機械兵と少女たちの記録(アーカイブ)と記録(メモリー) 作:KUS
「キキキ……成功だ」
「マコト先輩、一体何を……」
「これで邪魔者は全て消える。ティーパーティーも、目障りだった親トリニティ派も!
分かるかイロハ?これぞ一石二鳥というやつだよ」
マコトはくるりとイロハの方を向く。
「何を隠そうこのマコト様は、トリニティを恨んでいるアリウスと前々から結託していたのさ!」
マコトがバサッとコートを翻した。
「アリウスと……それに、このタイミングでのパクスの強襲……まさか、パクスとも?」
「その通り、旧雷帝派がヨハネと接触してな。それ経由で連中とパイプを結ぶことが出来た」
「今裏切れば、袋叩きに遭う可能性は?」
「ない、断言できる。例え追求されようとも、世論が戦争に反対したと言って終わりだ。
それでも攻撃してきたら、連合軍は自分自身の首を絞めることになるからなぁ」
「首を?」
「そう!考えてみろイロハ、建前でも「戦争に嫌気が差した」と抜けた学園を袋叩きにするような連中、誰が付いていきたがる。それならパクスの軍門に下った方がマシだと考える学園が出てきてもおかしくない!もしそうでなかったとしても、士気は大きく損なうだろうなぁ!」
「はぁ……言いたいことは分かりました」
イロハはため息を吐きながらそう言った。
そんな時、飛行船の横に2機のウィンダムが付いた。
『マコト議長』
「おお、丁度良かった。これから高みの見物と行くからな。護衛を頼む」
『はっ』
「頼むぞ。
『了解』
ウィンダムが周囲の警戒を始める。
その間、マコトは愉快そうに火の海になった地上を眺めていた。
そこへ、イロハが水を差すように発言した。
「マコト先輩……」
「ん?どうしたイロハ」
「そのアリウスが下手したらトリニティ以上に憎んでいるのが、私達ゲヘナなんですよ。どうして手を組むと思ったんですか?」
「…………」
「何ぃっ!?」
次の瞬間、マコト達が乗っていた飛行船が爆炎を上げた。
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「万魔殿の飛行船が?!」
「は、はい!突然炎上して……」
「誰が撃った!」
「我が方の攻撃ではありません!本当に突然炎上を……」
ユーピテルのブリッジ
万魔殿の飛行船の突然の炎上。
それに困惑の空気が広がっていた。
「(確かあれは……アリウスが送ってきた友好の証と、マコト議長は言っていたな……)」
「元帥?」
「くくく……なるほどな。存外詰めが甘いようだな、議長殿も」
頭の中にある情報から、アイラは下手人を察していた。
「アイラ先輩?」
「総員に伝えろ。万魔殿を攻撃したのはアリウス分校だ。大方飛行船に細工でもしていたのだろう」
「では……」
「只今よりアリウス分校は敵だ。連合諸共排除しろ」
「はっ!」
部下に命令を伝えたアイラは、シートに深く体を沈めた。
「所詮は、
「空挺部隊、配置に着きました!」
「降下開始、各艦及びモビルスーツ部隊は、援護に徹させろ」
通功の古聖堂上空
調印式の防衛に当たっていた部隊とD.U.に待機していた連合軍部隊が、パクスの空中艦隊と熾烈な空戦を繰り広げていた。
だが、空中戦艦を持たない連合側は次第に押されていった。
『輸送機が落とされた?!』
「退かせて下さい!」
特に猛威を振るっていたのは、トニトルス級飛行軽巡洋艦。
遊撃に重きを置いたこの艦により、連合側の輸送機が片っ端から沈められていた。
「敵輸送機が撤退していきます。追いますか?」
「放っておけ、今はモビルスーツを仕留めろ」
「了解」
トニトルスを指揮しているディフェンシオ級飛行重巡洋艦のブリッジで、艦長はそう命令した。
戦闘能力のない輸送機より、目の前のモビルスーツを墜とせということであった。
「弾幕が厚い……」
『おい!これじゃ近付けすらしねえぞ!』
『増援部隊が大急ぎで向かっています!それまで耐えて!』
通信越しにシキが叫んだ。
だが、増援部隊を待つ時間はないらしい。
『不味いよ司令、ガルダ級だ。その周囲にも輸送機多数』
「空挺部隊ですか……」
『どうするCAT1?』
「……私とCAT2が肉薄します。CAT3とCAT4は援護を」
『了解隊長』
『タマ、あの輸送船をジャックするよ』
ジム・キャノンIIとジム・スナイパーIIが乗っているベースジャバーが1隻の輸送船に狙いを付け移動した。
「行きますよ」
『ええ』
それを見たユカ達も移動を開始した。
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ユーピテル・格納庫
『空挺部隊が到着した。順次出撃させろ』
「了解です。元帥」
格納庫で、1機のモビルスーツが出撃準備を整えていた。
まるでリングのようなユニットを装着しているその機体。
『AAP07。準備完了』
『システム、オールグリーン』
機体を吊るしているハンガーが射出口に移動する。
『バルテウス、射出します』
バルテウスと呼ばれた機体を吊るしたハンガーが、猛スピードでハッチに移動し、
その勢いでバルテウスは空に飛び出した。
『X56S並びにX23S、出撃準備完了』
『気を付けろよ?』
『私を誰だと思ってるんですか?』
『ひよっこ』
ガンダムタイプのモビルスーツが、カタパルトに乗る。
もう1機のガンダムもカタパルトに乗った。
『システム、オールグリーン。インパルス、出撃どうぞ』
『夢原アスミ、インパルス、行きます!』
『続いてセイバー、どうぞ』
『蒲原スズカ、セイバー、出る』
2機のガンダムが、大空を舞うように飛び出した。
インパルスが、後から射出されたフォースシルエットとドッキングする。
『アスミ、私達の作戦目標は空挺部隊の援護だ』
『出番、少なくないですか?』
『正確に言えば、任務は遊撃だ。要は、好きに暴れろということだ』
『なるほど、それなら単純でいい』
アスミはそう言って口元を緩めた。
つまりは暴れまくって敵の注意を引けということだからだ。
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『降下地点に到達』
『こちら空挺部隊、降下開──』
通信が、途中で途絶えた。
輸送船の操縦席で混乱が広がる。
『何があった?!』
『あ、あの機体は──』
『Mk.II!Mk.IIです!』
輸送船に襲い掛かっていたのはミクルのMk.IIだ。
敵から
炎を上げながら沈む輸送船を尻目に、ミクルはガルダ級を見据えていた。
次のターゲットである。
グゥルからジャンプし、ガルダ級のハッチに肉薄する。
『なんだ!?』
「邪魔」
今まさに降下しようとしていたガルスJをビームライフルで撃ち抜き、ハッチに着地した。
『Mk.II!?』
「残念だけど、全員降りれると思わないでね」
『こいつっ!』
ケンプファーがショットガンをMk.II相手に構える。
ミクルは散弾をシールドで防ぐと、ケンプファーにタックルをかました。
『ぐっ?!』
「こいつは貰うよ」
ミクルが奪ったのはチェーンマインだ。
それを、格納庫の床に貼り付ける。
『やめっ──』
「点火」
次の瞬間、チェーンマインが起爆した。
「やっぱり、この程度じゃ無理か……」
『そこのガンダム』
「ん?」
『手を貸す』
次の瞬間、ガルダ級の側面がビームで貫かれた。
チェーンマインの爆発に紛れて出てきていたからいいものを……
ミクルはそう頭の中で呟いた。
『乗れ』
「ほんじゃ、ありがたく」
飛んできた戦闘機のような機体にMk.IIを乗せる。
可変モビルスーツだろうとミクルは予想した。
一方ガルダは、側面を貫かれたが、まだ墜ちる気配がない。
『まだ墜ちないのか』
「ガルダの別名は空飛ぶ要塞……それに、空挺部隊の要だから。装甲を貫かれただけじゃぁ……」
『ならエンジンはどこだ?』
「両翼、でもエンジンをわざわざ壊すなら……」
『羽を折った方が早いか』
「そう言えば、名前は?」
『日野だ。日野セツナ』
「じゃっ、やるか」
『了解』
ミクルのMk.IIがガルダに向けて飛び上がる。
それに合わせてセツナのガンダムAGE-2もモビルスーツ形態に変形し、ガルダに突貫した。
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ビームで貫かれ、黒煙を上げるガルダ。
それをチャンスと見た連合側のモビルスーツがガルダに殺到していた……が、
突然ありとあらゆる方向からビームで正確に機体を貫かれて撃破される。
『悪いがこの先に行かせるつもりはない』
それは黒いガンダムだった。
背部に円形の背負いものがある。
そして、それに次々とビットが装着されていった。
プロヴィデンスガンダム
オーパーツモビルスーツの1機だ。
『さて……次は』
『アヤカ、ガンダムが2機。ガルダに接近している』
『おやおや……』
プロヴィデンスの言葉に、パイロット──皇アヤカはガルダ級に目を向ける。
『Mk.IIに……見たことない機体だ。新型か?』
『どうやら羽を折るつもりらしいな』
『させんよ』
プロヴィデンスがビット兵器──ドラグーンを展開した。
ドラグーンによるビームの雨は、ミクルとセツナを同時に襲った。
『!?』
「オールレンジ攻撃!」
セツナは正気か!?と叫んだ。
一見すると味方ごと……しかも重要機体であるガルダ諸共自分達を撃っているようにしか見えない。
だが、そこは空飛ぶ要塞と形容されるガルダ……
ビームを平気で弾いていた。
AGE-2は持ち前の機動性でビームの雨を搔い潜る。
だが、自律飛行が出来ないMk.IIを駆るミクルは足場と回避の両方に意識を割かなければならず……
既にシールドを犠牲にしている。
シールドを失った以上、回避に徹するしかない。
だが、徐々に追い詰められていき……
「しまっ?!」
ガルダから、Mk.IIが足を踏み外した。
落下を始めるMk.IIを、戦闘機形態に変形したAGE-2が回収する。
ミクルはホッと息を吐き、目の前の敵機を見据えた。
「プロヴィデンス……アヤカ!」
『久しぶりだなミクル!』
再び2機をビームの雨が襲う。
AGE-2の高速機動で回避するが、それにも限界があった。
『流石にこれを搔い潜るのは……』
「近くにグゥルでも……いた」
ミクルの目に入ったのはグゥルに乗ったハイザックだった。
すぐにAGE-2から飛び降りる。
『!?』
「貰うよ。一生ね!」
ハイザックを蹴り飛ばし、代わりにグゥルに乗るMk.II。
落ちる心配がなくなったり、改めてプロヴィデンスを見据える。
『ふむ、数的不利か』
「プロヴィデンスは対多こそ本領の発揮どころでしょ?」
『確かに、だが……君の相手は残念ながら私ではないようだ』
「なに?」
次の瞬間、猛スピードでMk.IIにモビルスーツが突貫してきた。
メッサーラだ。
『ミクルううう!!』
「シオン!」
メッサーラがモビルスーツ形態に変形し、ビームサーベルを抜く。
ミクルもそれに応えるようにビームサーベルを抜いた。
『さて、あちらはあちらで始めたようだが……』
『お前の相手は私だ』
AGE-2も、モビルスーツ形態に変形してプロヴィデンスに襲い掛かった。
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『ストライク擬きっ!?』
「誰がストライク擬きだ!」
インパルスが抜いたビームサーベルでダガーLが両断される。
ゲヘナの機体だが、いるのは親トリニティ派らしいので遠慮はいらないらしかった。
『なら私が相手してやるよ!』
「!?」
インパルスに突貫してきたモビルスーツ……
アンナの駆るストライクEだ。
いつの間にかジェットストライカーに換装している。
『アスミ、援護は……』
「いらない!」
『そ、そうか……』
食い気味な返答にスズカは少し引いた。
とうのアンナは一騎討ちに燃えていた。
ストライクEとインパルスがビームサーベルで斬り結ぶ中、
セイバーは空挺部隊に迫るモビルスーツを狙い撃つ。
『ここは通さん』
そんなスズカのセイバーに対して、1機のモビルスーツが向かってきた。
『ガンダム?いや、違う……』
白いモビルスーツ。
ガンダムに似ているが、似て非なるものとスズカは判断した。
『ガンダムか……このGエグゼスが相手になってやる!』
『それはこちらのセリフだ』
ビームサーベルを抜いたGエグゼスに対して、セイバーもビームサーベルを抜いた。
次の瞬間、2機の機影がぶつかり合い、激しい白兵戦を繰り広げ始めた
ちょこっと解説
日野セツナ
連邦生徒会所属のモビルスーツパイロット。2年生。
乗機はガンダムAGE-2。
AGE-2の性能を極限まで引き出すことに成功し、それ以降専任パイロットになった。
AGE-1にモビルスーツ戦の諸々を叩きこまれている。
夢原アスミ
武装親衛隊所属のMSパイロット。2年生。
戦闘狂な一面がある。強敵に心を躍らせるタイプじゃなく戦闘自体が好きなタイプ。
愛機をストライク擬きと言われるとキレる。
蒲原スズカ
武装親衛隊所属のMSパイロット。3年生。
アスミは後輩。戦闘狂なアスミのブレーキ役(出来てるとは言っていない)。
皇アヤカ
親衛連隊所属のMSパイロット。3年生。
プロヴィデンスの専任で、ドラグーンを十全に操りながら本体も接近戦熟す。
普段から仮面を被っている。理由はカッコいいかららしい。
ガンダムAGE-2
連邦生徒会とミレニアムが共同で開発したガンダムタイプのモビルスーツ。
ベースはAGE-1のデータとなっており、可変にはキュリオスのデータも参考にしている。
AGE-1が基になっているので、Gウェアも当然扱える。
連合陣営ではストライクEに続く2番目のオーパーツ相当機。
Gエグゼス
連邦生徒会がAGE-1のデータを基に開発したモビルスーツ。
全身が純白と言えるほど白くカラーリングされている。
性能がかなりピーキーで、現在のパイロット以外で扱える人間が少ないらしい(そういうパイロットは大体専用機を持っている)。
プロヴィデンスガンダム
プラネット分校が発掘したオーパーツモビルスーツ。
現在のパイロットはアヤカ。
ドラグーンを装備したオールレンジ機。
一方で、白兵戦能力も高い。
インパルスガンダム
プラネット分校が旧雷帝派が持ち寄ったストライクのデータを基に開発したモビルスーツ。
ストライカーシステムに似たシルエットシステムを採用している。
なお、原作にあったユニウス条約での制限は今作にはないので……最初からモビルスーツ状態で出撃している。
セイバーガンダム
プラネット分校が開発した可変モビルスーツ。
高い機動性と火力を活かした一撃離脱戦法を得意としている。
ケンプファー
パクスが開発した強襲用モビルスーツ。
エネルギー節約のため、ビーム兵器はサーベル以外装備していない。
機動力は高いものの、代わりに防御力を犠牲にしている。
ガルスJ
パクスが開発した陸戦用モビルスーツ。
ズサと連携し、都市制圧を担当する。
バルテウス
パクスが開発した試作モビルスーツ。
リングのようなユニットの中央にモビルスーツがいるような外見をしている。
今作での分類はモビルスーツだが、ACシリーズの兵器なため、原作ではモビルスーツではないことに留意。
トニトルス級飛行軽巡洋艦
遊撃に主眼を置いた空中艦の一種。
機動力と火力の両立が図られているが、その分装甲面は弱い。
トニトルスはラテン語で雷を意味する。
ディフェンシオ級飛行重巡洋艦
トニトルスの指揮を執る空中艦。
名前はラテン語で防御の意。
ユーピテルの盾になる想定もされており、名前通りに装甲は厚い。
また、陽電子リフレクターも搭載している。