機械兵と少女たちの記録(アーカイブ)と記録(メモリー)   作:KUS

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空を駆ける機械兵

カイザーPMC基地・北部ゲート付近

南部のメンバーとは別の面々は、空挺降下で戦場に乱入していた。

 

「オラオラオラァ!」

 

ネルが愛銃のツインドラゴンの掃射でパクスの歩兵を蹴散らす。

 

「数が多いな」

『リーダー、戦車隊だ』

「了解」

 

輸送機から狙撃支援をしているカリンの報告では、戦車隊を確認したらしい。

そして、砂丘の影から戦車が姿を現した。

パクス軍の主力戦車、パットン型。

後ろにはパーシングも見える。

 

だが、姿が見えた瞬間戦車隊を無数の砲撃が襲った。

トリニティの砲兵部隊だ。

ヒフミがナギサに嘆願し、増援として来たのである。

 

だが……

 

『トリニティの砲兵隊だ!』

『なんだと!?吹き飛ばせ!』

 

パクス側のヘイトを完全に引き付けてしまっており、数門が既に破壊されている。

だがまだ数門。

被害が少ないのは……

 

「させるか!」

『モビルスーツ?!うわ?!』

 

ナギサが護衛として付けたトールギスがいるからである。

パイロットは阿慈谷ヒバナ。

ナギサの護衛役。

妹の普通を守るために軍人を志した。

 

『くそっ!トールギスがいるぞ!』

『どきなさい!私がやります!』

 

トールギスの前に出てきたのはギャン・エーオース。

砂漠仕様に簡単な改修が施されているが、その機体にヒバナは見覚えがあった。

 

『お久しぶりですねトールギス。確かパイロットは……』

「ヒバナだ。覚えてマユ」

『ふふ……覚えてくださったんですね。では……

 

今度こそその首貰いますわ!』

 

マユ機がビーム・ベイオネットを振るう。

それを回避しながらヒバナ機もビームサーベルを抜いた。

 

『トールギスはマユが抑えてる!』

『今のうちにあの羽付どもを』

 

 

トールギスが護衛から離れたのは、パクス軍にとってチャンスだ。

彼女らにとって、トリニティは憎き怨敵なのだから。

 

『悪いが……』

『!?』

『それはノーセンキューだ』

 

背後に現れたエクシアがGNソードでドムを切り裂く。

それに驚いたもう1機はヒートサーベルを抜こうとしたが……

上方からのビームに撃ち抜かれた。

 

『油断したか?エクシア』

『援護感謝するデュナメス。それと油断ではない。お前への信頼だ』

『そいつは嬉しいねぇ』

 

ビームはデュナメスのGNスナイパーライフルから放たれたものだ。

先ほどから敵機を狙い打っている。

因みに百発百中。

 

『やっぱ、パイロットがいた方が調子でるなぁ』

『文句を垂れるな。こうして単体で動けるのだから充分だろう?』

『ガンダムみたいに生体ボディ作ってもらうか?』

『必要ない』

『バーベキューしてえだろ?』

『キュリオス、ヴァーチェ、そっちはどうだ?』

『露骨に逸らしやがって』

 

デュナメスの言うことにNoとは言えないが、それはそれとして仕事と言わんばかりにエクシアは仲間の状況を確認する。

デュナメスの言う通り、露骨な話題逸らしにしか見えないが。

 

『こちらキュリオス。問題はないよ』

『こちらヴァーチェ。敵の輸送機を発見した。撃墜許可を』

『降下部隊がいるなら落とせ。そうでないなら放置しろ。時間の無駄だ』

『了解』

 

ヴァーチェにそう言うと、エクシアは通信を切って敵部隊に突貫した。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「そこね」

 

エクシア達ミレニアム・トリニティ組の戦場から少し離れた地点。

CAT小隊と風紀委員会組の戦場がそこにあった。

 

ネキのジム・カスタムが迫りくるジンを撃墜し、シールドタックルでディザート・ザクに対処している。

 

「どんどん出てくるわね」

『どうやら私達を対処する方向にシフトしたらしい。北部方面隊は誰一人カイザー基地に向かっていない』

「カイザー部隊も壊滅状態だし……私達だけで捌かないといけないのね」

 

ネキは溜息をついた。

それだけの物量がいる。

 

そんな彼女の機体の後方から駆動音が聞こえた。

 

『CAT2、6時の方向に敵機』

「今度は何?」

『ドムタイプが数機。一直線にCAT2に向かってる』

 

機体を向けると、自分に向かってくる砂塵が見えた。

その内、先頭の1機がジム・カスタムに襲い掛かった。

 

『はあっははは!3日前の借りを返しに来たぞ!』

「あなた……あの時のゲルググのパイロット?!」

『わざわざ西の方面から急行してきたのだ!今度こそ私が勝~つ!』

 

ドワッジがヒートサーベルをジム・カスタムに振るう。

ネキもビームサーベルを抜き、対抗した。

 

サーベルを弾いて距離を置こうとした瞬間、ドム・トローペンのバズーカによる攻撃を受けた。

 

「!?」

『さあ、覚悟しろ!』

 

ドワッジとドム・トローペンに囲まれる形となった状態。

ネキは思わず叫んだ。

 

「一騎討ちじゃないの?!」

『ハハハハハ!何を言う。確かに私は一騎討ちが好きだ、大好きだ。

だがなぁ、それは作戦の内なのだよ』

「何?」

『例えば私が敵と一騎討ちをする。部下達も周りを回るだけだ。

私が負けると私か部下が果たし状を出す。するとどうだ?敵は勝手に私を騎士道精神か何かだと思ってくれるんだ。後は勝手に妄想に浸っているやつを数で押し潰すだけ』

「ひ、卑劣……」

 

ネキの率直な感想だった。

 

『何を言う。私が騎士道精神の塊だと勝手に妄想したのは相手。一度負けた相手に複数人で攻撃するのも間違ってないだろう?私達はスポーツをやっているんじゃないんだから』

「言ってることは間違ってないのよ。うん。だけどさ……

 

 

 

それはそれとして卑劣じゃない?」

 

合理論では間違っていないが……

感情論では卑怯と言えてしまうのだ。

 

『何とでも言うがいい。結局勝てなければ、負け犬の遠吠えなのだからな』

「ああそう。じゃあ勝たせてもらうわ!」

 

行くぞ!と言わんばかりにお互いが武器を構えた瞬間……

1機のドム・トローペンが砲撃で撃墜される。

 

『!?』

「おっそいわよCAT3!」

『文句を言うな!ジンやらザクやらに囲まれてたんだから!』

「あんたが勝手にとっこんだんでしょ!」

 

援護に来たのはタマのジム・キャノンIIだ。

砂丘を滑り降りながらビームライフルでもう1機撃墜する。

 

「さて……イーブンとは言えないけど、目論見は崩れたわね?」

『ぐぬぬぬ……まだだ!まだ数ではこっちが上!連携で仕留めるぞお前ら!』

『『『了解!』』』

「さて……始めましょう?」

『はっはぁ!パーティータイムだ!』

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「CAT4、状況は?」

『バクゥハウンドを数機落とした。でもまだ来る』

「これで数が減った方なの?連中は兵士が畑から採れるのか?」

 

ルシの報告にイオリが呟く。

実際、輸送機から戦場を見た際、カイザーの部隊の残骸と共にかなりの数のパクス軍のMSの残骸も転がっていた。

転がっていたのはモビルスーツで、戦車や火砲は見当たらなかった。

なのでそれらが大量に出てくるのはわかるのだが……

 

「イオリさん。キツイなら一度下がって下さい」

「大丈夫だ。このくらい……」

『いいけどイオリ、無理そうだったら僕が無理矢理下らせるからね?』

 

この場のメンバーで、生身なのはイオリだけだ。

モビルスーツが主力の戦場ではキツイものがあるだろう。

おまけにイオリの銃はスナイパーライフル。

モビルスーツに有効打となり得るものではない。

 

「砂塵のせいで分断されているこの状況でイオリさんを一人には出来ませんし……」

『CAT1、話は後にできる?』

「何かありました?」

『バクゥハウンドが接近中。おまけに上空からモビルスーツ部隊。親衛隊だ』

 

それを聞いたユカはゼフィランサスのカメラを上空に向けた。

ベースジャバーに乗ったハイザックやマラサイの編隊。

その中に1機だけ、単独で飛行する機体が見えた。

肩部が異様に大きいその機体は、真っ直ぐゼフィランサスに向けて降下してくる。

 

「?!……ストライクさんはイオリさんを!エースが来ます!」

『!? わかった!イオリ行くよ!』

「おわ!?襟を掴むな!」

 

ストライクがイオリを摘まむように持ち上げるとその場を撤退した。

上空から来た1機のマニュピレーターからビームサーベルが出現する。

そして、ゼフィランサスに躊躇わず振ってきた。

 

「くっ!」

『連邦生徒会……貴様らがガンダムを使うとはな』

 

しばらく鍔迫り合いが続くが、ユカはビームサーベルを弾いて距離を取る。

改めてみても異様な機体だ。

肩部が大きく、マニュピレーターも人の手には見えない。

異形という言葉がよく当てはまる。

 

「使っては、いけないのですか?」

『ガンダムはなぁ。我々パクスの守り神みたいなものだ。まあそうなったのはつい6年前だがな』

「……」

『トリニティの仕打ちは黙認して、私達が挙兵したら貴様らはトリニティについた。

連邦生徒会が侵略を促したみたいなもんなのに』

「陰謀論を信じているんですか?」

『何もアクションを起こさなかったのは事実じゃないか』

 

異形の機体──バイアランのコックピットの中で、パイロットである大尉は呟く。

随分とトリニティに甘いじゃないか、と。

 

「トリニティを恨むのはわかります。ですが、あなた方が今現在していることを理解していますよね?無関係な学園にまで戦争を行っている侵略学園に過ぎません」

『あれま、こいつは一本取られた』

 

ケタケタと笑い声が通信越しに聞こえる。

ユカは一瞬周りに目を向けた。

バクゥハウンドはまだいない。

ハイザックとマラサイは上空を旋回するだけ。

おそらくルシが乗っている輸送機を探しているのだろう。

 

『ガルとは相性悪そうだな。憤怒が原動力のあいつとじゃ』

「誰ですかその人は」

『ああ、名乗ってなかったのか。君も覚えているだろう?去年の強奪事件を』

「!?」

 

瞬間、ユカの脳裏にあの光景が蘇った。

自分が初めてゼフィランサスに乗った日。

アキの護衛として同行した基地視察。

基地がパクスに襲われた。

目的は新型モビルスーツの奪取。

1号機……ゼフィランサスは守れた。

だが2号機……サイサリスは目の前で奪われた。

追撃も一蹴された。

人生で初めての挫折。

何も得ることができず、失うだけだった事件。

ただただ悔しかった。

一撃も入れられず、むしろ哀れまれたのが……

 

「……やつはどこだ?」

『おやおや、口調が崩れてるぞ?』

「答えろ!」

 

ユカは感情のままビームサーベルを振るう。

大尉は冷静に受け止め、質問の答えを返した。

 

『知らないな。トリニティかゲヘナ。どっちかにいるんじゃないか?』

「くぅっ!」

『気の短い猫ちゃん、だ!』

 

ゼフィランサスのビームサーベルが弾かれるも、再度ユカは突貫した。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

『敵機撃破。次は……』

『エクシア、まだ来るぜ』

 

ネルが地平線を指すように銃を向ける。

そこには多数の戦車とモビルスーツが見えた。

 

『まだ来るとは……そこなしか?』

『パクスの人員は何も自校の生徒だけではありません』

『どういうこった?』

『無学籍の生徒や、軍門に下った学園からの徴兵、それに自校の生徒もおおよそ8割が志願しているとも聞いています』

『戦争がそんなにしてえのかよ……』

 

ヒマリの説明にデュナメスが呟く。

キュリオスやヴァーチェ、C&Cのメンバーも言葉に出さないだけで同じだろう。

 

『戦争がしたい……という訳ではなく。生徒会長──高原アマネにその身を削って尽くしたい。そういう思いの方が強いかと』

「狂信者かよ……」

『積年の憎悪と新鮮な憎悪、後は高原アマネのカリスマ性のフルコンボですね』

「独立の立役者ですからね。しかも自分達と同世代の子が僅か11歳でそれを成し遂げた」

 

ヒマリの説明にアカネが補足する。

それはそれとして、目の前の敵に集中すべく顔を向けたその時だった……

 

『! 上空からモビルスーツ反応が接近しています』

『数は?』

『これは……単機?』

 

一方パクス側でも、その機体の出現は確認していた。

 

「どこの機体だ!」

『今確認しています……この識別は、アメリア分校?』

「なんでアメリアがいるんだ?偵察帰りか?」

 

一応友軍だが、なぜこんな所にいるのかがわからなかった。

 

その機体はまるで戦闘機だ。

そして、真っ直ぐエクシアを目指している。

 

『あの機体は……』

「待て、どっかで見た覚えがあるぞ」

『奇遇だなネル。俺もだ』

 

ネルとエクシアだけではない。

この場にいる全員が既視感を覚えていた。

その機体はエクシアの頭上まで迫ると、人型に変形した。

そしてサーベルを振るってくる。

エクシアはGNソードでそれを軽々と受ける。

機体は一度後退すると、再び猛スピードで突進してきた。

そして、スピーカーを全開にしてパイロットが叫んだ。

 

『会いたかった。会いたかったぞ!ガンダム!』

『『『「「「うわ出た」」」』』』

 

全員が異口同音、全く同じタイミングでそう呟いた。

なんなら一部のメンバーは普段の口調が崩れている。

 

『また貴様か』

『ようやく、ようやく会えたぞ!ガンダム!』

 

パイロットの名は大空エイカ

パクス連邦学園アメリア分校所属のモビルスーツエースパイロット。

ガンダム(エクシア限定)をこよなく愛する少女である。

そしてストーカー気質。




ちょこっと解説
灰原マユ
武装親衛隊所属の3年生。
2年前、当時はグフに乗っていたのだが、その際にヒバナの駆るトールギスと相対。
敗北した。
それ以降ヒバナをライバル視し、腕を上げる同時に機体も
グフ→グフ・カスタム→アクト・ザク→ギャン・エーオース
と乗り換えてきた。
若干お嬢様っぽい言葉遣い。
元々トリニティ系の名家出身らしい。

大空エイカ
パクスの分校であるアメリア分校に所属する3年生。
同校屈指のエースで、可変機だが空中可変に向かない機体で可変を成功させる整備班泣かせの人。
ある時戦場でエクシアと出会って一目惚れしたらしい。
それ以降、謎の探知能力でエクシアの下に襲来するようになった。
ミレニアムからの扱いは本編の通りである。

大尉
武装親衛隊所属の3年生。バイアランのパイロット。
ガンダムを守り神と呼んでおり、連邦生徒会がガンダムを運用しているのを嫌ってる。

バイアラン
機動戦士Zガンダムに登場。
モビルスーツ単独での大気圏内飛行というコンセプトで開発された。
今作ではディンを非可変機で独力で開発できるか?
というコンセプトで開発された機体の1機。
飛ぶために色々犠牲にしてしまった機体。
実際、防御力は低く、飛行可能時間も短く、携帯武器も持てないという弱点まである(なので武装が全部内臓式)。

ドワッジ
機動戦士ガンダムZZに登場。
ジオン公国軍が開発したドムの最終量産型。
外見的にドムからの大きな変更はないが、背部熱核ジェット推進装置を強化し防塵処理を施し、脚部には航続距離延伸のためのドロップタンクが追加され、加速性及び作戦行動時間の向上が図られている。
今作でも大体同じ設定。
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