機械兵と少女たちの記録(アーカイブ)と記録(メモリー)   作:KUS

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ガンダム対ガンダム

「くくく、なるほど」

 

薄暗いオフィスで、黒服は不気味に笑っていた。

当初の計画通り、ホシノを勧誘した訳なのだが、強い口調で断られてしまった。

その上、直ぐに今回の戦いが始まってしまい、機会も失ってしまった。

なので、さっさとカイザーと手を切ってこうやって戦闘を観戦している。

目的は、古代の忘れられた神々の遺産である、ガンダムのデータを得ることである。

 

「これくらい充分でしょうか」

 

そう言いながら、黒服は立ち上がり入口に向かって歩き出す。

データは充分に得られた。

出来れば先生とも対話してみたかったが、それは別の機会にでもしようと考えながら。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

"ホシノ、その角の先に5人!"

「わかったよ先生」

 

曲がり角を曲がった瞬間、そこにいたカイザーの兵士を撃ち倒す。

突然のことに動揺した残りの4人も隙をついて撃破する。

 

それにしても、先生の指揮はすごいね~

何でもあのタブレットで戦場を俯瞰してみれるらしい。

だから的確な指示が出せるって。

 

「ホシノ先輩!後ろ!」

「おっと」

 

伏兵が居たらしく私を銃床で殴ろうとしてたけど……

最低限の動きで回避してゼロ距離で銃撃を叩き込む。

 

"大丈夫ホシノ?"

「おじさんは大丈夫だよ。それはそれとして、指令室まで後どのくらい?」

"もうそろそろだよ"

「便利屋の人達は大丈夫でしょうか……」

「大丈夫でしょ。アキ先輩曰く、強いらしいし」

 

セリカちゃんは特に心配しってないっぽいね~

 

「取り敢えず、指令室にいこっか」

「はい!」

「カイザー、目にものみてなさい!」

 

もう充分見せたんじゃないかなって言葉を飲み込んで、私達は指令室にむかって歩みを進めた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「やばいやばい」

『ば、バクゥがなんで』

 

一方こちらはユカと別れたイオリとストライク。

一先ず戦場から一回離れようと移動していたのだが……

何故かさっきまでいた場所に向かっていた筈のケルベロスバクゥハウンドが向かってきているのに驚愕していた。

ストライクは全速力で鬼ごっこ中である。

 

「お、落ちるうううううううううう」

『我慢してイオリ!』

「せめてお前の中に乗せろおおおおおお!」

 

全速力のモビルスーツ……しかもオーパーツであるストライクのだ。

ダガーの比じゃないGがイオリにはかかっている。

おまけにストライクの手のひらに乗っている状態だ。

 

「乗せろ!ストライクだってパイロットがいた方が調子でるんだろ!」

『ええええ?!イオリ操縦出来るの!?』

「風紀委員会のスナイパーを舐めるな!」

『関係なくない!?』

 

漫才のようなやり取りをしながらも、コックピットのハッチを開き、イオリを運ぶストライク。

コックピットの中に飛び込んだイオリは計器類の多さに圧倒される。

だが、ダガーと大まかな所は同じだ。

なにせ、ストライクを基に開発されたのがダガーだから。

 

「チナツ!聞こえるか?」

『イオリ?なぜストライクの通信から……』

「今乗せてもらってるんだ。そんなことよりランチャーを射出してくれ!」

『動かせるんですか?!』

「伊達にダガーLで予備訓練やってないんだ!やってやる!」

『わかりました。ランチャーストライカー射出します。換装の準備を』

 

輸送機からランチャーストライカーが射出される。

イオリは手順通り、エールストライカーをパージ。

飛んできたランチャーストライカーに換装する。

 

『イオリ、やれる?』

「伊達にスナイパーやってないんだ、やってやるさ!」

 

イオリはアグニの照準を迫りくるケルベロスバクゥハウンドに向ける。

彼女はスナイパーだが、スタイルはどちらかというと突スナと呼ばれる部類だ。

ようは後ろからじっと狙うのではなく、ガンガン前に出て近距離で大口径を相手にお見舞いする。

だが、別に狙撃の訓練を受けていない訳ではない。

それにイオリ自身の射撃の腕はいい。

 

落ち着いて、じっとチャンスを待つ。

そして、砂丘の影からバクゥハウンドが1機飛び出し……

 

「今だ!」

 

イオリはアグニの引き金を引いた。

放たれたビームは一直線にバクゥハウンドへ向かい、胴体を貫き機体から爆炎を上げさせる。

 

「まず1機……」

『残り4機、砂丘の裏だ!』

 

イオリはその瞬間、フットペダルを踏んでいた。

ストライクのバーニアを吹かせ、上空へ跳び上がる。

見えなかった砂丘の裏がこれでよく見える。

 

「敵は……あそこ」

 

1機がビーム砲を発射する。

横移動でビームを間一髪で躱す。

 

「ううう……Gが……」

『無理しないでね』

「休むのは……この犬っころを落とした後だ」

 

ミサイルでバクゥハウンドを牽制しながら着地。

そして再度照準を合わせる。

2機のバクゥハウンドが重なっていた。

 

「そこだ!」

 

アグニから放たれた一条のビームが射線上で重なっていたバクゥハウンド2機を二枚抜きする。

力なく倒れた2機が爆炎を上げるのを見た残りの2機がかたき討ちの如く突撃してきた。

内1機がビームファングを展開し、ストライクに襲い掛かる。

さながら餌に齧り付こうとする肉食獣だ。

 

イオリはストライクの片腕でバクゥハウンドを抑える。

そして至近距離から対艦バルカン砲を浴びせた。

結果、バクゥハウンドは蜂の巣となり、地面に落ちて爆散する。

 

「あと1機!」

 

最後の1機がビーム砲をストライクに向ける。

それを見たイオリはアグニを構える。

両者から同時にビームが発射され……

 

 

 

バクゥハウンドのビーム砲はストライクのスレスレを通り過ぎ、装甲を少し焦がした。

ストライクのビームはバクゥハウンドを貫き、撃墜した。

 

「はぁ……はぁ……」

『お疲れイオリ』

「少し、休みたい」

『僕が見ておくから、ゆっくり休んで』

 

その言葉を聞き、イオリはゆっくりと目を閉じた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「おらあ!」

『はああ!』

 

タマが駆るジム・キャノンIIがドム・トローペンとぶつかる。

ジム・キャノンIIは既にサーベルを失っているのか素手だ。

 

『こんのぉ!』

 

ドム・トローペンがヒートサーベルを構える。

その腕を、ジム・キャノンIIが捕まえる。

 

『くそっ……だがお前も攻撃出来ないな!ドムの装甲は……』

「必死過ぎて記憶失くしてんのか?この両肩に光る砲門を見よ!」

『はぁ?……!?』

 

隊長を除いた僚機は全滅。

相手は支援機、なので射撃戦は不利。

なら近付くしかないのだが、彼女は接近戦が苦手だった。

だからこそ、必死だったのだが……

 

「くらいな!」

 

ジム・キャノンIIの砲撃が至近距離から叩き込まれる。

自慢の重装甲も、この距離では意味をなさなかった。

 

胸部装甲から爆炎を上げながら倒れるドム・トローペン

タマをそれを見届けながら、ドカッとシートの背もたれに寄り掛かった。

 

「こっちは終わったが……ネキは大丈夫かねぇ」

 

 

一方こちらは、ネキの駆るジム・カスタムとドワッジの戦闘

先ほどから激しい射撃戦が繰り広げられている。

 

最初はバチバチに鍔迫り合いをしてたじゃないかって?

それでヒートサーベルが使えなくなったから射撃戦をしているのだ。

何をやってるんだ。

 

『ははははは!落ちろ!』

「そう簡単に落ちるもんですか!」

 

ドワッジは右腕にマシンガン、左腕にバズーカを構える2刀流だ。

おまけに地上でのスピードはドムタイプであるドワッジが圧倒的に有利。

現在ネキは苦戦中だ。

相手がネキを徹底研究してきているのもある。

あの一回の戦闘だけでここまで追いつめられるようになるのもすごいのだが。

 

(速いし、隙も少ない……)

 

ぶっちゃけ、ネキは彼女を舐めていた。

最初の戦闘では最新鋭機である筈のデザート・ゲルググを使っていながらあっさり撃破、いや、瞬殺だった。

だが、現在はこうやって追い詰められている。

 

思考に浸っている間にも、ドワッジからバズーカの一撃が飛んでくる。

それを咄嗟にシールドで受けたが、もう限界だ。

 

そんな中で、ネキは一つの策を思い付いた。

 

 

ジム・カスタムが突然ライフルを捨て、ビームサーベルを抜く。

ドワッジはお構いなしにバズーカを構える。

シールドで機体を隠しながら、ジム・カスタムは突撃してきた。

 

『血迷ったか!』

 

バズーカが発射され、一直線にジム・カスタムに直撃する。

爆煙が上がり、ドワッジのパイロットは仕留めたと確信した。

 

だが、黒煙の中からジム・カスタムが猛スピードで飛び出してきた。

シールドを犠牲に身を守ったのだ。

 

「でりゃあああ!」

『!?』

 

突然のことに反応できず、バズーカを斬り落とされる。

続けざまにマシンガンも破壊される。

 

『……』

「これで、射撃は無理ね」

『ああ……そうなるな』

 

ドワッジは辺りを見回し、近くに落ちていた重斬刀を拾い上げる。

 

『これで最後にしよう』

「ええ、そうしましょう」

 

重斬刀を構えるドワッジを見て、ジム・カスタムもビームサーベルを向ける。

 

「……」

『……』

 

一時の静寂。

一陣の風が音を立てた瞬間……

 

「『!』」

 

2機が同時に突撃した。

ジム・カスタムのビームサーベルが、ドワッジの腕を斬り落とす。

 

『!?』

「どおおりゃあああああ」

 

返す手でドワッジを肩から縦一直線に斬り裂いた。

 

『負けた……』

「はぁ……はぁ……」

『君の名前は?聞いておきたい』

「……豪徳寺ネキ」

『そうか、ネキか……フフフ……ハハハハハ。私は柴原ユウラだ。

ネキ、今度こそ私が勝つ!その時まで首を洗っておけよ!ハハハハハ!』

 

その言葉と同時にドワッジからコックピットブロックが射出された。

それと同時に機体も爆発四散した。

 

「はあ……終わったぁ」

 

ネキは疲れた様子でシートに体を沈めた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「社長!ヘリのローターを狙って!」

「まかせなさい!」

 

PMC基地指令部付近

そこで便利屋68は孤軍奮闘していた。

周りはパクス軍だらけ。

カイザーの部隊もいるが、それも少数。

 

「はぁ、はぁ、ハルカちゃん大丈夫?」

「まだ、行けます。アル様のためなら……」

「特攻とか言わないでよ?!」

(でも、弾薬ももう限界だ)

 

戦車やヘリはともかく、モビルスーツの撃破に弾薬を浪費してしまう。

必然的に、通常の戦闘より消耗は激しくなる。

 

「社長、一度建物の中に退こう。連中のモビルスーツ、指令部に攻撃はしてないから」

「わ、わかったわ。皆、建物に入るわよ!」

「了解、アルちゃん」

「は、はい」

 

便利屋の4人が屋内に避難していく。

一方、アキとシロコとバルバトスはというと、

指令部付近まで戦場を移動していた。

 

『これでラストだシロコ!』

「ん!」

『しまっ!?』

 

バルバトスが最後のディンを叩き落とした。

アキの方も、

 

「はあああ!」

 

戦闘をしていたマラサイを撃破する。

 

「シロコ?まだ行けるか?」

『ん、大丈夫』

『待て先輩、上空に輸送機だ』

「!? ガルダか!」

 

2機の頭上にパクス軍のガルダ級が飛行している。

後部ハッチが既に開いている状態だ。

 

「気を付けろ!敵機が降下してくるぞ!」

『ん、何機だろうと落とす』

『いや~元気だね~』

 

シロコは自信満々。

バルバトスは余裕そうだ。

 

ガルダ級からモビルスーツが降下してくる。

 

「『『!?』』」

 

降下してきたのは5機。

 

 

 

 

 

全てガンダムタイプの頭部をしている。

 

『キマリス!?』

「ん!?バルバトス!?」

 

バルバトスはその中に知った仲のモビルスーツを見つけ近寄る。

 

一方アキは、敵のモビルスーツについて思考を回していた。

 

(TR-1に……TR-6だと。ヘイズルは……まあいいとしてウーンドウォートかよ!)

 

『初めましてですね守護神様』

「お前は……」

『遠坂エリナ、武装親衛隊の栄えあるエースです。新米ですけどね』

 

通信の先からそんな声が聞こえた。

 

「ウーンドウォートとは、御大層な機体じゃないか」

『この子ですか?良い機体ですよ?』

「そうかい……」

『それじゃあ、行きます!』

 

ウーンドウォートと周りのヘイズルがガンダムに殺到する。

 

 

 

 

『キマリス!』

『ん?バルバトスじゃないか』

 

バルバトスはガンダム・キマリスの前に立つ。

 

『誰だ?キマリス』

『バルバトス、昔の同僚だ』

『キマリス、今までパクスにいたのか?』

『ああ。驚いたよ、起きたら軍勢に囲まれてたんだから』

『そうか……』

「ついていけない……」

 

バルバトスとキマリスの会話についていけてないシロコ。

そんな彼女をスルーして会話は続く。

 

『なあバルバトス』

『なんだ?』

『一緒に来い』

「!?」

『どういうことだ?』

『単純だ。世界を平和にする。その手伝いさ』

『……』

『平和を望んだ者を踏み躙り、やり返されたら被害者かのように振る舞う。そのような連中を打倒し、この世界に安寧を……』

『随分な言い草だなキマリス』

『ガンダムか』

 

キマリスの言葉にアキが割って入った。

 

『お前は何をやっている?母上達を裏切るのか?』

『俺がいつワカナ達を裏切ったって?』

『母上の理想は平和な世。誰もが幸せと不幸せを平等に味わいながら、普通の日常を謳歌する。それを踏みにじる連中は滅する』

『その為ならアマネがどうなってもいいのか?』

『アマネ?ああ、母上の末裔か。あそこまで徹底的にやれる指導者だぞ?むしろ母上も誇るのでは?まあ、母上の理想を取り戻してくれるのならいいがな』

『……そうかキマリス。そういうことか』

『バルバトス?』

 

ここで話から外れていたバルバトスが入ってくる。

シロコは彼の声から怒りを感じ取った。

 

『バルバトス、手伝ってくr『選べキマリス。オーバーホールか、スクラップかをなあ!』ちっ!』

 

バルバトスが振るったメイスをキマリスは後退して回避する。

 

『仕方ないか。やるぞカエ!』

『了解』

『行くぞお、シロコ!』

「了解」

 

バルバトスとキマリス。

2機のガンダムが激突した。




ちょこっと解説
柴原ユウラ
アビドス方面軍に所属するエースパイロット。
腕はネキ曰く、トリニティやゲヘナの方面軍のエースの方が厄介。
ただ高い観察力や、自分が騎士道精神持ちと錯覚させ集団戦で叩き潰す強かさを持っている。

板上カエ
武装親衛隊所属。キマリスのパイロット。
寡黙で、必要最低限の言葉しか話さない。
ただ、キマリスのアマネ軽視発言に内心キレている。

ガンダムTR-1
「ADVANCE OF Ζ ティターンズの旗のもとに」で登場。
ティターンズがモビルスーツの最新技術評価の為に開発した実験機。
今作でも同様の理由でパクス軍が開発した。
鹵獲したジム・カスタムから作られたジム・クゥエルがベースとなっている。

ガンダムTR-6[ウーンドウォート]
ティターンズの旗のもとにに登場。
ティターンズの次期主力機の開発計画「TR計画」の最終型にして完成機。
今作でも同様の計画で開発された。

ガンダム・キマリス
鉄血のオルフェンズに登場した。
今作ではガンダムやバルバトスなどと同じ古代兵器。
自分達の母たる高原ワカナの理想を崇拝しており、アビドスの前進である軍閥に配備された後もパイロットに散々語っていた。
パクス軍によって発掘されたが、これはパクスによるオーパーツモビルスーツの回収計画の一環。
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