機械兵と少女たちの記録(アーカイブ)と記録(メモリー)   作:KUS

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混沌となる戦場

中央で連邦生徒会が奮闘する中、左翼のゲヘナ正規軍はというと

 

「おらあ!落ちろ!」

 

予想外に真面目に戦っており、思ったよりも善戦していた。

 

ゲヘナの主力機、ダガーLが空を舞い、パクス軍の空戦部隊と熾烈なドッグファイトを繰り広げていた。

 

一方の地上では……市街地の防衛線をゲヘナ軍が突破しようとしていた。

 

「邪魔よ」

「うわあああああ!?」

「クッソ?!空崎ヒナだ!ヒナがいるぞ!」

 

主戦力はゲヘナの最高戦力であるヒナ。

モビルスーツと遜色のない火力で敵陣を崩していた。

彼女の通った道には気絶するパクス兵と、無惨な残骸と化した戦車やMSの山という死屍累々の状態だ。

 

『何をやっている!相手は一人……しかも生身だぞ!』

「し、しかし隊長、あいつ攻撃が通じません!」

 

そしてもう一人、防衛線を軽々突破する者がいた。

 

『イオリ、10時方向にダガー。105だよ』

「了解!」

 

イオリが搭乗したストライクである。

アビドスでの戦い以降、ストライクの性能を引き出すためにイオリが共々戦場に送られることも多くなっていた。

本職は風紀委員なんだが……

 

「落ちろ!」

 

アグニを発射し、105ダガーを撃墜するイオリ。

色々と様になっていた。

 

『イオリ~いい加減、エールとソードの練習しようよ』

「わかったから!戦場で言うなー!」

 

因みにイオリはランチャーを使っている。

なお、他のストライカーの使用頻度はお察しだ。

 

 

 

 

 

『敵部隊、市街地を突破しようとしています』

「よーし。我々の任務は、進行してくるゲヘナ部隊の足止めだ。

各機、遅れをとるなよ!」

『ハッチ開放、降下どうぞ』

 

上空を飛ぶ1機のガルダ級。

そこから増援の部隊が次々と降下していく。

その中に、その4機はいた。

 

「降下する!虫一匹通すなよ!」

『『『了解』』』

「行くぞ、デュエル」

『パーティータイムだ』

 

デュエル、バスター、ブリッツ、イージス

かつて雷帝派と共にパクスに渡った4機のガンダムだ。

 

 

『ヒナ委員長!上空からモビルスーツです!あの4機もいます!』

「そう、来たのね」

 

地上で戦っていたヒナにも、その姿を見ていた。

 

『空崎ヒナぁ!』

「?」

『お前を倒して、私の勲章にしてやる!』

 

ヒナに対してビーム突撃銃を乱射するザクウォーリア。

その射撃を回避し、ヒナは首元に愛銃である終幕:デストロイヤーを向ける。

 

『!?』

「甘いわ」

 

デストロイヤーから放たれた弾丸がザクウォーリアの首元に直撃し、爆炎を上げる。

 

「アコ、ストライクに1機は相手させて」

『残りの3機は?』

「少しでも抑える。あの子は出てこれるの?」

『先程出撃しました』

「そう……なら、1機くらい撤退させましょうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「派手にやっているな」

「しかし……よろしかったので?」

「構わない。露骨に繋がりを匂わせて、この地位を解任…なんてことが起きたらそれこそ向こうに迷惑だ」

「はぁ」

「それはそうと、お客さんだ」

 

ヨハネがいるのは二コラ自治区沖に停泊しているゲヘナ艦隊の旗艦のブリッジだ。

 

「迎撃準備!ゲヘナ海軍の底力、パクスの目に焼き付けてやれ」

「はっ!」

「艦砲射撃、来ます!」

「回避!」

 

パクス軍のビスマルク級とレキシントン級による艦砲射撃がゲヘナ艦隊を襲う。

ただの威嚇射撃だったのか、殆どは外れた。

だが、一発の砲弾がシャルンホルスト級一隻に風穴を開けた。

 

「艦長!一隻被弾しました!」

「現場判断で行動しろと伝えろ!救助する余裕はない!」

「了解!」

「敵空母からモビルスーツが出撃しようとしています!」

「ビスマルクとアドミラル、シャルンホルストで艦砲射撃!

Z23とライプツィヒはUボートとモビルスーツに警戒しろ!

十中八九潜航しているぞ!」

 

ブリッジが慌ただしくなり、旗艦の艦長も矢継ぎ早やに指示を飛ばす。

そんな中でヨハネはザイドリッツ級空母のブリッジに通信を繋いでいた。

 

「艦長、例の3機は出せるか?」

『少しお待ちを……はい、出せます』

「よし、出撃させろ」

 

ヨハネは通信を切ると、とある場所に通信を繋ぐ。

 

「あ、ああ聞こえるか?」

『ん?司令じゃん。どうした?』

「仕事の時間だ。敵はパクス艦隊。ただし、旗艦や空母にはあまり被害を与えないこと」

『他は幾らやってもいいってことだな?』

『ですね』

『お前らうっさい。了解しました司令。これより出撃します』

 

通信が切れると、ヨハネは再度窓の外に目を向ける。

パクスのビスマルクとゲヘナのビスマルクが撃ち合うという、あまり見ないであろう光景がその目に写っていた。

一応、区別のためにデカデカと艦の側面に校章が描かれている。

あのビスマルクは……ゲヘナとパクスのかつての友好の証だ。

それがこうして敵として撃ち合っている。

もしかしたら姉妹艦だったかもしれない。

 

「現実は非情だな」

「何か言いました?」

「何でもない。指揮に集中してくれ」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ゲヘナ艦隊、モビルスーツを展開し始めました」

「早いな。流石ヨハネ司令の肝いりだ。こっちもモビルスーツを出せ。

海兵隊、まだ揚陸じゃないが、行けるか?」

『あいよ、任せな』

「頼んだ」

 

パクス艦隊の旗艦で、艦隊司令官が各艦に指示を出す。

ゲヘナ側とは反対に、静という言葉がよく合う。

 

「艦長、救命胴衣を」

「トップが真っ先に来てどうする。兵に不安が広がるだろう」

「はっ、申し訳ありません」

「構わん。善意だろうからな」

 

 

 

 

「各機、まだ上陸じゃないが、お仕事だ」

『姐さん、なんであたしらが……』

「何言ってるんだい。格納庫で腐ったままやられんのと、出て墜とされるの、どっちがいい?」

『だよな、墜ちるんなら、華々しく墜とされたいね』

「その意気だ。よし、島田ハウ、マリーネ・ライター、出るよ!」

 

ワスプ級強襲揚陸艦からモビルスーツ──ゲルググMが発進する。

後に続くように、ゲルググMや海兵隊仕様の高機動型ザクが出撃した。

 

 

一方の海中

ゲヘナの艦隊司令官の予想通り、多数のUボートとモビルスーツが潜航していた。

中にはユーコン級もいる。

 

「よーし。各機、目標はゲヘナの駆逐艦と軽巡だ」

 

意気揚々と、艦隊へ奇襲を仕掛けようとした……その時だった。

 

『た、たいちょ──』

「なんだ!?」

『あのモビルスーツは!?』

 

パクス軍の前に現れたのは、甲羅のような装甲で頭部を覆い隠したモビルスーツの集団だった。

その部隊が一斉にパクス軍に襲い掛かった。

 

「来るぞ!」

『なんだあいつら!?実弾がきか──』

 

1機のグーンが無慈悲に撃墜される。

脱出装置は作動したらしく、コックピットブロックが浮上していった。

 

『実弾が効かないならビームで!』

 

1機のズゴックが腕部の粒子砲を放つが……

 

そのビームは敵機を逸れるように明後日の方向へ飛んで行った。

 

『はっ?』

「まずい……逃げろ!」

『わ、わあああ!?』

「なんなんだよ、なんなんだよこいつら!」

 

隊長の叫びも虚しく、パクス軍の水中部隊は駆逐されていった。

ゲヘナ学園のモビルスーツ──ディープフォビドゥンによって。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

二コラ戦線、右翼

 

『出ていけ侵略者!』

 

レジスタンスのジムIIがビームライフルを乱射する。

だが、乱射のし過ぎで避ける方が当たる状態だ。

パクス側は、それを分かっているのか防御姿勢のまま直立不動だ。

 

『んなもん当たるかよ!』

 

1機のザクが突貫してジムIIを無慈悲に斬り捨てる。

ある意味、この戦線が一番押されていた。

なにせレジスタンスの多くは元々ただの一般生徒。

ゲリラ戦が主で、真正面からの戦闘経験も少ない。

 

だが、そんな右翼でもある程度は押している部分もあった。

 

「そこ!」

『なっ!?』

 

白いガンダム──ガンダムMk.IIと、金色のモビルスーツ──百式を中心とした部隊と、

 

『当たれえええ!』

 

連邦生徒会でお世話になっているガンダムの内、4号機と5号機のコンビ、それからAGE-1

 

この2箇所にパクス側の戦力が割かれ、レジスタンスは致命的な被害を受けていない状況だった。

 

『ミクル、あまり突出しすぎるな!』

「わかってる!」

 

ミクルと呼ばれた少女の駆るガンダムMk.IIが、物陰から飛び出してきたシグーを撃墜する。

 

『こいつ!』

 

1機のザクがマシンガンをMk.IIに掃射する。

だが、Mk.IIの装甲に弾かれてしまった。

 

『あ、ああ……』

 

Mk.IIがザクにビームライフルを放つも、そのビームは割って入った高機動型ゲルググに防がれた。

 

「ちっ」

『あ、その……』

『逃げろ。お前には無理だ』

 

ゲルググのパイロットの言葉を聞いて、ザクは後退する。

だがミクルは容赦なくその背を撃った。

 

『!? 貴様っ……』

「何?問題でもある?」

『……』

「何よ。私を悪者みたいに」

『ある意味そうだ。戦争に善悪はない。どっちも正義で、どっちも悪。

だが……』

「?」

『アマネ様のおっしゃる通りだな。テロリストにもレジスタンスにも、碌なのがいない』

「あなたのご先祖様にそれを言ったら?」

『何か勘違いをしているようだな。アマネ様はかつてパクス独立のためとはいえ無差別テロを起こした連中を嫌っている。残念ながら、ダブルスタンダードではないぞ?』

 

ゲルググのパイロットの声は嫌味ったらしい。

イラついているのだろう。

 

『ミクル、そいつは私がやる!』

『ちぃ!』

「了解、任せた」

 

ゲルググとMk.IIの間に入った百式に後を任せて、ミクルは先に進んだ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ヤッホー、手伝うことある?」

『今のところはない』

 

ミクルが移動した先には、AGE-1がいた。

4号機と5号機とは別れたらしい。

 

「にしても……倒しても倒しても湧いてくる。まるで家に巣食ってる黒いアレね」

『本来、戦争では大なり小なり人が死ぬ。だが、キヴォトスでは死が遠い。

それが良くも悪くも戦争を泥沼化させているのだろう』

「倒しても倒しても、生きてるから武器を用意するだけで直ぐに復帰できる。面倒ね」

『それはこちらも同じだ』

「ねえ、あんた名前は?」

『突然だな。ガンダムAGE-1だ』

「それ機体名じゃん」

『俺は自律兵器なものでな、生憎これが名前だ』

「へぇ……無人兵器かぁ」

 

二人の会話が続く中、遠距離から一条のビームが2機の間を通る。

 

「!?」

『スナイパーだ!身を隠せ!』

「わかってる!」

 

すぐに建物の影に隠れる二人。

ビームである以上、貫通は容易だろうが、一瞬だが索敵は出来る。

 

『見つけた。ここから3km先の廃墟だ』

「こっちで狙い撃つ」

『どうやってだ。そのライフルじゃあ……』

「これがある」

 

Mk.IIの手にはその辺に転がっていたバルルス改が握られていた。

撃破されたジンの武装だ。

 

『3つ数える。タイミングを合わせろ』

「了解」

『3……2……1……今だ!』

「!」

 

バルルス改からビームが発射され、3km先のザクI・スナイパータイプを貫いた。

遠くで爆発を確認し、2人がほっと息を吐く。

 

『なんとかなったか』

「本当、ビームだから装甲なんて意味ないし」

 

次の瞬間、上空に巨大な機影が現れた。

 

「!? 何!」

『ガルダ級だ!モビルスーツが降下してくるぞ!』

 

ガルダからモビルスーツが戦場全体に降下していく。

その中の内、7機のモビルスーツは2人の下に降りてきた。

 

『敵機、来るぞ!』

「迎撃する!」

 

上空のモビルスーツ、その内の1機がMk.IIに一直線に向かってきた。

その機体は可能な限り近付くと、変形し、モビルスーツの姿になる。

その機体──メッサーラはビームサーベルをMk.IIに振るった。

 

「くっ!?」

『ほう、やるな』

 

メッサーラのパイロット──白原シオンはコックピットの中で薄ら笑いを浮かべた。

 

 

 

 

『敵機確認!やるよ、皆!』

『わかった!』

『了解!』

 

AGE-1に襲い掛かったのは、シオンの部隊とは別の隊だ。

全機、白と紫を基調としたパーソナルカラーをしている。

 

『相手はガンダム。油断しないで行くよ!』

 

全員1年の年少部隊だが……

ガンダムの相手を任せられるほどの精鋭。

 

AGE-1は改めて気を引き締める。

 

『来い。幾らでも相手になってやる』

『……行くよ!』

 

 

 

『シオン隊長、先に行っちゃった』

「イサメは私と行くよ。アイムは援護」

『フフフ……任せろ!』

 

シオンの隊は遅れながらもMk.IIと交戦するべく降りていた。

アイムの機体は援護。

イサメとテンシは前に出る。

この部隊の布陣だ。

 

「さあ、ガンダム狩りと行くぞ!」

『『了解』』

 

戦場は更に混沌としていき、激しいぶつかり合いが発生した。




ちょこっと解説
島田ハウ
パクス正規軍所属。学年は3年。
海兵隊の隊長、姉御肌。

美川ミクル
レジスタンスに所属するガンダムMk.IIのパイロット。
元々の所属学園を話したがらないらしく、素性は謎。
パクスに妙に当たりが強い。

メッサーラ
パクスが開発した可変モビルスーツ。
武装親衛隊の白原シオンが設計に関わっており、完成後も彼女の愛機となった。
原作での分類はモビルアーマーだが、今作のモビルアーマーは情報として残っておらず、唯一知るオーパーツ組も話そうとしない。
アマネもアキから聞いてはいるが、MA=ヘイロー持ちを殺害する兵器という印象が強いため、周りに話していない。なので、この世界では、原作ではモビルアーマーでも、モビルスーツとして分類される。

ザクウォーリア
プラネット分校が開発した次世代の主力MS。
本校のザクをモチーフにしており、雷帝派が持ち込んだストライカーパックシステムを基にしたウィザードシステムを採用している。

ズゴック
パクスの水陸両用モビルスーツ。
高い性能を誇る名機だが、その分高コスト。

グーン
プラネット分校が開発した水陸両用モビルスーツ。
山のように尖った外見が特徴。
派生機には地中を掘る変態兵器もいる。

高機動型ゲルググ
パクス軍の現主力であるゲルググのバックパックを高機動用に換装した機体。
原作では(これに限らず)高機動型は宇宙運用が前提だが、
今作のモビルスーツはオーパーツ組を除いて宇宙での運用を想定していない。
なので、同機も空中で自在に動ける汎用機がコンセプトとなっている。

ゲルググM
海兵隊が運用するゲルググ。Mはマリーネと読む。
通常のゲルググとあまり変わらないカラーリングの一般機と、
マリーネ・ライターの愛称で呼ばれる指揮官用がいる。

高機動型ザク
ザクの高機動仕様。今話で出たのは海兵隊仕様。
上記の高機動型ゲルググのザク版。

ガンダムMk.II
元々はパクスが武装親衛隊用に開発していたガンダムタイプのモビルスーツ。
だが何者かに強奪され、それが紆余曲折あってレジスタンスに所属している。
パクスが独自に開発した最初のガンダムタイプだった。

百式
連邦生徒会が開発したモビルスーツ。
百年戦える。という願いで百式と名付けられた。
金色の機体であるため、金ピカ、成金機体などと呼ばれている(純金ではなく金メッキです)。

ディープフォビドゥン
ゲヘナ学園が開発した水中戦用モビルスーツ。
ストライクらに使われていたフェイズシフト装甲を発展させたトランスフェイズ装甲を採用している他、ビーム偏向装甲「ゲシュマイディッヒ・パンツァー」を装備しており、ビームと実弾の両方に高い耐性を誇る。
おまけにゲシュマイディッヒ・パンツァーにより、水中を泳ぐというより飛ぶと形容すべき状態で移動できるため、機動力も高い。
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