機械兵と少女たちの記録(アーカイブ)と記録(メモリー) 作:KUS
「お~~」
今の状況を説明するぜ。
戦いが終わって封印。
↓
目が覚める……というか再起動した。
↓
そしたら足元に女の子が二人いた。←今ココ
「や、やっぱり帰ろうよ。もし動いて襲われたら……」
「大丈夫大丈夫」
アマネと呼ばれていた娘が俺を見上げている。
それはもう見事なまでに目がキラキラしていた。
髪の毛はピンク色で伸ばしてる。
サクラを思い出すな。
そしてもう一人、アオと呼ばれてた娘。
水色の髪で……よく見れば裏側がピンク色だ。
そして片目隠れ。
こっちもこっちで特徴的な容姿だな……待て、どっかで見たことあるな。
……アロナじゃねえか!!
うん。服が違うのとリボンがないのを除けばどっからどう見てもアロナだ。
いやなんで?
あなたシッテムの箱のOSですよね?
なぜ現実にいるのですか?
まさかとは思うが……アロナ=連邦生徒会長か?
実際、ネットでアロナ連邦生徒会長説なんてのがあったが……
だが、アロナ=連邦生徒会長なら今の状況……
アロナがシッテムの外にいることの説明が出来てしまう。
「これで上がるのかな?」
「あ、アマネちゃん!?」
考え事をしてたら一人がタラップを上がってきた。
いや勇気あるな?!
いや言ってる場合か!?
落ちたら危ないぞ!?
俺はどうにかしようと試行錯誤するが……
そうこうしている内にその子は頭部の傍まで登ってきた。
「う~ん……もっと近づけないかな?」
来るなよ~来るなよ~
タラップの外に出るなよ~
「うんしょ。あっ」
「アマネちゃん?!」
アマネという子はタラップの柵を超えようとして……足を踏み外した。
っ!? やっべ!?
「きゃっ」
「アマネちゃん!」
何とかマニュピレーターが間に合った。
落ちたアマネをギリギリで掬い上げたのだ。
よくよく考えればキヴォトス人だから落ちても死なないか。
この高さなら……って、何考えてんだ。
相手は幼女だぞ。
「ア~マ~ネ~ちゃ~ん?」
「ひうっ……ご、ごめんね?」
「ロボットが動かなかったらどうなってたかな?」
「だ、だ~って~」
「言い訳無用!」
『そうだぞ。あんな危ないことしちゃいけません』
「ほら、ロボットもこう言ってるし……へ?」
俺がアロナ(仮)の言葉に補足すると素っ頓狂な声が帰ってきた。
「「しゃ、喋ったー!!!!」」
うん、そうだな。オートマタなら兎も角、このサイズが喋ったら驚くよな。
「すご~い」
「アマネちゃん?!」
アマネって子はまた目をキラキラさせてるが……
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『つまり、おとぎ話を信じて文献を漁りまくったらここを特定したと?』
「そうそう、すごいでしょ?」
「こういうのばっかね」
まず、ここを見つけた経緯は、
アマネが親から良く聞かされたおとぎ話に出てくるロボットに憧れる。
↓
純粋なアマネちゃんはお話が事実と信じて親友のアオちゃんを巻き込み調べ始める。
↓
家や古書館で資料を漁る。
↓
そこから大昔に封印されたオーパーツの伝説を知る。
↓
資料からあると思われる場所の当たりを付ける。
↓
そしたら結構な広範囲になったが、アマネが総当たりを開始。
↓
なんと一発目でここを見つけた。
……すっごい行動力。ようじょすごい……
それと……
ワカナァ!!記録は一緒に封印するんじゃなかったのかワカナァ!!
「ねえねえロボットさん。名前なんて言うの?」
「ちょっとアマネちゃん」
『ガンダムだ』
「教えてくれるんだ」
「ガンダムさんって言うんだね」
『一応、九条アキって名前もあるぞ』
「嫌に人間的」
『「いいじゃん別に」』
「一緒になって言わなくていいです!」
なんだろ、アロナ(連邦生徒会長)って振り回す側のイメージがあるから、
振り回される姿は新鮮だな。
『で、俺に会ってどうする気だったんだ?』
「えっ……えっと……」
『何も考えてなかったんだな』
「アマネちゃん?」
「だってだって~」
「だって……何?」
アロナの圧が強まっていく。
アマネは涙目になりながらも力強く答えた。
「だって、ロボットはロマンだもん!」
「ロマン!? そのためにあんな危険な事をしたの!?」
『まあまあ』
「ガンダムさんもなんか言ってください!」
アロナがそんな事を言っているが俺が言うことは決まっていた。
『アマネ』
「何?」
『俺たちは親友だったようだ』
「ガンダムさんもわかるの!?」
『当然だ。男はロマンが大好きなんだ!』
「ああもうめちゃくちゃ!」
アロナの大声が、部屋に木霊した。
「はぁはぁ」
『落ち着いたか?』
「大丈夫?アオちゃん」
「誰のせいだと……もういいです」
アロナはようやく冷静になったらしい。
まあその……本心とはいえ悪ノリした俺も悪かった。
「アマネちゃん……そろそろ帰ろう」
「えっ!? なんで!?」
「もうすぐ4時!」
「待って! さきに自己紹介したい」
「はぁ、すぐに終わらせて」
「アオちゃんもするの!」
なんか自己紹介の流れになったな。
名前はもうお互いに知ってるが……まあいいか。
『俺はガンダム。まあ、さっき言った九条アキの方で呼んでくれ』
「私は白鳥アオです」
「私はね、高原アマネって言うの」
!?
高原って……
『な、なあ』
「何ですか?」
『高原ワカナって知ってるか?』
「知ってるよ。ご先祖様」
「キヴォトス史で最初に習う、学園都市キヴォトスの創設者の一人ですね」
そうか……あいつの子孫か。
「ガンダムさん、ご先祖様のこと知ってるの?」
『それはまた今度な。ほれ、早く帰らないと』
「あっそうだ。じゃあねガンダムさん!」
「はぁ……アキさん。色々ありがとうございました」
『大丈夫だ。また来い』
「じゃあ、遠慮なく」
そうしてアマネとアオは、部屋を後にした。
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2人が帰っていった後、俺はネットへアクセスを試みた。
俺自身は兵器のサポートAIだが、
だからと言ってネットにアクセス出来ないわけじゃない。
電波をなんとかキャッチして、アクセスを可能にした。
俺は様々なことを調べた。
まずは今が原作の何年前かだ。
アオがいる以上、数十年単位はありえない。
となると数年~10年が妥当だろう。
そして、調べていく内に情報を見つけた。
「百合園家のご令嬢。トリニティ初等部に入学」
百合園……セイアの苗字だ。
そして件の令嬢もセイアのことだ。
ブルアカでは、キャラの年齢は、
一年生・15歳
二年生・16歳
三年生・17歳
例外はいるが、基本はこれだ。
こっから逆算すると、初等部一年生は6歳。
そしてこれは一年前の記事だ。
つまりセイアは今7歳。
原作でセイアは17歳だから……単純計算で今は原作の10年前だ。
時期はわかった。
後はパクスの……ワカナの夢は……
ネットを漁っていると、キヴォペディアなるものを見つけた。
キヴォトス版ウィキペディアか……
パクス学園っと。
なになに、
パクス学園
キヴォトス創設よりも前に、設立者の一人である高原ワカナ総督によって開校したキヴォトス最古の学園。
平和主義を掲げ、当初はキヴォトス一の規模を誇った軍事力を縮小し、産業に力を入れた。
自治区を交易上の要所に構え、物流において大きな影響力を持った。
後に、廃校寸前だった学園や周辺の中小校と合併しパクス連邦学園へと改名した。
それ以降の沿革は当該項目を参照。
名前を変えてたのか。
そりゃヒットしないわな。
いや……それでも何で引っかからないんだ?
俺は嫌な予感を感じた。
どうかその予感が的中しないように祈りながらパクス連邦学園の項目を開いた。
「は?」
思わずそんな声が、漏れてしまった。
パクス連邦学園
周辺の中小校や廃校寸前だった学園と合併して誕生した学園。
キヴォトス最古のパクス学園を中心とし、巨大な勢力を誇った。
だが、パクスとゲヘナの離間を狙うトリニティ総合学園によって90年前に侵攻を受け占領。
現在でも植民地体制が続いている。
専門家は侵攻の理由について、
「ゲヘナへの産業援助を無くすと同時に、自校がパクスが生み出す富を享受する目論見があったと思われる」
と考察している。
一方で、パクス自治区が占領されたことで、各学園はパクスを介さない交易を開始。
また、工場なども占領前の焦土作戦が実施されたため、パクスが生み出していた富をトリニティ総合学園は享受出来なかった。
一部では自分たちよりも影響力を持ったパクスを疎んだ連邦生徒会がトリニティの裏にいたとする陰謀論まである。
「なんだよ……これ……」
ワカナの顔が鮮明に浮かぶ。
パクスは、平和を尊ぶ学園になった。
どこにも与せず、中立の立場を取り続けていた。
なのに……
「こんなのって……ないだろ……」
俺は、力なくそう呟いた。
調べても調べても、トリニティがパクスを攻撃した理由がわからない。
パクスはゲヘナと経済協定を結んでた。
だがトリニティとも結んでる。
おまけに内部、シスターフッドは当然として
対ゲヘナ強硬派のパテルまでもが侵攻に反対してる。
なのに当時のホスト……フィリウスは戦争を強行した。
なんなんだと思いながら調べていく内に……
トリニティ設立時にアリウスの一部をパクスが保護しているのがわかった。
それ由来か……いや、それだと何百年も前のことを掘り起こしたことになる。
おまけに、トリニティ自治区ではアリウスのことは徹底的に隠蔽されてる。
自分から汚点を晒しにいったようなものだ。
調べれば調べるほど、パクスへの侵攻は失敗にしか見えない。
パクスがいなくなって、産業も焦土化、交易の中継地点でもなくなった。
逆にトリニティの力を弱めたことになるんだ。
じゃあ……一体……
「陰謀論が……正しいって言うのかよ……」
俺にはもう、陰謀論が事実にしか見えなくなっていた。
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「やっほー!!」
『元気いっぱいだなアマネ』
「だってガンダムさんに会えるんだもん!」
「はぁ、すいませんアキさん」
『気にするな』
翌日、早朝からアマネとアオはやってきた。
学校はどうしたと聞いたら、今は夏休みらしい。
「今日はね、ガンダムさんにご先祖様のこと聞こうって思って」
『そう言えば、昨日言ったな。また今度って』
「早すぎますがね」
まあ別に良いんだが。
「ご先祖様ってどんな人だったの?」
「そこは私も気になります。歴史だと功績しか学ばないので」
『ワカナのことかぁ……何から話すか』
俺は悩みに悩んだ。
ワカナやあいつらとの思い出を一つ一つ想起しながら。
そして、俺のことや、戦いのこと、ワカナやアクア、サクラのこと、他のガンダムのこと、色々なことを話した。
2人は、それを真剣に聞いていた。
俺が転生者なことも話した。
アオは懐疑的だったけど、アマネはあっさり信じた。
純粋なのか……ワカナと似てるのか……
「そんなことが……」
「ガンダムさん以外にもガンダムがいるんだぁ」
「そこじゃないでしょそこじゃ」
『はは……暗い話よりそうやって明るい話を考える方が気が楽だぞ』
楽しい思い出ばかりだが、当然辛いことだってあったんだ。
俺も初めは驚いた。
あんなに簡単にヘイローが割れるなんて。
それだけ敵のMSやMAは強力だった。
まるで生徒を確実に殺すためだけに作られたかのようだったんだ。
だからこそ、ワカナの理想がまぶしかった。
……いかんいかん、思考が脱線してきた。
「ねえねえガンダムさん」
『今更だが、アキでいいぞ。アオもそう呼んでる』
「じゃあアキさん。知ってるロボット教えて! 絵に描くの!」
ただただロボット好きなアマネが、昨日から落ち込んでいる俺の心の癒しになった。
アオも何故かスケッチブックを持っているが……
『アオも聞きたいのか?』
「はい、お願いします」
『ならこっち来い。まずは王道のザクから……』
そこから、俺が知っているMSをたくさん教えた。
話が段々と広がってって、ACだったり、実在兵器だったり、
そっち方面にも話が飛んだ。
2人は、性能に驚いたりしながらも、
俺が教えた特徴から絵に描いていった。
「ねえねえガンダムさん。私の夢……聞いてくれる?」
『どうした唐突に』
絵を描いてるアマネが突然そんな事を言って来た。
アマネの……夢?
「私も気になる」
『アオも知らないのか』
「えへへ、誰にも言ってないもん」
「それで、なんなのアマネちゃん?」
アオが催促すると、アマネは「急かさないでよ~」と言いながら、夢を口にした。
「み~んなが笑顔の世界」
『ん?』
「それだけ?」
「ん~それだけ」
「驚いた。「ご先祖様の名にかけてパクスを再興するんだ~」って言うのかと思った」
「も~」
ぶっちゃけ、心の中でそれを期待してた俺がいた。
だが……アマネの道は本人が決めることだ。
俺が強要していいものじゃない。
「その第一歩としてね。パクスを独立させるの」
『ブホッ!?』
「はい!?」
次の一言で俺とアオは驚愕してしまった。
アマネは口だけじゃなく本気で夢を叶える気だ。
「それまたどうして」
「皆が笑顔になる……ならさ、植民地とかそんなの、なくさなきゃじゃん」
『まあ……間違ってはないが……』
「でも、どうやってやる気? 相手は三大校だよ?」
「へへ、簡単だよ」
アマネは満面の笑みを浮かべながら、言った。
「話し合い。そうすれば、誰も傷つかないよね?
皆が笑顔になるには、話し合いが大事だから!」
アマネはそう言い切った。
俺は、やっぱりワカナの子孫なんだなって、改めて思った。
その笑顔は、最後に見たワカナの笑顔にそっくりだった。
ちょこっと解説
九条アキ
今更ながら紹介される主人公。
前世では高校生だった。ガンダムが大好きで、アニメは一通り網羅したらしい。
メジャーからマイナーなものまで、様々なMSを網羅していた。
高原ワカナ
キヴォトス設立以前の時代で、軍閥を率いていた少女。
後にパクス学園を設立し、キヴォトス創設にも関わった。
白井アクア
ワカナとは幼馴染だった技術畑の少女。
ガンダムの開発者。
桃倉サクラ
アクアの後輩。
気の抜けた先輩を支えるしっかり者。
高原アマネ
ワカナの子孫。現在7歳。
ロボット好きでおとぎ話に出てくるロボットを信じて探すくらい好き。
夢は皆が笑顔になれる世界。
白鳥アオ
ご存知アロナ。後の連邦生徒会長。
名前は今作オリジナル。
アマネに振り回されている苦労人。
子どもながら精神が成熟してるが……後々アマネみたいな性格になっていく。