機械兵と少女たちの記録(アーカイブ)と記録(メモリー) 作:KUS
前日から引き続き、二コラ自治区は雨天だった。
そんな中でも、戦闘は開始する。
『敵陣から信号弾が上がりました!』
『各員、迎撃準備!ここを落とさせるな!』
要塞前方に設けられた塹壕線
そこから夥しい量の弾幕が飛んでくる。
『はっ、餞別だけに選別ってか!』
『隊長、寒いです』
『洒落を言わねえとやってられねえんだよ!』
連合軍も、モビルスーツを前衛に進軍を開始するが、弾幕によりその歩みは遅い。
前線本部ではシキが各部隊に指示を飛ばしている。
『遊撃部隊は、主力部隊の進軍を援護してください』
『了解、突っ込む』
『ブルー、あんまり無茶しないでね!』
『お前もなストライク!』
『空戦部隊、敵艦は出てきましたか?』
『こちらAGE-1。雲の中に僅かだが動く何かを視認した。いるぞ』
『よしAGE-1、私たちで肉薄する』
『敵に対地攻撃の余裕を与えないのか。了解した』
『理想は大砲破壊!行くぞ5号機!』
各地で、順次戦闘が開始する。
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『敵MS、単機で突貫してきました!』
『気を付けろ、蒼い悪魔だ!』
『EXAM system stand by』
ブルーはのっけからシステムを発動し、塹壕線に襲い掛かる。
塹壕はモビルスーツ用なのか、それなりの深さと幅をしていた。
ブルーを迎撃するため、塹壕内に待機していたグフが這い上がってきた。
手にはヒートサーベルが握りしめられている。
だが、時間をかけたくないブルーは出てこようとしたグフの頭部を蹴り上げて塹壕内に突き落とした。
ブルーは射撃をしてくるザクタンクをマシンガンで蜂の巣にし、周囲を見回す。
あれだけ厚い弾幕だ。間違いなく弾幕を張っている機体郡がいる。
だが、塹壕内に見えたのは汎用機や近接機で、支援機は1機もいなかった。
つまりはもっと奥に……
『いた』
ブルーのカメラに、砲撃を行うザメルやザクキャノンといった砲撃部隊が映った。
即座にブースターを吹かし、部隊に肉薄する。
直掩のモビルスーツ達がブルーを攻撃するが……
殆どは実体弾装備の旧式。
ブルーの装甲は抜けない。
致命傷になり得る攻撃のみを防ぎながら、1機のザメルに肉薄し、ビームサーベルを突き立てた。
『陣地の向こう……爆発?』
『弾幕が薄くなってる……攻めるなら今だ!』
ブルーが大暴れをする中、砲撃部隊が射撃をしなくなった影響で弾幕が目に見えて薄まった。
好機である。
『塹壕から敵モビルスーツ!』
『塹壕手前にハッチ?……地下通路です!』
弾幕の薄まりを認識したのか、塹壕からモビルスーツ部隊が飛び出してくる。
ハッチからはモビルスーツの他に戦車隊も出てきた。
最初のぶつかりは、両軍の先頭を進んでいたジムIIIとゲルググだった。
両機のビームサーベルとビームナギナタがぶつかり合い、火花を散らす。
『艦長!戦場は混戦中、このままでは味方を巻き込みます!』
「敵の後続部隊を狙え!」
上空を飛ぶプルウェアも、乱戦状態につき前線に支援砲撃が出来ない状態だった。
その為、狙いは連合軍の後続部隊に変わる。
『各機!上空から来るぞ!防御態勢!』
砲撃に気付いた観測員が通信先で叫んだ。
咄嗟のことだった。
砲撃が後続部隊を襲う。
『させるかああ!』
殆どの機体が防御を取る中、ゲヘナ学園のバスターダガー数機が対装甲散弾砲で砲弾を迎撃する。
それにより、被弾した機体は想定より遥かに軽く済んだ。
『おっしゃあああ!』
『ナイスだ!空戦部隊!』
『任せろ、今ので捕捉した』
そして、厚い雲に隠れていたプルウェアを、空戦部隊が捕捉した。
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「艦長!敵影が接近中!」
「今の砲撃でばれたか……総員、第一戦闘配備!迎撃だ!」
「モビルスーツ部隊各機、出撃だ!」
プルウェアのブリッジが慌ただしくなる一方、
連合軍空戦部隊はというと……
「ハッチが空いた。モビルスーツが出てくる!」
『4号機、5号機、他の機体と共にモビルスーツをやれ。俺とミクルは肉薄する』
『『任せろ!』』
プルウェアから出撃してくるモビルスーツ部隊。
ディンやバビといった空戦機が大半だが、ザクウォーリアやゲルググなどもいる。
『数が多いな5号機』
『ああそうだな4号機……』
『『暴れがいがあるな!!』』
5号機がジャイアント・ガトリングを構え、パクスMS部隊に掃射する。
4号機も、負けじとビームライフルを手に射撃戦を始めた。
後続の部隊も、パクス軍とドッグファイトを演じ始めた。
「邪魔だ!」
ミクルの駆るガンダムMk.IIがプルウェアの艦上に着地し、迎撃してきたバビをビームライフルで撃墜する。
対空砲をバルカンで破壊していると、AGE-1も艦上に着地した。
『ミクル、エンジンは?』
「後方、行こう」
ミクルがAGE-1を先導する。
AGE-1がエンジンを破壊し、ミクルがブリッジを落とす。
そういう分担だ。
だが、それを妨害するかのように一条のビームが2人を襲った。
『!?(赤黒い……ビーム?)』
「あいつは……!?」
そこにいたのは銀色のモビルスーツだった。
背部からは赤い粒子を放っている。
『GNドライヴ機……だと?』
「GN-X……完成してたのか」
銀色のモビルスーツ──GN-Xの数は3。
そして、全機がGNビームライフルをMk.IIに向ける。
『!? 不味い!』
咄嗟にAGE-1が間に入り……ビームライフルが2人に向けて連射された。
『やったか?』
『分かりません……雨なのと、煙で』
『流石にやれているでしょう。そこらのビームライフルより出力あるんですよ?』
『根本から動力が違うからな、こいつは』
『Mk.IIを回収出来なかったのは痛いですが……愚か者どもに使われるくらいなら──』
その時、煙の中から一条のビームが1機のGN-Xを貫いた。
『やれてなかったのか!?』
煙が晴れると、シールドが破損しながらも、本体は無傷なAGE-1が、ドッズライフルを構えて立っていた。
『ええい!ならば接近戦で仕留める!』
隊長のGN-XがGNビームサーベルを抜きAGE-1に斬りかかった。
だが、ミクルのMk.IIがビームサーベルでそれを受け止める。
『ミクル?』
「気にしないで、恩を返しただけ。行って」
『だが……』
「こいつらなんぞよりも、この艦の方が圧倒的に脅威だ!」
『……了解、武運を祈る』
AGE-1はそう言うと、プルウェアの後方に向けてブースターを吹かした。
「さて……あんたともう一人、そして私だけだね」
『その声……美川大尉!?まさか……Mk.IIは……』
「そう、私が持って脱走した」
『なぜですか!アマネ様に忠誠を誓っていたあなたがなぜ!』
「そういうところが嫌なのよ!会長を神様か何かと思ってるあんた達が!」
Mk.IIがGN-Xを蹴り、距離を離す。
「2対1……しかもそっちは新型の高性能機。丁度いいハンデね」
『舐めるな!裏切り者がぁ!』
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『エンジンは……あれか!』
AGE-1のカメラに、GNドライヴ特有の粒子の放出が見えた。
だが、先程のモビルスーツと同様、その粒子は赤色だ。
『さっさと終わらせてミクルの援護に──!?』
その時、突如AGE-1を赤黒いビームが襲った。
『またか。同じ展開は嫌われるぞ』
AGE-1のカメラに数機のGN-Xと……ガンダムタイプのモビルスーツが2機写っていた。
『……(嫌な気配だ。単純なスペックで見れば我々に匹敵する。なるほど……ストライクEの同類か)』
同じモビルスーツ故か、AGE-1は敵機のスペックが大まかに分かった。
機械に勘も何もないであろうに……ないはずの勘がAGE-1に警鐘を鳴らしていた。
『(ノーマルでやれるか?いや……万全を期して損はない)』
AGE-1は、そう考えると前線基地に通信を繋いだ。
「敵防衛線が強固です!突破出来ません!」
「ブルーは?!」
「砲撃部隊と交戦中、エースとかち合ったらしく……」
「遊撃隊に通達して、所かまわず暴れてって!」
「了解!」
「シキ先輩!AGE-1から通信です!」
「何があったの!?」
シキは叫びながらもAGE-1に通信を繋ぐ。
「AGE-1、どうしたの?後ろからビームの音がすごいけど……」
『シキ司令官……AMEMBOを出してくれ』
「AMEMBOを?」
『ノーマルじゃ心許ない。レイザーを頼む』
「分かった。今向かわせるからそれまで耐えて」
『了解』
シキは通信を切り、再度指揮に集中した。
『さて……』
AGE-1は再度目の前に意識を向ける。
既に1機墜とした。
だがまだまだいる上、ガンダムは動いていない。
それが不気味さを助長していた。
ドッズライフルは、温存のためにマウントしている。
『全く、たった1機に何をしている』
『ほんと……やっぱ雑兵は雑兵かぁ……』
通信が聞こえてきた。
話しぶり的に、あの2機のパイロットだろう。
『随分と自信があるんだな?』
『当ったり前でしょ。機体性能は同等。なら後はパイロットで決まる』
『あなたにパイロットはいない。これでどう負けると?』
『……そうか』
『じゃっ……ちゃっちゃと終わらせちゃお?』
そして遂に、ガンダム2機──ガンダムスローネアインとドライが動いた。
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『一つ』
AGE-1がGX-Xを撃墜する。
『アハハ!墜ちちゃえ♪』
スローネドライがGNピストルを乱射する。
AGE-1は破損しているシールドで上手く防ぎながら後退する。
『墜ちろ!』
だが、その隙を逃さずGN-Xが斬りかかってきた。
だが……
『邪魔すんな雑魚が!』
スローネドライがGNピストルでGN-Xを撃ち抜いた。
曲がりなりにも敵機を墜とそうとした味方をだ。
『貴様っ?!』
『アハハ!人の獲物を横取りしようとするからだよ!』
スローネドライはGNビームサーベルを抜いてAGE-1に斬りかかった。
『……どうした。行かないのか?』
『いや……だって……』
『な、なんで、撃って……』
『あいつを怒らせたからだ。自業自得だな』
残存していたGN-X2機のパイロットは絶句していた。
利敵行為をしたわけでもない味方機を容赦なく墜として、それを自業自得と称する。
こんなのが何でガンダムに……守護神に乗っているんだと、そういう感情が沸き上がってきた。
そして、こんな連中と共闘もしたくなかった。
『我々は……Mk.IIの拿捕に向かう。ここは任せた』
この場から離れる……精一杯考えたの理由だ。
先程自分達をこき下ろしたこいつらに対する皮肉でもあった。
『……』
『行くぞ』
『あ、ああ……』
その時、1機のGN-Xがビームで貫かれた。
発砲元は……
『貴様!?』
『知らないのか。敵前逃亡は重罪だぞ?』
『意図して味方を撃った貴様が言うことかあああ!!!』
GN-Xがビームサーベルを抜き、スローネアインに斬りかかる。
だが、いとも簡単に躱された。
『あっ……』
『さよならだ』
スローネアインのGNランチャーが、GN-Xを吹き飛ばした。
撃墜を確認したスローネアインは、ドライの下に向かった。
『さっさと墜ちろよ!』
『くっ……』
『オーパーツだか何だか知らないけどさぁ……ロートルはいい加減に引退したら?
守護神神話は私たちが継いであげるからさぁ!』
スローネドライのビームサーベルを何とか受けきる。
AMEMBOはまだ来ない。
『おい、遊びすぎだ』
『え~……だって楽しいんだもん』
『接続しろ。一気に終わらせる』
『はーい……』
スローネドライのパイロットが露骨に落ち込んだ声でスローネアインの背後に回る。
そして、スローネアインと連結し、スローネアインはランチャーのチャージを始めた。
『……一つ質問がある』
『ほう?いいだろう最後の慈悲だ。答えてやろう』
『お前たちは……何のために戦っている』
『戦う理由?そんなの決まっているだろう。平和だ。
創設者である高原ワカナ、そして我らの王、高原アマネ、この2人が望む世界の実現だ』
『……そうか』
その時、AGE-1はメモリに保存されている記憶を思い出していた。
ワカナの記憶
しっかり覚えている。
容姿も、理想も。
ガンダムや連邦生徒会長から聞いていたアマネの人物像
優しい子だ。
戦争を起こすような人じゃなかった。
聞いてきた人柄は、確かにガンダム達が止めたいと言うのも納得がいくものだった。
だからこそ……
『くくく……』
『? 何が可笑しい?』
『ああそうだな。可笑しいさ、とんだ喜劇だ』
『なんだと?』
『これ以上ない喜劇だ……
貴様ら風情がアマネ嬢を……母上の理想を語っていることになぁ!』
『風情……だと……我々は親衛隊だぞ!』
『だからどうした?まだミクルやこれまで戦場で相対してきた親衛隊の方がその理想を語る資格がある。お前たちのような下賤な輩が……平和を語るな!』
『ふざけるなぁ!』
GNメガランチャーが発射される……
AGE-1は破損して使い物にならないシールドを投擲した。
『逃げるつもりか!』
『逃げる?貴様ら相手にか?俺はそこまで弱腰じゃないんでな!』
『貴様ぁ!』
『丁度いいタイミングだ。来たかAMEMBO』
遠くから、AMEMBOがAGE-1に向けて飛翔してくる。
『何をするつもりかは知らないが!』
『もう遅い』
AGE-1がAMEMBOと接続する。
四肢が換装され、別物になっていく。
『換装完了……こういうのはエクシアのセリフだが……
ガンダムAGE-1レイザー、目標を殲滅する!』
AGE-1はレイザーブレイドを片手にスローネアインに接近する。
『ちょっ!?不味いよ!?』
『接続を解除しろ!』
『了解っ……』
スローネドライがアインから離れ、アインはビームサーベルで攻撃を受け止める。
『(重い……)』
『その程度か!』
AGE-1の蹴りが、スローネアインの胴体を捉えた。
『援護するよ!』
『邪魔だ!雑兵!』
AGE-1はすれ違いざまに、スローネドライをレイザーブレイドで真っ二つにした。
『えっ……』
『パイロットがいないから弱い?そんな訳がないだろう。経験が違う』
スローネドライはそのまま爆散した。
それを見たスローネアインのパイロットは激昂する。
『貴様ぁ!!』
『貴様らが先程味方にやったことだろう?いや、俺は敵だから貴様らの方がよっぽどか』
GNランチャーをAGE-1に向けるスローネアイン。
『墜ちろおおお!』
『それは貴様だ!』
AGE-1が投げたレイザーブーメランが、GNランチャーを破壊する。
その隙を突き、AGE-1は突貫した。
スローネアインも負けじとビームサーベルを抜くが……
ビームサーベルを持っていた右腕を斬り落とされた。
『!?』
『終わりだ』
AGE-1は……AMEMBOに預けていたドッズライフルを受け取り……
スローネアインごとその後ろにあるプルウェアのエンジンを貫いた。
無残にも爆散するスローネアインを見ながら……
AGE-1はミクルの下へ急いだ。
ちょこっと解説
ザクタンク
パクス軍が、ザクの上半身と戦車の車体を組み合わせて生み出したモビルスーツ。
主に作業用として使われているが、拠点防衛にも駆り出されている。
GN-X
パクスが開発した試作モビルスーツ。
ユニウス分校が開発したGNドライヴ[T]を動力としており、現行の量産型MSを軽く凌駕する性能を持つ。
これは動力の違いからくる出力の差が大きい。
ガンダムスローネアイン
パクスが開発したガンダムタイプモビルスーツ。
ゲヘナのストライクEと同様に、オーパーツモビルスーツに対抗する目的で開発された。
3機のスローネの中では指揮官的な扱い。
開発にはサルベージされたデュナメスとヴァーチェのデータが使用されている。
ガンダムスローネドライ
ガンダムスローネアインと共に開発された機体。
スローネアインと有線接続しての粒子供給やジャミング能力などの戦闘支援能力に優れている。
代わりに正面戦闘は苦手。
バスターダガー
ゲヘナがバスターガンダムのデータを基に開発した量産型支援用MS。
バスターと概ね同じ武装をしている。
ガンダムAGE-1レイザー
AGE-1がレイザーウェアに四肢を換装した姿。
スパローウェアの発展形で、機動力が落ちた代わりに破壊力が上がっている。
AMEMBO
AGE-1の支援用無人機。
AGE-1のウェア換装は、基本出撃前に行うのだが、AMEMBOの存在で空中換装が可能となっている。