どうも、ハリーの伯母のペチュニアです。 作:Ψ( 'ω'* )
次回はハリーを出すかも出さないかも。
※オリキャラがガッツリ出て来ます。
sideリーマス
君を想うのは皮肉にも見るのが怖いと思っていたあの満月だ。毎日薬を飲んで満月毎にスネイプが実験と称して体調の有無を確認しに来る。この脱人狼薬を飲み始めてから徐々に人狼化する時間が短くなっているんだ。
今では3分の2程度の時間で元に戻っていて来年のクリスマス後には完全に戻るとスネイプに言われたさ。意識もいつも通りで会話も出来ているし月を見てももう誰かを無意識に傷付けることもない。どれだけ望んでもきっと君と出会わなければ叶うこともなかった。
私も幸せになっていいのだと、人狼だと知りつつ怖がらず普通に接してくれて。暖かな安らぎを両親以外から貰って。君の隣に居るのは凄く心地がいいんだ。
そう遠くない未来で君とちょっぴり好きになりそうな月を見ながら二人だけの小さなお茶会をしてみたい。こんな我儘すら後少しで叶うんだ。感動すら覚えるよ。
「ペチュニアを狙うのは構わんが不幸にしたら貴様を引き裂く。それだけは覚えていろ」
「・・・君ってリリーの事だけしか愛してないと思ってた」
「恋愛的な意味で言ったのならばそれは間違いではない。だが親愛としては吾輩にとってペチュニアは姉の様な存在で大切ではある」
「そっか。じゃあ私は君の兄の様な存在になるのかな」
「巫山戯るのも大概にしろ。無駄話が過ぎたな。吾輩はホグワーツ戻る。呉々も薬を飲み忘れる事の無いように。彼女の為にも」
そう言って姿くらましで消えたスネイプ。昔は殆ど関わりも無かったのに今では実験としてだが少しばかり話せる仲になった。彼女と居ると少しばかり視野が広がるんだよね。有難いことに。
嗚呼早く君に会いたいよ。ご飯を一緒に食べたい。長持ちする料理も嬉しいけどやっぱり一人は寂しいや。君と食べるご飯は冷めていても心が暖かくなるんだ。チョコレートを食べる時とと同じ幸せな味で。
再び月を見上げ物思いにふける。けれど毎月、毎年の感情とは全く別物で。これからは満月の日も楽しい思い出が増えると思うと心が踊る気分だ。
sideリーマス終
今は満月で私はパブで旧友と飲んでます。一人だったからね。先に酒飲み後の料理は作って置いたわ。今夜は激辛麻婆豆腐。酒を飲んだら辛いものが食べたくなるのよね。何故か英国人として転生したら皆そうなのかしら。
三杯目のウイスキーを飲みながらゆったりと話してるんだけどなんと聞いて驚いた。旧友アルフレッドはコワルスキーベーカリーの常連客だという。ハリー・ポッターの世界とファンタスティクビーストの世界は繋がってるものね。そりゃあ有るか。
流石に創設者のコワルスキーさんは天寿を全うなさったと旧友は言ってた。それでも店が続いてるのは凄いと思う。変な形のパンが大好物らしい。米国らしいわね。興味本位だけど一度買いに行こうかしら。ちょっとだけ興味があるの。
「それに比べて英国は古きものを大切にしてる所が良いよね。このパブもそうだし街並みも昔と大差ない。お陰で道に迷わずに済んでるよ」
「それは何よりだわ。そう言えばあんたの言っていたサプライズって?」
「嗚呼そうだった!これだよ、君に渡したかったんだ。受け取ってくれるかい?」
渡されたのは綺麗な海色のラッピングで施された小さめの箱だった中を開けるとそこには派手ではないけど気品のある髪留めが入っていた。これを私に?嬉しいけど誕生日でもないし。意図したものでもなさそうだし。
「どうしてこれを?」
「アー、その、夢を叶えた君へのプレゼントだと思って欲しくて」
「私何も用意してないわよ」
「いいんだ。俺が勝手に渡したかったのもあるけど・・・君に似合うと思ってさ」
「そういう事なら貰っておくわ。そうね、今度私の方も何かしら贈るわね。貰うだけなのは性にあわないの」
「いいのかい?楽しみにしてるよ」
友人として贈るならそうね、ハンカチとかネクタイ辺りがちょうど良さそう。暇を見付けたら買いに行きましょう。プレゼントを手持ちのバッグに入れ再び酒を飲み始める。
今頃彼は何しているのだろう。勿論狼にならざるを得ないことを除いて。動物達と話してたりして。流石にメルヘン過ぎか。寂しい思いをこれまでしてきたのかもしれない。多分今も。
そんな中で私は普通に友達と酒飲んでるだなんて。恵まれてるわね。甥っ子と血縁関係であるにも関わらず死喰い人の残党に襲われず無傷で生き延びれて。甥っ子を育てられて。幸せを感じる心の余裕すらあるもの。
それが悪いとも思わないし人の人生なんて関われる事の方が少ないだろう。友人関係でも疎遠になったりするし逆にこうして再会出来たりもする。特に魔法と関わらない方が幸せで居られる人も多い。
身近な例えならダーズリー家は甥に振り回されていた訳で。この場では何にも関係無く平和で居られるだろう。バーノンさん達は。私さえ関わらなければ無事だもの。
あ、私?私は良いの。魔法は見てるだけで面白いし観察対象で物語を書く参考にしているのよ。甥成長物語みたいなものもいつか書いてみたいわね。あ、それじゃあただの日記かも。
「君からのプレゼントって久々だな。高校時代誕生日に貰ったハンカチとネクタイ、今でも大切に使ってるよ。それに最後の誕生日の時には俺の我儘で手作りのアップルパイ作って貰ったのはいい思い出さ」
「未だに使ってるの?物持ちいいわねあんた」
両方まだ現役で使われてるとは思わないわよ。だとしたら腕時計にしようかしら。持ち運ぶのに楽だし実用性もあるもの。
「勿論さ、好きな子から貰ったものは大切に使うよ」
「会う度に好きとか手紙に毎回片想いとか本当に飽きないのね」
「飽きる訳ないだろ。だって君と居るとこんなにも世界が太陽のように輝いて見えるからね」
「ふふ、面白いこと言うのね」
「そうかい?まあその、兎に角君のことが大好きで仕方ないのさ」
「・・・・・・・・・本当に変わってるわね、あんた」
「前に説明された上で振られてるから答えてくれないのは承知の上さ。納得の有無は置いといてね。それでも隠す必要は無いだろう?」
「偶にこっちが恥ずかしくなるのよ。言われ過ぎてね」
「ふぅん、つまりちょっとくらいは俺にガードを緩めてくれたと思ってもいいかな?」
「流石に手紙のやり取りも絶えず再会してパブで酒飲む仲であればそれくらいはね。あ、でも期待はしないで頂戴。いい返事は難しいわ。前にも言ったけど誰ともそういう仲にはなるつもりはないの」
「承知の上での長期戦さ」
「・・・あんたって人は、全く」
善い人で真っ直ぐで優しくて。惚れたのが私でさえ無ければとっくに幸せな家庭すら築けていたのに。毎回そう思ってしまう。少しの申し訳なさと罪悪感もそれなりに有る。突き放せば良いものを私はそれが出来ない。
純粋な心で接してくれる旧友を突き放せる程私は心を鬼に出来ないのよね。狡いと思われても仕方ないが、この距離感が落ち着いてしまう。人生二回目だから達観してるとも言えるのだろうか。
四杯目のウイスキーを注文しようかと思ったがビールに変更しておいた。これ以上下手に酔うと要らないことまで口走ってしまいそうだもの。線引はしておかないと。
経験上酔っ払いはそういう生き物なのよ。自分の場合ビールなら水のようにずっと飲んでいられるのよね。とはいえアルコールだから酔いはするけど。
「注文した酒を飲み終えたら送らせてよ今度こそさ。ルーピンは今日居ないんだろ?」
「それは有難いけどいいの?」
「少しでも君と話していたいからね」
さらりとその言葉が出てくる辺り米国人って感じだわ。いい意味で。駆け引きより一緒に居たいと直接伝えてくれる方が嬉しいのよね、個人的には分かりやすくて。
ビールも飲み終え会計後歩いて家の近くまで送ってもらった。その間に次に飲む日を決めた。基本仕事で朝や昼は忙しいから夕方からなのよね。高校時代とは真逆ね。未だ変わらないのは私たちの関係とこの街並みだけ。
寂しさはあれどこれも時代の流れ。日本程なんでも調和して速く街並みが変わらないのは落ち着くわ。・・・ええ、前世は都会に住んでたの。それで元ヤンってヤバいですって?若さ故の過ちよ。あの頃は家庭環境が悪くてグレてたの。
「もう着いちゃった。まだ話し足りないけど仕方ないね。じゃあまたパブで」
「ええ、またね」
家に帰ると誰もいない。その中で作っておいた麻婆豆腐とご飯を温めて食べる。話し相手も居らず見窓から見えるのは満月だけ。彼が帰ってくるのはもう少し先だし甥に至ってはイースター休暇まで帰って来ない。
慣れって怖いわね。大体夜には彼が居て話してから寝る習慣が身についてしまって。より寂しさを感じるんですもの。やはり気を紛らわす為には執筆をして仕事に集中する他ないのよね。食べ終えた食器を片付け原稿を見返す。今回は月をメインにした魔法の話にする予定だ。
酔いながらだと余りいい案は出ないけど話をまとめるくらいならなんて事ないわ・・・なんて書いてあるか読めるかは酔い度に依存してしまうのは誰でもそうじゃないかしら。余りにもぐちゃぐちゃだと自分の字でも読めないもの。今日は・・・問題なさそうね。少なくとも今は読めるわ。
タイトルも決めちゃいましょう。そうね、『満月にて君を想う』なんていいじゃない。そうしましょう。忘れない内にメモを残して。よし、これで書きたいことは書けた。一応書き出しもしておきましょうか。
そして翌日、覚めた脳で再度書きまとめた字を読むとぐちゃぐちゃであった。辛うじて読めたけど。誤字脱字だらけね。書き直しよ。さて、忙しくなるわよ。
筆を取り朝食もそこそこに書き直しそこからプロットを作る。小説を書き始める頃にはあっという間に夜で一日を終えた。彼が帰って来る頃には進捗六割を越えていた。やはり仕事をすると一日があっという間に終わる。
「ただいまペチュニア」
「おかえりなさいリーマス。お腹すいてるでしょう?シェパーズパイ有るわよ。スープとパンもね」
「頂くよ。お腹と背中がくっ付きそうだった」
「あらまあ、食べる前に手洗って来て。その間にお茶淹れるわ」
「うん」
二人で食べる料理は一人で食べた麻婆豆腐より何倍も美味しかった。味は変わらないのに。人の温もりって大切よね。傍に居てくれるだけで料理の美味しさをより感じる。
これって凄い贅沢で当たり前じゃない。だからこそ一緒に食べる喜びがあるのかもしれない。スープを一口飲み込んで平穏な日常の有り難さを噛み締める。後どれ程この日常を楽しめるのかしら。一日でもそれが長くありますように。
魔法に関しては厄介事に巻き込まれないのは甥の伯母だから難しいだろうけど、平穏な日常は甥や彼への心の栄養にもなるだろうし。それがあるに越したことはない。美味しい食事だってその内の一つ。
話さずとも彼の表情を見れば美味しいと物語っている。何より嬉しいのはそれだ。薬を飲んでるが多分疲労しているのだろう。食後はブラウニーを用意してある。甘やかしてるかもしれないが満月の日を過ぎたばかりなら致し方ない。
デザートを出すと彼は更に目を輝かせてこちらを見つめた。そして何でも作れるんだねと褒めて来た。うーん、何でもじゃないわ。当然作れないものもあるわよ。
ただ人より美味しいものを自分で作って食べたいという食いじと料理系のバイトで鍛えた腕のお陰よ。
美味しいは幸せ、そうでしょ?と伝えれば彼はそうだねと返しデザートも綺麗に完食した。片付けは彼がすると言い任せた。
「もし執筆が順調なら明日一緒にパン屋に行かないかい?米国にある変わった形のパンが有る店がこっちにも進出してきたんだ」
「あっ、もしかしてコワルスキーベーカリーって名前じゃない?」
「良く知ってるね、そうだよ。美味しい事でも有名なんだって」
「良いわね行きましょう」
こうして翌日の朝早く店に行くといい香りで心が満たされた。これは確実に美味しい味だ。保証する。パンを選び会計を済ませ帰宅。どんな味がするのかワクワクしながら彼と買ったパンの味見をする。
外はこんがり中はふんわり。パンの王道でありほんのりと麦本来の甘みが口に広がる。美味しい。残念なことはコワルスキーさん本人には出会えないという事だ。こんなにも美味しいパンで皆を笑顔にして来たと思うと感動も一入。
本場はもっと美味しいんだろうなと考えていると彼が一言。いつか一緒に行ってみる?と。それも良いかもしれないわね。今じゃないけど、行きたいと思っていたもの。そう伝えるとその日が楽しみだと彼は優しげに微笑んだ。
閲覧ありがとうございましたー( ᴗ ᴗ)"