機械兵と少女たちの記録(アーカイブ)と記録(メモリー)   作:KUS

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陥落

プルウェア級撃沈

この一報は連合軍の士気を大いに高めた。

一方、後がなくなったのかパクス軍の抵抗もこれまで以上に激しいものとなった。

 

連合軍部隊の第一陣は塹壕の突破にかかっていた。

だが、モビルスーツ用の塹壕を、歩兵や戦車は突破出来ず、モビルスーツ部隊のみが進軍を継続している。

 

『くそっ!歩兵の抵抗が……!?』

『きゃっ!?バーニアが!?』

 

とうのモビルスーツ部隊も、塹壕の内側に築かれた陣地に潜んでいたパクス軍の歩兵による被害を受けていた。

流石に歩兵相手だからか、そこまで大きい被害は出ていない。

 

『第一陣部隊通達!要塞からモビルスーツの出撃を確認!注意してください!』

『もう目の前にいる!』

 

恐らく最後の抵抗。

ここを突破すれば要塞は目と鼻の先だ。

だが……パクス側は絶対に死守する気ということは、この場の誰もが感じ取っていた。

 

 

一方、塹壕線手前の戦場。

残された第一陣の通常戦力や第二陣部隊がパクス軍の残存戦力と激戦を繰り広げていた。

プルウェアが撃沈したためか、直掩だったモビルスーツ部隊も参加している。

その代わり、連合側の空戦部隊も一部が参戦しているが。

 

「てぇ!」

 

ゲヘナのティーガーIIIの砲撃がジンに直撃する。

砲撃を行った戦車は、バクゥを仕留めたレジスタンスに砲撃を行った部隊だった。

 

「車長、バクゥは!」

「今探してる!……の前に目の前にドム!」

「うおおおおおお!回避!」

 

最初は戦車5輌にモビルスーツも5機いた彼女達の部隊だが……

戦車は彼女らの車両を除いて全滅。

モビルスーツも、3機に減っていた。

 

『不味い……雨と煙でなんも見えねえ』

『隊長、味方と合流しよう。この数で孤立はシャレにならない』

「わかってらぁ!だがな……闇雲に動いて遭遇戦もシャレにならねえぞ」

 

雨で全体的に暗い中、モビルスーツや戦車の爆発で上がっている黒煙もそれに拍車をかけている。

時折ビームや爆発の光は見えるが……

 

『一先ず、通信を──』

『おいどうし──』

「おい?お前ら?!」

『不味い……バクゥだ!』

 

彼女達に襲い掛かってきたのはバクゥの集団だった。

通常のバクゥの他に、偵察型の機体もいる。

そして……

 

「オレンジ色のバクゥ……ラゴゥか!」

「おい……流石にこの数は……」

「ははは!2人とも、怖気づいたか?

いいか?あたしはお前ら2人の腕を信用してるんだ」

「「……」」

「戦車兵意地……あのワンコどもに見せてやれ!」

「「おう!!」」

『話は終わったか?なら手伝ってくれ!やばい!』

 

ティーガーの砲塔が動き、バクゥを照準に捉える。

照準されたことに気付いたのかバクゥのモノアイがティーガーを捉えた。

 

「お前は目の前に集中しろ!周りは私が見る!」

「回避は任せて」

 

砲手は神経を研ぎ澄まし、バクゥに狙いを定める。

動きは確かに速い。

だが……視界不良の中で友軍と衝突事故を起こさないためにか機動力は普段より落ちている。

そして……バクゥがこちらを真正面に捉えた。

 

「今だ!」

 

ティーガーから砲弾が発射される。

砲撃は、真っ直ぐにバクゥを目指して飛んでいき……

バクゥの頭部を貫通して胴体に直撃した。

耐え切れずバクゥは爆散する。

 

「よし!まずは1機!」

「残りは3機!」

 

いつの間にかロングダガーがバクゥを1機墜としており、

現在は偵察型──バクゥ戦術偵察タイプと交戦中だった。

もう1機のバクゥも、ダガーを狙っている。

つまり狙うは……

 

「ラゴゥを狙うぞ!」

「了解車長!」

 

砲手がラゴゥに照準を付ける。

向こうもやる気満々らしく、ビームサーベルを展開していた。

 

バクゥ以上の機動力と火力を誇るラゴゥ……

それと戦車で真っ向勝負。

おまけにこちらはティーガー。

パクスのエイブラムスや連邦生徒会の61式に比べれば性能は下。

だが……

 

「歴戦(自称)の戦車操縦士を……舐めるなぁ!」

 

巧みな運転で突っ込んできたラゴゥを回避する。

相手もすぐさま反転しようとするが……

ティーガーの砲塔が開店する方が速かった。

 

「ラゴゥ……陸の王者の座……そう簡単に渡してやるかよぉ!」

 

ティーガーの砲撃がラゴゥの首元を貫徹する。

その衝撃のまま横転し、ラゴゥは爆散した。

 

「おっしゃああ!戦車の力を見たか!」

「よくやった!」

 

車内は歓喜に包まれた。

陸の王者……その座を戦車から奪った存在相手に、無傷で勝利したのだから。

 

ダガーも、しれっとバクゥ2機を撃破していた。

こいつら揃いも揃って化け物である。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

パクス軍・第一塹壕線

 

『こちらストライク。もう直ぐ要塞に到達するよ』

『おーし!イオリ、委員長、暴れるぞ!』

「警戒は怠るなよ」

 

ストライク達からの通信を切りながら、俺は目の前の敵部隊に向き合った。

先日交戦したハンブラビ。

その3機が強襲してきた。

狙いは完全に自分だ。

 

『副会長!』

「ハンブラビは俺がやる!お前らは他の部隊を!」

『了解しました!CAT小隊、私に続いて!』

 

1機のハンブラビが放ったビームを回避する。

相も変わらず隙の無い連携だ。

 

『お前ら!フォーメーションBだ!』

 

ハンブラビ隊が散開する……ってあのワイヤーは!?

 

「ぐっ?!」

 

やっぱり……クモの巣か!

不味い……俺の身体は生体ボディだが……大元は結局機械。

電撃を喰らうのは人間より不味い……

 

無理矢理にでも腕を動かし、ビームライフルを構える。

目標は……1機のハンブラビ。

 

「そこだあああ!」

『何!?』

 

ビームがハンブラビを貫き、機体は爆散する。

それと同時に陣形が崩れ、俺は辛くも脱出する。

 

『ラム!?くそおお!』

『隊長!』

『フォーメーションCだ!あいつを墜とすぞ!』

 

ハンブラビが2機で今度は……縦列になってきたか。

黒い三連星のジェットストリームアタックみたいなものか?

 

先頭のハンブラビがフェダーインライフルを放つ。

俺はライフルを捨て、ビームサーベルを抜いた。

ビームはくぐって回避する。

 

『わ、私を踏み台に!?』

 

先頭にいたハンブラビを踏み台にして後方のハンブラビに斬りかかる。

向こうもビームサーベルで応戦してきたが……

こっちの狙いはコックピットだ!

 

『!?』

「おおおおおお!」

『う、うわあああああ!?』

 

そのままハンブラビを縦に切り裂いて撃破する。

先頭の隊長機が、すぐさま反転して海ヘビを振るってきた。

俺はシールドでそれを弾き、バーニアを吹かす。

 

『ガンダム!』

「終わりだハンブラビ!」

 

1本でハンブラビを袈裟切りにし、もう1本をダメ押しに突き刺した。

 

『馬鹿な!?』

 

ハンブラビはそのまま爆発。

何とか撃破出来た。

 

「ユカ達は……大丈夫か?」

 

俺は別れたCATの皆を案じた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

一方、ユカ達はというと……

 

『CAT1!6時の方向に狙撃機!』

「CAT4、対処を」

『もうやった』

 

敵の残存部隊を順調に殲滅していた。

エースは粗方撃破され、残りも要塞の防衛に回っているため、この戦場にいるのは雑兵が殆どだ。

 

「CAT2、そちらはどうですか?」

『問題なし。エース級も全然いない』

『残りは友軍に任せるか?』

「いえ……パクス軍はまだまだいます。

それに、エースでなくとも一人一人は精鋭……友軍では荷が重たいとは言いませんが、

我々がいた方が被害を軽く出来る筈」

『了解隊長。一先ずは、敵軍の多いあっちに──』

 

そうネキが言おうとした瞬間、一発のバズーカがジム・カスタムの足元に着弾した。

幸いにも直撃ではなかったが……

 

『敵機襲来、ドムタイプが数機』

「各機、迎撃準備を……」

『ねえCAT3。私ものすごい既視感を感じてるんだけど……』

『奇遇だな。私もだ』

 

そのドムタイプの部隊は、真っ直ぐにCAT小隊を目指している。

そして先頭の1機が、オープン回線で名乗りを上げた。

 

『フハハハハハ!久しぶりだなネキ!この柴原ユウラ様が再戦を申し込みに来たぞ!』

『なんでアビドス方面軍のあんたがここにいるのよ?!』

 

そのドムのパイロットは、アビドスでネキと激戦を繰り広げた柴原ユウラだった。

 

『私がなぜここにいるのか?それはな』

『それは?』

『「決着をつけたい相手がいる。その相手は今ゲヘナ戦線にいるから行かせてくれ」、

そう司令官に無理を言ったのだ』

『やってることストーカーじゃない!』

 

ネキは叫んだ。

力一杯。

まぁ、単なる転属とか、自分を追うために転属しました!そしたら偶々同じ戦場にいました。

ならともかく……

ネキがゲヘナ戦線にいるから行かせてくれは……ストーカーと言われても仕方ない。

 

『ていうかどうやって掴んだ!その情報!』

『連邦生徒会のお友dゲフンゲフン、パクスの情報部は優秀でな』

『隠せてない!隠せてないから!ていうか内通者いるの?!』

 

ストーカーにも驚きなのだが……

明らかに見過ごせない言葉が聞こえた。

 

『……』

『……隊長』

『ええい!こうなったらこのペズン・ドワッジで今度こそ叩き潰してやる!』

 

気まずい雰囲気を吹き飛ばすかの如く、ユウラの部隊は突貫してきた。

 

まぁ、この場にいるユカ達を倒したところで、スナイパーのシキに今の内容は筒抜けなのだが……

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

『見えてきた。要塞だ!』

「よし、後はヒナ委員長を中に入れれば……」

『いえ……この数は……』

 

要塞からは最後の抵抗なのか、わらわらと歩兵が出てきている。

後方からもモビルスーツが迫ってきている。

 

『歩兵は私が蹴散らすから。アンナはモビルスーツを』

『おう、任せろ委員長!』

「あの……私は?」

『イオリ……要塞の制圧をお願い』

「えっ?!」

『おっ、イオリ、大役じゃねえか』

「いやいやいや!それはヒナ委員長の……それに、私だってストライクの操縦が……」

『イオリ……僕、自律行動出来るの忘れてない?』

『それに、この場で対人装備持ってきてる子は?』

「『『……』』」

『いないでしょう?なら、私が歩兵の対処をした方が圧倒的に効率的』

「でも委員長……」

『イオリ、あなたなら出来る。そう思ってるから頼んでる』

「委員長……はい」

『お願い。中には歩兵と……ちょっとしたハンドメイドMSくらいはいるかもだけど、あなたなら出来る』

 

イオリはそれを聞いて自身の頬を叩く。

憧れのヒナから頼られている。

その一文がイオリの覚悟を決めさせた。

 

「ストライク……私を要塞に降ろして」

『OK、任せて』

『イオリ~帰ったら奢ってやる!』

『頼んだわよ。イオリ』

「はい!」

 

ストライクのコックピットハッチが開き、イオリは要塞へ飛び出していった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「さて……」

 

私は目の前の敵を見据える。

イオリなら要塞内の敵はどうとでもなる。

あの子は、強いから。

 

「おい!1人要塞の中に入ったぞ!」

「くそっ!追え!指令室にも通信を──」

 

通信を繋げようとしたパクス兵を周囲の兵士ごと薙ぎ払った。

 

「悪いけど……行かせないつもりはない。報告もさせない」

「空崎ヒナぁ!!!」

「(頼むわよ。イオリ)」

 

私は愛銃「終幕:デストロイヤー」を構えて、掃射を始めた。

 

 

 

 

 

 

「こっから先は……一歩も通さねえ!」

 

レールガンで迫ってくる敵MSを撃破する。

主力は前に出てるのか、来るのはザクやらジンやら旧式ばかりだ。

まぁ……楽だからいいが。

 

敵をドンドン捌いていると……一条のビームがストライクEの足元に着弾した。

 

「!?」

『先日ぶりだな。地戸アンナ』

「ははは……そうだなイージス!」

 

両手に持った対艦刀をイージスに振り下ろす。

シールドで軽々と受け止められたが、想定内だ。

 

「あの時つけられなかった決着……ここでつけようぜ?」

『元よりそのつもりだ。さぁ……始めようか』

 

 

 

 

 

 

『墜ちてもらうぞガンダム!』

『そう簡単に……墜ちてたまるかぁ!』

 

目の前にいるオレンジ色のジン。

僕はそれを相手にしていた。

ひたすら撃ち合い。

だけど……エネルギーもあるからドカドカ撃てない。

それは相手も同じ。

 

『(一瞬でもいい。隙を見せてくれれば……)』

 

その時……カメラにそれは映った。

ぬかるみ……昨日から降ってる雨を利用して即席で作った罠。

使える!

 

そう思った瞬間、僕はワザとそのぬかるみを踏み抜いた。

 

『う、うわあああああ!?(棒読み)』

『そこだ!』

 

ぬかるみにハマる振りをして隙を見せたように見せる。

お陰で隙を見せたのは……

 

『そっちだ!』

 

僕は直ぐにバーニアを吹かしてビームを回避する。

そして、アグニをジンに発射した。

 

『しまっ……うわあああああ!?』

 

ビームがジンを貫き、機体を爆散させる。

 

まだ、終わってない……

 

『ひゅー……やるなストライク』

『全くです。罠を利用するとは』

『ブリッツ……バスター……デュエルは?』

『あいつなら足を斬られたんで出撃不可』

 

そういえば……ブルーが斬ったって言ってたっけ。

交換には時間がかかるだろうし……

 

『2対1だけど……悪く思わないで下さいね』

『上等……』

 

射撃体勢を取るバスター。

突貫してくるブリッツ。

僕も、アグニを構えた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「どけ!」

 

クラックショットで迎撃してくる敵兵を沈める。

指令部はどこだ……

 

「これ以上先に進ませるか!」

「くっ」

 

あれだけ外に出てきてたのに……まだまだいる。

 

「がぁ!?」

「指令室はどこだ!」

「い、言うつもりはない」

「くそっ」

 

一先ず、先に進む。

がむしゃらでもいいから探さないと……

 

『行かせるかああ!』

「邪魔だあ!」

 

妨害してきたザクタンクの武装を破壊する。

今はこいつの相手をしている暇はない……

 

「? あそこの守りが硬い……」

 

一ヶ所、敵の数が異様に多いエリアがあった。

まさか……

 

「そこか!」

「行かせるな!」

「ゲヘナ風紀委員会の切り込み隊長を……舐めるなああ!」

 

敵を蹴散らしながら、奥へ進む。

そして、一つの扉が、シャッターで閉じられようとしていた。

 

「させるか!」

 

倒した兵士が持っていたRPGを拾い、シャッターに向ける。

発射!

 

弾頭が……シャッターを扉ごと吹き飛ばす。

私は混乱しているであろう指令室に、突入した。

 

「しまっ?!」

「侵入者!」

「動くな!」

 

護衛と思わしき生徒を撃つ。

そのままその場のオペレーター達に警告を出した。

 

「……」

「投降しろ。もう戦力は残ってないだろ」

「……くっ」

 

オペレーターは、渋々といった感じで、全軍に戦闘停止命令を出した。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

『停戦命令?……落ちたのか』

「あ?」

『全く、また決着がつかないとは……また相まみえよう。決着はその時だ』

「ちっ……」

『バスター、ブリッツ、撤退するぞ』

 

 

『隊長ー、撤退だってさ!』

『なっ?!まだ決着は……』

『ここで捕虜になったら決着も何もないでしょ。逃げますよ』

『くっ……ネキ、次こそ……」次こそ勝ってやるからなああああああああ!』

「二度と来んな!」

 

要塞陥落

 

その報が届いた瞬間、戦闘の音は、徐々に鳴りやんでいった。




ちょこっと解説
ペズン・ドワッジ
パクスがドムをベースに開発したモビルスーツ。
空戦仕様のリック・ドムの発展形で、地上と空中で十全な戦闘が可能。
※リック・ドムは原作では宇宙戦用MSですが、今作では宇宙運用なぞ想定外なので、空戦用に改修されたドムという設定。
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