妖精の大罪人   作:ラーメンは豚骨

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9話

 ルーシィが目覚めたため、何故滝壺に落ちてきた理由を尋ねてみると、六魔将軍(オラシオンセイス)のエンジェルを倒し黄道十二門の鍵を、二つも手に入れたらしい。

 まさかの大手柄に、俺は感動してしまう。 

 流石は、屋敷に潜入して巨大なゴリラを倒し、最近ではアカリファで闇ギルドを丸々一つ壊滅させた奴だと、褒めてみれば疲れたように否定される。

 そして、情報共有をしているとナツが起き上がり、俺がいることに驚くが、ジェラールという名を口にしモゴモゴとするが、ルーシィに素直に感謝をしている。

 そんなナツに対して、ルーシィは顔を赤らめさせ照れていた。

 その光景に俺は思わず、ニヤニヤしてしまう。

 すると、バルゴがでぇきてぇると、ハッピーの巻き舌を真似してからかっていた。

 そのバルゴも、星霊界に帰還してしまう。

 それもそうだろう。ルーシィから一切魔力の気配が感じられない、つまり、ルーシィの魔力は空になっている。

 マズイな、俺一人だけならまだしも、二人ってなると。

 そう考えていると、俺が通ってきた獣道から、掻き分ける音が聞こえたと思ったら、シェリーがフラフラしながら歩いてきた。

 ナツとルーシィは、なんとか再会できたことに安堵していたが、俺はシェリーの纏う雰囲気が、先程のモノとは違うことに気付き、ルーシィとナツの肩を引っ張る。

 その直後に、周囲の木々が俺に向かって伸びてくる。

 咄嗟に庇ったため、回避どころか防御することも出来ず、腹に直撃してしまう。

 ナツとルーシィは困惑しながらも、俺の安否を確認するため近寄ってくる中、背を向けた二人に追撃しようとするシェリーだったが

 

「バカやろうがーっ!!」

 

 そんな怒号とともに、グレイが森から飛び出し、シェリーの背中に馬乗りになって、身動きが取れないようにする。

 話を聞いていれば、六魔将軍(オラシオンセイス)のレーサーを倒したまでは良かったが、自爆特攻を仕掛け、二人を守るためにリオンが犠牲になったという。

 聞かされた俺たちは、何を言っていいのか分からず、沈黙してしまうが、パキという枝を踏んだ音を耳にし、振り向けば犠牲となって、命尽きたはずのリオンがいた。

 どういうことだと、事情を問い掛けてみれば、どうやら爆破の瞬間に、氷の刃を造形して、爆弾ラクリマのついたベルトを切り捨て、難を逃れたらしい。

 その事について、グレイは、しぶてぇんだと褒めているのか分からない言葉を吐けば、リオンは、俺たち妖精の尻尾(フェアリーテイル)程じゃないと悪態をつく。

 一先ず、リオンが無事と分かると、緊張が解けたのかシェリーは気絶してしまう。

 すると、シェリーから黒いモヤが放出される。

 周りがこれは一体となる中、俺はモヤを凝視し言葉を紡ぐ。

 

「コレは、ニルヴァーナの初期段階で起こる症状だ」

 

 詳しい情報を知っていそうな俺に、ほかの面々は目を見開く。

 リオンは、俺を問いただそうとするが、何かが炸裂した音が響いた瞬間、黒い柱だったニルヴァーナは、白い柱に変色してしまう。

 それを見た俺は、舌打ちをしてしまう。

 直後、地中に埋まっていた足のようなモノが、音を立てながら迫り上がってくる。

 俺が、詳しい話はあとだと話せば、ナツとルーシィにグレイと共に、浮かび上がってきた足を登り始める。

 登っていると、ナツの顔色が段々悪くなり始め、ズルズルと足を滑らしていく。

 俺は、ナツの手を掴もうとするが、あと一歩のところで間に合わず、掴み損ねナツは落下していく。

 だが、風を切るような音が鳴ると、ナツが空に浮遊しており、疑問に思っていると、ナツの背中から羽が生えていて、ハッピーがいることに気づく。

 取り敢えず、自由に動けるようになったナツを、先に行かせる。

 グレイが、俺に対してニルヴァーナについて、尋ねてくる。

 

「ランスのおっさん、結局ニルヴァーナって、なんだよ」

「……アレは、いとも容易く、善悪を入れ替える事のできる、究極の精神改変魔法。使い方次第じゃ、この大陸を支配することも可能な強力無比な代物だ」

 

 俺が、今の所話せる事実を二人に告げると、絶句してしまう。

 一先ず、話せるだけの情報を伝え終わると、ようやくニルヴァーナの足を登りきり、昔は栄えていたであろう古代都市に到着する。

 幻想都市ニルヴァーナを見渡してみれば、見知った男がいた。

 

「無事であったか」

 

 ジュラが仁王立ちしており、その横には予想打にしない人物が、待ち構えていた。

 

「世の中愛デスネ」

 

 六魔将軍(オラシオンセイス)のホットアイがいたため、戦闘態勢に入る俺達、ホットアイと行動しているため、ジュラもニルヴァーナによって、入れ替わったかと考えたが、それなら話し掛ける前に攻撃してくる筈と、認識するとジュラから、味方になったと聞かされる。

 ということは、ニルヴァーナによってと思考すれば、こちらの意図を汲み取ったのか、ジュラが頷く。

 そんな中、ホットアイによって、ニルヴァーナについて語られる。

 400年前、世界は戦争にまみれており、それを嘆いたニルビット族によって作られ、ソレを用いり世界を平和にしたが、その魔法はニルビット族に牙を剥き、善から悪へと変わり全滅した。

 なるほど、六魔将軍(オラシオンセイス)が持っている情報は、俺の知っている歴史と変わらないみたいだな。

 遥か昔に、ニルビット族の思念体と出会った。

 無理を言って、ニルヴァーナの封印を解き使用し、再び封印を施したが、ソレは生き残りである思念体のおかげ、もしも、思念体が消え去れば、ニルヴァーナは封印することは不可能。

 その思念体も、ラクリマによって、何とか現世に残れている状態だ。

 ニルヴァーナの攻撃であれば、ラクリマの一つくらい壊すのは容易いはず、だがしかし、ニルヴァーナを壊すためには6つのラクリマを壊さねばならない、その事を伝えようとしたとき、建物の上から人影、六魔将軍(オラシオンセイス)のミッドナイトが現れる。

 裏切り者のホットアイを始末しに来たようで、此処は私がとホットアイが戦闘を引き受けてくれるようで、この場から離れてくれる。

 だが、そんな時、もう一人の声が聞こえてくる。

 その場所に、視線を向ければローブの男がいた。

 

「鉄の槍」

 

 気配を感じ取り、自分の側にいるグレイとルーシィ、ジュラを突き飛ばす、その瞬間、俺の体を無数の槍が貫く。

 体中が穴だらけになり、血溜まりを作る俺の姿に、グレイとルーシィは青ざめ、吐き気を催していた。

 そんな二人に、ジュラは心配する必要はないと伝える。

 俺が、いくら不死身の体とはいえ、こんな姿見せたくはねぇんだけどな。

 心配させたことに、申し訳なく思いながらも、槍から抜け出すと穴が塞がっていく。

 二人は目を丸くし、唖然としていた。

 ローブの男は、復活した俺を愉しそうに見つめる。

 

「そういや、言ってなかったな、俺ってば、不死身なんだよ」

 

 不死身の人間という、通常ではありえない特性を持った人間を前にし、瞠目する一同。

 だが、グレイとルーシィは納得した様子だった。

 マカロフよりも若く見えるのに、三代目マスターであること、ニルヴァーナについて詳しすぎること、それらを踏まえれば、飲み込むのは難しいが理解はできたようだ。

 

「さてさてさーて、不死身な俺が言うのもアレだけど、お前本当に人間か?」

 

 ランスは、ローブの男を視界に捉え、問いかける。

 冷静に対峙してみれば、明らかといっていい程、不自然な気配を纏っている。

 この世に、生きる生物とは思えない程、禍々しいモノを宿しているように見えた。

 ランスの問い掛けに、素晴らしいと言わんばかりに、頻りに拍手をするローブの男。

 ローブの男は、ニタニタと笑いながらローブを脱ぎ払う。

 そこに現れたのは、血が通っているのか怪しい白い肌に、一切の光を通さない黒い瞳に、眉部分から頬にかけての黒い線。

 ましてや、極めつけなのが、額から飛び出た黒い角に、背中には黒いモヤで生成された羽に、尻尾が生えていた。

 その姿は、まさに悪魔そのものであった。

 突然現れた悪魔、異形の存在に後退りをするグレイたち、そんな中でジュラが相手取ろうとするが、俺が制止する。

 

「お前ら、先に行け」

 

 首を動かし、グレイたちを操縦席があると思われる場所に、急がせることにした。

 

「そう簡単に行かせるとでも?……グハッ!」

 

 そんなグレイたちの前に立ちはだかり、道を塞ごうとする悪魔。

 

「行かせないとでも?」

 

 俺は、邪魔をする悪魔を回し蹴りで、蹴り飛ばす。

 その隙にグレイたちは、全速力で走り去っていく。

 この場をあとにするグレイたち、そんな時悪魔が起き上がり、気味の悪い笑みを浮かべていた。

 

「まぁ、良いでしょう。あんな愚かな人間共など、何時でも殺せる。先ずは、アナタを無惨な姿に変え、彼らに絶望を与えるとしましょう」

 

 悪魔の言葉に、グレイたちに見せる笑みとは違い、瞳からは完全に光が消えさり、怒りを顕にする。

 

「誰が、誰を殺すって?」

 

 魔力が使えないはずのランスが、額に黒の紋様を浮かべると、異質な力を感じ取り警戒する悪魔、どういった方法で魔力をと思考を巡らせていると、目の前にいた筈のランスは消え去っていた。

 何処に消えたと、探そうとした風が吹いた。

 刹那、背後から気配がし振り向けば、ランスが小剣を持って佇んでいたため、右腕を動かし捕らえようとするが、右腕の感覚が一切無かった。

 悪魔は不思議に思い、自身の右腕を確認すれば、肩の付け根から下が綺麗さっぱり消えていた。

 

「私を傷つけるとは、流石は大陸最強と言ったところでしょうか、ですが無駄です……治りなさい」

 

 悪魔が一言唱えれば、何事も無かったように、右腕は復活を果たしていた。

 

「気取られることなく、上手く腕を切断したはずが無意味とは、ンッンッン、残念でしたね」

 

 ランスの決死の攻撃が無駄に思ったと思い、ニタニタと気味の悪い笑みを浮かべ、嘲笑う悪魔。

 そんな悪魔を睨みながら、ランスは空気を吸い込み、一気に吐き出せば、漆黒のオーラが放出される。

 

「潰れなさい」

 

 ランスが棒立ちで、絶好の隙を見せているため、悪魔は言霊魔法により、ランスに掛かる重力を増して押し潰そうとする。

 地面が蜘蛛の巣状に、ミシミシとヒビ割れていきランスの足が地面に埋まった、その時。

 炸裂音と共に、ランスを中心とした黒い柱が誕生する。

 それによって、砂埃が発生したかと思えば、一瞬にして霧散してしまう。

 

「?……ッ!?」

 

 悪魔は、撹乱のためかと首を傾げていると、腹に強い衝撃を感じると同時に、廃墟と成り果てた何棟もの建物を貫き、吹き飛ばされる。

 

 

「治りなさい」

 

 予想以上に効いたのか、体をヨロヨロと起き上がらせながら、体を回復させ、何が起きたと、元いた場所を見つめた。

 そこにいたのは、黒いオーラを纏い、悪魔とも取れる雰囲気を漂わせたランスがいた。

 

「まさか、同胞だったとは」

 

 同胞と思わしきランスを、監察する悪魔はニヤける。

 

 

 





 間に合えば、夜にもう一話投稿できるかもしれません。
 期待せずに、お待ちくださいませ。
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