オラリオに流れ着いたのは間違いでしか無いだろう   作:Astrad

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 因みに、紫音はこの時カソックコートの下に拷問死(ペイン)を着込んでいます。シエルの時と違い、かなり露出は控えめ、ベルみたいに軽鎧になっています。



探索

 昼前、私は準備をした後フィンに連れられてバベルの下の広場に向かっていた。

「そう言えば紫音。君は冒険者登録はしてあるのかい?」

「一応、ミア母さんからもらっている。名義自体はフレイヤ・ファミリアになっているけど大丈夫か?」

「フレイヤ? まあ、持っているなら問題ないか。ないかな...?」

 そんな話をしつつ、私達は目的地へと向かうのであった。

 

 

 広場に到着すると、他の者たちは既に到着しているようであった。

「遅いですよ、団長。もうクエストはこっちで決めておきましたからね。所で、そちらの方はもしや.」

 ティオネの視線、ついでに他の人達の視線がこちらに向く。となれば、するべきは一つ。挨拶だ。

「どうも皆様。先日は私と彼の決闘でご迷惑をおかけしました。私の名は蒼崎紫音。豊穣の女主人で料理人を務めている者です。本日は、フィン殿にお誘い頂いたので参加させていただくことにしました。どうか皆様よろしくお願いします」そう言って、優雅に一礼する。

 

「そうか、よろしく頼む。確認だが、獲物は何を使う?」

「状況によってではありますが何でもですね。双剣、大剣、長槍、弓と、後はまあちょっとした切り札を」

 

「弓? もしかして、あの時食人花を打ち抜いたのって君? どうやってあんな遠くから狙い打ったの?」

「えーっと、それは.」

 魔術の事をここで話すべきか、返答に迷っていると助け船が入った。

「こら、ティオナ。人の秘密を無暗に聞こうとするのはやめなさい。ごめんなさいね、私の妹が」

「いえいえ、構いませんよ。私の秘密に関してはフィンに話してありますし、後で耳が少ない所で皆様にもお話させて頂きます」

 

「一応彼には荷物運びと、途中からは戦闘に加わってもらうつもりだ。それじゃ、行こうか」

 フィンの号令に従って一行はダンジョンへと歩みを進めた。

 

 実力者しか居ないパーティ。危うい場面なんぞは全く起こらず、そのままストレートに歩みを進めていった。魔石とかのドロップ品回収は新参者である自分が率先して行った。

 

「やはり、ティオナ殿の大双刃の取り回しは流石と言ったところですね。どのくらいの頃から使われているのですか?」

「えーっとね、大体5、6年ぐらいかな。これが手に馴染むというか、これがあると落ち着くっていう感じでねー」

「あれ、ティオナさん、作り直してもらっていた武器、完成したんですか?」

「うん、二代目ウルガ、出来立てほやほやだよ~! そう言えば、君は色々使っているって聞いたけど、メインは何を使っているの?」

 

 レフィーヤの問いに答えたティオナはウルガを片手で軽々と回しながら答え、私に質問を回してきた。

「私は基本的なものとして、この双剣と大剣を使いますね。後は投擲剣として黒鍵というものを」

 腰に吊っていた双剣を取って手で回しながら答える。

「あれ、あの時に使っていたでっかい弓みたいなのはどうしたの?」

「あれは普段、私のスキルのようなもので異空間に格納しています。ご存じのとおり、あれは大きすぎて運搬するのには向かないので」

「成程ねー」

 

 そんな風に話しながらモンスターを倒し続け、進んでいると大広間に辿り着いた。

 安全地帯である18階層に辿り着く最後の難所、迷宮の孤王が出てくる空間は、ミノタウロス等のモンスターの大群のみがいた。

「成程、階層主は討伐済みと。であればさっさと片付けて行きますか。フィン、少し私も動いていいかな?」

「構わないさ。ただ、全部消し飛ばすとかはしないように」

 フィンに許可を貰い、戦闘態勢に入る。とはいえ対して強くもなく実入りも少ない為、全部をかるような事はせず、双剣を繋げた弓で何体か仕留める程度に留まったが。

 

 そうして私達は大広間を越え、その先の暗く狭い通路を抜けて光のもとへ辿り着いた。

 

 頭上から降り注ぐ柔らかく温かな光、眼前に広がる疎らな木々の森の入口。先程まで私達が進んでいた砂塵溢れる地下迷宮とは違い、清浄な空気が空間を満たしている。

 地上と見間違う程の暖かく優しい空間であるが、迷宮と地上を明確に区別するものが1つ。地上でさえ濃かったマナの濃度がここでは更に濃密になっている。

 

「美しい……」

 あちらで見ることはできない濃い神秘を匂わせる森。そこを抜ければ街がある。

 リヴィアの街。嘗てギルドが計画したものが放棄され、その計画を利用した冒険者たちが建設した美しくも無法な町。その町はいま不穏な気配に包まれていた。

 

 

 

 殺人事件、1人の冒険者が襲われ死体となって発見されたのだ。解錠薬のお陰で身元は特定された。ハシャーナ・ドルリア、レベル4の一流の冒険者だ。しかも、ガネーシャの所の。

 

 私たちは死体を検分した結果、犯人の逃走を防ぐ為に門を封鎖し、住民を全員広場に集めて検査を行っていた。私は、万が一の事態に備えて高所から逃走者を制止するようにフィンに言われ、その通りに待機している。

 

 

「うん?」

 眼下で大きく動くものを見つける。レフィーヤとアイズの2人が誰かを追っている。成程ね、怪しいものを見つけたか。だが、背丈を見るに重要参考人といったものか。

「影縫い」

 黒鍵を相手の影の予測位置に投擲する。目論見通り、標的の影を縫い留め、身動き一つとれない状態へもっていく。そのタイミングで2人が相手を捕まえたので拘束を解除し、2人が連行できるようにする。

「何をやっているんだ?」

 しかし、彼女たちは連行することはせずに寧ろ逆方向に移動している。その動きをいぶかしんだ私は、彼女たちの方へと向かうことにした。

 

 

「2人とも、大丈夫ですかってなんだこいつは!」

 私が駆けつけた時、アイズは床に倒れ伏していた。それを介抱するレフィーヤと座り込んで動けない犬人の少女。そして、床に転がっている彼女の鞄と転がっている宝玉のような物。

「あ、紫音さん! アイズさんが……」

 取り乱した様子の彼女が状況を伝える。

「レフィーヤ嬢、確認するがアイズ嬢は頭を打ったか?」

「いえ、そこの宝玉のような物を見た途端いきなりぐったりしだして……」

 やはり、これが原因か。私の魔眼も異質なものであるという情報を伝える。手に取ってみると分かった。こいつは”生きている”。中身は胎児か? そうなるとこれは卵か? 精霊のような気配がするがこれは精霊の卵? いや、それにしては相が邪に寄りすぎている。

「レフィーヤ嬢、取り敢えずこれを彼女に、気を落ち着ける作用がある。そして、そこの人」

 粉薬が入った試験管と水筒を渡して犬人の方を向く。

「わ、私は何も知らない。ただ、謎の男に運ぶように頼まれただけで...」

 犬人の少女はアタリであり、はずれであった。これ以上は情報が取れないし、魔術で無理やり抜き取るのは刺激が強い。仕方がなくため息を一つ吐いてから、連行してフィンと合流しようと判断した紫音はこの宝玉をしまおうとした瞬間。

 

 どこからか笛の音が鳴り響いた。瞬間、至る所から食人花が溢れ出て来る。

「広場まで撤退してフィンたちと合流する! アイズ嬢は先頭に、レフィーヤ嬢とそこの娘はそれに続け! 殿は私が勤める!!」

 周りに出てきた食人花を雷霆で消し飛ばし、気を取り戻したアイズ嬢を算段に付けて気迫で無理やり動かす。食人花との応戦記録はフィンから聞いた。あれは魔力の動きを察知して行使者に攻撃することで魔法、魔術を打たせない様にして来る様だ。つまり、対処できない速度で攻撃すれば問題ない。

 

 私達が撤退する為に倉庫が立ち並ぶ通りを走っていると、嫌な予感がした。慌てて飛び退く。

 その瞬間、そこに飛び込んできたのは全身鎧を着た者。

「その宝玉(たね)を渡してもらおう」

「断る」

 そう返すと、全身鎧を着た者は長剣を抜いてきた。

「主の聖名において起よ! 出血死(ブレイド)!」

 私も同じ様に大剣を呼び出して応戦する。双剣ではリーチを考えると、分が悪い。

 

 激しく刃が打ち鳴らされる。強い! 相手は上級死徒並みだ。強引に刃を跳ね上げ叩き込む。

「セイッッ!!」

 気合を入れた大上段で鎧を大きく凹ませる。相手が人間ならこれで結構な痛手のはずだが、相手は痛みを感じないかのように無視して飛び掛かり、連撃を叩き込んでくる。

 

 振り下ろされる長剣を最小の動きで防御する。決して壁を背後にしない様に立ち回りながら援護射撃を待つ。ロキ・ファミリアであるのならこのタイミング、決して逃すわけがない。

「解き放つ一条の光、聖木の弓柄。汝、弓の名手なり」

 詠唱に気づいた敵はレフィーヤ嬢の方へ向かおうとするが、それこそが私の狙い。一気に攻勢に転じ、敵の動きを縫い留める。相手は私に対して守勢に周り、詠唱を止められない。

「狙撃せよ、妖精の射手。穿て、必中の矢!」

「そのまま撃て!」

「はい!アルクス・レイ!」

 遮二無二に突破しようとする敵は、紫音の鉄壁ともいえる防御を掻い潜ることは出来ず、レフィーヤの光の矢を受け止める事になった。

 

 紫音は着弾の寸前、僅かに避ける事で之を回避。紫音に押し留められた敵は回避することが出来ず、光の矢を頭部に受けた。頭部の鎧が消し飛ぶほどの熱量と衝撃。しかし、敵は依然として健在であった。

 

 着弾によって生じた煙が晴れる。そして、眼前の敵を見据えながら紫音は先ほどとは打って変わって憎しみが籠った声で言い放つ。

「成程ね。汚らわしい魔物がこの世界にも蔓延っているか。御三方は撤退して下さい。」

「いえ、私達も戦います!」

杖を持つ魔導士が気丈に振る舞う。

「いいえ。あなた方では荷が重いし、ああいった手合いとの戦闘経験はないでしょう。退かないのであればせめて巻き込まれないように距離を取っておいてください。」

 紫音の目に映ったものは、人の姿をした魔物。悪鬼羅刹の類に等しい、人類社会の敵である。そして、私の怨敵である。

故に、紫音は全力を解放して目の前の敵に襲い掛かる。

 

「死ね」

 紫音は大剣を持ち、相手に向かって振り降ろす。魔物は長剣で防ごうとするも防ぐことは出来ない。単純な力の差で腕が粉砕される。しかしながら、腕の残骸が緩衝材となって頭部への直撃は止められた。

「クソッッ、お前のレベルは何だ。8か、それとも9か!」

「レベルなんぞに縛られるものか。我が身にそのようなものは存在しない」

 飛び退き、再生中の腕で長剣を必死に保持し懸命に攻撃をそらしながら問いかける魔物に対し、返事を返しながらも淡々と大剣を振り攻撃を加える紫音。その差は圧倒的である。

 

 そも、紫音があちら側(本編世界)で相手にしているのは常に自分より大きい存在である。長身の魔物は彼にとって膨大な経験を積んでいる対象であって後れを取らない。そして、紫音の持つ膨大な魔力によって強化された膂力は、魔物のそれを凌駕している。加えて、紫音の剣技を合わせれば、魔物に対して圧倒的な優位を取ることが出来る故に、魔物は恐怖の感情の下に逃走を図ろうとする。しかし、そのような事は出来ない。

 

 魔物の全力で振り下ろす大上段。それは一時的に紫音の膂力と拮抗し、その隙に逃げ出そうとする。しかし、その企みは失敗する。紫音の雷撃が魔物を襲う。雷撃自体は簡易的なものであり大したダメージを与えないものの、一拍動きを止められる。

 

 その隙に、紫音は大剣から双剣に切り替え、魔物を切り刻む。鎧は既に剥がれ落ち、四肢は辛うじて繋がっているものの、息も絶え絶えで誰から見ても死の一歩手前であった。

 

「さて、あなたの全てを見せてもらいますよ。神性解放、洩矢ッッ!」

頭を鷲掴み、情報を抜き出す為の呪術を行使する為に己の神性を解放しようとする紫音。しかし、その寸前でダンジョンの法則を思い出した事で解放を止める。

神性の解放を止めることができた事で、ダンジョンの怒りを買う事態は避けられた。しかし、急制動の結果バックファイアを受け止める事になり、敵を拘束する力が一瞬弱まった。

 

 

 一瞬の隙をついて魔物が逃げ出す。宝玉をくすねながら。否、それの中身は既に目覚めている。魔物は食人花の一体に向けて投擲し、胎児はそれに巣食う。

 

 胎児が巣食った食人花はみるみるうちに周囲の同族を取り込み巨大化する。丁度よいか。

「原理血戒25番、起動!」

大剣を地に突き刺し空の手に光の剣を宿す。

 

 

 その光を見た彼女達が感じた事は、物悲しさ。諸行無常を説くかの如くただ哀の感情をその光より受け取った。一体どのような経験をすればそのような思いを抱くのか、それを彼女達は知りたいと思った。

 

「之なるは星の剣。浄化の光。儚い曙光。人が歩み続ける限り、私はそれを言祝ごう。「希望示す曙光の剣(カリバー・オブ・カルヴァリア)!!!」」

 

 眩い光の奔流が、怪物を飲み込んだ。

 

 




 ちょっと思いついた事があるので、多分アポロン·ファミリアは酷い目に遭いそうです。

 紫音がレヴィスに対してガチギレしているのは、レヴィスを大体死徒みたいな存在として見なしているからです。なので、レヴィスは襲ってきた時点で抹殺対象。リミッター解除。そうなるとレヴィス程度では太刀打ちできません。お義母さん連れて来てください。

 彼が暗黒期に飛ばされた場合
 絶対悪を脅してザルドとアルフィアをベルの方に向かわせ、代わりに自分が災厄となって全てを終わらせるパターン(自己犠牲ルート)と、アストレア·ファミリアに協力しながらアルフィアとザルドを悪事を成す前に神威を発しながら説得(実力行使)して穏便に帰らせた後、暗黒期を終わらせるルートがあります。

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