機械兵と少女たちの記録(アーカイブ)と記録(メモリー)   作:KUS

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始動

「ほんっとうに、ありがとうございました!」

「あ、ありがとうございました」

「いや、本当に気をつけてね?」

 

今俺は、アビドス自治区に来ている。

目的?

将来的な支援体制の確立と、できたらユメ先輩を救済できたらなぁと考えていた。

で、砂漠を歩いていたら……

 

干からびる寸前のユメ先輩を見つけた。

直ぐに水を飲まして、こうして運んできた訳だ。

ホシノに攻撃されないかひやひやしたが……特に問題はなかった。

 

「それじゃあ……本題に入っていいか?」

「あっ、はい」

「じゃあ……まず、アビドスに対する支援を連邦生徒会は決めた」

「はい?」

「わぁ、やったねホシノちゃん!」

 

ホシノは警戒混じりの視線。

ユメ先輩は普通に喜んでる。

うん、予想通りの反応だ。

 

「今まで放置してきたのに?」

「それについては……弁解の余地はないな。

支援の内容についてたが、主に武器弾薬類、あとは必要だったら学校の修理用具なんかも」

「おお、ホシノちゃん」

「まぁ……メリットは大きいですけど……」

 

ホシノはまだ若干警戒混じりだったが、無事に支援の確約を取り付けられた。

ユメ先輩は最後まで無邪気に手を振っていた。

 

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ミレニアム近郊の廃墟

そこに二つの集団があった。

一つはミレニアムの調査隊。

もう一つは連邦生徒会の調査隊だ。

 

「反応はこの辺りからです」

「調べましょう」

 

その中には当然、アオの姿もあった。

エクシアらを見つけるのが目的だ。

 

探索方法は、エクシアが事前に発信している信号を頼りに探すというもの。

一応、廃墟の謎の信号の調査という建前だが。

 

「会長!地下への通路がありました!」

「間違いないわね。信号もその奥から発信されているわ」

 

調査隊員の一人が通路を発見し、同行しているリオが付け足す。

一行は、見張りを数名残して通路を進行した。

 

 

 

 

 

「これは……」

「格納庫ね」

 

通路の先には格納庫があった。

そして、そこに佇んでいる四機の機影。

 

「会長、MSです」

「うん、わかってる」

 

アオはゆっくりとMS──エクシアに近付く。

 

『……到着したようだな』

「はい、手を貸してもらいますよ」

『了解した。デュナメス、キュリオス、ヴァーチェ、起きろ』

 

四機のガンダムが、ミレニアムに入った。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

パクスによる全世界宣戦布告から半年、

年も明け、各学園は新たな体制に移行を始めていた。

 

「キキキッ……」

「いつまで笑ってるのよマコトちゃん」

「なに、ようやくこの椅子に座れたのだ。笑って何が悪い」

 

ゲヘナ学園の生徒会の議長席に座っているのはマコトだ。

選挙ではトリニティと手を切る。

をお題目に(他にも色々掲げていたが)大勝。

即座に色々難癖を付けてトリニティと手切れをした。

 

「さて……打ち上げといくか?」

「その前に公務よ公務」

「まだ就任したばかりなのにかサツキ?」

「色々溜まってるのよ色々と」

「う~む……面倒なのはヒナに投げるか」

「それって大丈夫?」

「キキキッ、こちらがやる必要のあるものはこちらで片付ければいい」

 

マコトはそんな事を言いながら外から聞こえる爆発音を耳にする。

これこそがゲヘナと思いながら、上機嫌に背もたれに寄り掛かった。

 

一方、技術部。

雷帝派がいなくなったことでゴッソリと人員が抜けた影響で人手不足だった。

そこにトリニティ寄りな生徒会に対するストライキまで入り、少し前まで機能不全だったのだが……

 

「なんとか戻ってきてくれた……」

「マコト議長になって以来、元気が出てますからね、あいつら」

「一先ず……主力の更新をしないと」

「ストライクダガーじゃ105の相手はきついですしね」

「105と同じようにストライカーパックを導入して……コストもダウンさせて……」

「名前はどうします?」

「ダガーLでいいんじゃない?」

「なんです?そのL」

「軽いのLだよ、英語でLightだろ?」

「ああ……納得」

 

順調に、次世代主力機の設計が進んでいた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ナギサ様、首長就任おめでとうございます」

「早かったですね」

「ええ、驚きです」

 

ティーパーティーのフィリウス首長室

そこに新たな首長になったナギサがいた。

実家にも頼み込み、実力も見せつけて、代替わりの時期に首長になることに成功した。

 

「まずは……大掃除から始めましょうか」

「本当によろしいんですか?」

「ええ。打算もなしに感情のまま争いを続ける。そのような野蛮人、ティーパーティーの品位を傷付けるだけだと思いませんか?」

「そうですね。では、掃除を始めます」

「ええ、お願いします。私はこれから行くところがあるので」

 

そう言ってナギサは、供を連れて部屋を出た。

 

 

トリニティ総合学園、正規軍本部

 

「ヒバナ、本部長が呼んでる」

「えっ……なんで私?」

「いいから来い」

 

数分後、本部長室

 

「悪いねヒバナ少尉」

「いえ……それで、なんでご用件でしょうか」

「ああ、君に用事があるのは私じゃなくてね……」

「私です」

 

一人の人物が部屋に入ってくる。

 

「初めまして、ヒバナさん」

「な、ナギサ様!?」

 

ナギサだ。

 

「あの……どうして私なんかに会おうと?」

「貴女に頼みたいことがあるんです」

「それは一体……」

 

ナギサは少し沈黙した後、その頼みたいことを話した。

 

「私の護衛になってくれませんか?」

「はい!?」

「勿論理由はあります。あなたの生身での戦闘成績は一年の中ではずば抜けています。正義実現委員会のツルギさんほどではありませんが」

「は、はい……」

「それに、じゃじゃ馬と聞いているトールギスの性能を引き出せている……生身とMS戦の両方に精通しているあなたなら、この身を任せてもいいと判断しました」

「ナギサ様……」

「受けて、頂けますでしょうか?」

「……はい、その任、この阿慈谷ヒバナ、確かに受け取りました」

「ありがとうございます」

 

ヒバナは静かに、力強く答えた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「来るぞ!隊列を整えろ!」

 

多数の砲撃音。

そこに重なるようにバーニアの噴射音も重なる。

 

トリニティ自治区とパクス自治区の境界。

現在、キヴォトスで最大の激戦地となっているこの地で、この日も戦闘が発生していた。

あの宣戦布告以降、パクス側も戦力を整えているのか大規模な侵攻はなかった。

だが、小~中規模の戦闘は散発的に発生しており、実験場の如く新兵器が投入されていた。

 

「隊長!上空を!」

「なっ!?なんだあれは?!」

 

上空を、土台のようなものに乗ったMSが飛行している。

自律飛行が可能なMSは、プラネットのディンタイプしか現状存在しない。

当のプラネットもパクスの分校だ。

技術公開がされるわけもなく、制空権を取る手段が連合側にはなかった。

 

パクスが今回投入したMS補助兵器「グゥル」

プラネット分校と共同開発されたそれは、汎用型や陸戦型のMSを大空を駆けさせることに成功した。

 

「不味い……全機散開!」

 

固まっていれば殲滅される。

そう判断した隊長によってMSは一斉に散った。

目論見を外された上空の部隊は何もせずに飛び過ぎる。

 

「ちっ、どうします?」

「構わん、このまま降下して、陸戦だ」

「「はっ!」」

 

グゥルからMSが降りてくる。

ザクに似たその機体は、一斉にリーオーに襲い掛かった。

ザクのライフルから放たれた一撃が、リーオーをいとも容易く撃墜する。

 

「なんだあれは!?」

「リーオーが……一撃?!」

 

放たれたのはビームだ。

そのまま部隊は、リーオーを撃滅し始めた。

 

 

「隊長、あの機体は?」

「確か、ハイザックだったかな。親衛隊に配備されてる……」

「正規軍には来ないんですか?」

「何でもビームを両立出来てないらしい。射撃と近接、どっちかしか持てない」

「つまり、いつか両立された機体が……」

「その時まで、こいつらを使い倒してやろう」

 

隊長は愛機であるドムの足を叩いた。

 

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ねぇねぇ、これ見て

上手いな、特徴を良く拾えてる

アマネちゃん、絵も上手いんだなぁ

ふふーん

やはりロリこそ至高か

いきなり何言ってるんですか

 

 

テスト、全教科満点取れたよー

いいなー私が全部満点取っても誰も驚かないのに

俺からしたら二人とも凄いからな?

わーい、ありがとうガンダムさん

 

 

やっぱりロボットはモノアイだね

いいえ、バイザーです

いやいやツインアイだろ

じゃあ、誰が正しいか、絵で決めよう!

しれっと得意分野に持ち込みやがりましたよこの子

そもそも物理的に絵が描けないんだが???

 

 

「ううん……」

「起きたかアマネ」

「ん?おはよ~」

「呑気なものだ。何か良い夢でも見たか?」

「わかる?」

「口元がニヤついてたぞ」

「ふふ……」

 

アマネは朝日を浴びながら微笑んだ。

 

「懐かしい夢、見たんだもん」

「そうかい……今日は午後から幹部会があるから、さっさと支度をしろよ」

「ソルちゃん手伝って」

「いやだよめんどくさい」

「ケチ」

「ケチとはなんだ」

 

軍帽にコートを羽織っているソルは、さっさと朝食を摂りに行ってしまった。

アマネは窓の外を眺めながら、呟いた。

 

「待っててねガンダムさん。もうすぐ、平和になるよ」

 

嘗てのように、その目は力強かった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「さて……幹部会を開始します」

「まずは情報部から、連邦生徒会長が失踪しました」

「足取りは?」

「掴めていません。連邦生徒会の幹部すら知らないようです」

「まあ失踪なんだから当然だな」

 

最初に報告を上げたのは情報部だ。

連邦生徒会長の失踪。

連合側を纏め、戦局を膠着させていた彼女の失踪は、今後に大きく影響する。

 

「次、技術部から。例のアレ、完成まであと20%ってとこかな」

「ありがとニアちゃん。完成次第例の計画を開始するから、皆もそのつもりでね」

 

技術部の責任者になったニアからの報告は、兵器の進捗状況だった。

あと少しで完成する。

それだけの簡易な報告だ。

 

「では民事部から、工場などの再建が完了しました。中継貿易再開の見通しはついてませんが、順次再開する予定です」

「ようやく、トリニティに侵攻される前の水準に戻るのか」

「それでもまだ最盛期には遠いのですから、先人たちの運営力には脱帽ものです」

 

民事部からの報告は、トリニティによるパクス侵攻の際に焦土作戦で消えた産業地帯の復活だった。

中継貿易も、順次再開する。

パクスの経済力復活の目途がついた。

 

「最後、軍部からだ。各戦線の状態は膠着。だが連邦生徒会長がいなくなったことで、連邦生徒会の統制が取れなくなっている。三大校以外は順次落ちるだろうな」

「親衛隊からも報告だ。連邦矯正局で脱獄の動きがある。そこで、一部手懐けられそうな囚人を引き抜きたいんだが……」

「ソル、大丈夫なのか?そこらの不良以上に制御不能じゃないか?」

「だから言っただろうアイラ。"手懐けられそうな囚人"とな」

「なるほどな」

 

軍部の報告は戦線の状況。

ソルからの報告は矯正局での脱獄の動き。

幹部全員の目線がアマネに行く。

アマネの会議での役割は各々の利害が衝突した時の調整なのだが……

 

「ソルちゃん、任せるね。アイラちゃんも、"ほどほどに"お願い」

「わかった」

「了解しました」

「他の皆も問題がないならこのまま続行、臨機応変にお願い。決着は、あの計画でね」

「「「「「はっ」」」」」

 

その日の会議は、それで終了した。

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