果てしなき戦争の行く末に   作:快晴Ⅲ

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第五話

5年後

本土に再び、艦隊が迫ってきている。その迎撃のために出撃準備をしていて、今は編制を発表しているところだ。練度は最近、ようやく20を超えたことが分かった。もちろん、誰にも言っていませんが。

「おい!夏月風、聞いてるのか!」

「はい。」

「お前は白龍の護衛艦だ。いいな?」

・・・はぁ?え?・・・え?なぜ?

「・・・了解。」

なぜ?練度が20未満の者は、こういう時は原則出撃しないことになっている。確かに最近、練度を計測したら、20を超えてたけど、報告は一切していないし。本当に、なぜ?

***

・・・戦闘が始まって2時間。これまで何をしたかといえば・・・、何もしていない。ただただ、海上を航行してるだけ。時々白龍さんの後ろについて、トンボ釣りをやるけど、着艦に失敗するような練度ではないし、とにかく暇ですね。

「どうしたの?」

「空母護衛艦は、暇なんだなぁ、と思っていたところですよ。海上に出てこれまで、何もしていませんから。」

「まあ、空母は最前線に出るわけじゃないし。私も装甲空母だけど、今のところ前線基地としての運用はしてないし。」

「そもそもなんで練度が低い私が、こんなことをやっているんでしょうかねぇ。」

「?20超えたんでしょ?なら何も問題ないじゃない。」

「・・・誰にも報告していないはずなんですけど。」

「私のことを何だと思っているわけ?私はここの艦隊総旗艦であり、提督秘書艦なのよ?全員分の練度の数値ぐらい確認してるわよ。それに、たとえ報告しなかったとしても、あの装置に記録は残るからね。」

「なぜ私があなたの護衛艦に?提督がそんな配置をするわけないでしょう。」

「私が頼み込んだのよ。この鎮守府で、一番信頼してるのは夏月風ちゃんだから。提督、いやな顔してたわよ。」

「周りがうるさくなるのですが。知っているでしょう?私が、この鎮守府で一番嫌われているということを。」

「いいじゃない。私が対応してあげるわよ。それに、私が夏月風ちゃんの良さを広めてあげるわよ。まったく、そんな仏頂面なんかしてたら、せっかくの可愛い顔が台無しになっちゃわよ?」

白龍さんが、顔を覗き込んでくるが、私は別の方向に顔を向けていた。わずかに聞こえる、水を切る”音”の方向へ。

「二時の方向、潜水艦。対潜水艦戦闘準備。」

主砲を全門指向し、対潜迫撃砲を装填する。

「距離12、深度35、信管調定。」

「進路変更、回避機動に移る。」

「主砲、撃て。」

砲撃よりも軽い音が鳴り、煙を吐きながら飛翔していく。距離は12km、ある程度時間がかかる。

「着水まであと5、4、3、2、着水、今!」

迫撃砲弾の着水を確認して、少ししたら水柱が立った。

「爆発、来ます。」

爆発の衝撃波が水中を伝って、足元を通り過ぎる。そして、水の流れを、わずかに変える。爆発が収まったら、再び聴音を開始し、注意深く音を探す。これまで聞き続けた、二種類のスクリュー音とは違う音を探す。自分と白龍さんのスクリュー音が聞こえる。それ以外の音は・・・どうでしょうか。神経を研ぎ澄まし、聞き続ける。他の音は聞こえない。それを確認し、双眼鏡で、着水地点付近の海面を見る。そこには、破片のようなものが海面を漂い、光を反射している。

「敵潜水艦、撃沈しました。」

「流石ね!やっぱり夏月風ちゃんは速いわねぇ!」

「喜ぶのは早いですよ。今の潜水艦がどこから侵入してきたのか、それがわかりません。もし、周辺の艦隊の迎撃をすり抜けてきたのだったら、他にもいる可能性が。」

それを聞いたとたんに、白龍さんは表情を曇らせ、風上に向けて進路を変更、偵察機を3機飛ばした。それから数十分後・・・

「こちら白龍偵察機、伊豆半島沖に、敵深海棲艦の別動隊を発見!その中に、強化型の戦艦を1隻、駆逐艦を2隻確認しました!」

空気が凍り付く。

「全艦、急いで反転、鎮守府に戻って!」

 




こんにちは。白龍さんを護衛中の夏月風です。強化型が3隻ですか・・・。なぜ急にこんな群れたのでしょうか?3隻は、流石に私の手に負えません。どうしましょうか。強化型に対抗できる方たちは基本、鎮守府から離れてしまう。かといって、航空攻撃は、対空砲火が激しすぎて、まともな効果が期待できない。つまり、横須賀鎮守府最強の白龍さんですら、何もできない状況なわけですよ。本当にどうしましょうか・・・。
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