世界最強級の魔力を持つ魔法少女と、魔力ゼロの俺 ~彼女を補佐できるのは俺だけだった~ 作:青井風太
「でも、ばぁちゃん」
遥はふと顔を上げた。
「教室で俺の決闘を止めなかったってことは……勝つ可能性が完全にゼロってわけじゃないんだろ?」
ババ様は少しだけ目を細める。
「……本当に、お主は妙なところだけ鋭いのぉ」
「否定しないって事は……」
「そうじゃな。可能性だけで言えば、ある」
ババ様は小さく息を吐いた。
「ただし、それはエドワードが固有魔法を使わない事が前提じゃ」
「……」
「そして、あやつがそれを使わぬ理由などない」
「そりゃそうだよな」
遥は腕を組む。
「つまり、魔力纏いだけなら可能性があるって事か……」
「そうじゃ」
「そしてその可能性があるとするならばお主じゃ――遥」
「……お、俺!?」
その言葉に、遥は思わず自分を指差した。
「もちろんエルミナも必要不可欠じゃ」
「じゃが、大前提として、お主がエドワードの動きへ対応できるようにならねば話にならん」
「ど、どういう事?」
「お主の吸収の魔法でエドワードに触れるんじゃよ」
「そうすれば魔力纏も崩せる」
「また纏い直されようとも、一瞬の隙は必ず出来る」
ババ様は真っ直ぐ遥を見据え、続けた。
「その隙に魔法を叩き込めば勝機はある」
「そしてその魔法は当然――」
「私の長文詠唱ですわね……おばぁ様」
そう告げたエルミナの方へババ様は体を向ける。
「そうじゃ。固有魔法をどうこう考えるのはその先じゃ」
「まずは可能性のあることから身につけて行くぞ」
ババ様は一拍置き、二人を真っ直ぐ見据えた。
「猶予はたった二週間じゃ。」
「エルミナは長文詠唱を。」
「遥はエドワードの動きへ少しでも対応できる反応速度を身につけるんじゃ。」
そこで、それまで静かに話を聞いていた樋川が、おずおずと口を開いた。
「ババ様」
「なんじゃ、萌花」
「私は……何か手伝えることはありませんか?」
その問いに、ババ様は待っていたかのように頷く。
「無論、そのつもりじゃ」
「遥の修行、お主にも協力してもらう」
「私もですか?」
「うむ」
ババ様は静かに笑った。
「遥を鍛えるには、ワシの魔道具を使う予定じゃ」
「じゃが、あれは燃費が悪いのが欠点でな、普通の魔法少女では、連続稼働が厳しいんじゃ」
樋川は少し驚いたように目を瞬かせる。
「……だから私の魔力で。って事ですね」
「そういうことじゃ」
「萌花ほどの魔力量があれば、修行には申し分ない」
「遥を鍛えるには、お主の協力が必要不可欠じゃ」
樋川は真剣な表情で頷いた。
「分かりました」
「わ、私も出来る限り協力します!」
「うむ。頼りにしておるぞ」
遥は腕を組みながら唸る。
「火力ねぇ……」
そして何かを思いついたように顔を上げた。
「こんなことなら樋川も入れて三対一の決闘にすればよかったな」
「無理に決まってますわよ」
エルミナは即座に否定した。
「それでは決闘になりません」
「え?そうなの?」
遥は首を傾げる。
「格上相手なら二、三人くらい助っ人呼べるもんだと思ってたんだけど……」
「だって前の決闘だって俺と樋川の二対一だったろ?」
エルミナは呆れたようにため息を吐く。
「貴方、本当に理由を知らずに参加しておりましたの?」
「何が?」
「貴方は戦闘員ではなく、補佐要員として決闘へ登録されていたんですの」
「……だから?」
「要するに、補助魔道具と同じ扱いですわ」
「なっ!?」
遥は勢いよく立ち上がる。
「俺、道具扱いだったのかよぉぉ!!」
樋川は吹き出しそうになりながら肩を震わせ、ババ様は額へ手を当てて小さくため息を吐いた。
読んで頂きありがとうございました。
解説続きで申し訳ないですが、また見に来てもらえると嬉しいです。