染む気配もありません。自らを輝かせ、他者の孤独を癒やす。それは、刀という見える武器とはまた違う、見えざる武器の至高の一品だと思うんです。」
その言葉に、裏の事情を知る星彦は、キセルの煙を吐き出しながら苦笑いするしかなかった。
彼女のこの「汚れなき謙虚さ」こそが、嘘と虚飾にまみれた裏社会において、どんな刃よりも鋭く相手の懐を抉る「正宗」の真髄なのかもしれない。
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穏やかな陽だまりのような宝船での顔は、任務となればなりを潜め、代わりに粛清者としての顔を見せる。
その日、月光が輝く晩のことだった。
場所は、潮風の湿り気と錆びた鉄の臭いが混ざり合う、臨海地区の廃倉庫。
そこでは海外の犯罪組織と通じる密売グループが、違法に横流しされた重火器と、あろうことか盗品である美術刀剣の売買を行おうとしていた。
本日、星彦と日向の二人はこの組織の壊滅と逮捕のために足を運んだ。
今回はちゃんと司法本部からの任務でもある。
二人に気づいた組織の下っ端の一人が声をあげる。
「……なんだぁ? このシケたツラした男と……女?」
取引現場に現れた星彦と日向を見上げ、十数人の荒事師たちが下品な笑い声を上げる。
日向は喫茶店の店員の衣装から着替えられて、黒と金の縁取りが映える軍服風のセットアップにプリーツの入った裾広がりのトップスひざ丈のプリーツスカートが可憐さと動きやすさを添えている。そこに
リボンタイを合わせ、規律正しさと動きやすさを両立している服装だ。
腰のベルトで刀を携行しており、グローブで引き締めた機能的な装束は彼女の戦闘服であるとともに正装なのだろう。
「お初にお目にかかります、皆々様。」
日向は、まるで茶席の挨拶でもするかのように、しなやかに一礼した。 だが、その
「__お休みなさい。」
シュンッ……!
神速。
瞬きすら許さぬ一瞬の間に、銀色の閃光が倉庫内を縦横無尽に駆け抜けた。
それはもはや"振るう"という動作を超えた、光の収束。
「が……っ!?」 「な……に……」
怒号を上げようとした男たちが、次々とその場に崩れ落ちる。
日向の細い体躯からは想像もつかないほど重く、それでいて羽毛のように軽い一閃。
彼女は、峰打ちと柄による打撃をミリ単位で使い分け、相手に反撃の隙すら与えず、意識の電源を強制的に遮断していった。
十数人の武闘派を片付けるのに要した時間は、わずか十数秒。
静寂が戻った倉庫で、日向は愛刀を鞘に収め、トンッと小気味よい音を響かせた。
「ふぅ……。星彦さん、お待たせいたしました。残るは、そちらの方お一人です。」
日向は再び、いつもの微笑みを浮かべた。
だが、その瞳だけは氷のように冷たい。
計画では、ここから星彦が主犯格のボスを尋問し、確保するはずだった。
しかし、恐怖で理性を失ったボスは、あがきとして手元にあった商品の日本刀を掴み、無様に振り回した。
「くるな! くるなあああッ!」
焦りから生じた無茶な力。
ボスの振った刀が倉庫の鉄柱に激しく激突し――キンッ、という悲痛な金属音と共に、美しい波紋を描いていたはずの刀身が、無惨にも半ばから真っ二つに折れた。
「あ。」
星彦が思わず、キセルを咥えたまま短い声を漏らした。
隣に立つ日向の空気が、瞬時に静から絶対的な零度へと変貌したのを肌で感じたからだ。
日向は、折れて地面に転がった刀身の断片を、震えるような瞳で見つめていた。
彼女にとって、刀剣はただの道具ではない。
それは魂の結晶であり、守るべき歴史そのもの。
「.........未熟者が。扱えぬのなら、触れることすら許されないというのに。」
日向の声から、一切の温度が消えた。
「その未熟な腕で、あろうことか……器を傷つけるとは。万死に値します。」
「ひ、ひいぃぃっ!?」
ボスの首筋に、先ほどまで鞘に収まっていたはずの「正宗」が、吸い込まれるような速度で突きつけられた。
日向の瞳には、先ほどの清廉さは微塵もない。
あるのは、愛するものを汚された掃除屋としての、底なしの怒り。
「武器は大切に扱ってください。扱えなければ、死あるのみです。」
日向の腕が、処刑人のそれとなって振り上げられる。
本気の、そして容赦のない制裁。
このままでは、ボスの命がいくつあっても足りない。
星彦は、紫煙を大きく吐き出すと、やり過ぎの一歩手前で日向の肩にそっと手を置いた。
星「……あーぁ。だから言わんこっちゃねーな。俺らが来る前の警官の時に自首しとけばいいもんをよぉ…。日向、そこまでだ。こいつを殺しちまったら、情報の洗い出しができねえ。」
日向の肩が、びくりと跳ねる。
数秒の沈黙の後、彼女は深く、深く呼吸を整え、ゆっくりと刀を引いた。
日「……失礼いたしました、星彦さん。つい、不作法な振る舞いを。武器を大切にしない方を見るとつい…」
そう言って彼女が浮かべた微笑みは、先ほどまでの殺気が嘘のように穏やかで、しかしどこか、折れた刀への哀悼に満ちていた。
星「全くだ。お前の『刀愛』に火がつくと、掃除屋ってよりは、地獄の解体屋になっちまうからな。」
星彦は苦笑いしながら、恐怖で腰を抜かしたボスに歩み寄った。
星「話は署で聞くが、ちゃんと”真実”を話すこったなあ。証拠は既にこちらで現物でも写真でも控えてるんだ。せいぜい残った命を大事にすることだ。」
そう言って星彦はボスの顔に右ストレートをぶち込んだ。
星彦の拳によって、ボスは崩れ落ちるように沈黙した。 崩落した静寂の中、日向は無言のまま、折れた刀の傍らへと歩み寄る。
日「悔やまれます。銘も打たれぬまま、これほど美しい肌を持っていたというのに。」
彼女は跪き、汚れたコンクリートの上に転がった刀身の断片を、まるで割れ物に触れるような手つきでそっと拾い上げた。
その指先には、先ほどまで外道の首筋を狙っていた殺意は微塵もない。
ただ、折れた鉄の冷たさを、己の体温で温めようとするかのような、深い悲しみがあった。
星「そう悲しむな。折れちまったもんは、もう戻らねえ。今お前の手で拾われたってことは、この
星彦はキセルを仕舞い、スマホを取り出すと、一階で待機しているはずの「後処理部隊」に連絡を入れた。
星「終わったぞ。ーーあぁ、主犯は生きてるが、部下の地雷を思い切り踏みやがった。ボス以外の小物は全員、綺麗に”眠らされてる”から、今のうちに回収を頼む。」
電話を切った星彦が振り返ると、日向は自身のハンカチで折れた刀身を丁寧に包み、大切に胸元へ収めていた。
日「星彦さん。この子の欠片、持ち帰ってもよろしいでしょうか。いつか然るべき場所で、再び魂をふきこませてあげたいのです」
星「あぁ、好きにしろ。お前の実家なら、その
日向は立ち上がり、すっと背筋を伸ばした。
星「今回は俺ら主体じゃねーから窮屈だったが、後処理がなくて楽だな。ま、これからもなんてのは御免だが。日向、帰るぞ。莉寿が腹を空かせて待ってる。」
日「はい。今日の夕飯は、莉寿ちゃんと叶恵君と一緒にポテトサラダを作ると約束していましたから。」
日向は今回の後処理係でもある地元の所轄の人たちに淑やかに一礼し、星彦の後を追って倉庫を後にした。
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数日後。
叶「で、出来上がったのがその包丁というわけですか…」
日「はい、そうなんですよ。流石お爺様の巧みな職人技です! 銘は入っていませんでしたが、土台の鉄が素晴らしかったそうで。こうして毎日使う道具として蘇ることができて、この子もきっと喜んでいます。」
日向の手にあるのは、一振りの真新しい【菜切り包丁】。
その刀身は鏡のように磨き上げられ、波打つような美しい刃文が、朝日を浴びて淡い光を放っていた。
日向は、まるで新しい家族を迎えたかのように、愛おしそうに包丁の柄を撫でた。
星「ったく。あんな業物の破片から包丁を打つなんて、贅沢極まりねえな。その包丁、切れ味はどうなんだ?」
ギル「その切れ味はボクが証明いたしましょう。」
そしてギルハーツは真っ二つに綺麗に割れたたけのこと、まな板をと自信満々に星彦の前に出した。
ギル「日向さんがいない間にマスターさんに日頃の感謝を込めて炊き込みご飯を作ろうと思ったらこの通りです。いつものように包丁を使う際の力加減だったのですが…」
莉「一緒にしてたけどビックリした。トンって落としたらまな板もパカッて割れてた。」
天「気持ちだけ受け取りますね」
何してんだお前ら、とツッコミを入れようとした星彦よりも先に日向の言葉が響く。
日「それいつの?まな板が一つないなって思ってたのに何で言わなかったの?ねえギル君??」
日向は微笑んだまま、ギルハーツのギルハーツの耳をつまんだ。
そして少し力を入れて引っ張る。
ギル「ボクの至らぬ力加減のせいで宝船の備品を損壊させてしまい、恥を忍んでいたのです。反省が終わった後に新しいものを買って謝罪しようと思ったのですが…あいたたたッ!」
日「それを言うなら[[rb:忸怩 > じくじ]]たる思い、だよ。恥ずかしくて反省してたって言いたかったんでしょ。ちゃんと一言言ってくれれば怒らないよ。わざとじゃないんだし。」
ギル「はい…申し訳ございませんでした…」
天「日向さん、今回は不問にしてあげましょう。そのかわり、新しいまな板を一緒に選んでいただいてはいかがですか?この切れ味に見合う、丈夫な銀杏の木のものなどがおススメですよ。」
マスターの穏やかな仲裁に、日向はギルハーツの耳から手を離した。
解放されたギルハーツは、赤くなった耳をさすりながらも、どこか嬉しそうに居住まいを正す。
そんな微笑ましい?同期のやり取りを目の前で見ていた星彦はそろそろとツッコミを入れた。
星「その包丁の切れ味とかは無視かよ」
莉「おじいちゃんの提案したまな板、最近おじいちゃんが欲しがってたものだったはず。ちゃっかりだね」
と二人のツッコミの声が合わさると、
「ふふっ、バレちゃいましたか」と天蔵が茶目っ気たっぷりに笑い、その場の空気は一気に和やかな「宝船」の日常へと戻っていった。
星彦は呆れ顔でキセルの煙を吐き出し、窓の外に広がる穏やかな青空を見上げた。
「ったく、仕方ねーな。俺の奢りでいいもんでも買え。」
星彦の不器用な労いの言葉に、日向は新調した包丁を手に花が咲くような笑みを浮かべ、穏やかな陽光が差し込む喫茶『宝船』は、また一つ新しい絆と賑やかな笑い声に包まれていった。
「名前:正宗 日向(まさむね ひゅうが)
誕生日:10月4日
身長:170cm
性別:女性
年齢:23歳
好物:いちご大福、抹茶ラテ
刀工正宗の家系。苗字は母方のもので、父の情報は苗字の「河上」と白い瞳という特徴しか知らない。父親は日向が5歳の時に危険から遠ざけるために姿を消しており、その父を見つけるために日々奮闘している。
0〜5歳までは兵庫で父と母と暮らし、5〜12歳までは母の実家の神奈川で暮らした。13歳の中学一年の時に母の仕事の都合で東京の村雨町へ移り住んだが、同年の冬に母親を理不尽な外道の手によって殺害された。その絶望の淵で星彦と伊集院茂夫に救われ、以降は星彦の指導のもと武道を磨きながら育った。
看護学校卒業および看護師免許取得後に海外でUSCPAも取得した。
基本は喫茶宝船の従業員として働いており、朝昼晩の食事を作り家事もこなす一派のお母さん的ポジション。織姫一派の警察として働く時もあれば守役として働く時もある。
物腰柔らかで優しく丁寧な一派の常識人でツッコミ役。裏社会では『俊足の十哲』として知られており、織姫一派武闘派の中でも前線を張る武闘派の武闘派。日本刀を主武器とし、槍や薙刀など刃物全般を愛している。堪忍袋の緒が切れるのは刀や剣などの刃物が破損した時のみで、普段の温和さが嘘のように豹変する。
演技は得意で潜入任務での失敗はゼロだが、媚びや魅惑などが極端に苦手。その分、自分の魅力を武器にできる女性たちへのリスペクトが人一倍強い。
名前だけでは男性と間違われることが多く、特に「正宗」という苗字から屈強な大男だと思われがちで初対面での驚かれ率が高い。
運が非常に良く無茶ぶりを降られることも多いが今のところ失敗なし。清楚系武闘派剣豪女性。
ギルハーツとは同期・同僚・同い年の関係で、一派の中でも特に息の合ったコンビ。日常では姉のようにギルハーツにツッコミを入れることが多い。