機械兵と少女たちの記録(アーカイブ)と記録(メモリー) 作:KUS
「ただいま」
「あっ、お帰りなさいアキ先輩」
三人を回収した後、輸送機は全速力でアビドス校舎に戻り、俺は対策委員会の教室に戻っていた。
まだあいつらは帰ってきていないのか、部屋にはオペレーターのアヤネだけだ。
「アヤネ、収穫はあったのか?」
「闇銀行に利息の回収をしているカイザーローンの職員が……」
「それで?」
「集金記録を奪取しました。今は皆さん帰路についています」
「じゃっ、しばらく待ちましょうかね」
数十分後、ホシノ達が教室に戻ってっ来た。
「アヤネちゃん、戻ったよ~」
「お帰り」
「お帰りなさいホシノ先輩」
「外におっきい輸送機いたけど、あれって?」
「俺が呼んだSRTだ。それも含めて話したいことがある」
「じゃあ、ブラックマーケットで見つけた物も含めて話し合いといこっか~」
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「何これ?!一体どういうことなの?!」
セリカが机を思いっきり叩いた。
「現金輸送車の集金記録にはアビドスで788万円集金したとある。私達の学校に来たあの輸送車で間違いない」
シロコも呟く。
二人とも怒りが見て取れる。
「カタカタヘルメット団への任務補助金500万提供……やっぱりカイザーに雇われていたみたいだな」
「借金は……」
「借金回収よりも利益がある。そういう目論見なのかもな」
「私達が出ていけば、アビドスは完全にカイザーのものになる……ずっと計画されてたのかもね」
ヘルメット団はカイザーに雇われている。
アキ以外にとっては推測でしかなかったわけだが……これで確定になった。
「……お前ら、これからについて話したいことがある」
「これからって?」
「もうすぐ、カイザーとパクスが大規模衝突をすると予想してる」
「「「「「!?」」」」」
「うへ……」
"それって……"
「ああ。そして、俺らでその横合いを殴る」
その言葉に全員驚きの表情を浮かべた。
いきなり戦争に首を突っ込むなんて言われたら誰だってそうなる。
「横合いを殴るって……」
「連邦生徒会副会長の立場から言わせてもらうと、アビドスのパクス軍が他の戦線に流れるのは避けたい。だからカイザーに倒れられるのは困るんだが……お前らの心情的にカイザーの援護はしたくないだろ?」
「まぁ……こんな物見ちゃったらね」
「だから、両者を横合いから殴る。希望的観測だが、カイザーとパクスが一時共闘って可能性は低い。パクス軍に戦力再編が必要なくらい被害を与える。カイザーに関しても、今回の件で強制捜査という形で介入する」
「でもそれって大丈夫なんですか?」
「何を言う。捜査に来たらパクスとカイザーが戦闘中。連邦生徒会はパクスの敵校だから介入する。そこになぜかカイザーがこっちを攻撃したから反撃したんだ」
「ああ……そういう……」
アキが放った建前に、アヤネは納得した様子だ。
「それで、作戦はいつ?」
「やる気充分だなシロコ」
「ん」
シロコの目が燃えている。
やる気100%である。
「今、知り合いに頼んで日時を調べてもらってる」
「メンバーは?まさかここにいる皆だけでやるわけじゃないわよね?」
「外に待機してるSRT。後は俺が雇った便利屋。確定してる他のメンバーはこれだけだ」
「確定?ミレニアムから増援が来るかもしれない。それから……」
「あの~」
ここで、置いてけぼりになっていた対策委員会がブラックマーケットで出会ったトリニティ生のヒフミが手を挙げた。
「ん?そういえば……」
「阿慈谷ヒフミです。トリニティの2年生……」
「阿慈谷……トールギスの?」
「あっ、お姉ちゃんを知ってるんですか」
「まあ……合同軍事演習とかで会うからな」
アキはヒフミの姉……ヒバナ経由で知ったかのような口ぶりだが……
ヒフミを知っている状況でヒバナと会って驚いたという構図である。
「私からティーパーティーに今回の件を報告しようと思います!それで……」
「それはありがたい。大軍は無理だろうが、戦力が増えるだけでも」
それから説明がある程度説明終わり、ヒフミを見送って解散となった。
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「久しぶりだなヒナ。急に連絡なんてよこしてどうした?」
『少し急用があるの。時間空いてる?』
「問題ない。どうした」
解散した後、ヒナから電話がかかってきた。
急用らしいが、なんだろうな。
『パクスのアビドス方面軍。そこに攻撃をかけるつもりって聞いたわ』
「どこから?」
『マコト』
「ああ……」
マコトがどこかしらから情報を掴んだらしい。
本当……情報網はキヴォトス随一なんだから。
アナログ限定ならキヴォトス一なんじゃないか?
「それで?」
『
「なるほど。ちょうどトリニティの協力も取り付けられそうだったからな。連絡する予定だった。」
トリニティとミレニアムが協力してくれてる中で、ゲヘナだけ省いたら連携に支障が出る。
エデン条約も近いのにそんなことしたらな。
特にマコトはどっちかというと親パクスだし……
雷帝の遺産を向こうが使用してる疑惑があるからこっちについてるだけ。
キヴォトスの征服を掲げている割にそこはどうなんだあいつ……
『取り敢えず、イオリとチナツ、それからストライクを送るわ』
「ヒナは来ないのか?」
『ゲヘナ方面軍に睨みを効かせなきゃいけないのよ』
「そうか。ありがとう」
『いいわよ別に』
そう言ってヒナは電話を切った。
さて……後はヒマリからの連絡を待つだけか。
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「被害はどのくらいだ」
「20機ほどです……内デザート・ゲルググとグフ・カスタムが1機ずつ」
「補充は?」
「連絡したところ、作戦に間に合うのは10機ほどだと」
「まだマシか……」
アビドス方面軍基地で、先ほどの戦闘での被害に頭を抱える司令官の姿があった。
20機のMSが撃破され、修理可能な機体もいない。
完全に爆散していた。
おまけにエースも2機落とされた。
「作戦に支障は?」
「今のところはありません」
「……」
「親衛隊、出なかった分きっちり働いてもらうぞ」
「最初からそのつもりだ」
司令官は迎撃に出なかった親衛隊に釘を刺す。
一方の大尉は元からそのつもりだったのも相まってそのまま返した。
「お疲れ様で~す」
「ん?あんた親衛隊の」
「遠坂エリナです!」
「おお、エリナか。1年?」
「ですです」
一方の格納庫。
エリナは整備士やパイロットに持ってきたスポーツドリンクを渡していた。
「そういえばさ、親衛隊は何やってたの?1機も出てこなかったけど」
「大尉に止められたんですよね~私には正規軍の戦闘を見て学べ的なこと言ってたんですけど」
「なんなんだろうな」
ワイワイ話が弾んでいく。
トップ同士の仲は良好な正規軍と親衛隊だが……現場単位だと険悪なこともある。
この場にいる者達も、あまり良い印象を親衛隊には持っていなかったのだが……
「ねえねえ、親衛隊ってアマネ様に直接会えるんでしょ?」
「えっ、まあはい」
「いいなぁ。私入学式以外だと映像越しにしか見たことないもん」
「アマネ様って、何というか、高嶺の花?的な」
「私だって直接会ったって言っても、入学式で遠目に見ただけですよ?」
「じゃあ、皆と一緒かぁ」
「親衛隊って言っても、アマネ様のお側にいる親衛連隊と、前線に出る私達武装親衛隊に分かれますし」
「ああ、なるほどね」
和やかな雰囲気が格納庫に広がる。
その姿は、戦争中とは思えない。
そこにあったのは、戦争に従事する兵士ではなく、どこにでもいる普通の学生だった。
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次の日、アビドス校舎の前に、4台のトラックが止まっていた。
側面にはミレニアムの校章が刻まれている。
「ヒマリ……お前が直接来るとは思ってなかったよ」
「あら、私はこれでもフットワークは軽い方ですよ?」
「取り敢えず、中に入ってくれ。諸々は中で話そう」
「ええ、お願いします」
俺はヒマリと一緒に、校舎の中に入っていった。
「初めましてアビドスの皆さん。私は明星ヒマリ。ミレニアムの──」
「それでヒマリ、開戦予定はいつだ?」
「あら、最後まで言わせてくださいよ」
「長くなると困るから止めたんだよ」
「そうですか……
パクス軍がカイザーPMCのアビドス砂漠基地を攻撃するのは3日後です」
"3日……"
3日。
ゲヘナやトリニティの増援が来るには充分すぎる時間だ。
威力偵察で削った戦力の回復にも時間を要するだろうし……
現状、こっちの戦力は
アビドス廃校対策委員会
C&C
エイミ
トラックに乗っているだろうエクシア達
CAT小隊
イオリとチナツ、ストライク
トリニティの部隊
そして俺
充分だな。
「よし、戦力はまとまった。後は3日間、各々準備だ」
「何をすればいいの?」
「弾薬とか、連携の確認。後は対MS戦のシミュレーション」
"私もやった方がいいかな?"
「ええ、不良のMSを相手にするのと違いますから」
"わかった"
「それじゃあ準備開始だ」
俺がそう言うと、皆それぞれ動き始めた。
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それから三日間、全員で様々な事をした。
ホシノとネルが模擬戦したりとか。
俺が持ってきた本体ことガンダムを見て先生が目を輝かせたりとか。
鹵獲したヘルメット団のザクをシロコが動かしたりとか。
シロコのMS操縦能力が思ったより高くて皆で驚いたりとか。
ストライクが来て俺に無邪気に手を振ったりとか。
エクシアと模擬戦したりとか。
アルの狙撃にデュナメスが驚嘆してたとか。
トキがアビ・エシュフをお披露目したりとか。
ん?なんでトキが普通にいるのかって?
リオ曰く、戦力を遊ばせておく理由がないかららしい。
自分の護衛よりも侵略防止の方が大事っぽい。
……後は大将が来て、前祝いと言わんばかりにバーベキューが行われたな。
MS組は俺に妬みの文章を連投してきた。
生体ボディはないから諦めてもろて。
そして……3日後
「あれがカイザーの基地」
「2年前にはなかったよねホシノちゃん?」
「ありませんでしたよ。一体何が目的で……」
『副会長、カイザーPMC基地に大規模な集団が向かってるのを確認した。おでましだよ』
「よし、両方が本格的にぶつかってある程度たったら攻撃だ。MS部隊は上空から強襲。生身メンバーはそれを見てから突撃してくれ」
「わかった」
「よし、シロコは俺と。操作は慣れたって言ってたな?」
「ん、問題ない」
「それならいい。俺たちは歩兵隊に随伴する」
「よし……作戦開始だ」
「「「「『『『『了解!』』』』」」」」
砂嵐作戦、スタート
ちょこっと解説
親衛隊の組織構造
本校でアマネを護衛する親衛連隊と、前線に出る武装親衛隊に分かれる。
この二つの最高司令官がソル。
トキ
原作とは違ってコールサイン04として表で活動している。
現状では自分の直属として裏で動かすより表立って動かした方が合理的というリオの判断。
砂嵐作戦
アキ命名。
砂嵐のようにカイザーとパクスに襲い掛かるから。
らしい。