果てしなき戦争の行く末に   作:快晴Ⅲ

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第六話

通信機から声が聞こえる。

「第67、68駆逐隊は全力で戻り、迎撃を行え。時間稼ぎでいい。主力が帰るまで持ちこたえろ。」

どうやら、足の速い島風型で構成された駆逐隊で時間稼ぎのようですね。

「どうするんですか?確実に沈みますよ。彼女たち。」

「そうね・・・。夏月風ちゃん、行って。」

「いいんですか?孤立しますよ?」

「私なら一人でも大丈夫よ。」

「そうですか。もし、沈んでも、責任はとれませんよ。」

「ええ、構わないわ。自分の身は自分で守る。」

「そうですか。では・・・、機関、一段目の安全装置を解除、全速前進。」

機関全開、最大船速。急加速する。そして、すぐに50ノットに達した。

「30分で50kmですか、ちょっと厳しいですね。」

約20分後、正面に八人の人影が見えてきた。

「こちら夏月風、今から貴艦隊を追い越す。注意されたし。」

島風型の艦隊、速度40ノット。私は50ノット。追いつき、そして追い越す。

「え⁉」「はや!」

そんな声もすぐに遠ざかる。

「敵艦隊、三浦半島南端まで50km!」

間に合いませんね。やりたくないですが、やるしかありません!

「機関、二段目の安全装置を解除!危険値運転、開始!」

危険値運転。魚雷用の純酸素生成装置とガスタービンをつなぎ、燃料の投入量を増やして、より高温、高圧にする。これにより、さらなる高速化を狙える。ただし、機関そのものを破壊しかねない、非常に危険なものでもある。

「速度51ノット、・・・52ノット、・・・53ノット、・・・54ノット、・・・55ノット。最大船速に到達。」

船体が浮き上がりそうになるのを、水中安定翼を操作して、何とか抑える。波にぶつかって、船体が悲鳴を上げる。減速器やスクリュー軸が破壊されそうになるのを、何とかこらえる。艤装と自分の体をつなぎ、無理やり連動させ、船全体の動きを早くする。

自分と艤装のつながりを強化しろ。そうでもしなければ、一瞬で壊れるぞ。集中を切らすな。船を、動かせ。頭が痛い。視界がゆがむ。敵弾警報が鳴る。見つかった。奇襲はもうできない。砲弾は遥か後方に直弾。この速さについてこれてない。すると、すぐ近くに砲弾が落ちた。強化型か。本当に厄介だ。だが、こちらも射程圏に入る。

「敵艦隊発見。攻撃を行う。」

一瞬で艦隊に肉薄し、主砲を連射。すぐに反撃してくる。他の雑魚にはかまうな。実質的な3対1。2隻の間に入り込み、誤射を誘発させるように動く。だが、敵もすぐに動いて、射線を確保する。駆逐艦から少しでも離れると、戦艦からの砲撃が飛んでくる。高度な連携を取り、数的有利を確実なものにされる。早くひとりを無力化しなければ、負ける。近くに砲弾が落ちる。ここしかない。わずかに、動きを緩める。その瞬間、大量の砲弾が降り注ぐ。それを、装甲板を傾斜させながら、致命傷を避ける。

「これで、乗ってくれなかったら、どうすれば・・・。」

体力も、艤装も、限界だ。ここで何もできなければ、終わる。だが、その心配は杞憂に終わった。確実な撃破を狙うために、1隻が接近してきた。狙い通り。腰の刀に手をやり、構える。そして、走り出す。抜刀。同時に砲撃。体が衝撃に襲われ、目の前が爆発する。結果は・・・、確かめている暇なんてない。すぐそこに、戦艦砲が着弾し、吹き飛ばされる。海面に着地、そしてすぐに飛び上がる。次々と、着弾する。それを、飛びながら、左右に揺れながら回避する。気づいたら、駆逐艦に肉薄されていた。とっさに刀を構え、攻撃を防ぐ。そして、吹き飛ばされる。おかげで、戦艦の射線から、一瞬だけ外れる。体勢を立て直したら、すぐに戦艦に肉薄。飛んで来る砲弾を躱し、弾き、撃墜する。

「左魚雷戦、開始!発射!」

魚雷を15本。直撃する寸前に破壊される。やはり、この駆逐艦が先か!せめて砲撃を行い、副砲を破壊する。すぐさま回頭し、距離を取る。周囲を見渡し、駆逐艦の強化型が1隻しかいないことを確認。

「これで、あの1隻に集中できますね。」

すぐに追ってくる。休ませてはくれないらしい。砲撃しながら後退。進路上に時限式の爆雷を投下して、足止めをする。爆雷の爆発を回避したところを砲撃。すべて躱される。正面の戦艦が光った。すぐに横に飛ぶと、近くで爆発。そして、駆逐艦が肉薄してくる。白兵戦にもつれ込む。すべての攻撃を防がれ、すべての反撃を防ぐ。お互いの距離がわずかに開く。すぐさま振りかぶって、距離を詰めてきた。体勢を低くして吶喊する。蹴りが飛んできたが気にしない。刀を突き立て、ぶつかりながら相手の体を持ち上げる。そのまま押し倒し、一度刀を抜いて、一振り。首を切り落とし、ゼロ距離射撃。大爆発に包まれた。残るは戦艦だけだ。そう思った時、凄まじい衝撃が体を襲った。

「大丈夫・・・。当たってはいません・・・。」

早く、立ち上がれ!立たなければ、死ぬぞ!

だが、体は言うことを聞かない。動けない。限界が来たか。破口から海水が侵入し、大爆発。

「あぁ・・・ここまで、ですか。」

波と爆炎の切れ目から、第67、68駆逐隊が見える。ダメですね。何もできていない。現在、日本最多の艦娘戦力を擁する横須賀鎮守府でも、強化型に対抗可能な存在は一握りしかいない。そこに、さらに最悪な光景が映った。

「・・・あれは・・・強化型?」

なんと、さらに1隻、強化型の軽巡洋艦がいた。

 




なぜ、ここまで最悪なことが重なるんでしょうかね・・・。
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