果てしなき戦争の行く末に   作:快晴Ⅲ

1 / 2
第一話

この世界は、どこに向かっていくのだろうか。戦争は、一向に終わらない。戦争が始まって、どれほどの時間が経ったのだろうか。どれだけの被害が、出たのだろうか。人類は、揺れ動いている。不安と恐怖に。この海を取り戻すことは、できるのか。否、過去がすべてを物語っている。深海棲艦との戦争が始まって、すでに500年が過ぎた。艦娘、そして艤装。この二つの存在は、この世界にとって、あまりにも異質過ぎた。人類は進化をやめ、すべてを戦争につぎ込んだ。資源も、金も、明日も。すべては、戦争に勝つために。一向に発展する気配がない、艦娘と彼女たちが背負う艤装に。技術革新は停止し、今の維持で精一杯な世界で生き抜く。人間は歩みをやめ、明日の命も祈る。戦線はすでに形骸化し、複雑に入り乱れ、制空、制海権の概念すら、消滅しかけている。この、すべてが止まった、果てしなき戦争を・・・

 

「おい、夏月風。」

「はい。」

「出撃だ、ここに行け。」

「分かりました。」

 

準備のために歩いていると、声を掛けられた。

「あ、夏月風ちゃん!また出撃?」

改大鳳型航空母艦である赤龍型の二番艦、白龍。・・・おそらく、この鎮守府で一番強い。

「そうですね。まあ、今回は近場ですから、すぐに帰ってきますよ。」

「そう・・・気を付けてね?まったく、なんであの提督はあんなに夏月風ちゃんもことが嫌いなんだろう。」

「私の維持自体、結構な負担になりますからね。装備の互換性はほとんどありませんし、専用装備も多いですからね。そのための生産ラインがあるくらいですし。それが工廠のスペースを圧迫していますし、仕方ないですよ。後は単純に、私の練度が全く上がらないからでしょうね。」

「練度ばかりを気にしなくてもいいのに・・・。実際、すごい強いんだから。」

「この鎮守府は練度至上主義のような雰囲気がありますからね。建造されてすぐの方たちはさすがに気にしなくてもいいですが、私は16年経っていますからね。一年も経てば、早い方なら50を超えますが、私はいまだに17です。下にみられても仕方ありません。」

「私からも言っているのだけど・・・。」

「いえ、白龍さんの手を煩わせるようなことではありません。ありがとうございます。では、そろそろ。」

「ええ、気を付けてね。」

今回の目的地は硫黄島。すぐに終わる。明後日には帰れるかな。

***

出撃から23時間後

「そろそろですね。全艦、敵艦隊に警戒。」

硫黄島の西側を通過しつつ、速度を落とさずに警戒する。

来ましたね。ソナーに反応、正面12時の方向、潜水艦2隻。右舷4時の方向、同じく潜水艦2隻。

「主砲、対潜迫撃砲装填。」

正面に2機、後部に3機の主砲をそれぞれの目標に向ける。

「主砲、発射」

砲撃音とは違う、比較的軽い音がして、正面に6発、右舷に9発、放物線を描いて飛んでいく。着水。小さな水柱が立った少し後に、海面が白く染まる。爆発音が消え、再びソナーで聴音を開始したが、特に音はしなかった。

「撃破できましたね。」

これだけではないでしょう。わざわざ私を派遣するということは、私を沈められるだけの戦力がいるということ。警戒していきましょう。

***

次の日 12:20

「夏月風、ただいま帰投しました。」

「そうか・・・。はぁ、分かった。もういいぞ。」

あからさまに不機嫌そうにしている。こっちまで気分が悪くなります。最近は不満を隠さなくなってきました。味方に沈められる可能性も出てきましたね。

あの後、艦隊と遭遇し、交戦をしましたが、結局大した敵はいませんでした。あの程度で沈められると思っているのでしょうか?だとしたら、実力を過小評価されているようで嫌ですね。まぁ、認められてもうれしくはありませんが。さて、艤装の整備をしますか。

「あれ?夏月風じゃん。」

「どうかしましたか?」

「いや?また出撃したんだって?いやー、夏月風は練度が低いからさ、沈まないか心配になって。良かったな。で、これから訓練なんだけど、行くか?相手になってやるぞ?」

「それはありがたい申し出なのですが、申し訳ありません。艤装の整備をしなければならないので、断らせていただきます。」

「へぇー。いいのか?そんなんじゃ練度は上がらないぞ?」

「それはすでにあきらめています。建造されて16年。最初のうちは大本営で毎日動けなくなるぐらいやっていましたが、まったく上がりませんでしたよ?これはもう、特異体質のようなものでしょうね。」

「そうやって言い訳してるからだろ。ま、お前がそういうんだったらいいけどさ。じゃ、弱いまんま過ごしててくださいな。」

はぁ、無駄な時間を過ごしましたね。どうやって受け答えるかなんて考えていませんが、気が滅入ります。さて、早く行きますか。

 




皆様、初めまして。私は、最新鋭技術実証実験艦、駆逐艦夏月風、と申します。以後、よろしくお願いします。実証実験艦艇、これは、一向に技術が発展しないこの世界で、128年ぶりに建造された艦艇とのことで、どうやら、私のほかにも、後1隻いるようですが・・・、お会いしたことはありませんね。私は大本営、もう1隻の方は呉鎮守府で、それぞれ建造されたようですが。では、第一話はそろそろ。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。




一応言っておきますが、私は男性ですよ。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。