オラリオに流れ着いたのは間違いでしか無いだろう   作:Astrad

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 ネタを思いついたので書いてみました。多分この世界なら余り縛られずにイキイキとした紫音が書ける気がするので。


目覚め

 目が覚めると、見知らぬ土地に居た。慌てて探索用の魔術で地形を走査して現在位置の特定を試みるも、全く見覚えがない地形。

 

「さて、どうするかな。大気組成は変わりなく、マナ濃度も問題ない、というか神代並みかな。ただ、ここは一体どこなのか。どっかの秘境にでもさまよい出てしまったのかな」

 

 

 本当に見覚えがない以上、どこに行けば良いのかもわからない。唯一の手掛かりはこの土の道。一先ずここを進んでみるしかない。幸運なことに、虚数ポケットの中身は無事だ。つまり数か月は無補給でもなんとかなる。

 

「それじゃ、適当に行ってみますか」

 取り敢えずの方針を決め、歩き始める。願わくば、数日以内に誰かしらと出会う事を願って。

 

 

 

 

 

 数日後、私はようやく街に辿り着いた。にしても、ここは一体どこなんだ? アルビオンでしか見ないような奴を地上で見かけるし、ファンタジー小説でいう所の獣人だったりエルフっぽい種族をたまーに見かける。言葉は礼装が翻訳してくれるから問題ないが、文字が如何なるものか。

 

 まあでも、見た感じの文明レベルだと中世ヨーロッパ程度だ。最悪代筆を頼めれば問題ないだろう。礼装の翻訳機能をオフにして耳を澄ます。言語はコイネーに近いな。ただ、あまり慣れない言語だし、多分喋れそうだが取り敢えず礼装に頼りましょう。

 

 

 そして、私は検問を突破して街中へ辿り着いた。そこで、わかってしまった事が一つ。

 そう、ここはダンまちの世界で此処はオラリオという事らしい。いや、どうなっているの? どうして異世界にいるの?

 

 真っ先に考えたのは大師父の関与。すなわち第二法が関わっている可能性。ただ、第二が為せるのは並行世界移動。断じて異世界の移動ではない。

 

 そうなると神の権能か? いや、現代に神はある程度残っているものの、そんな事を行える基盤はとうの昔に消え去っているし、そんな強力な神が残っているという事を聞いたことがない。よってこれも除外。

 

 

「うーん、分からん。一体何が起きているんだ?」

 オラリオの広場にある噴水の前で頭を抱える。この原因もわからなければ解決方法もわからない事件はどうしてくれようか。

 

「いいや、取り敢えずはタイムラインの把握と食い扶持の確保だ」

 兎にも角にもまずは行動。動かなくては何も始まらないからな。取り敢えず謎を解くのは後回し、まずは状況の把握と補給を用意しなければ。 

 

 

 そして、数日が経過した。判明した事実として、未だベル・クラネルはオラリオに居ないと言う事だ。これは、豊穣の女主人と女神ヘスティアを偵察した事で判明した。

 

 にしても、ミア母さん普通に強かったな。戦闘センスも頭の回転もトップクラス。対人能力が高いし流石に市街戦だと難しい。多分代行者としても良い線行く気がする。どうしてそれを知っているのかって?

 

 

「アーニャ殿はこれを3番テーブル、クロエ殿と一緒に! ルノア殿はこれをカウンターの方に!」

 そう。私は今、豊穣の女主人で働いているのです。数日前、タイムラインの把握の為に偵察した私は見事にミア母さんに捕まりました。

 

 名誉の為に言わせてもらえば、別に逃げようとすれば逃げられたし、倒そうと思えば恐らく倒せたと思う。だが、逃げても意味がなく、寧ろ関係性が悪化する可能性を考えれば捕まったほうがましと思って捕まりました。

 

 別に悪い事はしていないし。ただ流離いの旅人であるとしか言っていない。だから普通に売り込んだ。元々料理はそれなりに出来るから暫くの間雇ってくれと売り込んだら上手く行った。ありがとうシル嬢。

 

 ただ、それはそれとして忙し過ぎる! 何で料理全て私に任せる? 出会って数日の人間に委ねて良い範疇じゃないぞ!

 

 取り敢えず酒はミア母さんがやってもらっているけどこの忙しさはおかしい!

 

「はいこれ次! シル殿とリュー殿持っていって!」

 決して腕を止めてはならない。止めれば殺される。

 そんな直感に従って必死に客席の方からの注文の声を盗み聞いて先回りして準備をしていく。早く原作よ始まってくれ。そうしたら私はヘスティア・ファミリアに転職するから……

 

 

 必死に必死に全力で料理を作り続け、そうして今日の営業が終わる。営業が終わり、雑談混じりの片付け時間となる。

 

「そう言えば、紫音殿は誰の恩恵を授かっているのですか? ミア母さんと戦えているという事はそれなりに経験を積んでいるようですが」 

「ミャーも気になるニャ!」

 フロアの方を片付けている2人から雑談がてら質問が飛んでくる。取り敢えず軽口を叩けるぐらいには受け入れられたのだろうか。

 だが、どう説明しようか。別に建御名方神の名前を出してもいいが、この世界に存在しなかったりした場合に問題が生じるからな。いいや、こう説明するか。

「別に、神様の恩恵は貰っていないですよ」

 瞬間、場の空気が凍る。

 

「は?」

「え?」

「「「「え〜〜〜〜!!!!」」」」

 

「え……じゃああの時恩恵無しで、ミア母さんと戦っていたの?」

 その問いに、鍋の手入れをしながら答える。

「そうですよ、ルノア殿。そもそも、神々のもたらす恩恵というものはその人の持ちうる潜在能力の解放を助けるものでしか無い。だから、恩恵無しでも死線を毎日のようにくぐり抜ければ自然と強くなるものです」

 

「へぇ、紫音さんはここまでにどの様な旅をしてきたんですか? 気になりますね」

 にゅっとシル殿が脇から生えてきて聞いてくる。

「おや、シル殿。ですがそれは又の機会に。後ろをご覧ください」

 紫音に促され皆が後ろを振り返る。そこには……

 

「何をしているんだい馬鹿娘共! とっとと仕事に戻りな!」

 ミア母さんの怒りが炸裂するのであった。

 

 そうして豊穣の女主人での一日は過ぎていく。




 紫音は新しい母を得た! というか、多少強引ではありますけど紫音を豊穣の女主人にぶち込みました。

 一応紫音の外見を説明すると165cm、中性的な顔立ちと黒髪のミドルティーン(20歳)。どこかのエルフの1個下ではあります。

 次回、恐らく主人公登場。紫音が暴れます。
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