果てしなき戦争の行く末に   作:快晴Ⅲ

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第七話

「なぜ・・・、戦闘前に確認したはずなのに・・・。」

島風型8人のうち、3人がたちまち爆発し、海面に倒れる。あれはもう、戦闘じゃない。蹂躙だ。

「立ち上がりなさい・・・夏月風。そして、守りなさい・・・仲間を。」

排水ポンプを無理やり動かして、侵入した海水を抜く。そして、立ち上がる。視界が揺らぎ、全身がきしむ。スクリュー軸はまだ破壊されていない。機関も、まだ動く。

「夏月風、参る。全艦、最大船速。」

「何だ、お前、まだ立ち上がるのか。」

「・・・ぇ?」

右から、何かが近づいてくる。ダッキングで躱すと、さらに近づいてきた。蹴られる。そう思い、咄嗟に抜刀。確かな手ごたえは感じたが、右頬を蹴られた。骨が砕けるような感覚を覚えながら、右側を見る。さらに1隻、新たな強化型が。感じた手ごたえは、敵の装甲板だった。

重巡洋艦ですか。もう、あまりにも荷が重すぎる。笑ってしまいます。

「なにを笑っている?」

「いえ、つくづく運とタイミングが悪いなぁと。」

「ははっ、そうだな。そんなボロボロになって、さらに強いやつだもんな。じゃ、さよなら。」

至近距離での砲撃。普通はよけられるようなものではない。それを、砲弾で破壊し、できなかった分は刀で信管を破壊しつつ、弾き返す。その爆発に紛れ突進。普通は生き残れるはずがない状況。だからこそ、奇襲ができる。だが、強化型はそんな甘いものではない。その奇襲に完璧な対応を見せた。距離を取り、刀を防ぐ。私の腕は、簡単にはじかれる。なぜなら、刀を握っているのは片手だからだ。もう片方には、閃光弾。手を前に差し出し、起爆させる。目をつむったまま、刀を敵に当てながら後ろに回り込み、大きく振りかぶる。あらかじめつむっておいた左目を開けて、首に狙いを定め、振り下ろす。そして、防がれた。

「目をつぶしても、俺はお前の位置がわかる。」

「あなたはよくしゃべるんですね。」

「よく言われるさ、お前はうるさいってな!」

振り下ろした刀が弾き飛ばされた。ああ、もう、ダメだ。視界が闇に包まれ、すべての意識を失った。

 

***

 

「間に合った、とは言えない状況ですね。主砲、最大仰角。目標、深海棲艦強化型。撃ち方用意。」

 

***

 

この駆逐艦?いや軽巡か?まぁ、こいつはとんでもなく強い。こいつと戦って沈んだ駆逐艦は、俺らの艦隊の中では相当強い。それを戦艦含め、3対1の状態で、2隻も沈めた上に、立ち上がっていた。最初こそ、戦闘には参加しなかったが、流石に介入した。それほどまでに強い。ここで仕留めれたのは良かったな。単独で来たのは幸運だったかもしれないな。

「さて、残っているやつと合流するか。」

そこで気が付いた。何かが高速で飛んでくる。砲弾か⁉友軍艦艇が近くにいる状況で撃つかとも思ったが、間違いなく砲弾だ。加速し、進路をずらす。そして、さっきまでいた場所に、恐ろしいほど正確に着弾した。

「どこからだ!」

「とらえた!射程圏外から撃ってきてる!」

射程圏外、ということは・・・40km以上⁉そんな距離からこんな正確に直撃させるのか⁉そして、また砲弾が。針路を変え、回避はしたが、これも恐ろしい精度で着弾した。

「やべえな。気づくのが少しでも遅れたら沈むぞ、これ。」

 

***

 

「全弾外れ。」

「気づかれていますね。全艦、全速全身。近距離戦を仕掛けます。」

「その前に知らせておけ。」

「そうですね。」

機関の出力を上げていき、速度を上げる。

「呉鎮守府提督の命により、横須賀鎮守府の救援に参りました。巡洋戦艦甲斐駒、これより攻撃を行います。」

最大船速にはすぐに到達した。そして、すぐに軽巡洋艦と接敵する。

「右舷副砲、射撃開始。」

上部構造物側面に大量に設置されている副砲で砲撃を行う。

「主砲砲撃用意、目標、敵強化型戦艦、撃ち方始め。」

3基9門の60口径17in三連装主砲、一斉に火を噴く。敵戦艦は回避行動を見せる。そして、着弾する前に、予想進路に向けて第二射、さらに第三射を行う。第一射は回避されるも、第二射、第三射は一部が直弾。座標を修正し、第四射を放つ。これが、敵の弾薬庫を打ち抜き、爆発。左右からはそれぞれ軽巡と重巡が迫る。どちらも強化型。そして、厄介なのが、重巡洋艦の方だ。こちらのほうが練度が高い。だから、軽巡洋艦の方を先に対処する。

「右舷前方魚雷発射管開け。魚雷発射。主砲は照準と装填が終わり次第砲撃せよ。」

薄く白い航跡を残しながら魚雷が進んでいく。当然ながらよけられる。そして、砲撃。時限信管を設定した榴弾。それを目の前で爆発させ、光を破片で視界をふさぎ、電探の類を破壊する。そして、副砲による集中砲火。

「これで2隻目。あと1隻ですね。先ほどからずっと砲撃してきて、集中できませんでしたよ。」

主砲を一気に旋回して、砲撃。火を噴いた瞬間に重巡が横に飛ぶ。砲撃から着弾まで、わずかな時間差がある。やはり機動力が高い。第二射第三射と撃っても、まったく当たらない。敵弾警報が鳴る。体をひねり、回避に努めるが、距離が近すぎて着弾。衝撃で体が揺さぶられる。撃沈し損ねていたあの戦艦。まだ撃ってきている。ダメージコントロールに成功したのか。敵重巡が撃ってくる。重巡砲程度、直撃しても大したことはないが、通信系統や電探類、副砲群にあたると面倒なことになるので、防御姿勢を取り、装甲板で防ぐ。反撃を、と思った瞬間、敵重巡が魚雷を撃っているのが見えた。何本もの白い航跡が、まっすぐ伸びてきている。

「副砲は照準を魚雷に!最優先で破壊しなさい!」

だが、副砲が砲撃を始める前に、次々と爆発した。重巡と同時に。重巡が顔を向けた先を見る。そこには、大破して倒れこんだ駆逐艦の姿が。視線を重巡に戻すとそこには、大量の白い航跡が。まさか、大深度魚雷⁉当たったら奇跡と言われるほど扱いが難しいあの魚雷が、次々と当たり、水柱を上げていく。あれは沈む。そう判断し、生きていた戦艦に砲撃、念のため重巡にも砲撃。すぐに駆逐艦のもとに向かう。かなり沈んでいる。突然、大爆発を起こした。これだけ浸水しているならば、水蒸気爆発の可能性が高い。その後も連鎖的に爆発している。一体どんな状態であの魚雷の調整と攻撃をしたのか。

「大丈夫、とはいいがたい状況ですね。早く引き上げなければ。」

海中に手を突っ込み、一気に引き上げる。水を吐き出させ、呼吸の確認をする。問題なし。

「呉鎮守府所属、巡洋戦艦の甲斐駒です。大破艦1隻を保護しました。非常に危険な状態です。寄港の許可をお願いします。」

「許可する。近くまで来たら通信を入れてくれ。誘導する。」

「ご協力、感謝します。それでは一度。」

 




さて、皆さん初めまして。呉鎮守府所属、最新鋭技術実証実験艦艇、巡洋戦艦甲斐駒です。今回は、夏月風さんが以内ということで、私が代わりにあとがきを務めるのですが・・・なぜ、初登場のキャラにやらせるのでしょうか?まぁ、今回の話の中で、まともに登場したのは私だけですけども。さて、一瞬だけ出てきた兵器、大深度魚雷について軽く解説しましょうか。大深度といっても、水深100mよりも深い場所を進むようなものではなくて、艦艇用魚雷の中では、比較的深い場所を進む、というだけです。主に、潜水艦を相手にするときに使います。魚雷が進む深さを調整して、そのうちの深いところを進むようにしたものの事を区別していっていますね。まずこれは、水上艦艇に対しては使わないのですが、魚雷の航跡が非常に見えづらいという利点があるんです。そのため、ごくまれに水上艦艇相手に使われることもあります。ただし、普通に使ったら船底の下を通ってしまうので、タイミングよく、魚雷の水深を上げるように設定しないといけないため、当たったら奇跡、といわれるほど、当てるのが難しい兵器となっているのです。これをほとんど直撃させた夏月風さんっていったい・・・。

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