機械兵と少女たちの記録(アーカイブ)と記録(メモリー)   作:KUS

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墜ちる雨雲

時は少し遡り、プルウェア級・露天甲板

ミクルのMk.IIとGN-X2機の戦闘は、佳境に入っていた。

 

『(攻めきれない……相手は旧式だぞ!?)』

『(これが……親衛連隊?!)』

 

Mk.IIはストライクEやスローネのようにオーパーツを目標に作られたわけではない。

なので性能は当時の機体は上回るものの、GN-Xの方がカタログスペックは上。

だが攻め切れていない。

GN-Xのパイロットも、新鋭機を任せられる精鋭なのだが……

 

『こいうつぅ!!』

 

サーベルを振りかざすGN-X。

ミクルは冷静にそれを受け止める。

だが、出力はGN-Xの方が上だ。

そこはパイロット技量では覆らない。

 

そこでミクルは、Mk.IIのシールドをGN-Xに押し付けた。

 

『遊んでいるのか!』

「こいつの武装を網羅してから言え!」

 

シールドの裏から発射されたミサイルが、GN-Xにゼロ距離で襲い掛かった。

 

『うわ!?』

「終わり!」

 

体勢を崩したGN-Xをビームサーベルで両断する。

 

『よくも!』

 

もう1機が隙を突き、斬りかかる。

その攻撃は、シールドを両断し……

 

その裏で展開抜かれていたMk.IIのもう一本のビームサーベルに受け止められた。

 

『何!?』

「そこ!」

 

Mk.IIは元々右手に持っていたビームサーベルで、GN-Xのコックピット付近を貫いた。

 

GN-Xの四ツ目から光が消え、機能停止する。

 

「後はブリッジを……」

 

その時、Mk.IIのセンサーに複数のモビルスーツ反応が映った。

友軍ではない。

 

「まだ来るの……しつこいのよ」

 

多数のモビルスーツがカメラに映る。

その中に……

 

『ターゲットを確認』

『捕縛が命令だが、無理はするなとのことだ。最悪の場合は破壊しろ。

Mk.IIに生みの親に弓を引かせるという事は阻止しなければならない』

 

2機のGN-X。

だが、先程の機体とは違い、巨大な実体剣を装備している機体とキャノンらしき武装を装備している機体がいる。

 

「はは……仕事が早いなニア部長は。もうGN-X IIを開発したなんて」

『各機、任務を遂行しろ』

「来い。全員墜としてやる」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「艦長!増援部隊がMk.IIと交戦を開始しました!」

「間に合ったか……よし、地上に照準を向けろ!」

「はっ!」

「連邦生徒会の連中に砲弾の雨を喰らわせてやれ!」

 

プルウェアの対地砲が地上に向けられる。

先ほどより乱戦が広がっているが……

威力を絞れば味方に損害を出さずに砲撃できるだろう。

 

『不味いぞ4号機!また砲門が!』

『先ほどみたいに地上部隊が迎撃出来る確証もない……俺たちでどうにかするぞ』

『どうやってだ!この数を相手にしながら行くのはキツイぞ!』

『これを使う』

 

すると4号機は一つの武装を構える。

ランチャー系の兵装だ。

 

『お前……』

『護衛を頼む、このメガ・ビーム・ランチャーの威力……とくと見せてやろう』

『OK任せろ!』

 

5号機は快く返事し、周囲の警戒を始めた。

 

当然、それを黙ってみているパクスではない。

 

『あの機体を止めろ!何か撃とうとしている!』

『やらせない!』

 

ディンやゲルググが阻止すべく向かってくるが、5号機に阻まれる。

 

『チャージ90%』

『おらおら!俺を倒してからこいつに手を出せぇ!』

『チャージ……100%』

 

チャージを終えたメガ・ビーム・ランチャーの発射口の光が収束する。

 

『外しはしない』

 

ランチャーから放たれたビームは、直線上にいたモビルスーツを巻き込み、真っ直ぐと対地砲を目指す。

そして……展開されていた砲門を破壊した。

 

「わああ!?」

「きゃああ!?」

「な、なんだ!?」

「た、対地砲が……破壊された?!」

 

ブリッジにも衝撃が伝わり、混乱が発生する。

 

一方、船体下方

モビルスーツの爆発による黒煙と雨という天気による薄暗さがマッチして、重度の視界不良に陥っていた。

 

『何も見えない!』

『センサーを頼るの!近付いてくれば──近くにいる!?』

 

突如として黒煙の中から躍り出た5号機により、高機動型ゲルググが蹴り飛ばされる。

 

『はっはぁ!とどめじゃあ!』

 

5号機はまだ展開されていない対地砲目掛けてジャイアント・ガトリングガンを斉射する。

 

「な、何!?」

「逃げろ!下から攻撃だ!」

 

対地砲の作業員達も、斉射に巻き込まれる。

砲台も、管理フロアも、ズタズタにされていく。

 

その波は、付近に置かれていた砲弾に直撃した。

 

「不味い……砲弾に攻撃が──」

 

その瞬間、大爆発が起きた。

主な目標がモビルスーツである対地砲。

その砲弾も、対戦車榴弾を改良した火力増強型だ。

対戦車榴弾は、化学エネルギー弾と呼ばれる標的に命中すると弾頭が起爆するタイプだ。

ガトリングの弾が砲弾に直撃……しかも対モビルスーツ用の火力型。

何が起きるかは明白だった。

 

対地砲の管理フロアは、砲弾の大爆発で木端微塵になった。

 

「こ。今度はなんだ!?」

「ほ、砲台が……管理フロアで爆発!?」

「艦長!」

「ええい!無事な砲台はあるのか!」

「か、確認を取ります!……まだ右舷ブロックは無事です!」

「すぐに準備させろ!」

 

艦長はそう命じる。

やられたのは1ブロックだけ。

まだ、この艦は役割を失っていない。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「爆発……砲台をやったのか?」

『余所見をするな!』

 

艦上で戦うミクルも、爆発の衝撃を感じていた。

砲台の破壊に成功したのかと思うのも束の間。

グフイグナイテッドがスレイヤーウィップをMk.IIに向ける。

 

「ちっ!」

 

ライフルを盾に何とか防ぐが、間髪入れずにテンペストビームソードを片手に突貫してきた。

すぐさまビームサーベルを抜き、受け止める。

 

「(重い……!)」

『舐めるな!ザクとは違うんだよ!ザクとは!』

 

グフイグナイテッドが左腕でMk.IIの胴体を殴りつける。

衝撃で後退するMk.II……だが距離は離せた。

だがその隙を埋めるかのようにスラッシュザクファントムが斬りかかってきた。

 

「(連携が上手い……)」

『やぁ!』

 

ミクルはザクファントムの大型ビームアックスを避けながら、攻略法を探す。

2機ともお互いの隙を埋めるように動いている。

両方とも近接機でこれをやるのだから大したものだ。

 

『下がれ』

 

その通信を聞いた瞬間、2機はその場から退いた。

次の瞬間、Mk.IIをビームが襲う。

GN-X IIのGNキャノンだ。

 

「(くそっ……ブリッジからどんどん遠ざかる)」

 

遠目に見えるブリッジ。

先程まで目と鼻の先にあった……

 

「そこをどけ!」

 

Mk.IIはバルカンで敵機を牽制しながら斬りかかる。

スラッシュザクファントムも、迎え撃つ体制を取る。

 

だが、斬りかかろうとしていたMk.IIが、ビームサーベルを投擲した。

 

『!?』

 

ビームサーベルはスラッシュザクファントム……ではなく、その後方にいたGN-X IIを貫く。

油断していたのか、反応すらしていなかった。

 

「どこを見てる」

『しまっ!?』

 

突然の事に動きが止まった他の機体。

その隙を見逃さず、もう一本のビームサーベルを抜いてザクファントムを斬り裂いた。

 

『貴様!』

 

相棒をやられた事に激昂したグフイグナイテッドが怒りのまま突進してきた。

ビームサーベルを構え、迎え撃つ。

 

グフイグナイテッドの攻撃を受けている中、背後を取ったGN-X IIがバスターソードを片手に襲い掛かってきた。

 

『貰った!』

 

2機に挟まれる形となったMk.II。

だが、ミクルは冷静だ。

 

GN-X IIは一気に肉薄してきている。

だが、それがミクルを付け入らせてしまった。

なんとバスターソードを振りかぶっていた腕をMk.IIが片腕で掴んだのである。

 

『!?』

「仲良く……斬り合ってろ!」

 

Mk.IIのブースターを全力で吹かし……片腕で背負い投げをした。

 

『はぁ!?』

 

モビルスーツで出来る範疇を超えている挙動に驚愕したグフイグナイテッドは、反応が遅れた。

GN-X IIごと自分に振り下ろされるバスターソードに……

 

咄嗟のことだった。

グフイグナイテッドはビームソードを盾のように構えてしまった。

結果、2機はお互いを斬る形となり……爆炎を上げる。

 

「はぁ……はぁ……流石に……キツい」

 

その時、激しい衝撃がMk.IIを襲った。

 

「今のは……後方から……AGE-1……」

 

それは後部のメインエンジンからのものだった。

AGE-1が破壊したのだ。

 

Mk.IIのコックピットで息切れをするミクル。

だが、新たな敵性反応がレーダーに映った。

 

「まだ来るの!?」

 

そこにいたのはガンダムタイプのモビルスーツだった。

ガンダムスローネツヴァイ

スローネアインらの兄弟機。

 

そしてもう1機。

 

『ようやく見つけたぞ!ミクル!』

「シオン……!」

 

シオンの駆るメッサーラがMk.IIの前に降り立った。

 

『さぁ……一騎討ちと行こうじゃないか』

「くっ……」

『おいおい、何言ってんだよ。そいつは俺の獲物だ』

『貴様、階級はなんだ?』

『あっ?中尉だが?』

『ふん、私は大佐だ。それに、私はアマネ様直属の親衛連隊から出向しているのだぞ?』

『だから何だってんだよ!』

『たかがガンダムの試験台に選ばれただけで調子に乗っている小娘は引っ込んでいろと言っている』

 

シオンはスローネツヴァイのパイロットを煽る。

完全に下に見ていた。

その時、通信に割り込みが入った。

 

『そんなに一騎討ちがお望みなら……』

『あっ?誰だ?』

『俺がそいつを受け持とう』

 

突如、スローネツヴァイが蹴り飛ばされる。

 

「AGE-1!」

『済まないミクル。スペックだけは高い雑魚に手間取った』

「大丈夫……」

『あのガンダムは俺が受け持つ』

 

そう言うとAGE-1はスローネツヴァイが飛んで行った方に向けてブースターを吹かす。

 

ミクルは、メッサーラに向き直った。

 

『その気になったか?』

「そうだね……シオン……」

『始めようか』

 

ガンダムMk.IIとメッサーラ

2つの影がぶつかり合った。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

『くそっ!なんだよあいつ!』

 

AGE-1に蹴り飛ばされたスローネツヴァイのパイロットは苛ついていた。

いきなり横合いから蹴り飛ばされたのだからキレるのも無理はない。

 

『お気に召さなかったか?』

『あ?……てめえ』

『油断している貴様が悪い』

 

AGE-1は既にレイザーブレイドを構えている。

 

『そういえば……てめえの方にガンダムが2機行ってなかったか?』

『破壊した。今頃は地面の上じゃないか?』

『へぇ……じゃあ仇討ちと行こうか!行けよ、ファング!』

 

スローネツヴァイから複数の小型の武装が展開される。

それらは真っ直ぐにAGE-1に襲い掛かった。

AGE-1は冷静に回避しながら思考を巡らせる。

 

『(プロヴィデンスのドラグーンに似ている……だが、あの動き、それに展開されているビーム……なるほど、近接用の無線誘導兵器か)』

 

スローネツヴァイが展開した武装はGNファング。

その名の通り牙のような形状をした武装である。

こういった無線誘導兵器は射撃系が多いのだが……ファングの名の通り接近戦をこなす代物だ。

おまけに射撃攻撃も可能という万能兵装である。

 

『オラオラ!』

『……』

 

迫りくるファングを躱しながら、すれ違いざまに1機斬り捨てる。

そこでAGE-1は、ある違和感に気付いた。

 

『(攻撃してこない?プロヴィデンスは無線誘導兵器を動かしながら自身も接近戦を熟していた。まさか並列処理が出来ないのか?)』

 

スローネツヴァイは眺めているだけで、ファングに対処するAGE-1を見ているだけだ。

その実体剣は飾りかとAGE-1は心の中で吐き捨てる。

 

『(突っ込むか)』

『おらどうした!怖気づいたか?』

 

ひたすら煽りを入れるスローネツヴァイを無視して、AGE-1は突貫する。

突然の行動にスローネツヴァイのパイロットは驚愕するばかりだ。

 

『!? 頭沸いてんのか?!』

『冷静……だ!』

 

スローネツヴァイにレイザーブレイドが振られる。

それを間一髪バスターソードで防いだ。

 

スローネツヴァイはAGE-1に蹴りを入れると一気に後退する。

AGE-1は追撃を仕掛けるが、ファングに阻まれた。

 

『はは、やるじゃねえか。だが、一歩届かなかったなぁ?』

『……やはりか』

『あ?』

『近接戦が苦手だな、貴様?』

『!?』

『その機体は見た感じ白兵戦用。なのに貴様はオールレンジ兵装に頼りっきり。

おまけに土俵に上がってやればそこから逃げる』

『……何が言いたい』

『率直に……宝の持ち腐れ……いや、この場合は宝を手に入れたはいいがそのままドブに捨てているな』

『潰す!!』

 

完全に頭に血が上っているのか、ファングの動きが荒々しい。

だがそれでも近付いてこないあたり相当である。

 

だが、AGE-1にとってその動きは考えなさ過ぎた。

 

『一つ』

『!?』

『二つ、三つ、四つ……』

 

1機ずつファングを破壊するAGE-1。

スローネツヴァイのパイロットは恐怖を覚えた。

動きが機械的すぎるのだ。

 

そして全てのファングが破壊され、AGE-1がスローネツヴァイに肉薄する。

 

『ひっ……来るな来るな!』

 

GNハンドガンを連射するスローネツヴァイ。

だが、恐怖のあまり狙いがブレブレだ。

 

AGE-1が目と鼻の先まで接近してきた。

手始めに両腕を叩き斬るAGE-1。

 

『!?』

『終わりだ』

 

レイザーブレイドで切り裂かれるスローネツヴァイ。

だが、ダメージコントロールは上手かったのか、爆散せずに墜落していった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

Mk.IIとメッサーラのビームサーベルが交差する。

戦闘は互角。

いや……ミクルとMk.IIが消耗していることを考えれば……

 

『(くそっ、押し込めない……ミクルは消耗しているんだぞ?!

なんで……なんで……)』

「くっ」

 

Mk.IIとメッサーラの距離が離れる。

 

「はぁ……はぁ……」

『(なんで追いつけないの……?)』

 

シオンの目には、ミクルがとんでもなく遠くにいるように見えた。

 

 

 

 

「右舷砲門、準備完了!」

「不味いです……塹壕線に敵部隊が殺到中!これじゃあ援護が……」

「……」

「艦長?」

「撃て」

「えっ?」

「撃てと言っている!」

「で、でも……塹壕にはまだ大勢の味方が!?」

「構わん!もし要塞を抜かれてみろ!再びパクスは蹂躙されるんだぞ!

本土を守れるなら、あの者達も本望のだろう」

「で、でも……」

 

なおも抗議をしようとしたオペレーターを、艦長は銃で撃った。

 

「ぐぅっ?!」

「お前が代わりに座れ」

「ひっ……」

「早く!」

「は、はい」

 

 

 

「くっ、あああ!」

『ぐっ?!』

「はぁ……はぁ……」

『はぁ……何故だ……なんで脱走したんだ』

「シオン……」

『それだけの力が……お前にはあるのに……なんでアマネ会長を……私を裏切ったんだ!』

 

メッサーラが急加速でMk.IIに体当たりを行う。

ミクルが衝撃でシートに押し付けられる中、そのままビームサーベルを振るってきた。

Mk.IIもビームサーベルで応戦する。

 

「じゃあなんなの?!あのままトリニティにされてきたことをそっくりそのままやり返すのが正しいって言うの?!」

『そんなことを言っているんじゃない!あの時の誓いは何だったんだ!私たち親衛隊は、最後まで会長に……地獄までついていくって!』

「地獄に一緒に行く?!私は……あんたにも会長にも地獄に行ってほしくなんかない!」

 

メッサーラが距離を離すと、スラスターユニット先端から粒子砲を発射する。

ミクルは回避しきれず、Mk.IIの左腕が吹き飛ばされた。

お返しと言わんばかりにMk.IIも肉薄してメッサーラの左腕を斬り落とす。

 

『じゃあなんだったんだ……あの時の約束は……一緒に、パクスを守ろうって……約束は……』

「シオン……」

『なんで……なんでよ……ミクルぅ……』

 

シオンの口調が崩れてきていた。

声も弱々しくなってきている。

 

「シオン……私は……」

『……』

「私だって……ずっと、皆といたかった……でも、今のパクスは……間違ってる。

会長は……絶対にこんなことやりたくてやってる訳じゃない……私達が止めないで……誰が止めるの?」

『……』

「シオン……もうやめようよこんな戦争……会長も、連邦生徒会長も、独立を夢見てた先輩達も……こんなの望んでるの?今のパクスは……憎悪だけが独り歩きしてる」

『ミクル……』

 

Mk.IIがビームサーベルを仕舞う。

残っている右腕を……メッサーラに差し出して……

 

『隊長から離れろミクル!』

「っ……テンシ?!」

 

一条のビームが2機の間を通過した。

下手人はテンシの駆るガブスレイだ。

 

「待ってテンシ!」

『裏切り者が今更ぁ!』

 

ガブスレイのフェダーインライフルの射撃を避けるためにMk.IIは後退する。

 

『シオン!下がるよ!』

「待って……!シオン……」

 

叫びも虚しく、ガブスレイはメッサーラを連れて飛んで行ってしまった。

 

『ミクル!プルウェアの対地砲が動いている!連中、味方事撃つ気だ!』

「……」

『ミクル!』

 

通信から聞こえたのは5号機の叫び。

 

「……やらないと……」

 

下で戦っている味方、そしてパクス軍

プルウェアは無差別に砲撃する気だった。

頭に浮かぶのは、自分を受け入れてくれたレジスタンスのメンバー、

今でも覚えてる、優しくて……戦争なんて好まない……そんな、パクスの皆。

 

Mk.IIのカメラに、撃墜したザクウォーリアの装備であるオルトロス高エネルギー長射程ビーム砲が映る。

パクス軍の装備は、理論上(一部例外を除き)あらゆる機体で使えるように規格が揃えられている。

Mk.IIの残りのエネルギーは少ないが……1発くらいなら……

 

「……」

 

オルトロスを拾い上げ、自機に接続する。

規格は合っているとはいえ……想定されていないからか機体が悲鳴を上げる。

 

「耐えて……Mk.II……せめてあいつを……」

 

真っ直ぐに、ブリッジを見据えるミクル。

 

「同士討ち上等なあいつを、撃つ!」

 

引き金を引いた。

 

 

 

「照準完了!」

「撃t「艦長!前!前!」なっ!?」

 

オルトロスから放たれたビームが、ブリッジを貫いた。

 

 

 

 

 

「はぁ……はぁ……」

 

プルウェアが傾き始めた。

エンジンを破壊されたのに……よく持ったほうだと思う。

 

Mk.IIも……もう動けない。

 

「(このまま落ちるのかぁ……せめて……シオンに……)」

 

死なない。

Mk.IIが衝撃は吸収してくれる。

分かってるけど怖いものは怖い。

 

『何をやっている』

「えっ……」

 

その時、Mk.IIが何かに掬い上げられた。

 

「AGE……1?」

『エネルギー管理は、しっかりしろ』

「……ごめん」

『これが本当の、「親方!空から女の子がぁ!」ってやつか?』

『何言ってんだ5号機』

『お前達、うるさい』

 

4号機……5号機……

 

『これが、お姫様抱っこ……』

『モビルスーツがやってるせいですっげえシュール』

『シキ、目標──プルウェア級飛行駆逐艦を撃沈した。これより帰投する』

 

安心したのか……瞼が重くなってきた。

私はそのまま、目を閉じた。




ちょこっと解説
ガンダムスローネツヴァイ
パクスがオーパーツモビルスーツに匹敵する機体として開発したスローネシリーズの1機。
白兵戦に主眼を置いている他、GNファングというオールレンジ兵装も装備している。
だが、パイロットがパイロットなせいで強みを活かし切れなかった。

ガブスレイ
パクスが開発した可変モビルスーツ。
シオンがメッサーラで得たノウハウを基にしている。
変形機構が複雑であるため、高性能なのもあって高コスト化。
当初あった量産案はボツとなった。

ザクファントム
ザクウォーリアの指揮官・エース用の機体。
頭部に角のようなアンテナがある他、肩部のシールドが両肩に付いているという違いがある。
それ以外はザクウォーリアと同じ。

グフイグナイテッド
プラネット分校がグフを参考に開発した白兵戦用モビルスーツ。
グフの良いとこどりをしていたが、それでも汎用性の欠如はある。
陸戦機のグフに対して、空戦にも対応出来ると、オリジナルよりも汎用性がある。

GN-X II
パクスが開発したGNドライヴ型モビルスーツ。
GN-Xの後継機だが、かなりのスピード開発が成された。
スローネと似たような武装をしている。
射撃型のキャノンと近接型のソードがいる。

スローネのパイロット
ニアが選んだ。
なお、実際は動作テストのパイロットであって実戦は別の人員の予定だった。
なぜか実戦までこの3人がやったが。

ミクル・シオンの関係
幼馴染。
付き合い自体はミクルのほうが長い。
入学後にはミクルとシオンは護衛隊(親衛隊の前進)、テンシは防衛隊へ。
ミクルはシオンの頭脳を羨望していたし、
シオンはミクルの強さを羨望していた。
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