大学の授業をまとめて試験勉強にするタイプのそれを小説に落とし込んでやっていけばきっと自分も後進も役に立つだろうと思って書き始める、そんなお話。   作:貞篇・咀嚼撰師

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テスト範囲出た!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
定義さえ書ければなんとかなるらしいぜ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!






は?(覚えられる気がしない)


代数学 ②

「それで今回のテスト範囲はさっきまで言ったところと全然違うんだけど」

「は?」

「まあ概要を掴む第一歩みたいな説明だったから。どういうものかは納得したんじゃないかな?」

「うーん.そう言われると全然問題ないように聞こえてくるわ」

 

 ユウ青年が引き下がると、イチゴ氏は本題に入った。

 

「今回の試験範囲は、ズバリ『極限と収束』!」

 

 

 

 極限と言われるとユウ青年には閃くものがある。

 

「極限と言われたら最強、最高の到達点みたいなもんなの?」

「まああんな感じ。でも極限↑じゃなくて極↑限↓で習ってるからちょいと違うね」

 

 ユウ青年にとってはイントネーションなんてどうでもいい。しかし同音異義どころか同音・同字異義だと流石に気にしなくてはならないだろう。

 改めて続きを催促する。

 

「まずどういう概念なの?」

 

 問われたイチゴ氏は紙を取り出し、『~』のような曲線を描いて手渡した。

 

「こういう.どういう風でも良いんだけど、関数があるとするじゃないですか」

「うん」

「えーと、この下向きの.凸の先っぽ。これがエックス軸に触れてるとするじゃん」

「こんなの?」

 

 ユウ青年はサッとその示された点に線を記した。イチゴ氏がありがと、と言いその線を更に伸ばしていく。

 

「こういうのを極地って言うんだけど.まあここまでは高校の範囲」

「知りませんが」

「数Ⅲだったらしい」

 

 ユウ青年はえずいた。そんな科目なんて知らない。知らなくていいそんなもん。

 

「中学校レベルで言うと.二次曲線ってあったじゃん」

「あー、あの放物線くん」

「アイツの頂点って.どう求めるか覚えてる?」

 

 んーっと、とユウ青年が空を見上げた。

 

「y=a(x-b)+cとかだっけ」

「正解、それの(b,c)が頂点だよね」

「思い出した、そうそうスライド移動させてそこが頂点だとかどうとかみたいな問題やってたわ」

「あれと同じことしたいんだよ」

 

 イチゴ氏はたしたしとグラフに書き足す。

 

「これの左側を消すと二次関数でしょ、だからここが頂点になってて~、それで~.」

「あーなんか分かってきたかも(五里霧中)」

「そういう感じのものを極値って言うの。頂点なんて1つでいいし」

「へ~。じゃあこの極値が2つあるときはどうするの?」

「より値が大きい方を極大値、小さい方を極小値って言うんだ」

 

 ふんす、と意気込むイチゴ氏。ユウ青年は続けて問う。

 

「じゃあ戻って、極限って?」

 

 イチゴ氏はそれを受けて、左側の極大値から下がっていく曲線のエックス軸との交点からワイ軸を生やした。そしてエックス軸に接している極値、極小値であるエックス軸上の点をx=1の点とした。

 

「こいつがこうとするよ」

「指示語過ぎて説明がガバいな」

「いーの。で、このグラフを見て、どんどん右に.定義風に言うならエックスを限りなく大きくしていくと?」

「バカデカなワイになるな」

「つまり無限大に行くよね」

「まあ、そうだな。無限とか言っちゃっていいの?」

「この時『無限大に発散する』って言います」

「無限大って公式に数学用語なの?」

 

「はい」

 

「おお」

 

 ユウ青年は純粋なまでに真っすぐなイチゴ氏の視線に気圧されてしまった。

 

 それで、と続けるイチゴ氏。

 

「じゃあさ、そういうバカデカいところからこの極小値に向かってくと?」

「ゼロになるな」

「逆にめ────っちゃ左からでもここに向かえば?」

「ゼロ」

「要するにゼロに『収束する』よ」

「ほぉー」

 

 確かに、と中学数学から本題に収束した議論を前にユウ青年は納得した。

 

「つまりこれ、無限とどっかの数字に行く、みたいな話?」

「Exactly」

「はっらたつなお前」

「ナンデ!?」

 

 

 

 

 

 咳払いののち、話がテスト範囲へと移る。

 

「概念としては理解したがどうやったらそれをテストに出すのか分からん」

「ここからがマグマなんです」

「そういうこと言ってるから誰にも見向きされないんだぞ」

「.」

「ガチめに沈むなよ」

 

 咳払いののち、改めて話がテスト範囲へと移る。

 

「これを定義していくのぜ」

「そういうこと言ってるからハブられるんだぞ」

「.ズビ」

「静かに泣くなよ」

 

 咳払いののち、今度こそ話がテスト範囲へと移る。

 

「数列ってものがあります」

「数列」

「本当にこれはなんでもいい。数字がいっぱいある列ね」

「これは被ってもいいんか?」

「そういうの全くない。クソデカとかあってもいい」

「じゃあ.うーん思い付かんわ。例にし易いだろうし自分で説明し易いもんを作ってくれ」

 

 イチゴ氏は先程の鼻水の残りをティッシュで拭き取りながら、適当な点を先程の座標軸に取った。それは注ぎ口を右にした漏斗に近い形状だ。

 

「まずイメージで、これってこの真ん中の値に収束しそうじゃない?」

「そうだな」

「するって考えて良いとしよ。じゃあ収束するとしたらどうしたらいいと思う?」

 

 ユウ青年が顎の先に手を添えて、考えていく。

 

「これは本当に素人意見だが、この.なんだ、どこに収束するんだこれ?」

「適当な決め方でいいよ。文字でもあり」

「じゃあ数学で使いそうなαにしよう。αになる条件を.」

 

 んー、と悩むユウ青年。イチゴ氏はあ、と思い出したように伝える。

 

「収束するっても別にその値になるわけじゃなかったりするよ」

「は? どういうこと?」

 

 イチゴ氏は図にグラフを描いた。エックス軸は負、ワイ軸は正のまだ何も描かれていない領域である。

 

「このグラフはY=-1/xのグラフだねぇ。このグラフで考えてみようよ、左にかっ飛ばしていくとどうなる?」

「ゼロに収束するんだろ?」

「そうだね。でも別にゼロになるわけじゃないよね?」

 

 眉をひそめたユウ青年。イチゴ氏が例を出した。

 

「まあ1/xの方が分かり易いか。グラフは交わっちゃうからマイナス付けたけど。1/xってことは、ピザを数人で分ける時の一人頭の量を考えるといいよ」

「ピザを分ける?」

「ん。ここの2人で分けると半分ずつじゃん。お友達を一人呼ぶと、一切れの大きさはどんどん小さくならない?」

「あー、せやな」

「でしょ? で、ここに太陽くらい大きいクソデカマルゲリータがあるとするけど、これを全人類で分けるなら数十億分の1になるよね」

「おお」

「でも1人には細長いとはいえ1つは絶対食べれる。絶対ゼロじゃないけど、もうゼロでいいじゃん! みたいなこともあるんですわよ」

「なるほどな。戻ると、αに近くなるけどでも絶対αには行かない、みたいなことなのか」

「そういうことです!」

 

 ユウ青年は左側に描かれた曲線のグラフの向かう先に、αという文字を幻視することにした。議論するのは同じことだ、だったらより自分に分かり易いもので見るべきである。

 

「もしかしてαに近くなるってことはこの間にαがあるってことなんじゃないか?」

「ほうほう」

「なんだ.この点の間にαが存在するから、それを示せれば良いんじゃないのか」

「いいじゃないですかせんせー!!!!!!!!!!!!!!!!! 1」

「もう少し黙れ」

「ぶ゜ぐヴ゜ィ」

 

 脳天にチョップを叩き込まれ、イチゴ氏は地に伏した。巨悪はここで滅びる。

 

 閑話休題。

 

「かなりいい線行ってたし、定義を言うね」

「おう。これが本編なんだよな、早く言えよ」

 

 

 

 

 

 

 

「ある正の数εに対して任意の整数Nが存在して、nがN以上の時にAn-αの絶対値がε未満である、この時にこの数列Anは収束する」

 

「はぁ? 日本語でおk」

 

 ユウ青年は諦めてペンを投げた。




まだ収束の定義、つまりεーNまでしか書けてない。

やばい。期末100%とか本当にいかれてる。




ゼッタイコロスワ
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